本日は晴天なり

誰しも人生「毎日が晴天なり」とは行かないものです。「本日は晴天なり。明日はわからないけどね」という気持ちを込めました。

毒入りリンゴと娘 その5

2008年09月22日 13時53分57秒 | Weblog
さっそく娘は魔法使いのリリーに教えてもらった通り、治療師のところに行ってみることにしました。
「チャイニーズ・ミルク・ヴェッチ」と書かれた木の看板の下がったドアの前で呼び鈴をならすと、出てきたのは穏やかで淡々とした雰囲気の、優しそうな女性でした。
「こんにちは。」
白雪は言いました。
「白雪と言います。リリーさんからの紹介で来たんです。」

「はい。それじゃ、どうぞ中へ。」

そこは、白雪がこれまで行ったどの治療院のやり方とも違った、ちょっと風変わりな治療院でした。

白雪がベッドに横になると、まずその女性が「はい、指で輪っかを作って。そうそう。これで体に聞いて色々調べてみますからね。....はい、なるほど、なるほど。」
「う~ん、肝臓と腎臓が悪いみたいですねえ。」
「そうですか。」

それは、以前白雪が行った他のいくつかの治療院でも言われたことでした。
でも、白雪には特に肝臓と腎臓が悪くなるような心当たりがなかったので、どうしてなのかしら、とずっと不思議に思っていたのでした。

「あなたの体には、ヨモギとセンタイ(セミのぬけ殻)が合うみたいなのでね、それを煎じて毎日飲んでくださいね。」
「はい、じゃ、これから治療しますね」

と言って女性は淡々と治療を始めました。

「本当に良くなるのかしら?」
と治療が終わった後、少しいぶかしく思いながらも、白雪はしばらくその治療院に通ってみることにしました。

何回目かの治療のとき、白雪は魔法使いのリリーに教えられた通り、村の図書館で借りた薬の辞典を持って行きました。

「あの.... 指の輪っかの検査で、これを調べてもらいたいんですけど。今までどんな薬を飲んだことがあるのか知りたいんです。」

女性はいつものように淡々と、「ああ、いいですよ。じゃ、順番に調べますね。」
と言って薬の辞典をめくりながらひとつひとつ調べてくれました。

「これと、これと、これと、これですね。」

その中には、白雪が今までに飲んだ覚えが全くない、頭の薬や血圧を下げる薬や、睡眠薬などの強い薬がたくさんありました。
これって私が子供の頃、お母様が飲んでいらした薬じゃあないの。
ああやっぱり.... リリーさんの言った通りだわ...

「でもその中でも今も体に影響があるのは1種類で、それのせいで肝臓、腎臓、心臓、首、頭に異常があるみたいですね。」
「じゃ、これからは、この間のヨモギとセンタイに加えて、コリアンダーシードも一緒に煎じて飲んで下さい。それと、プロポリスも良さそうですね。これらはみんな、体内の毒を排出するのに効き目がありますからね。」

と、治療師の女性はどこまでも淡々と言うのでした。

「はい、分かりました。」

治療が終わった後、白雪は今まで重かった頭が軽くなってスッキリしているのを感じたのでした。
「あら、頭が軽い...」
そして不思議と気持ちも軽くなっているのを感じました。

(つづく....)

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