(感想1からの続き)
ちょっと混乱したので、シルとフレイヤとヘルンの関係について整理してみた。
一応、最後にアレンたちが明らかにしていたように、女神祭の1日目と2日目で、シルは本物(本シル)と偽物(偽シル)の2人が、それぞれベルくんの前に現れたことになる。
女神祭1日目 本シル ← フレイヤ
女神祭2日目 偽シル ← ヘルン
で、多分、ヘルンが、今回の偽シルに扮して、ベルくんのラブを得ることで、フレイヤと競い合う「フリ」をしながら、その実、ベルくんを殺害しようと考えるに至ったのは、次のような感じじゃなかったのかな、と。
つまり、発端は、本シル/フレイヤで。
本シル/フレイヤが、リューさんまでベルくんに恋心を抱いたことに気づき、あ、これ、ヤバイ、なんとかしないと、自分は選んでもらえない・・・、と思って、女神祭でのデートを申し込む。
で、その本シル/フレイヤのデートの誘いの恋文を、ヘルンがベルくんに届ける。
この過程で、ヘルンはある策略(=シルになりベルくんとデートするふりをしながらベルくんを殺害する計画)を思いつき、主神フレイヤに、交渉をもちかけ、自分もベルとデートしたいと申しでる。
なぜ、ヘルンがそう思うのかというと、フレイヤに女神の名を与えられたことで、フレイヤと感覚や記憶を共有することになったようだから。
で、読者を混乱させた叙述トリックの鍵はモノローグのところで、実は、独白の主体が、途中で入れ替わっている。
モノローグI → ヘルン = 偽シル
モノローグII → ヘルン = 偽シル
モノローグIII → フレイヤ = 本シル
モノローグIV → フレイヤ = 本シル
モノローグV → フレイヤ(多分)= 本シル(多分)
読者が騙されるのは、最初に読んだときは、どれも「シル」の独白だと取れるところがミソ。
というか、最初のモノローグI で、話し相手としてフレイヤを出しているため、モノローグの語りが自動的に「シル」と思わされてしまうところが、ニクイまでのミスディレクション。
そして、その時点では、このフレイヤの相手の「シル(=偽シル/ヘルン)」が、ベルくんにデートの申込みの恋文を送ったように思わせる。
そうやって、モノローグはすべてシルのものと思わせたわけで。
でも、実際にはシルは2人いたわけで、それぞれ「中の人」がフレイヤとヘルンだった。
その使い分けで騙されてしまった。
そういう意味では、いままで予測されていた「シル=フレイヤ」という読者の見立てを逆手に取って、例のファミリアクロニクルのフレイヤ編の最後の記述で、シルとフレイヤがそれぞれの立場を「王子と乞食」のように入れ替えたという予断を読者の間にもたせておいたところで、おもむろに今回、第3者としてヘルンを新たに導入したところが、作者の意地の悪いところだったりする。
ていうか、もうひとりいる、なんて、ある意味で後出しジャンケンなので、読者の方は、うまく騙されて驚くしかないんだけどねw
ただ、そうなると「シル」というのは、フレイヤもヘルンも使える「器」のようになっていた可能性もある。
このあたりは次巻を待たないとはっきりしない気がするけど。
ともあれ、シルは一種のアバターだった。
面白いことに、このアバターとしての「シル」になると、フレイヤも乙女チックな、人間じみた内面を持つようになるところ。
ペルソナ自体が「フレイヤ」から「シル」に変わるからなのか。
それが「シル」という真名を得たことの報酬なのかもしれないけれど。
まぁ、でもこれは、当初、シルとフレイヤを別人格として描かざるを得なかったことの結果なのだろうけどねw
なので、もしかしたら、今までにも、シルとして、フレイヤの本シルと、ヘルンの偽シルが、両方とも「豊饒の女主人」の店に登場していたのかもしれない。
一応、予想としては全部、フレイヤの「本シル」だったとは思っているけど。
でないと、シルの周辺をアレンが護衛する必要がなくなるからね。
フレイヤの護衛は団長オッタル、シルの護衛は副団長アレン、という役割分担だったのだろうな、と。
で、多分、フレイヤがシルになって下界に降りている時の、フレイヤの替え玉をしていたのがヘルンだったのかもしれない。
今回も、女神祭の初日に、豊饒の女神の一柱として、フレイヤはデメテルたちとともに現れていたから。
もっともあの場面の記述は、よくよく注意して読むと、あくまでも第三者視点での記述で、その場にベルくんがいたわけでも、ましてやベルくん自身が見たものの説明でもないんだよ。
そういう意味では、完全に、語り手となる「視点人物」をうまく壊乱させて、フレイヤとシルが、同じ時空に別々に存在しているような印象を与えている。
ということで、冷静に読むと、作者による叙述トリックで騙されたけれど、やっぱり、今まで「豊饒の女主人」で出てきたベルくんラブでリューさんの友人の「シル」は、実はずっとフレイヤだった、ということになるのだと思う。
まぁ、それなら、「豊饒の女主人」の主が、フレイヤ・ファミリアの元団長だったミアであることの説明にもなるしね。
元団長なら現団長のオッタル同様、隠密でフレイヤ自身が相談することもできるし。
ということで、いやぁ、見事に騙されたなぁw
(感想3、感想4へ続く)。
