

私がビートルズに出会ったのは1968年、九州の辺境の田舎町の中学2年の頃だ。
当時の日本はグループ・サウンズ(GS)全盛期で、私も例にもれず、タイガースやワイルドワンズを筆頭に、GSのシングル盤を買い集めていた。
そんな私に、GSの原点はこれだ、と高校生の先輩が貸してくれたのが、ビートルズの来日記念アルバム『ステレオ! これがビートルズ Vol.1』だ。
GSの歌謡曲調ロックとは全く異なる、本物のロック・ミュージックを聴いて、GSに対する興味はとたんに色褪せた。
その後、『ビートルズ・フォー・セール』、『ハード・デイズ・ナイト』、『ウィズ・ザ・ビートルズ』と遡り、完全にハマってしまった。
英語の歌詞を必死に訳してわかったのは、歌詞の内容自体はGSとほとんど変わらないけど、それがメロディやビートと混然一体となり、歌詞の1音が1音符のGSの曲とは、比べものにならないくらい、カッコよくなるということだ。
しかし、先輩が満を持して最後に貸してくれた『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』は、ビートルズの集大成、最高傑作というわりには、正直、違和感てんこ盛りだった。
何度も聴き返したけど、その違和感は消えなかった。
今までの楽曲とは明らかに異なるテイストに戸惑ったものだ。
凝ったアルバム・ジャケットにしても、らしくないな、という感じだった。
三つ子の魂百まで、ではないけど、初期のビートルズ・サウンドが焼き付いている頭には、難解すぎたのか、変容したのか、全然ピンと来なかった。
現在までに、全世界で3,200万枚という驚異的なセールスを記録しているのだから、最高傑作と言われても否定するわけではないけど、今聴いても素直にその世界に感情移入できない。
たぶん、私がわからないだけなのかもしれないけどね。
そんなモヤモヤ感は、程度の差こそあれ、『マジカル・ミステリー・ツアー』、『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』と続いた。
それを払拭したのが『アビイ・ロード』だ。
巷では『サージェント・ペパー』と並ぶ傑作と言われるのも納得がいく。
私の個人的評価としては、当時の最新の録音技術を駆使し、ドラッグの影響も随所に垣間見え、過剰なアレンジを施された『サージェント・ペパー』より、原点回帰、かつロック芸術の高みにまで昇華した『アビイ・ロード』に軍配を上げたい。
ビートルズのジョージ、ストーンズのキース。どちらもヘタウマギタリストだ。キースに至っては、歳をとってその素人顔負けのヘタさに、磨きがかかってきた気もする。でも、そのサウンドには、他のギタリストには出せない独特な味わいがあるんだよね。 そんな味わいの小説を、Amazon Kindle Storeに30数冊アップしています。★★ 拙著電子書籍ラインナップ・ここから、またはプロフィールのQRコードから買えます。
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