あるマーケティングプロデューサー日記

ビジネスを通じて出会った人々、新しい世界、成功事例などを日々綴っていきたいと思います。

広告の原体験8/新卒採用パンフレットを作る

2007-09-10 14:39:05 | クリエイティブ
スナックの求人広告が成功してしばらく経った時、同期の営業担当が頻繁にO社長の元に通っていると思ったら、どうやら大きな仕事が入ったとのこと。

現在元リクルートの人事部が独立して立ち上げた某企業の取締役として活躍している彼は、この時期いろんな工夫をしていました。

面白いエピソードがあります。

ある日彼は、O社長の経営するスーパーの競合の店舗に入り、値札や商品の並べ方を使い捨てカメラで隠れて撮影し、その現像した写真をもとにいろんな提案をしたというのです。

そういった通常の営業マンが思いもつかないような活動を通じて、経営者の信頼を摑んでいく彼のスタイルは、今も立派に生かされています。

普通のサラリーマン家庭に育った私にとってそのような発想はとても新鮮で、ある日彼にそのバックボーンを聞いたことがあります。その時、彼はこう答えました。

「うちの実家は、小さな電気工事屋をやっている。だから、オレはおやじがお金に苦労している背中を見て育った。リクルートの営業マンにとって、20万や30万なんて大した額じゃないが、小さな会社の社長にとってはとても大きなお金だということがよくわかるんだよ。それこそ、清水の舞台から飛び降りるくらいの決断なんだ。だからこそ、例え広告で失敗してもコイツは最後は帳尻を合わせてくれるという信頼感を持ってもらうことを、オレは大切にしたいんだ」

そんなある日、会社のフロアで彼が嬉しそうな顔をしながら近寄って来て、こう言いました。

「O社長のところで、新卒採用のためのパンフレットを作ることになった。この仕事は面白いぞ。予算は800万!社長の魅力を存分に出し切った、スゴイヤツを作ってくれ!」

800万!スナックの広告とはスケールの全く違う仕事を、同期の営業が取ってきてくれたのです。絶対失敗するわけにはいきません。

その日から、このパンフレットの制作と格闘する日々がスタートしました。