ちょっと混乱したので、シルとフレイヤとヘルンの関係について整理してみた。
一応、最後にアレンたちが明らかにしていたように、女神祭の1日目と2日目で、シルは本物(本シル)と偽物(偽シル)の2人が、それぞれベルくんの前に現れたことになる。
女神祭1日目 本シル ← フレイヤ
女神祭2日目 偽シル ← ヘルン
で、多分、ヘルンが、今回の偽シルに扮して、ベルくんのラブを得ることで、フレイヤと競い合う「フリ」をしながら、その実、ベルくんを殺害しようと考えるに至ったのは、次のような感じじゃなかったのかな、と。
つまり、発端は、本シル/フレイヤで。
本シル/フレイヤが、リューさんまでベルくんに恋心を抱いたことに気づき、あ、これ、ヤバイ、なんとかしないと、自分は選んでもらえない・・・、と思って、女神祭でのデートを申し込む。
で、その本シル/フレイヤのデートの誘いの恋文を、ヘルンがベルくんに届ける。
この過程で、ヘルンはある策略(=シルになりベルくんとデートするふりをしながらベルくんを殺害する計画)を思いつき、主神フレイヤに、交渉をもちかけ、自分もベルとデートしたいと申しでる。
なぜ、ヘルンがそう思うのかというと、フレイヤに女神の名を与えられたことで、フレイヤと感覚や記憶を共有することになったようだから。
で、読者を混乱させた叙述トリックの鍵はモノローグのところで、実は、独白の主体が、途中で入れ替わっている。
モノローグI → ヘルン = 偽シル
モノローグII → ヘルン = 偽シル
モノローグIII → フレイヤ = 本シル
モノローグIV → フレイヤ = 本シル
モノローグV → フレイヤ(多分)= 本シル(多分)
読者が騙されるのは、最初に読んだときは、どれも「シル」の独白だと取れるところがミソ。
というか、最初のモノローグI で、話し相手としてフレイヤを出しているため、モノローグの語りが自動的に「シル」と思わされてしまうところが、ニクイまでのミスディレクション。
そして、その時点では、このフレイヤの相手の「シル(=偽シル/ヘルン)」が、ベルくんにデートの申込みの恋文を送ったように思わせる。
そうやって、モノローグはすべてシルのものと思わせたわけで。
でも、実際にはシルは2人いたわけで、それぞれ「中の人」がフレイヤとヘルンだった。
その使い分けで騙されてしまった。
そういう意味では、いままで予測されていた「シル=フレイヤ」という読者の見立てを逆手に取って、例のファミリアクロニクルのフレイヤ編の最後の記述で、シルとフレイヤがそれぞれの立場を「王子と乞食」のように入れ替えたという予断を読者の間にもたせておいたところで、おもむろに今回、第3者としてヘルンを新たに導入したところが、作者の意地の悪いところだったりする。
ていうか、もうひとりいる、なんて、ある意味で後出しジャンケンなので、読者の方は、うまく騙されて驚くしかないんだけどねw
ただ、そうなると「シル」というのは、フレイヤもヘルンも使える「器」のようになっていた可能性もある。
このあたりは次巻を待たないとはっきりしない気がするけど。
ともあれ、シルは一種のアバターだった。
面白いことに、このアバターとしての「シル」になると、フレイヤも乙女チックな、人間じみた内面を持つようになるところ。
ペルソナ自体が「フレイヤ」から「シル」に変わるからなのか。
それが「シル」という真名を得たことの報酬なのかもしれないけれど。
まぁ、でもこれは、当初、シルとフレイヤを別人格として描かざるを得なかったことの結果なのだろうけどねw
なので、もしかしたら、今までにも、シルとして、フレイヤの本シルと、ヘルンの偽シルが、両方とも「豊饒の女主人」の店に登場していたのかもしれない。
一応、予想としては全部、フレイヤの「本シル」だったとは思っているけど。
でないと、シルの周辺をアレンが護衛する必要がなくなるからね。
フレイヤの護衛は団長オッタル、シルの護衛は副団長アレン、という役割分担だったのだろうな、と。
で、多分、フレイヤがシルになって下界に降りている時の、フレイヤの替え玉をしていたのがヘルンだったのかもしれない。
今回も、女神祭の初日に、豊饒の女神の一柱として、フレイヤはデメテルたちとともに現れていたから。
もっともあの場面の記述は、よくよく注意して読むと、あくまでも第三者視点での記述で、その場にベルくんがいたわけでも、ましてやベルくん自身が見たものの説明でもないんだよ。
そういう意味では、完全に、語り手となる「視点人物」をうまく壊乱させて、フレイヤとシルが、同じ時空に別々に存在しているような印象を与えている。
ということで、冷静に読むと、作者による叙述トリックで騙されたけれど、やっぱり、今まで「豊饒の女主人」で出てきたベルくんラブでリューさんの友人の「シル」は、実はずっとフレイヤだった、ということになるのだと思う。
まぁ、それなら、「豊饒の女主人」の主が、フレイヤ・ファミリアの元団長だったミアであることの説明にもなるしね。
元団長なら現団長のオッタル同様、隠密でフレイヤ自身が相談することもできるし。
ということで、いやぁ、見事に騙されたなぁw
(感想3、感想4へ続く)。