アメリカGAYライフ American Gay Life by an expat Japanese

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アカデミー賞

2006-03-06 14:11:49 | 映画・TV・エンタメ
ちょうど今、3時間半にわたって実況中継されていた第78回アカデミー賞が終わった。予定では3時間のはずだったのに、30分も延長だった。

結果からいうと、みんなハッピーな結果に丸く収まった感が強い。今年、最多部門にノミネートされていた『Brokeback Mountain』が、最優秀監督賞を含め要所要所で受賞していたけど、肝心の(!)最優秀作品賞で、下馬評ではあまり話題にならなかった『Crash』に奪われるという大どんでん返し。

それに、僕が一押ししていた映画、『Walk the Line』では最優秀主演男優賞を取るんじゃないかと期待していたJoaquin Phoenixが受賞を逃して、『Capote』にいっちゃうし・・・。(ま、Capoteで主演を演じたPhilip Seymour Hoffmanも優れた演技で甲乙付けがたかったのは確か。)代わりに主演女優賞で『Walk the Line』のReese Witherspoonが受賞したけどね。

監督賞、助演男優賞など3部門でノミネートされていたGeorge Clooneyも、結局、助演男優賞の1部門を受賞しただけ。

『Memoir of Geisha』(日本では『SAYURI』っていうタイトルなんだね・・・)も、主演男優賞や監督賞、作品賞など大きなカテゴリーでは泣かず飛ばずだったけど、衣装や他のマイナーな部門でいくつか受賞していた。アニメーション部門で『ハウルの動く城』は受賞を逃したのが残念。

とりあえず、蓋を開けてみると、全員がなんらかの受賞をしていて一つの映画が賞を総ナメっていう事態にはならなかった。特に、今年は、『Capote』、『Brokeback Mountain』、『Transamerica』と、ゲイのキャラクターや性同一性障害のキャラクターが登場する映画が多数話題になった年だった。アメリカのメディアでは、アカデミーはゲイ一色になったとか、保守派団体はそういうアカデミーの傾向に対して大抗議をしたりと、政治的に映画産業が左翼化する傾向を非難する声が高かった。

なんかこの受賞の結果は、アカデミーがその講義に折れたところがあるんじゃないかなと思う。ゲイのカウボーイたちの純愛を描いた『Brokeback Mountain』を快く思わない保守派が根強いことや、結局、映画は映画館に見に行ってくれる人たちがいて成り立っている産業。都市部に住む一部のリベラル派だけを相手にできず、田舎に住む保守派の意見も反映しないといけないのが本音。受賞の最中のスピーチでも、「DVDで観るんじゃなくて、映画館の大スクリーンで見てください」とか、とにかく「DVDじゃなくて映画館で!」というメッセージを言った人が少なくとも2人はいた。一時期、映画産業は斜陽で厳しい時代があったからね。それに最近は、DVDやケーブルテレビで新作映画がすぐ観られることや、他の娯楽も増えて映画は厳しい状況に立たされているからね。

だから、いろんな価値観を持つ人たちに映画館に行って観て欲しいから、ゲイがテーマの映画が受賞を総ナメにするという事態はどうしても避けたかったんじゃないかなぁ。今、ABCニュースの報道でも、「今年ほどバランスの良く取れた受賞はなかった」と言っているし。どっかで票が操作されてるんじゃないかなぁ。一応、アカデミー賞の受賞中継の最後に、「票は公正を期していて、PricewaterhouseCoopers以外は誰も中継で発表されるまで結果を知りません」なんていう但し書きが出てたけど。ハリウッドの仲間内の間でロビー活動なんかをやっていて、今年は誰を受賞させよう、なんていう話がきっと行われているはず。それが映画産業を繁栄させるためという名の下だったら特に説得しやすい。

アカデミー賞で受賞すると、その映画の観客動員数が一気に伸びるって言われているし、「もう十分メディアで話題になって売り上げも出している『Brokeback Mountain』はいいから、あんまり売り上げが伸びていない『Crash』を受賞させてくれ」、みたいなことを言うハリウッド産業の権力者がいたんじゃないかなぁ。全く根拠ないけど、あの突然の最優秀賞受賞はやっぱり腑に落ちない。

え~ん(涙)、やっぱり最優秀作品賞に『Brokeback Mountain』でもなく、『Capote』でもなく、はたまた『Walk the Line』でもなくて、『Crash』が受賞するっていうのがナゾ!



P.S.その1:初めて司会を務めたJohn Stewartは最高だった!
P.S.その2:朝日新聞のWeb版で、早速、アカデミー賞の受賞結果が報道されていた。それによると、「監督賞に、保守的な土地で同性愛に目覚めた若いカウボーイ2人の愛と苦悩を描いた「ブロークバック・マウンテン」のアン・リーが決まった」とある。だから分かってないんだよなぁ。あの二人は、互いに出会ったことで「ゲイに目覚めた」んじゃなくて、もともと自分がゲイであることを押し殺して生きてきたわけでしょう?!別にそれまで自分がゲイっていうことに気がつかなくて、あの映画の物語の中で「ゲイに目覚めていった」わけじゃないじゃん!朝日新聞の記者!わかっとらんぞ!

