美容室グレープスの本店「スズキ美容室」のカウンターの花瓶のコスモス
このコスモスの画像(10月末の撮影)も、このブログも、ちょっと出しそびれていたら、
季節は一気に動いてしまいました。
秋の日はつるべ落とし。
と、昔の人が言う通り。
いま、夕方5時にもなれば、美容室の周辺は、日が落ちてしまいます。
さて、
わたしたちが、受講させていただいた、「介護職員初任者研修」のテキストの最後の項目は、
ずばり、ターミナル(終末)ケア、のケーススタディでした。
「88歳の女性。
75歳でご主人をなくし、ひとり息子は、結婚して、海外勤務中。
認知症により、危険認識ができず、転倒、骨折を繰り返し、
寝たきりの状態での特別養護老人ホームでの生活。
全介助の状態で、身体機能が低下状態に向かっている現況。」
といったケースを想定して、
授業では、演習が行われました。
近年の医学の進歩によって、平均寿命が飛躍的に伸びました。
人生100年時代もチカズイています。
そんな社会状況の中で、いまもっとも重要となっているテーマは、
「健康寿命」と、「自分なりの終末の迎え方」という二つではないでしょうか。
すでに医療の世界では多くの議論、試行錯誤が行われてきているこの「テーマ」。
「私たち人間の人生に与えられた最後で最大の課題」
への向き合い方、と言えば適切なのでしょうか。
いま、介護の世界でもこのテーマへの取り組みに、多くの英知が注がれていることが
今回の研修で理解できました。
そして、そんなターミナルケアの現場では、
たぶん生物の中で人間だけが持っている力 「精神的なものへの働きかけ」が、
定型の答えの出せないこのテーマへの回答として、重要な役割を果たすのではないか、と多くの人が気付いています。
「神様のカルテ」 夏川草介著
◆ 現役の医師でもある作家、夏川草介 ※1 さんの大ヒット小説。
「姨捨山」の国、信州にある唯一の国立大学である「信州大学の医学部」がモデルであろう、
「信濃医大」。その信濃医大出身の若い内科医が主人公の医療小説。
信州のへそ、中心点 「松本市」が舞台となっています。
群像劇ともいえるこの小説の中で、一つの核となっているテーマが、「終末医療」。
大学病院で、「治療不可能」の宣告を受けた、ひとりの老女「安曇さん」。
町の総合病院で、その安曇さんの担当となった主人公の医師「栗原一止」とのかかわりが描かれています。
もうひとり、身寄りのない「安曇さん」を見守る初老の紳士も、なにかを暗示する役割として登場しています。
◆昭和31年の日本の文学界の一つの象徴的小説である 「楢山節考」。
その選考委員をつとめた、当時の日本を代表する「頭脳」ともいえる、伊藤整。武田泰淳。三島由紀夫。の3氏。
◆平成21年の日本の社会の雰囲気を間違えなく伝えている、小説 「神様のカルテ」。
舞台は同じ信濃の国。長野県。
いま、伊藤整。武田泰淳。三島由紀夫の各氏に、「神様のカルテ」評を聞くことができたなら・・・・
きっと面白いことになるんだろうな、と空想しています。
たぶん、「甘っちょろい」なんて言われてしまうのでしょうか…
◆そして、これから50年後。
楢山節考」、「神様のカルテ」 この2作品を読んだ50年後の新世代の日本人、信州人は、
いったいどんなことを想うのでしょうか。
興味津々です。
「文明堂」さんのどら焼き。
松本よりもはるかに田舎の飯田の駅前のスーパーでも、文明堂さんが買えました。
「文明堂のカステラ」は、「神様のカルテ」の登場人物 / ひとりで終末を迎えようとしているお婆さん、「安曇さん」の思い出の味です。
「神様のカルテ」
まだ読んでない方には、是非お勧めしたいです。
※1 夏川草介
信大医学部卒のお医者さんであり、人気作家。
ちょっと、軽薄っぽいペンネームの「夏川草介」。
実は、夏目漱石の「夏」。川端康成の「川」。芥川龍之介の「介」から採られたそうです。
明治の日本の文豪を網羅した大変重厚なお名前でした。 谷崎潤一郎が入っていないのは、・・・・わかるような気がします。
ご本人は、大阪府の出身ということですが、
作品の中の描写からは、信州にとてもフレンドリーで、好意を持っていただいているように感じます。
「神様のカルテ2」 も是非お読みください。
信州ならではの大自然を背景にした隠れた名所の描写が随所に織り込まれています。
つづく。