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若手とベテラン

2012年06月10日 | Weblog
自論シリーズの続編になるかもしれないけど、最近気になること、若手とベテランについて書いてみたいと思う。

俺が試合に1年通して出られるようになったのは3年目からで、プロ1年目は10試合、2年目は怪我があったり、監督と喧嘩した・・・なんて事もあって1試合のみの出場だった。

今思えば監督と喧嘩するなんて考えられないけど、その時はヤンチャだったんやろうね。

アビスパ福岡に入団した時に、大先輩の都並さんが同じくヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)から移籍されてきて、都並さんが居なかったら、あの2年目のシーズンで自分は終わってたかもしれないなぁなんて、今になって考えると恐ろしくなる時がある。それだけ都並さんの存在は大きかったし、色んなことを教えてくれて、そんな都並さんにいつもくっ付いていたし、公私ともにスゴくお世話になった。

3年目のシーズンが終わり、アビスパ福岡からサンフレッチェ広島に移籍する事が決まった時、代理人の方に「移籍の成功する秘訣ってありますかね?」と聞いた事がある。その方から言われたのが「そのチームの中心にいる先輩と仲良くなりなさい」と。

アビスパ福岡では都並さんがいて、サンフレッチェ広島には森保さん(現サンフレッチェ広島監督)、名古屋グランパスエイトでは楢崎さん、岡山さん、ヴィッセル神戸ではご存知KING KAZUさんと、本当に素晴らしい大先輩の方達と仲良くさせて貰い、色んな事を学ばせて頂いた。自分から積極的に近寄って行ったし、たくさん話も聞かせて貰った。サッカーに取り組む姿勢から、私生活まで、色んな方面から見て学び、自分と照らし合わせながら吸収していった事を今でも覚えている。

森保さんとのエピソードを少し話すと、サンフレッチェ広島に移籍した時に、自分は必ず開幕から出られるものだと信じていた。ところが開幕してもなかなかスタメンで使ってもらえず、不満が溜まる一方だった。開幕して5試合くらいあまり勝ち星がなく、チーム状態も良くなかった。

そんな中、アウェイの鹿島戦があり、試合後は東京に移動して一泊してから、次の日に広島へ帰る予定だった。次の日は2軍の試合(G大阪戦)が大阪であったが、鹿島へ遠征に行ったサブの選手も大阪へは行かないということになったので、俺は東京に泊まれるし、どこかへ遊びに行こうと予定を立てていた。

その時に、試合後のロッカールームで「明日の2軍戦に行かせて下さい」と監督に直談判している森保さんの姿があった。当時森保さんも俺と同じく、開幕からスタメンではなく、サブにいることが多かった。その時のチーム状態を考えてなのか、移動が大変な2軍戦でも、試合感を大切にしたかったのか、理由はどうあれ、あの森保さんが「2軍戦に行かせて下さい」なんて言うのを間近で見て、自分の勘違いも甚だしいこと、どれだけ甘ちゃんなのかを痛感した。もちろん直後に「僕も大阪へ行かせて下さい」と頼みに行き、森保さんと俺だけが、次の日に朝一の新幹線で大阪へ移動して、試合に出場することになった。当然鹿島戦後も遊びに行かず、ホテルで休むことにした。

普段なら、2軍戦には顔を出さなかった当時の監督も、大阪まで試合を見にきてくれて、その試合で森保さんも俺も大活躍し、勝利に貢献することができた。

森保さんは次のJリーグからスタメンになり、俺も途中からではあったが移籍後初ゴールを決めて、次の試合からスタメンを奪い取ることができた。

言うまでもないが、あの森保さんの姿がなかったら、今の自分は絶対になかったと思う。

実力も実績も申し分ない森保さんが、一番大変なアウェイの2軍戦に行くなんてことは、当時の自分には衝撃的だったし、俺1人ではその発想にはならなかったと思う。

当時の監督も、森保さんの姿に引っ張られたのかもしれない。2軍戦に行くなんてことは考えられないような方だったので。。。

とにかくチームの為に自分には何が出来るのか、試合に出る為に努力を惜しまない。全てがサッカーの為にある。そういう人だった。

楢崎さんやカズさんも同じ、サッカーが全て、サッカーのことでは妥協しない。この事は共通していた。

若い選手には、分からないこと、気づかないことがたくさんある。それは教えて貰うことで得られることもあるが、それではなかなか本当に身に付かない。自分自身で見て、感じ、積極的に学ぶ姿勢があるからこそ、吸収率も大きくなるような気がする。

自分がベテランと呼ばれる立場になり、もちろん言葉で伝えることもあるけれど、若い選手の方から、もっともっと学びたいという姿勢が見られたらなぁと日々感じている。

上手くなりたい、試合に出たい、J1で必ずプレーしたいという、そんな気持ちの見える選手がもっと出てきて欲しいと思う。

このブログを書いていて、サッカーが全て、サッカーが人生だと、改めて考え直す良い機会になった。

吉井コウスケ、いつも一番に練習場に来て、体を作り、練習に臨んでいる。北嶋も雄太も早い。もちろん怪我の具合であったり、体を作る時間には個人差がある。みんなに早く来いといっているのではなく、その姿勢を感じて欲しい。練習も試合も同じように準備すること、練習だからイイや・・・はこの世界では通用しない。

細かな事かもしれないけど、見て、感じた事はスルーするのではなく、そこから感じる事を一つのヒントとして受け取っていって欲しいと思う。

今自分がこうやってグラウンドに立って居られるのも、偉大な先輩方の姿を見て、感じて、素直に受け止めて来られたからだと本当にそう思う。上手くなりたい気持ちは今も変わらず持ち続けている。そこは一番昔と変わらない部分のような気がする。

若手とベテラン、上手く組み合わせれば、チームにとっては大きな存在、力になるはず。

お互い切磋琢磨して、チームの底上げにつなげていければ、こんなに素晴らしい事はない。

長くなったけど、自分がお世話になった多くの先輩方に、改めて心から感謝の気持ちでいっぱいです。

自分もそう感じてもらえるように、良いお手本になれるように顔晴りたいと思います。

おしまい。