【トヨタはテスラからEVは学習済み】
2010年にトヨタはテスラと共同でEVの開発に着手したことがありますが、両社のエンジニアの間で意見の相違があり、現在では提携を解消しています。
トヨタもテスラも、自社の機密事項である車両制御システムの公開に否定的であったため、開発は困難な状況に陥りました。結局、両社が納得するような商品を開発することはできず、そのまま「RAV4 EV」は世に送り出されてしまいます。
そんなクルマが売れるはずもなく、当初予定していた販売台数にも到達せずに2014年に生産が終了します。この時のわだかまりが現在も続いており、テスラ社は意地でもEVを成功させたいという気持ちが高まり、トヨタは「EVよりもFCV」という方向へと舵を切ったようです。
テスラ社は自社製品である「モデルS」に自動運転システム(オートパイロット)を搭載し、アメリカ国内でも知名度を高めています。人気や華やかさという観点から考えれば、テスラ社のEVが一歩リードしている状態です。
一方で、トヨタやホンダもFCVのライバル参入を積極的に促して、開発環境を盛り上げようと努力しています。
【トヨタの水素自動車開発における真の狙い】
業界の政治的な要因ばかりでなく、トヨタやホンダがFCVの開発に力を入れる意味は確かにあります。EVは航続距離も改善されてきました。一度の充填による走行時間の差と充電とに要する時間に大きな開きがあることは明白です。要は「時間」に対するロスが多いため、この点を気にする方には合わないかもしれません。
水素燃料は使用後も水しか排出されないため環境問題の面でもメリットは大きいです。水素は空気中での拡散性が高いので、外部から引火したとしても車両が爆発するようなことがありません。
「水素は危ない」というイメージが世間で定着していますが、実際は安全性が高く水素自体も人体には無害です。もし、水素を貯蔵する高圧タンク技術が一定の水準まで満たせば、石油やガソリンと同様の扱いとして世の中に普及する確率が高まるでしょう。
トヨタやホンダはすでにFCVの市販化に成功しているため、今後の目標は徹底的な車両のコストダウンと世間の水素燃料に対する認知度の向上に努めるはずです。次期モデルチェンジにより、どれだけ値段が抑えられるか注目されますが、おそらく現在の価格よりも更に下がることは容易に予測できます。
【トヨタの相手はテスラではない】
水素燃料の普及を促進するため、国内での宣伝活動にも力を入れるでしょう。自動車産業以外の各企業メーカーにおいても、水素燃料の生産や水素ステーションの運営、高圧タンクの開発など新しい需要が見込めるキッカケとなるかもしれません。
水素燃料の技術は「自動車メーカーだけの問題」と捉えるのはあまりに視野の狭い考え方です。水素は主に化石燃料(天然ガスなど)から作られていますが、新しい製造方法が次々と考案されており、再生エネルギーとして活用されることを将来期待されています。これは有限である化石燃料にはないメリットです。
FCVに水素を充填しておけば、非常用電源として1週間分の電気を補うことが可能。電力供給に関して大きな威力を発揮する技術のため、風力発電や火力発電に頼ることのない、次世代の発電法として注目を集めています。
しかし改善されたとは言え結局火力発電からCO2が排出されるのです。 尚、EVは家電並みに製造も簡単で自動車産業のすそ野も狭くなりまた失業問題や会社倒産・廃業も目に見えています。 そして石油メジャーにしてもアメリカ・中国・中東産油国にとってもテスラなら火力発電所に石油を供給できるので自分たちにとってFVCより良いはずです。
【2018年にアメリカ・カリフォルニア州で導入されるZEV規制】
今後の自動車業界にとって最も脅威となるのは、アメリカと欧州で導入される新しい規制への対応です。
2018年からアメリカのカリフォルニア州でZEV(ゼロ・エミッション・ビーグル)規制が導入されますが、これは州内において販売台数が4,500台を超えるメーカーに対して、排ガスゼロのクルマを一定台数販売することを義務付ける法律です。
【ゼロ」と名が付いているくらいなので、ハイブリッド車(以下:HV)でも規制の対象外。すなわち、この時期にEVかFCVの販売を「強制的」に選択しなければならず、今までHVで潤っていたトヨタでも回避できない問題となっています。
今後アメリカや欧州でこうした規制が本格化すれば、従来の販売方法や開発環境が一変する出来事になり兼ねません。
日本はスマホやタブレット業界でリードしながら逆転負けを喫したように、自動車産業でも同じことが起こる岐路に立たされています。もし、水素燃料の普及が思ったように上手くいかず、EVばかりが売れるようになれば、事実上トヨタやホンダは「敗戦者」として受け取られ、世界の産業市場から大きくランクを落とすことに。
先にも述べた通り、水素燃料は供給インフラの構築、搬送問題の解消、車両のコストダウンなど課題は山積みです。現時点ではEV普及を目指す方が遥かに効率が良いため、この問題にどう対処するかが各自動車メーカーの腕の見せ所となっています。
【さらに激化するEV vs FCV 問題】
今後も更に激化すると考えられる「EV vs FCV」の問題。アメリカでは自動運転システムに注目していることから、その開発に注力するテスラ社を積極的に後押ししているため「EV派」だと言えるでしょう。ビッグスリーのすそ野産業の段階的消滅とそれに伴う失業者の増大を予測してのトランプ大統領のメキシコとの壁なのでしょうか? 欧州の各国々ではまだハッキリとした答えを出していませんが、販売の傾向からいずれ明確な方針を打ち出すはずです。
この激動の中で日本の大手自動車メーカーはどのような方針を打ち出すのか?
とりあえずEVを売りまた未来を見据えたFCVで儲けるのか?
国内だけでなく世界中から注目が集まっています
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