雑記帳(新居)

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シャラポワが止まらない(ドーハ決勝)

2008-02-26 03:05:33 | テニス
Sharapova 6-1, 2-6, 6-0 Zvonareva

シャラポワは今年に入って負けなし。打って打って打ちまくる、シャラポワの勢いを誰も止められない。

シャラポワは、第1ゲームこそミスが続いてズボナレワにブレークされたものの、準決勝に比べると早い段階でリズムを取り戻した。その後はシャラポワ本来の猛打が炸裂し、6ゲームを連取した。
ところが第2セット、第1ゲームをズボナレワがキープした後、第2ゲームからシャラポワが突然乱れる。2回のダブルフォルトも絡むなど、このゲームは40-0から逆転でブレークを許す。このセットは、シャラポワの攻撃も勢いがなくなり、逆に準決勝から我慢に我慢を重ねてきたズボナレワが本来の攻撃を見せた。
第3セットは第1セット同様、シャラポワが本来の攻撃力を取り戻し、一方的な展開とした。今のシャラポワ相手では、粘っているだけではとうていポイントは取れないし、かといってズボナレワは、打球の変化とか前後への揺さぶりをかけられるような選手ではない。
準決勝に比べるとシャラポワのウィナーの数は半分近くまで減った(ミスも少し減ったが)。準決勝より大きく増えたのは、ズボナレワがラケットに当てても返せなかった打球(forced error)である。つまり、ラドワンスカはラケットに当てることもできなかった打球に対し、ズボナレワはとにかくさわってはいたと言うことだ。第2セット、シャラポワの突然の乱調にしても、これまでとは違うズボナレワの粘りがもたらしたものだろう。
粘りで流れを変えることができるとなると、ズボナレワは、以前トップ10入りを果たしたとき以上に面白い(対戦相手にとってはやっかいな)選手になるかもしれない。

粘って勝つベラ子なんてベラ子じゃない(ドーハ準決勝)

2008-02-25 02:58:54 | テニス
カタール大会の準決勝2試合は、解説でも言っていたように、「攻め続けて勝つ」「守って粘って勝つ」という好対照な試合になった。
シャラポワはひたすら強打をたたき込み続けてラドワンスカを押し切った。
その一方、ズボナレワはリーナ相手に粘って逆転勝ち。これまでの印象をひっくり返してしまった。

Zvonareva 3-6, 6-3, 6-3 Li

こんな粘って勝つベラ子なんてベラ子じゃない!
第1セットはリーナのショットが正確に決まり、ズボナレワを振り回し続けて、リーナがセットを奪った。それ以降も、試合を通して一貫して攻めていたのはリーナだし、ほとんど常時リーナが先行していた。第2セットも第3セットも先にブレークしたのはリーナだった。そのときは、リーナが主導権を握ったままこの試合に勝つかと思われた。第3セットには、ゲームカウント2-0, 30-0リーナのリードという場面もあった。
しかし、第1セットから、ズボナレワは振り回されても食らいつき、簡単にはポイントを取らせない。そして第2セットも第3セットも、後になればなるほど、その粘りによってリーナのミスを誘う場面が増えた。そしてどちらのセットも逆転でズボナレワが奪った。
これまで見たズボナレワの場合、ずっと強打で攻撃するのだが、粘られて不利になると切れて、ラケットを投げつけて破壊し、負けるというのがお約束だった。ところがこの試合は常に守勢、粘っても結局相手のポイントになる場面も多かったのに、切れた様子はほとんど見られなかった。逆に相手のミスに乗じ、あるいはわずかなチャンスに強打をたたき込んでポイントを奪った。表情や仕草にはあまり出なかったが、リーナが先に根負けしてしまったようだった。
ベラ子は、ひょっとしたら、粘って勝つ喜びに目覚めてしまったのかもしれない。

Sharapova 6-4, 6-3 Radwanska

この試合は、今まで見た中でも一番と言っていいくらい、シャラポワらしさが全開の試合。拾われてもミスしても、とにかく強打をたたき込み続ける。迷いが全くない。2セットでシャラポワのウィナーは何と44本、ミスも31本。
この試合の対戦相手のラドワンスカは若いが、ベテランのようないろいろな技を使う。打球にいろいろな回転がかかるし、ドロップも使うし、ドロップと見せかけて深いスライスを打つ高等技術まである。この試合も、序盤は多彩な打球でシャラポワのリズムを完全に狂わせ、リードを奪った。しかし、いかんせん、現在のシャラポワに対抗するにはあまりにも破壊力がなさすぎる。特にサーブは球威が全くない。スピンがかかって高くバウンドするが、シャラポワにとってはちょうど打ちやすい高さだ。2ndになったらシャラポワはサーブより速いリターンをたたき込んでくる。クロスにもストレートにもリターンエース連発で、試合終盤にはもう笑うしかなかった。

