
世界金融危機は米国のサブプライム問題に端を発したが、次はCDS。これがまったくワケワカランよ、ならば学習だ。
(以下、ウィキペディアより Credit default swap を引用)
クレジット・デフォルト・スワップ (Credit default swap) とは、クレジットデリバティブの一種で、債権を直接移転することなく信用リスクのみを移転できる取引である。最も取引が盛んなクレジットデリバティブのひとつ。頭文字をとって CDS と呼ばれることが多い。銀行の自己資本比率を高める対策の一環として利用されるケースも多い。
仕組み
2者間(買い手と売り手)の間で結ばれた次のような契約である。買い手が企業A(参照企業という)への貸付債権や社債を持っている場合などを想定するとわかりやすい。
買い手は売り手に定期的にプレミアム(保険料)を支払う。
売り手は参照企業Aがデフォルト(債務不履行)した際に、あらかじめ決められたルールに従いその買い手の損失を補償する。
企業Aに対して貸付債権などを持っている銀行がCDSを購入することにより、貸倒れのリスクを分散することが可能となる。
具体的な例
A社とB社がリスクの高い社債Lを1兆円ずつ購入する。 社債Lを対象にしたCDSをA社とB社が お互いに100億円で売買しあえば、リスクプレミアムは相殺されたまま社債LはBSから消える。
この場合CDSが清算されてもA社B社間での金の移動は起こらないが、 社債Lが900億まで値下がりした場合、CDSで消したリスクが突如として9100億円の実際の損失として発生する。
具体的な例2
倒産リスク100%の社債Zを100万円分購入する。利回りは年30%で30万円である。 社債Zを対象にしたCDSを100万円分購入する。 これによってZ社が倒産しても社債元本はCDSで帰ってくるのでリスクは0である。 通常は社債の利回りが30万円でCDSの保険料は50万円。両建てすると20万円の損のはずだが A社とB社が 社債Zを100万ずつ購入し、 A社がB社の社債に対してCDSを引き受け、B社がA社の社債に対してCDSを引き受けると CDS保険料の50万は相殺されて0円になるので、Z社が倒産するまでは両社は利回り30%の社債 を引当金無しで保有することができる。
価格の設定(プライシング)
プレミアムの決定には金融工学的手法が利用される。それは単に買い手が、両者の期待値を一致させる価格を支払えばよいのではなく、売り手が引き受けるリスクに対する対価(リスクプレミアム)をも支払う必要があるからである。リスクプレミアムは通常、同じ参照企業Aが発行する社債などに織り込まれたものを使う。
CDSの売り手がデフォルトしないという仮定の下ではプレミアムの算出は容易である。しかし、売り手もデフォルトする場合には買い手のリスクが増大する。さらに参照企業Aと売り手のデフォルトに相関がある場合には、プライシングは容易ではない。
CDSのプレミアムを単純化して数式に表すと
d(1 ? r) = s(1 ? d)
s:1年間のCDSプレミアム、 d:1年デフォルト確率、 r:デフォルトした際の回収率
と表せる。左項は期待損失率、右項は期待収益率といえる。 ただし、この理論値は、カウンターパーティーリスクや流動性リスクなどを含んだプレミアムではないことに注意すべきである。
マーケット
日本では、主に日本の主要金融機関(みずほ証券など)と外資系証券会社(ゴールドマン・サックスなど)の合計20社程度がマーケットで値付けを行い、数社のブローカー(東短,GFIなど)を経由して取引を行っている。ISDAが提供しているCredit Derivative Master Confirmation Agreementを相対で事前に締結することで、フロント間の契約書のやり取りをなくすことができる。 各個別企業の信用リスクを取引する通常のCDS、インデックスCDSとして、流動性が高い主要企業50社の信用リスクを参照としたiTraxx Japan 50(アイフルやソニーなど)、プレミアムが高い企業を参照としたiTraxx Hivol(ソフトバンクや日本航空など)がある。 インデックスのライセンスはMarkit Groupがライセンスを保有し、6カ月ごとにインデックスの見直しをおこなっている。 通常、シングルのCDSについては期間が5年で5億円単位、インデックスについては5年10億円単位で取引されている。 また、日本では取引されていないが、レバレッジローンを参照にしたLCDXや、ABSを参照にしたABXなどが海外マーケットには存在し、日本マーケットにおいてもリスクヘッジ手法として今後の発展が見込まれる。
