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旅の友・ポップス編 (284) 『花売り娘』

2017-11-19 11:20:20 | 旅の友・ポップス編

『花売り娘』 サウンド・トラック
”La Violetera” Sound-Track 【YOUTUBEより】


原曲は1918年にホセ・バディラが作曲しラクウェル・メリエが唄った”La Violetera”です。
1931年にはチャールズ・チャップリン監督によるサウンド版トーキー映画『街の灯』の主題歌となりました。
映画初期のスラップスティック喜劇の第一人者として人気者であったチャップリンは、ユーモアの中で徐々に
鋭い社会諷刺を加えるようになり、下町に生きる庶民の哀愁や怒りを代弁する「心優しき放浪者」へと変貌、
1917年の『移民』、1918年『犬の生活』あたりからその傾向が顕著に表れはじめ、官憲やブルジョワを小馬鹿
にすることによって歪んだ社会を糾弾するスタイルが定着していきます。社会の底辺に身を置く観客にとって
官憲やブルジョワを小馬鹿にすることがこの上ない痛快を誘い庶民からさらなる支持を受けていきました。
この『街の灯』もそういった流れの作品で、圧制・不正義・不平等という現実社会を激しく風刺しながら人間の
真心の大切さを訴えています。
チャップリン作品は彼自身が作曲したテーマ曲を用いることが多かったのですが、『街の灯』では彼自身が
お気に入りだったホセ・バディラ作曲の『(すみれの)花売り娘』を取り上げています。
逆にこの曲からイメージを膨らませて映画『街の灯』を作り上げたのかもしれませんね。

感動のラストシーンをもう一度 【YOUTUBEより】


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チャップリンは上段の動画の正味3分ほど花売り娘との出会いの撮影でヒロイン役のヴァージニア・チェリルの
演技が気に入らず、一年以上にわたって342回ものNGを出したといわれています。
完成品を見る限りでは素晴らしいシーンに思えるのですが、チャップリンの完全主義者らしい頑固さがなければ
このシーンはあり得なかったのかもしれません。
「役者の演技が上手いというけれど、そうではない。その演技をさせた監督が上手いのだ」という名言、まさに
その通りですね。



また、この『花売り娘』もさまざまなアレンジとともに多種多様なレコードがリリースされています。
中でも私のお気に入りをいくつか並べてみました。


『花売り娘』 ラクウェル・メリエ
”La Violetera” Raquel Meller 【YOUTUBEより】


『花売り娘』 マランド楽団
”La Violetera” Malando 【YOUTUBEより】


『花売り娘』 カルロス・ガルデル
”La Violetera” Carlos Gardel 【YOUTUBEより】


『星空の花売り娘』 ボビー・ライデル
”The Door To Paradise ” Bobby Rydell 【YOUTUBEより】




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