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パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

戦前回帰「大日本病」の再発(山崎雅弘)

2019年10月02日 09時38分43秒 | 

読みかけの本を傍らに置いて、一気に読み終えたのが「戦前回帰 大日本病の再発」山崎雅弘

山崎雅弘氏の著作は「天皇機関説事件」以来
一部の方々には評判が悪いだろうが、とてもスッキリとまとめられた内容

本を読むということは、そこに書かれた内容を覚える(理解する)ことと
その内容をイメージとして体験すること
この体験は人ぞれぞれで、気になる体験は本質とは違っていることはままある

戦前からの歴史、その時の空気感、それを支配したのは一体何だったのか、、
そうしたものを交通整理の行き届いたまとめ方で進められている

ここで自分が印象に残ったのは、「個人」と「全体」との関係
客観的に見れば兵力差が存在し、必敗は予想されるにもかかわらず
精神論でカバーできると戦いに勢いで突っ走ったこと
世界の中の日本、その相対的な立ち位置(文化的にも社会的にも)を理解することなく
全てに優っていると思いこむメンタリティ
自分たちの残すべきは人の命であってメンツではないのに、無謀な体当たり作戦を実行したこと

この最後の人命軽視の命令は、同じ様な玉砕命令を発したドイツでは、現場の個人の判断で
命令に従わず多くの命を救うことができたとある
ドイツでは上官の命令でも、覚悟を決めて断る
日本では無謀な命令でも従ってしまう
この差は一体なんだろう、、それが気になる

その差は教育のせいだ
公の利のためには個は犠牲にすべし、、との教育
(現在はこの意識づけを正当化する憲法改正が計画されている?)

でも上からの命令や指示に弱いのは、教育だけの問題だろうかと思えてしまう
現在でも官僚の世界でも、企業の中でも不祥事を起こすパターンは
盲目的な命令に従うことで、そこには個人の判断の存在が存在しないようにさえ思えてしまう

戦前回帰を目指す人々の大嫌いな「個人」としての自立
実はそれこそが今のこの国に一番必要なのではないか!とさえ思えてしまう

この本はネトウヨと称される人が、自分たちと考えを異にする人たちはどう考えているか、、
を知るためには参考になる本だと思うが、手にしないだろうな

もっとも、自分も彼らの推奨する本を読む気はないが、、



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