動くオズモクロビッチを8年ぶりに見た

2008-02-22 04:37:59 | バレーボール
女子バレーの欧州チャンピオンズリーグ、Novara対Eczacibasiの試合を見た。

動くオズモクロビッチなど見たのは、シドニー五輪のシーズン以来8年ぶりだ。
それにしてもオズモクロビッチはすごい選手になったものである。スパイクはどこを抜けているのかわからないが決まるし、守備力も半端ではない。シドニー五輪前のシーズンあたりから急激に安定感を増してきたが、これほど活躍するとは思わなかった。'01-02シーズン、Novaraは昇格初年度で準優勝、この快挙の原動力は間違いなくオズモクロビッチだった。今ではすっかりNovaraの「主」であり、この間にNovaraもセリエを代表するビッグチームになった。
もう少し若かった頃のシュヴェニヴィチもこんな感じだったのだろう。シュヴェニヴィチはPerugiaで実に9年間先発レフトのポジションにいた。Perugiaの象徴的な選手だったはずだ。

女子バレー欧州大陸予選の14連戦以降、深夜のライブ観戦がとにかく多い。大変だが楽しい。

Vリーグ最強の大砲、デラクルス

2008-02-20 04:07:15 | バレーボール
デラクルスはリーグ史上最強の大砲の一人という説まで出てきた。ケニーとかカルカセスは完全に超えている。比較対象になるのはもはやバーバラくらいしかいない。
参戦したのが年明けの7試合目からで、そのためセット数規定不足で集計にまだ出ていないけれども、アタック決定率52.90%、アタック決定数セットあたり6.21本とも、部門1位の荒木とパブロワを上回っており、実質1位である。(今シーズンから、Vリーグのアタック決定数はセットあたりで集計)
ベティは決定率が高いのみならず、サイドの大砲タイプの選手ではミスも少ない。体勢が不利な場合でも、ブロックを利用して外にはじき飛ばしたり隙間を抜いたりするのも上手く、それがミスの少なさという数字にも表れている。同じチームで戦うならこれほど頼りになる選手はいないし、相手にすれば全く手に負えない。

来日前のデラクルスの前評判はそれほどではなかった。一発の威力にはもちろん期待されたものの、ミスの多さあるいは精神的なムラなどを懸念する意見も多かった。(むしろ前評判ではニコリッチのほうが上。ワールドカップの成績を考えれば仕方がないが)しかしその選手がここまでやってのけるのだ。
本当に久しぶりに、世界はこれほどすごいのだと実感させてくれる選手がきた。ベティがVリーグに参戦したことを素直に喜び、そして彼女のプレーを堪能しよう。
以下の議論では、(アタック決定率-アタックミスの割合)という数字を考えることにする。この数値を(仮)効果率と表記する場合もある。
国際大会で集計される「アタック効果率」は以下の通りの定義である。
アタック効果率 = (アタック決定数-アタックミスの本数-被ブロック本数) / アタック打数
この「効果率」を用いるのが本式だが、Vリーグの集計では各選手が何本ブロックされたかが不明のため、この数字は算出できない。そこでアタックミスの割合のみ計算に含める。

女子のサイドアタッカーでは、これが35%で合格点、40%なら非常に優秀と言える。'02-03シーズン、武富士準優勝時のアルタモノワを最後に、Vリーグ女子のサイドアタッカーで、この数字で40%以上を達成した選手はいない。ところがベティは45%を超えており、はっきり言って「あり得ない」成績だ。
歴代の有名なエースおよび今シーズンの外国人エースについて、この数値を計算してみると下の表のようになる。今シーズンの選手の数字は、2/17現在である。
..............年度..打数..決定..失敗..決定率..(仮)効果率
ペレス........98-99.1187...606....50..51.05%..46.84%
イエリッチ....98-99.1810...940...128..51.93%..44.86%
アルタモノワ..98-99.1713...833....91..48.63%..43.32%
..............02-03.1129...553....70..48.98%..42.78%
カルカセス....05-06.1584...765...197..48.30%..35.86%
ケニー........06-07.1435...671...142..46.76%..36.86%
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パブロワ......07-08.1041...481....84..46.21%..38.14%
ロンドン......07-08..531...240....37..45.20%..38.23%
デラクルス....07-08..552...292....35..52.90%..46.56%

デラクルスの数字は、イエリッチ・アルタモノワ・ペレスなど、「伝説的」選手の絶頂時に匹敵するものだ。Vリーグの絶対的エース(チームのアタック決定数に対して30%以上の決定数)でこの値が一番高いのは、'98-99シーズンのペレスで、46.84%である。ただし、ペレスは本職はセンターで速い攻撃も多かったから、この数字はベティと同格に扱うことはできない。純粋なサイドアタッカーでは、'98-99シーズンのイエリッチの44.86%が最高である。ただし、下記の数字に示されるように、当時のバーバラはとにかく打数の多さも異常であり、チームのアタック総数の半分を優に超えていた。チームのアタック総数に対し、当時のバーバラと同じ比率で打ちつづけるとすると、現在のデラクルスの1.5倍以上の打数になる。そこまで攻撃の負担が集中しては、いくらなんでも現在の決定力を保つことは不可能だろう。