CDSを使った商品
CDSを使い、FTD(First to Default)、Nth to Default、Synthetic CDOなどの金融商品をつくることができる。時価評価されないFTDリンクローンは仕組みが非常に分かりやすいものであり、投資家側(プレミアムの支払いを受ける側)にとっては管理が非常に楽であるため、CDSスプレッドが急激に上昇した時などは好まれる傾向にある。
想定元本の推移
2001年6月末 6315億$
2001年末 9189億$
2002年末 2.2兆$
2003年末 3.8兆$
2004年末 8.4兆$
2005年末 17.1兆$
2006年末 34.5兆$
2007年6月末 45.5兆$
2007年末 62.2兆$[1]
2008年6月末 54兆$ 史上初の減少(取引のマッチングをカウンターパーティー間で行い、Early terminationを積極的にすすめたことによる)
日本(日銀資料とその報道によるが、数字が一致しない)
? 2007年上半期 1457億$
大手13行 2007年6月 2700億$
日本全体 2007年6月 8128億$
大手13行 2008年6月 5541億$
問題点と危険性
ベア・スターンズ、フレディマック、ファニーメイ、リーマン・ブラザーズ、AIG破綻の後、「核のボタンに匹敵する」と言われているのがCDSである。
世界的投資家ウォーレン・バフェットは、CDSの事を「時限爆弾 time bomb」「金融大量破壊兵器 financial weapons of mass destruction」と呼んで、自社バークシャー・ハサウェイによる投資を禁止したと語ったことがある(後に実際には投資中であることが明らかになった。2014年までの債務があるという)。
この例で明らかなように、一旦結ばれたCDS契約は長い期間続く。破綻時以降の支払いは金利部分だけであり、元金を返却するのはずっと後の元の保証した債務の契約終了時でよい。そのためリスクが低いと考えられていたが、逆に言うと引き受けたCDS契約者が破綻した場合支払いはずっと続き、何年か後の元金償還に備えるための資金蓄積が必要である。破綻した理由を問わず保証するのがほとんどであるから、逃れるすべはない。支払いと準備による実質的赤字状態により配当が支払えないから、格下げされ市場による資金調達も不可能で、借り入れても金利が高く逆ざや状態になりうる。 会計操作による粉飾決算への動機が非常に高く、市場からの信頼を呼び戻すのに時間がかかる。仮に収益をあげ信頼されても、元金支払い時の手元流動性不足による危機の可能性は残るのである。ゆえに爆弾のような一過性の危機ではなく、これから何十年も続く危機の始まりである可能性がある。
CDSの想定元本は毎年約2倍増加して、2007年末で62.2兆$(6500兆円)あったが、2008年6月末で54兆$(約5500兆円)と初めて減少した。これはベア・スターンズ破綻の影響などが原因と見られる。
米国政府がリーマンを救済せずAIGを救済した理由がCDS問題であると言われる。リーマンはCDSの保有額が大きくないが、米国最大の保険会社で世界中に展開する(130カ国、7400万件)AIGはCDSに積極的に投資し(想定元本4410億$)、もしAIGが破綻した場合影響は世界中に及ぶと考えられたからである。 その後10月10日にリーマンのCDS清算価格が元本の8.625%に決定した[1]。市場推計の想定元本は4000億ドルで、ほぼ全額が失われたといわれ、関係者にCDSの危険性を知らせる出来事であった。バーナンキFRB議長の議会証言で、リーマンを救済しなかった本当の理由は「証券会社にこのような多額の資金投入をすることはできなかった」だということがわかった。 フレディマック、ファニーメイのCDS清算価格は、ファニーメイが優先債務91.51%、劣後債務99.9%、フレディマックが優先債務94%、劣後債務98%といずれも90%台であり[2]、金額は多額だが、毀損率は大きくなかった(AIGのCDS清算価格は不明である)。
