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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

映画 『天気の子』 感想

2022-02-20 18:35:18 | Weblog
今更ながら、ようやく新海誠の『天気の子』を見た。

・・・のだが・・・。

これは、よく言ってもせいぜい佳作・・・ぐらいの作品だったね。

というか、『君の名は。』がよく出来すぎていたのだろうけどw


『君の名は。』と違って、公開後に大して話題になっていなかったもよくわかった。

単純に、一回見ればそれまで! のストーリーなんだもの。

『君の名は。』のようなトリックというか、ギミックがほとんどなかった。

だから、初見の後に、もう1回、機会があれば見てみたい、という気にならなかった。

結局、なんで陽菜が「天気の子」だったのかもよくわからないし、

晴れ女の能力が何に由来しているのか、もぼんやりしたままだった。

龍神様の存在がずっと匂わされていた割には、ね。

別に、ジブリみたいに、最後に全部、龍神様に説明させても良かったと思うけど。

そのあたりの、なぜ、この物語はこういう展開になってしまったのか、を側面からサポートする「屁理屈」が『天気の子』にはなさすぎた。

だって、『君の名は。』の場合なら、彗星、タイムパラドクス、組紐、口噛み酒、石、等々、作中の「不思議」を支える小ネタがたくさん散りばめられていたじゃない。

神社が纏う力にもそれなりに説明があった。

そういうのが『天気の子』にはほとんどなかった。

だって、廃ビルの屋上にある鳥居を渡ったらそれだけで「彼岸」の天空にまで移動できちゃうのだもの。

あのあたりは、物語のクライマックスだっただけに、え?それだけ?って思ったものね

となると、前作を楽しんだものからすると、単純に期待はずれ、と思っても仕方ない。

瀧と三葉のようないい感じの掛け合いも、帆高と陽菜の間にはなかったし、それが自然と育まれる描写もなかった。

なんか、出会ったその時から、運命の赤い糸で帆高と陽菜は結ばれていた、というだけの話だった。

これでは、物語としては食い足りない。

作中で一番笑えたのも、結局、凪センパイ!が、元カノのアヤネと今カノ?のカナの手を借りて、警察署から逃げ出したところくらいだし。

てか、あの場面、CV的にも、アヤネがあやねるで、カナが花澤さんというオタクうちわネタで進められていたのも、わかってしまえば、どうでもよすぎて、苦笑せざるを得ない。

須賀と夏美にしても、いかにもな大人キャラでしかなかったし。。。

一番良くわからなかったのは、帆高に拳銃を撃たせるシーンは必要だったのか?ということかな。

まぁ、ただの家出少年では、あそこまで警察が一生懸命に帆高の後を追わない、ということもあったのかもしれないけれど。。。

でも、帆高の拳銃所持という流れは、なくてもよかったかなぁ。

まぁ、視聴者の目をそらす役割くらいはこなしたようには思うけれど。。。


ということで、『天気の子』は、いまいちだった。

むしろ、『君の名は。』がよく出来すぎていたことに改めて気付かされた感じ。

なんていうか、最後に東京を、江戸時代並みの「水没都市」にするのなら、その水没が再来する「いわれ」について、途中で、それこそ友情出演?の瀧のおばあさんあたりに語らせていても良かったのでは、と思う。

結局、なぜ、東京が水没するのか、その理由やワケについて、なんの説明もなかったのがしんどかった。

要するに、セカイ系の形式を取っているのに、全然、セカイ系のオチじゃないから。

むしろ、帆高が陽菜を人柱から救ったことで、東京は水没したわけだから、確かにセカイ系同様、二人の男女の関係がセカイの命運を分けるのだけど、これは、バッドエンドの方に振られてしまう、というのだから。

それもあって、最後に、帆高が陽菜が3年ぶりに再会したシーンも、なんだそれだけ?って印象しか持てなかった。

ということで、このままだと、新海誠も『君の名は。』の一発屋になってしまいそう。

まぁ、『君の名は。』の成功の後光がさしている間に、新作を発表しましょう、というプレッシャーが、製作資金を出す側からかかっていたことは間違いないのだろうけど。

そういう意味で、残念だし、新海誠の次回作に期待、という以外にない。


あ、そうだ、ひとつ思ったのは、東京をメインの舞台にすると、東京のリアルな再現の方に製作資源が無駄に使われてしまって、脚本開発にさして時間が割かれないように見えたこと。

そういう意味で、多少は想像の世界的エフェクトを掛けられる東京以外の街を舞台にしたほうが新海誠の場合は、成功する確度が高まるのではないかと思った。

代々木駅周辺の山手線の線路描写とか、ほんと、どうでもいいと思ったから。
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