Sony BMGのコピー防止CDの問題については、詳細を知れば知るほどその悪質さに愕然とする。
詳細は各IT系ニュースサイトに譲る(一部一般紙でも取り上げられている)として、ごく短く言えば、そのソフトがrootkitと呼ばれるものと同種の技術を用いており、rootkitは通常ネットワーク犯罪者が不正侵入などの痕跡を消すために用いるものだ、とのことである。
また、ソフトウェアの技術的問題のみならず、インストール手法も詐欺的である。
Sony BMG側としては、問題のソフトがこれほど危険な技術を使っているとは認識していなかったかもしれない。筆者はメディア企業の関係者ではなく、内部事情については全く知識がないから、Sony BMG側の担当者にそれほどのIT専門家はいないのではないか、という単なる推測である。(rootkitを使っていると知って組み込んだのであれば「今すぐ逝け」である)。
ところで、問題のソフトがインストールされるときのEULA(使用許諾契約書)には、「小さなプロプライエタリソフト」という記述があるのみで、ソフトの具体的機能の説明はない(EULAの写し(Mark Russinovich氏による分析記事内))。例えば、楽曲データのコピー作成を監視して防止するとか(これはあくまで例えばであり筆者の想像)、何かあってもよさそうなものだが。そして、通常のユーザで削除可能な手段はいっさい用意されていない。
とすると、「ソフトウェアによる違法コピー防止機構であって、通常の手段では削除できないものをインストールする。かつ顧客にできる限り疑いをもたれないようにする」という程度の意図が推測できる。控えめに言っても悪意が感じられる。このやり口は、いわゆるスパイウェアまたはアドウェアをインストールさせる典型的な手法であり、詐欺に近いグレーゾーンである。
かつてのCCCD(コピーコントロールCD)問題といい、あるいは毛色は違うがのまネコ騒動といい、根は似ているように思える。メディア企業の傲慢でありあがきだろう(今回はそれ以上だが)。これまでのおいしいパッケージビジネスを維持すること(それが不可能なことははっきりしているのに)、あるいは新しい「打ち出の小槌」を見つけること、彼らはそればかりに必死のようだ。そこにはお客様の視点が全く抜け落ちている。どんな商売であれお客様がいなければ成り立たないのに。「自分たちが儲かれば何でもあり」と言わんばかりだ。
しかし結局は、自分で自分の首を絞めることになるだろう。CCCDと今回の問題と、CDの不正コピー防止と称する機構で2回も悪質な問題が起きたのだから、普通の顧客は、「不正コピー防止機能」のついたCDなど絶対に買うまいと思うだろう。たとえそれがお気に入りのアーティストあるいは曲目であっても、購入をやめる顧客は多いだろう。これは音楽文化全体にとっても大きなマイナスだ。音楽文化という畑がやせ細ったら、メディア企業が刈り取ろうと思っている収穫もなくなる。
自分の首を絞めるだけならともかく、今回は、ネットワークセキュリティの観点で危険な状態にあるPCを著しく増やしたという観点で、影響が音楽文化の範囲にとどまらない。ネットワーク犯罪者は、このソフトウェアがインストールされたままになっているPCを乗っ取ろうと必ず狙うだろう。この危険なコンポーネントが最後の1台から削除されるまで、Sony BMGとFirst 4 Internetは責任を持つべきだ。
参考: Mark Russinovich氏による分析記事を@ITが許諾を得て翻訳したもの。原文はこちら
詳細は各IT系ニュースサイトに譲る(一部一般紙でも取り上げられている)として、ごく短く言えば、そのソフトがrootkitと呼ばれるものと同種の技術を用いており、rootkitは通常ネットワーク犯罪者が不正侵入などの痕跡を消すために用いるものだ、とのことである。
また、ソフトウェアの技術的問題のみならず、インストール手法も詐欺的である。
Sony BMG側としては、問題のソフトがこれほど危険な技術を使っているとは認識していなかったかもしれない。筆者はメディア企業の関係者ではなく、内部事情については全く知識がないから、Sony BMG側の担当者にそれほどのIT専門家はいないのではないか、という単なる推測である。(rootkitを使っていると知って組み込んだのであれば「今すぐ逝け」である)。
ところで、問題のソフトがインストールされるときのEULA(使用許諾契約書)には、「小さなプロプライエタリソフト」という記述があるのみで、ソフトの具体的機能の説明はない(EULAの写し(Mark Russinovich氏による分析記事内))。例えば、楽曲データのコピー作成を監視して防止するとか(これはあくまで例えばであり筆者の想像)、何かあってもよさそうなものだが。そして、通常のユーザで削除可能な手段はいっさい用意されていない。
とすると、「ソフトウェアによる違法コピー防止機構であって、通常の手段では削除できないものをインストールする。かつ顧客にできる限り疑いをもたれないようにする」という程度の意図が推測できる。控えめに言っても悪意が感じられる。このやり口は、いわゆるスパイウェアまたはアドウェアをインストールさせる典型的な手法であり、詐欺に近いグレーゾーンである。
かつてのCCCD(コピーコントロールCD)問題といい、あるいは毛色は違うがのまネコ騒動といい、根は似ているように思える。メディア企業の傲慢でありあがきだろう(今回はそれ以上だが)。これまでのおいしいパッケージビジネスを維持すること(それが不可能なことははっきりしているのに)、あるいは新しい「打ち出の小槌」を見つけること、彼らはそればかりに必死のようだ。そこにはお客様の視点が全く抜け落ちている。どんな商売であれお客様がいなければ成り立たないのに。「自分たちが儲かれば何でもあり」と言わんばかりだ。
しかし結局は、自分で自分の首を絞めることになるだろう。CCCDと今回の問題と、CDの不正コピー防止と称する機構で2回も悪質な問題が起きたのだから、普通の顧客は、「不正コピー防止機能」のついたCDなど絶対に買うまいと思うだろう。たとえそれがお気に入りのアーティストあるいは曲目であっても、購入をやめる顧客は多いだろう。これは音楽文化全体にとっても大きなマイナスだ。音楽文化という畑がやせ細ったら、メディア企業が刈り取ろうと思っている収穫もなくなる。
自分の首を絞めるだけならともかく、今回は、ネットワークセキュリティの観点で危険な状態にあるPCを著しく増やしたという観点で、影響が音楽文化の範囲にとどまらない。ネットワーク犯罪者は、このソフトウェアがインストールされたままになっているPCを乗っ取ろうと必ず狙うだろう。この危険なコンポーネントが最後の1台から削除されるまで、Sony BMGとFirst 4 Internetは責任を持つべきだ。
参考: Mark Russinovich氏による分析記事を@ITが許諾を得て翻訳したもの。原文はこちら
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