まさかの③連チャンで友人Hがやってきた。と言っても、午後、車の保険のことで来たから仕事だと言えなくもない。用事はすぐ終わり、Hはソファで寝そべり、アイスコーヒーを飲みながらダラダラと夕方まで事務所に居た。もうこれと言って話すことはないから困ったものだ。そうこうして2人の暇人が一緒にいるとより一層ヒマで退屈になる法則を発見した。それを手掛かりに、ではこの退屈な日常をどのように過ごすのかをテーマに会話をしようと試みたが口数は少なかった。実は昨年末、不況対策について話し合った。そのときはとにかく経費削減、ムダな出費を抑えること。それにはナニもしないでジィーとしているのが一番だという結論に達した。Hの場合、不況の中心である自動車産業の末端内需、中古車屋だから事態は深刻で、昨年秋より売上げが激減し、来年末まではダメだろうという大方の景気予想に準じている。そしてとうとうジィーとしているのが限界に達し、精神的に不安で苦痛になったのだろう。不安には、例えば前エントリーの、死に対する不安は誰にもあるワケで、だから不安を解消するためにナニかをする、Hの場合は犬を飼い家庭菜園をしている、そうした行動を促す効用がある。仮に死に対する不安がなくなれば犬も家庭菜園も必要なくなって、退屈で干からびた日常を過ごすことになる。しかしながら今回は不況による退屈な日常を不安に過ごしているのだからジレンマだ。不安の効用は機能しない。2人の暇人が一緒にいるとより一層ヒマで退屈になる法則は云わば2人の暇人による不安のチキンレース、ゲーム理論でいうところの囚人のジレンマに相当する。従って不安の抑止として暇なときはなるべく会わない方がいいということでお互い納得した。物事をアレコレ考え、話し合ったところでどうにもならない時代なのだ。