ダメ出しというのは、主に演出家が俳優(時には、スタッフ)に、注意を与えることを指す。ドラマが良い方向に向くために、アイディアを出したり、変更を指示したり、文字通りダメな部分を指摘したり、などなど。一番は、アイディアが湧いて、それでドラマも俳優も盛り上げることが出来ること。二番目は、稽古を重ねてきたものを変えること。たとえば、人の出入りや動きや装置の位置や小道具の扱いを変えることで新しい局面を見出す。そして、三番目。こいつが面倒。そこの演技がまずいから違っているからと変化を要求する。ここに、俳優の質の問題が出てくる。飲み込みが良くてすぐに軌道修正が出来る者、何度か繰り返すうちに出来るようになる者、何度やっても出来ない者、俳優も様々。キャリア、理解度、能力、癖などの関係で、追いつかなかったり邪魔したりする場合、かなり難行苦行になる。ボク自身の脚本ならば、セリフを変えたり、他の役にその部分を受け渡したり、することが出来る。けれど、既成の脚本ではそうはいかない。となると、手を緩めずに、なだめたりすかしたり脅したり持ち上げたり、あらゆる手を使って追い込むほかなくなってくるのだが、それでも出来ないと、こちらも困惑イライラが募り、俳優も落ち込んだり情緒不安定になったり、泣き出したり…
昔、テレビの仕事で踊りの振付けをしていた時のこと。女性に簡単な振りを4小節踊ってもらうことになった。モデルさんのようでダンスの素養がなく、何度やっても合格点に達しなかった。あれこれアドバイスをしたり、何度も踊って見せたり、なだめたりすかしたり手を取り足を取り…。たかだか、4小節のために長時間かかってしまっていた。けれど、まるで出来ず。その時、デイレクターが、
「知念さん、わたしに任せて下さい」
目をつぶって、モデルさんのバタバタ程度の代物を撮った。
後日、出来上がった画像を見てびっくりした。見事に作品になっているじゃありませんか。あのモデルさんの動きをスローモーションとコマ撮りで編集して見事なパフォーマンスに仕立ててあった。
昔、テレビの仕事で踊りの振付けをしていた時のこと。女性に簡単な振りを4小節踊ってもらうことになった。モデルさんのようでダンスの素養がなく、何度やっても合格点に達しなかった。あれこれアドバイスをしたり、何度も踊って見せたり、なだめたりすかしたり手を取り足を取り…。たかだか、4小節のために長時間かかってしまっていた。けれど、まるで出来ず。その時、デイレクターが、
「知念さん、わたしに任せて下さい」
目をつぶって、モデルさんのバタバタ程度の代物を撮った。
後日、出来上がった画像を見てびっくりした。見事に作品になっているじゃありませんか。あのモデルさんの動きをスローモーションとコマ撮りで編集して見事なパフォーマンスに仕立ててあった。