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◆ 「成人式のためにあつらえた振袖を花嫁衣装に…」
ここで、この連載の本題に戻ってみたいと思います。
◆振袖に花嫁衣裳としての演出を加えるために、「お引きずり風」の着付けしています。
着付の仕方としては、
おはしょりをとらず、着物の身丈の余った分をそのまま引きずっています。
本振袖(大振袖、引き振袖)の着付け姿と比較すれば、お引きずりの部分の長さは気持ち短めで、
裾に綿が入っていない分、重厚感には欠けますが、
古典の和装の優雅な雰囲気、
花嫁衣裳らしいシルエットは、ある程度、表現できたのではないでしょうか。
さて、そもそも、「おひきずり」のきものとは、
床や畳の上を引きずって歩くための贅沢で、豪奢なものです。
そして、その機能からもお解りの通り、
歴史的に、
屋内、それもお城、お屋敷、御殿クラスのお座敷などでの行動を前提にしていたものです。
「きものの`つま`をとる」花嫁
◆この写真のように、お引きずりスタイルの着物を身に着けて、屋外へ出る場合は、
すそが地面につかないように、きものをつまんで歩く必要があります。
その場合、片手がふさがれてしまい、行動は大きく制限されることになります。
このことからも、お引きずり仕様のきものが、屋内仕様の衣裳であり、
さらに、裾を引きずることが可能な床面を備えた建物の中でこその衣裳であることがわかります。
では、ここで
◆和装花嫁のスタイリングでのひとつの重要なポイントをまとめてみます。
「本振袖、打掛など、一般的に格式が高いといわれている花嫁衣装」については、
すべて、お引きずり用に仕立てられている着物である、ということです。
そして、このポイントをおさえていただくことによって、
お客様が、和装でのご結婚式、ご披露宴をお考えで、
その場所に相応しいきもの選びをイメージされている場合の、
式場、衣装選びの判断要素とは、何なのか、おのずとご理解いただけるのではないでしょうか。
◆こちらは、おはしょりをとって、裾の着丈をぴったりとあわせた着付姿。
この着付であれば、
屋内でも、屋外でも行動が制約されることはありません。
これが、皆様よくご存じの、現代の一般的な振袖の着付け方法になります。
そして、この、「おはしょりの調整による裾の丈の変更機能」こそが、
江戸時代以降に進化をとげた、女性のきものの仕様の代表的部分と言えるのではないでしょうか。
併せて、
現代でも花嫁衣装として多くの方が認識されている「お引きずりの本振袖や打掛」が、
正に、歴史(時代)衣裳である、ということも、
おわかりいただけるのではないでしょうか。