引きこもり生活におけるメリットは、あり余るほどの自由な時間があることだ。
何かやりたいことがあれば、経済的にはともかく、時間的な余裕は十二分にある。
現に、インターネット閲覧をはじめ、ギターの練習、週末の競馬予想など、やりたいことは存分にやっている。
それら以外には、やはり古希を過ぎたこともあり、人生というか、過去を振り返る時間が増えた。
高校までのいわゆる子供時代の想い出は、漠然としているけど、親元を離れた大学時代からの記憶はかなり鮮明で、かつその期間は私の人格形成に多大な影響を与えた。
その中でも、大学生活の5年間は、それまでの田舎での18年間とは比べものにならないくらいの変化があった。
親の庇護の下での生活から、ひとり暮らしという生活の変化は、当初の不安などすぐに霧散し、まさしくモラトリアムと言える自由で開放的な期間だった。
金銭的な面はともかく、気の置けない友人もでき、まさに都会の絵の具に染まったような生活だった。
学業に励んだのは、1回生の前期までで、あとは気の向くままに遊び惚けていたものだ。
フォークソング同好会、パチンコ、麻雀、コンパに飲み会、アルバイトにも精を出し、振り返れば、それなりに悔いのない学生時代を過ごせた。
私の人生の中で一番輝いていた期間と言っても過言ではない。
当時の友人とは今でも長い付き合いが続いている。
それに比べると、人生の大半を過ごした会社員時代は、記憶に残るような楽しい想い出もない。
別に仕事が好きでもなく、興味もなかったけど、学校を出たら就職して働くことが、ある意味、社会人としての義務みたいに感じていた。
今みたいにフリーターやプータローが、大手を振って歩ける世の中でもなかったしね。
人によっては、仕事が生き甲斐の仕事人間もいるかもしれない。
仕事の計画、目標を達成することに、無上の喜びを感じる人間もいるかもしれない。
まあ、人はどうか知らないけど、私はそうではなかった。
仕事は生活費を稼ぐ手段と割り切り、可もなく不可もない行動をしていた。
とはいえ、サボったり手を抜いていたわけではなく、達成可能な目標を設定し、ほぼ達成していた。
在職中には、誰からも影響を受けたことはないし、感動、感激した場面も記憶にない。
仕事上、いろいろ意に沿わないことや小さなトラブルはあったけど、一応、つつがなく会社員生活を終えたという実感だ。
定年退職後から現在までの6年間は、かねてから念願の引きこもり生活で、やりたいことをやり、やりたくないことはやらなくていい。
好きでもなかった仕事を卒業し、ストレスやフラストレーションの主因である、無用な人間関係もなくなって、今は至って平穏な生活だ。
まだまだ人生を総括するには早いけど、今までは自分なりに満足のいく人生だったと思う。
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