CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

真面目にリハビリ医療を実践して欲しい!

2005-11-13 19:43:13 | リハビリ
真面目にリハビリ医療に取り組む病院が増えることが、高齢化社会を明るくします。・・・その実態はどうなっているのでしょう?

今、急性期病院の平均入院日数が、どんどん短くなっています。医療の質を高めつつ、漫然とした方針を見直せば、確かに自然に入院日数は短縮します。しかし、目先の数値目標だけ短くしようとすると、一人一人に必要な医療を提供するという個別性が失われます。病院によっては、日数を短くすることの方が、患者さんに適切な医療を提供することより優先されるようです。それでも、医療経営コンサルタントからは、とにかく短くしなさいというアドバイスが入ります。ある病院の経営方針を聞いたとき、「平均在院日数の短縮とは、医療の質の向上とリンクしているんじゃないんですか?ただ単に目の前から患者さんが退院しさえすれば良いという考えならやめて下さい。」と意見したことがあります。

さて、
リハビリが必要な人には、入院日数の縛りが強い急性期病院とは別の制度が必要、ということでできた回復期リハビリ病棟の制度があります。この制度自体は悪くはありません。ところが病院によっては、入院日数の上限を14日に設定し、リハビリ医療が必要で退院できない患者さんを移すためにだけ、理念なき回復期リハビリ病棟を開設している病院もあるようです。その病棟に移れば、病院全体の平均在院日数の計算から除外されるからです。つまり、もう少し長く急性期病院で治療を優先すべき人も、リハビリに取り組める状態になる前に、自動的に(名ばかりの)回復期リハビリ病棟に移されます。この場合、本来のリハビリ医療の理念などなく、経営的な意味での病棟にすぎませんから、リハビリ医療の質の問題などどうでもよいわけです。歩けるはずの患者さんが歩けなくても、頓着しません。それどころか、歩けないまま退院すれば、病院関連の介護事業が潤う、という「一石二鳥」の利益を考えているようです。

・・・上記は噂話なので、まさか、そんなひどい病院は存在しないと信じたいです。そんなことは全くの嘘、と反論して下さる人がいれば幸いですが、いかがでしょうか?

結局、「リハビリ医療の質」をはかることは本当に難しい、ということに根ざした問題と言えます。専門家が見れば、質の問題は一目瞭然なのですが、数値化することは容易ではありません。私達は、とことん、リハビリ医療の『質』にこだわりたいと思います。この議論は、またの機会に。
                    (道免和久)

最新の画像もっと見る