やっと春うららかな気候になってきたようです。
今年度を締めくくる発表者は、伊達直之さんです。
タイトルは、「戦争詩人による詩の『形式(form)』とその意味について:Siegfried SassoonとWilfred Owenの詩形式と第一次世界大戦」です。
伊達さんからの要旨をご覧ください。
第一次大戦は英国において「戦争詩人」と呼ばれる詩人たちのカテゴリーを生みだした 。多くの個人が、志願兵あるいは徴兵兵士として戦場に赴き、自らの経験を詩の形に表 現した。戦場で書き綴られた作品には、詩の形をとった個人的記録に近いものも多く、 内容も多岐にわたり様々で、過酷な現実に直面するあまり、戦闘を逆にゲームと捉えて 殺人の技量を嗜むかのように書かれたもの、麻痺していく自分の意識を自己分析して書 き留めたものなども見られる。従来これらは歴史学的な資料として、あるいは反戦のメ ッセージとしての政治性を読まれる機会が多かった。 だが、一見常軌を逸した自分の行動や妄想に「形式」を与えることの意味は何なのか。 それは詩として、どのような意味を伝えるのか。Siegfried SassoonとWilfred Owenの詩作品から、強い「形式」を具える幾つかの作品を取り上げ、詩のテクストを様々な 「形式」から読み解くことによって、この意味の一端を探ってみたい。
英国の詩人の伝統に想いを馳せるがゆえに、時に時代性や文化的背景に頼りすぎて
反映論的な読みに終始してしまうことがありますが
伊達さんのご発表では、詩の詩たる由縁でもある形式を
見つめることで、どんな読みが展開されるのでしょうか。
伊達さんの視点に導かれながら、きっと言語の豊かさを体験できそうですね。
お楽しみに
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場所などは、いつもの通りです。
午後2時半より。(会場費:1000円)
場所は、国際文化会館
都営大江戸線 麻布十番駅 7番出口より徒歩5分。
東京メトロ南北線 麻布十番駅 4番出口より徒歩8分。