コンセールルミエール

フルートアンサンブル 
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ヴォーン・ウィリアムズ誕生

2008年10月12日 | 作曲家
イギリスの作曲家、ヴォーン・ウィリアムズ(1872~1958)の誕生日です。
ルミエールの次の演奏会では2ヴォーン・ウィリアムズの作品を取り上げます。

 ラルフ・ヴォーン・ウィリアムズは、エルガーやホルストらとともに、近現代のイギリス音楽を代表する作曲家です。最近、英国の文化やライフスタイルが注目を集め、その音楽にも愛好家が増えてきましたが、ヴォーン・ウィリアムズは、中でももっとも“英国らしさ”を感じさせる人物といえるでしょう。

 父は貴族階級、母は名門ウェッジウッド家(あの高級陶器のウェッジウッドです!)という絵に描いたような英国の上流家庭に生まれたヴォーン・ウィリアムズは、最初はバイオリニストを目指しましたが、王立音楽大学で作曲に転向。ホルストらとともに民謡採譜のため英国内をくまなく回り、英国の教会音楽や賛美歌を書物にまとめる仕事にも携わって、自国の伝統音楽をしっかりと学びました。一方、ドイツ・ロマン派の作曲家マックス・ブルッフや、フランスのモーリス・ラヴェルにも教えを請い、様々な作曲技法を身に付けたのです。

 主な作品としては「海の交響曲」「ロンドン交響曲」「田園交響曲」「南極交響曲」などの交響曲が9つ。この中には、多くの人が「英国」と聞いてイメージするもの、例えばバッキンガム宮殿の威厳あるたたずまい、湖水地方ののどかな田園風景、素朴なパイやスコーンの味わいなどが、すべて備わっています。また、7つの海を制した大英帝国の末裔らしく、荒々しい自然の描写や、それに立ち向かうフロンティア精神も、巧みな管弦楽法で描かれています。その他の小品にも魅力的な曲が多く、「“グリーン・スリーヴス”による幻想曲」「あげひばり」などは一度聴いたら忘れられない美しさです。

 1958年、彼は85歳という高齢で世を去りますが、創作は亡くなる直前まで続けられました。その威厳ある音楽と人間性で“グランド・オールド・マン(偉大なる老人)”と呼ばれ、多くのファンに愛された生涯でした。