Vリーグ 2/17

2008-02-19 01:35:58 | バレーボール
この日は、悪い意味ですごいものを見てしまいましたね、いろいろと…

久光 1-3 シーガルズ (21-25, 20-25, 25-20, 16-25)

この対戦はまさに相性、というか、久光のセッター橋本が蛇ににらまれた蛙のようだ。橋本のトスワークも単調になるし、アタッカーがそろって力んでミスを連発しているように見える。
第3セット、久光の真鍋監督は、橋本→三上、大村→平井、狩野美雪→舞子という大幅なメンバー交代を敢行した。シーガルズには、今シーズン2回の対戦でいずれも負けており、このままではまたストレート負けと考えたのだろう。
この交代のうち、三上と狩野舞子の起用は成功だったように見えた。久光が奪った第3セットは、舞子のライト攻撃が効果的に決まった。しかし平井だけは失敗だった。三上とのブロード攻撃のタイミングは全く合っていない。しかも、仁木と平井の2枚前衛のローテなんて作ってどうするつもりだったのか。筆者がセッターだったら、監督に向かってブチ切れただろう。「これでどうやってサイドアウトを取れというんだ」
なお、シーガルズのファンの方によると、シーガルズの守備は伝統的にレフトからの強打にはめっぽう強い一方、ライト攻撃に対してはそれほどではないという。この一気の交代は、とにかくライトからの攻撃(ブロードを含め)を増やしたいという点で、説明できる。

シーガルズは、ブロックの読みが当たりまくり。攻撃では、逆に相手のブロックを利用し、あるいはレシーブの弱点を的確についてくる。シーガルズワールド全開の2日間だった。


武富士 0-3 NEC (11-25, 23-25, 23-25)

武富士のサイドアタッカーについては、まああれくらいのものだ。ここまでセンターが使えないのではどうしようもない。セッター原がセンターを使うタイミングは悪くはなく、相手ブロックを振っているのに、それでもミスされるのだからたまらない。JTについても、特にシーズン序盤、センターのあまりの「空気」ぶりに愕然としたけれども、武富士の場合空気でなくてマイナスだから、マジで。
スコアでもわかるように第2,3セットは競っていた。第3セットは中盤まではむしろNECにらしからぬミスが続き、武富士が一時4点リードにした。それを一気におかしくしてしまったのは、相手のサーブレシーブがダイレクトで返ってきたボールに対する内藤のミス。打ちそこねて、何と後ろにそらしてコートの外へ。正直、筆者はしばらく呆然としていた。申し訳ないけれども、Vプレミアであんなミスはあり得ない。
NECも、エリンの離脱が続いている上リベロの成田までこの試合は欠場。リベロには渡辺が入ったがサーブレシーブはがたがた、サーブレシーブ成功率は46%という有様だった。


パイオニア 0-3 東レ (15-25, 8-25, 15-25)

パイオニアは、セッターの交代のタイミングにも問題は確かにあるけれども、内田復帰がきっかけでチームの雰囲気がおかしくなったのではないと思う。それ以前から、試合を投げ出したように見える場面は何度もあった。

内田復帰以前から、そもそも何を意図しているのかわからない選手起用が多すぎる。もし、選手の心理に不穏なものがあるとすれば、このあたりの起用に根本的な原因があると思う。「意図が理解できない」のはセナ絡みに限らない。控えのセッターを出してみても2,3プレーですぐに戻してしまったりした。
あるいは、先発起用の方針も何度となく変わっている。シーズン当初はレフトが栗原-佐々木、ライトがセナだった。その後、何試合か続けてセナを先発からはずし、速い攻撃を意図したと思われる時期もあった。それでも、レフト栗原-セナ・ライト江口でようやく安定したか、と思われたのだが…

いずれにせよ、Vリーグで現行ルールで3セット30点台なんて記憶にないし、アタック効果率(アタック決定率-ミス率-ブロックされた割合)がマイナスというのも記憶にない。(アタック決定数23、ミス12、被ブロック12だからマイナス)
ある程度精度の高い集計の出るリーグでは、ブラジルだと、アタック決定率平均が低い上チーム間の力の差が大きいので、時々マイナスという試合があるけれども、ミスやブロックが少ないVでは前代未聞だ。


疲れたので、一番盛り上がった試合のJT対トヨタ車体を見ていない。(最後の5点だけ見た)