あるマーケティングプロデューサー日記

ビジネスを通じて出会った人々、新しい世界、成功事例などを日々綴っていきたいと思います。

広告の原体験6/他の広告に勝つインパクト

2007-09-08 14:48:45 | クリエイティブ
広告は、“ケンカ”です。

そのケンカの重要性を、コピーライターの仲畑貴志氏はこう語っています。

「マーケティングやターゲットがズレてても、広告表現に勢いがあれば、そんなもの押しつぶす。逆に言えば、マーケットリサーチ、データ分析、ブレーンストーミング、会議…と延々やっても、最後の表現が下手だったらそこで転んじゃう。そこを表現のうまいやつがどんどん踏み越えて行っちゃうよね。結局僕たちはアンカーだから、これが立派に走らなきゃ勝負にならない。やっぱりデータを作ってるより、いい表現した方が早いと思うね」

仕事というものは何でもフィニッシュが大変ですが、広告も同じです。最後の“表現”が、勝負の分かれ目なのです。

特に今回の広告は、A4チラシの中の縦5センチ×横8センチ程度の小スペースではありますが、このスーパーのオーナーとの信頼関係がかかっているだけに、自分にとっては“大勝負”でした。

成功事例を調べ、ママへの取材も終わった今、いよいよこれからどう料理するかだけです。

ぱっとチラシを見た時、すぐ目に飛び込んでくるようなインパクト。しかも、ママの個性とスナックの雰囲気が伝わるようなもの。

私は、白黒のやわらかいタッチのイラストで表現しようと考えていました。

その広告を見た時、クスっと笑ってもらえて、でもスナックの室内感を感じさせるものにしたいと考えていました。

その結果生まれたキャッチコピーが、これです。

「岡山生まれの肉じゃがの得意なママが、アナタを待っています」

リードコピーは、こんな感じです。

「帰省する時には、愛車のマークⅡで140キロで飛ばして帰る。そんなお茶目なママですが、一緒に働いてくれる人を大募集!」

カウンターの前には、中年の男性が背中を丸めて一人静かにウィスキーの水割りを飲んでいる。その向こうには、カーリーヘアーのママが肉じゃがを作っている。静かに時が流れるアットホームなスナック…。そんなトーンのモノクロのイラストです。文字部分は、雰囲気が伝わるように手書きにしました。

他の並びの広告は、写植で打ったよくある広告。このイラストが枠に入った時のインパクトを、自分の頭の中でイメージングしました。

「絶対勝てる」

そう確信していました。社長から印刷会社の担当者の連絡先を聞き、広告スペースと同じサイズで描いたイラストを宅急便で送りました。

チラシが出る日まで数日ありましたが、精神的に落ち着きのない日々でした。プレッシャーが全くなかったかと言えば、嘘になります。

そしてついに、全て自作の広告が掲載された新聞の折込チラシが大量に配布される日がやってきました。

つづく