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数学のテストの問題の「求めよ」

2011-07-31 | アカデミック
べつに誰からも問われてはいませんが,見解を書いておきます.

て日々 - 2011年7月29日(金)
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数学のテストの問題の決まり文句「求めよ」が嫌いだ。テストにおいて何かを「求めて」いるのは出題者であり、解答者はその求めに応じて解答を「与え」なければならない。「求めなさい」なんて要求があるものか。おそらくは文語の「求む」が口語に置きかえられる過程で何かが捩れてしまったのだろう。
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この意見は,数学のテストで「求む」なり「求めよ」というときの「求」の字をもっぱら「要求」「請求」の意味に解釈することが前提になっています.言い方を変えれば,「求める」とは「出題者が解答者に(解答を)差し出すよう命じる」,という解釈です.

ところで,「求」という字には,「希求」「探求」「追求」などのように,「手に入れようと(あるいは,見出そうと)欲して努力する」という別の意味もあります.この意味での「求める」の対象は,人ではなく,「探す範囲」あるいは「可能性の世界」です.
て日々で言及されている,和算での「求積」の用法も,「希求」「探求」「追求」などの「求」だと思えば,納得がいきます.

数学のテストという文脈での「求める」を,「出題者が,解答者に請求する」という意味でなく,「解答者が,数学知識の世界の中を探って見出す」という意味に解釈すれば,「求めなさい」という言葉遣いに難癖をつける理由はなくなるはずです.

震災で科学研究費補助金3割カット? 通知で学者ら混乱(asahi.com)

2011-07-15 | アカデミック
震災で科学研究費補助金3割カット? 通知で学者ら混乱(asahi.com)

この記事は舌足らずで,日本学術振興会が「7月時点では7割入金」だけでなく「今後減額の可能性あり」と同時に通知していることに言及していません.

現時点で想定しうる今後の可能性としては,理論的には

(1) 今後,年度内に残りの3割が入金される(当初予算通り執行)
(2) 今後,年度内に3割より少ない金額が入金される(減額幅3割未満)
(3) 今後は入金されない(減額幅3割)
(4) 予算が3割を超えて削減され,年度内に一部の金額の国庫返納を求められる(減額幅3割超)

があるわけです.
もっとも,さすがに(4)はないと思いますが…

記事の論調は「(3)で決定済みと早とちりしている研究者が多く,混乱している」という立場ですが,それは「半分あたり,半分はずれ」ぐらいだと思います.たしかに,現時点で(3)と決まったわけではありませんが,日本学術振興会が(2)または(3)の可能性を示唆しているという事実があって,そのことに記事が言及していないのは問題があります.研究者たちの混乱の原因は「(1)(2)(3)のどれになるのかわからず,どう研究を進めてよいかわからない」という先行きの不透明さにあるのです.

研究機関としては,(2)(3)の可能性が示唆されている以上,研究者に対して7割を超えた経費執行に待ったをかけるのはしかたないでしょう.

座長のパラドックス

2011-07-11 | アカデミック
対角線論法がらみで授業中に話した小ネタ.
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学生20人,教員5人で合宿研修に行った.
合宿の最後に,学生と教員の全員が成果発表のスピーチを行うことになった.
そこで,発表会のプログラムを作る必要がある.
プログラムの作り方は次のように決めた.

-- 5人ずつ,5つのセッションに分ける.
-- セッションごとに座長(司会進行役)を決める.

座長の選び方は,次のように決めた.

-- 座長は教員でなければならない.
-- セッションの発表者は,そのセッションの座長になれない.

プログラムの編成を任されたKさんは,とりあえず発表者をセッションに分けることを考えて,座長はあとで決めることにしたが…

「あ,教員がちょうど5人いる,それなら教員は1つのセッションにまとめて『教員セッション』を作っちゃえ!」

と思いついて,5つのセッションのうちの1つに教員全員を集めてしまった.

さて,「教員セッション」の座長は,誰にすればよい?

教科書参考書採用ウォッチング:熊本大学教育学部

2011-07-04 | アカデミック
コンピュータ理論 - 熊本大学シラバス

ありがたいことに,例の本を,「参考文献のどちらか一つを購入することが望ましい」の参考文献2冊のうちの1冊として推薦してくださっています.
教育学部(の,たぶん数学教職コース)で,3年次後期・選択となっています.
授業内容との重なりをみると,例の本は授業計画の半分ぐらいカバーできてるかな… という感じです.