独身女のアメリカ暮らし

2006-03-01 15:04:35 | アメリカ・風習・社会事情
アメリカ男と付き合うのって、ゲイもノンケも同じなんだぁ。このシアトル在住の30代独身女性、秋野未知さんのエッセイを読んで、自分の体験と重なることがあまりに多いことがとても新鮮。

例えば、僕のブログでも紹介した「エル・ワード」の重さについて、秋野さんも全く同じことを実エピソード入りで紹介している。

でも、やっぱりゲイの世界とノンケの世界では恋の話も微妙に違ってくるみたい。例えば、それは子供の話。ゲイにもたまに「子持ち」とか「離婚暦あり」、「バイセクシャルで彼女がいる・いた」なんていう人もいますが、基本的に少数派。だけど、ノンケの彼になると、妻がいた、子供が何人もいるなんていうのはザラなんだね。それが新しい彼だったりすると、やっぱり引いてしまったり、結婚に躊躇したりするものなんだね。でも同性結婚が進んで養子をもらうゲイカップルも増えてきてるから、そのうちゲイの間でも子持ち、離婚暦ありなんていう人と遭遇する機会が増えてきそう。同性婚も良し悪しってことかぁ。

このエピソードでは、「愛をとるか、金をとるか?」っていうテーマ。確か、先日、僕もブログで「見た目かお金か」っていうことを書いていた。この微妙な差が面白い。ゲイの間って、「愛かお金か」というより、「見た目(年齢)かお金か」っていう天秤のほうが断然多い。ノンケ女性のほうが、純粋な愛情(そんなものが本当にあるかどうかは別として)というものを求めてるんだろうねぇ。一方、ゲイはとにかく見た目と身体が命!これは間違いない。ゲイほど「好みのタイプ」がはっきりしている人たちはないのでは?愛され続けることに不安なノンケ女性と、相手の見た目と若さにこだわるゲイというのがとても対照的。

あと、割り勘についても面白い体験談が満載だった。僕も元カレDavidが、高給取りのやり手弁護士だったにもかかわらず、びた一文おごってくれることがなく、いつも割り勘なのにストレスが溜まった。だって向こうは自分の収入に合わせて生活スタイルを確立していて、一緒に旅行に行ってDavidの趣味の高級レストランで食事しても割り勘、ブロードウェーでDavidが観たいミュージカルを観ても割り勘っていうのは不条理。だから、2回目にニューヨーク旅行に誘われたときは、嫌味を込めて「お金がないから行けない」って言ったら、Davidは一人でニューヨークに行ってたもんねぇ。ニューヨークに到着してからも、「これからバスに飛び乗って来ない?」なんて誘ってきたりして。もちろん僕の自腹で。あそこまで割り勘にこだわるDavidは非常識だと思う。結局、別れて正解だったけど。実は、今のカレJimmyとも、いつも割り勘なんだなぁ。年齢差、収入差がかなりあるにもかかわらず。年上男は、年下におごり始めるとSugar Daddyになってしまうことを恐れている感があるけど、DavidもJimmyも、単にケチだけの気がする・・・。

「あんた、僕のことどれだけ愛してんの?」っていうのを金銭で求めるのはやっぱり間違いなんでしょうか?「奢ってもらったら、私のことを大事にしてくれているって思うし、うれしいなって思うもの」と言い切る秋野さんの友人M美さんに僕は強く共感してしまうのだけど。僕って、gold digger?あ、でも、何でも驕ってくれたフランス人のお医者さんMichelには、別れ話をこっちから切り出したとき、「君は高くついた」って最後に嫌味を言われてしまった。やっぱ、驕られるということには、それ相当の義務・恩義が生じるっていうのは覚悟しといたほうがいいんだろうね。逆に、驕られない割り勘の関係の方が、こっちから別れるときは後腐れなくてすっきりできるけど・・・。別れるのを前提に割り勘で付き合うっちゅうのも辛いかぁ。

秋野さんのエッセーの極めつけは、やはりそのゲイ友について。「いい男がゲイである確率」と、「愛すべきゲイの男友達」は、いかにも(?)アメリカならでは。日本でも人気を博したテレビドラマ『Sex and the City』でも、キャリーにはスタンフォードというゲイ友がいたし、シャーロットにもゲイ友アンソニーがいた。アメリカの都会で生きている独立した女性にとって、ゲイ友は生活の「必需品」になってるんじゃないかなぁ。

(実は、まだ秋野さんのエッセーを全部読破できてませ~ん。これから読んでいきまっす。)