日本の周辺には、渦がたくさんある。
渦のエネルギーを使う発電は、魅力的な挑戦だ。
地衡力発電と呼ぼう。
基本的なコンセプトは、地球の自転による地衡力を利用する点である。
これは、圧力勾配と直交した水の流れの利用である。
したがって、流れの運動エネルギーを利用しても圧力勾配は保存されるので、地衡流全体に影響を与える可能性が少ない。
このことは、台風が被害を及ぼしても減衰しにくい構造からも理解できる。
さらに、圧力勾配を与えるのが太陽エネルギーなので、枯渇する可能性が少ない。
また、地球温暖化はより大きな渦エネルギーを作り出すことが予想されるので、温暖化の緩和に貢献する可能性が高い。
琵琶湖クラスの地衡力発電所の建設は大掛かりなものとなるが、いったん作動すれば極めて安全で、二酸化炭素や廃棄物を一切排出しないので、未来における究極のエネルギー源となる可能性が高い。
地衡力を用いた発電は、これまで全く利用されてこなかった貯留型のエネルギー利用である。
琵琶湖を事例にとれば、その運動エネルギーは膨大なものがある(3140万KW)。
しかるべき開発を行えば、これから実用的なエネルギーを取り出すことは、十分に可能である。
そのために、数値実験・室内実験・現地実験の異なった手法を用いて検証を行う。
実用化に向けては今後いくつかのハードルを越える必要があるが、十分な人材と設備を投資すれば可能である。
開発成功時にはクリーンなイメージを前面に展開できるので、国際的かつ政策的インパクトは大きい。
湖沼や海洋・大陸などへの適用が可能になれば、海外への技術輸出にもつながる可能性がある。
コリオリ力は緯度が高いほど大きいが、日射量は赤道近くが大きい。
したがって、地衡力発電には日本付近が向いている。
水力・火力・原子力につづく第4の巨大エネルギー源の誕生だ。