10月23日にリーマンの精算支払い額が結局52億$にとどまることが分かった。[2]
10月24日に米ワシントン・ミューチュアルのCDS清算価格が57%と決定した。 [3]
ベア・スターンズ救済も、デリバティブ持ち高が極めて多かった(想定元本13.4兆$、2007年末)ためと言われる。
想定元本が極めて多額である上に、契約数が極めて多いために厳格なリスク管理ができるかどうかの問題がある。少しの計算違い・見込み違いも巨大な損失を生む。(AA格などの大きなデフォルトにどこまで対応できるだろうか)また契約が相対であるために、上部及び外部のチェック手段が元本に比べて極めて少ない。
かなり下位の行員が大手銀行に長期にわたって監査や検査を免れ、大損害を与えた例として、1995年発覚の大和銀行ニューヨーク支店(嘱託行員、44歳。1000億円)とベアリングズシンガポール支店(支店の部門責任者だが、入行8年目、28歳。1400億円)の2例がある。
また商品取引では、1996年の住友商事の銅先物2850億円(部長だが決裁権限なし)、2005年中国国家備蓄物資調節センター(37歳)の銅取引1000億円などの事件がある。
現在J・P・モルガン・チェースの想定元本は7.85兆$、シティバンクが3.2兆$である。[4]
制度上の問題の1つは、CDSなどスワップ契約に規制の網がまったくかかっていない事である。規制がないので、お互いに合意すればサイン一つで巨額の保証料が手に入る。値段は特に決まっておらず、相場があるだけである。保証される側は保証を盾にさらに借金を重ね、保証する側は資金がすぐ手に入る。知識がなかったり、これからのつきあいを考えたり、目の前の利益に目がくらむと手を出しやすい(ニューヨーク州政府は、2009年1月からCDSの引き受け手に対し保険会社と同様の規制をすると発表した)。
銀行などのようにBIS規制で、自己資本比率維持の責任を負わないから、「想定元本」(保証金額)が引受会社の自己資本の数十倍以上ある。引受会社もCDSを発行している場合が多い。ある1社が破綻し保証しきれなくなると、モノラインなどと同じように、CDSの保証がない金額は格下げやデフォルト(債務不履行)扱いになり、その連鎖はどこまで及ぶか分からない。誰も救済することができない金額(米国国家予算3兆ドルと比べて)を引き受けているからである。
これから、FRB、SEC、ニューヨーク州司法省などが検査に入った段階で思わぬ結果が出るおそれもある。また収益の多くをCDS保証料に頼ったり、自己資本に算入したりしている場合は、企業の破綻や貸し渋りによる倒産も考えられる。解決策として、CDS自体を相互解消(停止)し、破綻時の保証は政府がするという形があるが、金額の大きさと不確定性から、極めて困難である。
もう一つは、金融工学上の計算に「システミック・リスク(市場リスク)」をほぼ排除していることである。金融上のリスクは「過去の計算」であり、将来を全く保証していない。企業の破綻率の計算はせいぜい10年、良くて30年であり、最近の大型5社の破綻は想定外である。そのため、2008年9月の危機まで関係者に「にせの安心」を生んでいる。62兆ドルは「何をしても無駄」と「なんとかなる」の両極端の思考と、同一の行動を生んでいる(リスク管理がしっかりしている損害保険でも、ロイズが大型ハリケーン被害の支払いで巨額赤字を出したことがある)。
また格付け会社の問題も浮上している。格付けが実際の破綻率とかけ離れたことが主たる問題だが、原因が経済上の大変動ではなく、実態をとらえられない格付け手法によることが問題視されている(クラス・アクションが起こされている)。
またベアとAIG救済の教訓は『単なる「大きすぎてつぶせない Too big to fail」は間違いだが、デリバティブを大量に所持すれば大丈夫』だというモラル・ハザードを引き起こす可能性が高い。
似たような商品で、最近問題になっているのはクレジット・リンク債である。
*引用以上。CSDの次がクレジット・リンク債だとさ、もう勘弁してくれつーの。あと、ランキングも暫く休止。