乗客逆上、JAL機遅れ/鹿児島発東京行き 携帯メール注意され(南日本新聞) Yahoo!/時事通信 Yahoo!/読売新聞 Yahoo!/共同通信
(記事概要)離陸滑走前の機内で携帯電話の使用を注意された乗客が逆上し、客室乗務員の胸倉をつかんで暴言を浴びせ、つばを吐きかけた。飛行機は搭乗橋に引き返し、乗務員が機外で当該乗客を説得したうえで再出発した。
記事からは詳しい状況が読み取れませんが、私の根本的な疑問は次の点にあります。
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なぜ機長は当該乗客の搭乗を拒否して地上職員に引き渡さなかったのか?
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私は、この事件の本質は「携帯電話の使用」でなく「乗務員への暴行」にあると考えます。そうであれば、機長は毅然として当該乗客の搭乗を拒否し、降機を命じるべきだったのではないでしょうか。
記事によると、当該便の出発は56分遅れたとのことですが、その時間に「当該乗客の説得に要した時間」が含まれるのであれば、他の乗客にとって迷惑以外の何でもありません。
搭乗を拒否した場合の問題として、当該乗客が荷物を預けていた場合、貨物室からその荷物を取り降ろさなければならず、そのために「56分」より長い時間を費やす可能性があることが挙げられます。しかし、そうであっても、私はそれをすべきだったと思います。
もし、事件を目撃した他の乗客が「この客とは同じ飛行機に乗りたくない。この客の搭乗を拒否するか、さもなくば、私をこの飛行機から降ろせ」と機長に願い出たとしたら、どうでしょうか。私は、それは正当な願い出であって、当然実現されるべきだと思います。その場合、飛行機から降りるべきは、当然、暴力を働いた狼藉者のほうです。
アメリカでは「日本人男性が機内で自分の手帳に "suicide bomb" と走り書きしたために、テロリストとみなされて機外に連れ出された」というニュースがありました。
また、私は15年ほど前に、ある医者から次の話を聞きました。たぶんヨーロッパ発日本行きの便です。
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精神病患者の介添人として飛行機に乗った。搭乗前には、診断書の提出など、航空会社との交渉に万全を期した。ところが、患者が離陸前の機内サービスの飲み物を乗務員の目の前でこぼしたため、驚いた乗務員が機長に報告。機長は即座に「患者と介添医師の搭乗を拒否する」と宣告。有無を言わさず飛行機から降ろされた。
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こういう事例と比べたら、今回の事件に関する乗務員の対応は、「寛容」を通り越して「危機意識がなさすぎる」とさえ思えてしまいます。
(追記)日本では以前、政治家か政治家秘書が離陸時に「座席のリクライニングを元の位置に戻すべし」という乗務員の再三の指示に従わなかったため、機長が離陸を中止して駐機場に戻り、そのために離陸が遅れたというニュースがありました。「機長は客室乗務員を通じて当該乗客に『指示に従わない場合は降機を命じる』と伝えた」と報じられたと記憶しています。この機長の行動を、私は当然に支持します。