グレープスの本店、スズキ美容室の駐車場には、この秋、オリーブの鉢植えが仲間入りしました。
介護職員初任者研修のテキストの冒頭の第一節には、こんな記載があります。
◆2002年 マドリッドでの国連主催の第2回高齢化に関する世界会議で採択された
「高齢化に関する世界行動計画」の一文です。
「・・・我々は、年齢による差別をはじめ、あらゆる形態の差別の廃止に取り組む。
さらに我々は、年を取るにつれて充足感があり、
健康かつ安全で、しかも経済、社会、文化および政治の分野にも、
積極的に参加できるような生活を送ることができなければならないと認識している。
我々は、高齢者の尊厳に対する認識を高め、かつ、あらゆる形のネグレクト(放置)、
虐待及び暴力を廃絶する決意を表明する」 (内閣府仮訳より抜粋)
◆さすがに、ここまでの理想郷が現実的に可能なのか?
と、突っこみを入れてしまいそうですが・・・
この半世紀余りのあいだに、高齢者の人権に対する考え方、
高齢者の生活のあり方についての考え方は、大きく、変化、進歩してきていることを
私たちは、学びました。
そして、これらの高齢者政策の分野では、この先のいっそうの高齢化社会の到来を目の前にして、
さらなる前進を必要としていることも理解しました。
◆日本では、高齢者政策については、国家財政の観点からの報道があまりにも多く、
多くの人がその実態を理解しているとは言い難いのが現実です。
私たちも、この介護職員初任者研修を受講するまでは、そんな状態でした。
現在でも、その全貌をしっかり理解したというにはほど遠いのですが、
理解の状況は、間違いなく進んできました。
いま、高齢者の社会でのあり方についての考え方、介助の考え方は、
新たな、歴史的転換点に立っています。
その方向性とは、高齢者の「自立」、「尊厳」、「生活の質の向上」 などの言葉でまとめられるものです。
これらの理念の中には、
介護を要する人に対して、過剰にいたわること、
介護を要する人を一人前の人間とみなさないこと、
介護を要する人に対して慈悲の対象としての認識を持つことなどを、戒めることか゛含まれています。
◆そんな歴史的流れの中で、
現在、私たちの美容室も高齢を迎えられたお客様へのサービスについて、
その新時代に適した在り方を模索しています。
◆ここでは、美容業界における高齢者サービスの歴史(おおまかな流れ)を整理してみます。
◇過去
(以下、時系列順に)
①「老人ホームなど、施設のヘルパーさんによるカット」の時代
②理美容師による「施設カット」 ( 男女ともに短髪。要介護に適した機能優先のカット)の時代
③要介護でも、女性は女性らしいカットの時代。
(以上については、LLP全国訪問理美容協会理事長、藤田巌氏を特集したNHK「クローズアップ現代」を参考にまとめました。)
◇「現在」 の立ち位置がこのあたりと思われます。
◇「この先」
④これまで、業界の先輩方が積み上げた実績の上に、
私たちが多様な高齢のお客様に支持していただけるサービスを考案し提案する時代。
★さて、そんなことに思いをはせている今日この頃ですが、
10月20日の「頭髪の日」の長野市でのイベントを前にしての日本毛髪科学協会の準備勉強会があり、
先日、長野市に出張する機会がありました。
その帰途、長野道の姨捨サービスエリアで一休みしました。
<長野道の道路地図/「現在地」が、姨捨サービスエリア>
姨捨サービスエリアより長野市方面を見下ろす。
長野市方向から、振り返ると、雲に頭を突っ込む姨捨山がすぐそこに。
(曇天、薄暮の中、正確な山の特定はできませんでした。方角的には、このあたりで間違いないと思われます。)
姨捨山は、その名の通り「おば捨て」伝説に基づく地名です。
平たく言えば、70歳になった老人が、村落から離れた山奥に捨てられるという風習があった村の物語です。
先ほどの、国連の「高齢化に関する世界行動計画」の文章を思い出してみてください。
まさに隔世の感がしませんか。
しかし、私たちは、これも私たちの国(信濃の国)の歴史、文化の一部であるということを知っておく必要があるはずです。
つづく。