まず、脚本が良くなければ、劇は面白くならない。その次が演出で、その次が俳優。でも、脚本さえよければ、なんとかなるものだ。だから、ひたすら書き直す。時も変わるし、俳優たちも良くなるし…それら状況の変化に合わせて書き直していく。
悲しいかな、年を取るだけ覚えは悪くなる。ひどくなる。だから、稽古を若者たちの何倍もしなければならない。若者たちの前で、恥をかきながら懸命に稽古するのがベテランというものだ。
テンポのことを言うと、嫌な顔をする俳優がいる。気持ちや自分の生理を大切にするタイプ。それは当然だ。でも、それは自分でやっておいてほしいと思う。または、はじめの稽古の段階で思う存分やってほしい。けれど、何度か自分を出したら、相手とのバランスやシーンの狙いを取り込んで変化してもらわないと。
ボクの作品は、テンポが速く、場面の移り変りも早く、俳優と装置と音楽とがシンクロして回転していく。もっと、じっくりと。とも思うのだが、体質だから、センスだから仕方ないか、とあきらめ気味。