1983年、アフリカ西部の国ニジェールに、
1人の女の子が誕生した。
その子は、ハジャトゥ(Hadijatou)と名づけられた。
やがて、ハジャトゥちゃんは大きくなり、
12歳になったとき、
4人の妻を持つ男のところへ売られた。
その額、5万円。
ここニジェールでは、
奴隷の子は奴隷であり、
幼いときに、親から引き離され、
子どもたちは"物"として売買や贈り物に"使われる"。
ハジャトゥちゃんは奴隷として生まれ、
そして、奴隷として売られた。
それからの10年間、
ハジャトゥちゃんは、
家事と畑仕事、
そして、"サダカ(sadaka)"呼ばれる性的な奴隷として、
暴力と、性的暴行を受ける日々を送った。
だが、そんな日々も、ついに終わりを迎える。
2003年、
ニジェールの議会が奴隷の禁止法を可決。
そして、2005年、
ハジャトゥさんは自由の身となる。
このとき、"主人"はハジャトゥさんに、
"平民の権利"を与える代わりに、
自分の妻になることを要求したが、
ハジャトゥさんは、それを毅然と断った。
それは、ハジャトゥさんが、
生まれて22年目にして、
初めて手にいれた、
自由の選択だった。
やがて彼女は、ある男性と恋に落ち、
そして、結婚した。
もちろん、自分自身で決めたことだ。
しかしそれは、
幸せな結婚生活にはならなかった。
かつての"主人"が、
自分がハジャトゥさんと、
すでに結婚していると訴えたのだ。
ニジェールの裁判所は、
"主人"の訴えを認め、
ハジャトゥさんに対し、
「重婚罪」として懲役6ヶ月を宣告した。
子ども時代、青春時代を、
奴隷として奪われ、
愛する人との結婚さえ奪われた。
だがもう彼女は、その場でただ、
打ちのめされている"奴隷"ではなかった。
ハジャトゥさんは、2008年4月7日
ニジェールなど西アフリカ15カ国が加入する、
西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の裁判所に、
「2003年の奴隷制度の違法化にも関わらず、
自分たちを保護できなかったばかりか、いまだに奴隷制度を続けさせている」などとして、
ニジェール政府に対する訴訟を起こした。
24歳の女性、ハジャトゥさんは、
地元の弁護士、そして、Anti-Slavery Internationalなど、
奴隷の廃止を求める国内外の団体とともに、
自分自身と、
ニジェールに4万3千人いるといわれる奴隷たちの、
自由と権利のために、
国家の大臣や官僚たちと、世界を舞台に対決した。
その判決が、
先月、2008年10月に下された。
ECOWASの裁判所は、
ハジャトゥ・マニさんを
奴隷境遇から保護することを怠ったとして、
「奴隷制度はすでに根絶し、
もう存在しない」
…と主張していたニジェール政府に対し、
有罪の判決を下した。
裁判所は、「疑いの余地はない」と、
ハジャトゥ・マニさんが12歳で売られ、
およそ10年間、奴隷とされていたことを認め、
そして、ニジェール政府に対し、
およそ200万円(10m CFA francs)を、
ハジャトゥ・マニさんに支払うように命じた。
「この判決に、とても喜んでいます。
かつての私のマスターや、
もう奴隷など存在しないと主張する人たちに対峙することは、
とても大変なことでした。」
ハジャトゥ・マニさんは、
そう語っている。
「この保証金で、わたしは家を建てようと思います。
そして、農場を作り、家畜を育てて、
家族を養っていきたい。
それから、子どもたちが大きくなったら、
…わたしに絶対に許されなかった…
学校で教育を受けさせてあげられます。」
この国の奴隷制度の慣習として、
たいてい、奴隷の親から生まれた子どもは、
自動的に、そのマスターの奴隷となる。
ハジャトゥ・マニさんが、
この裁判に踏み切った理由は、
彼女の2人の子どもの自由を守り、
絶対に彼女のような人生を
歩ませないためだという。
世界の奴隷問題に取り組み、
ハジャトゥ・マニさんをサポートしてきたNGO
反奴隷インターナショナル
(Anti-Slavery International)によれば、
現在ニジェールでは、
およそ4万人が奴隷となっているという。
そして、反奴隷インターナショナルは、この5年間に80人を、奴隷から助け出したという。
この判決が、ニジェール政府に、
奴隷問題の解決を促すメッセージとなることが、
期待されている。
ニジェール政府の弁護士は、
この判決を尊重すると語った。
関連サイト
反奴隷インターナショナル
(Anti-Slavery International)
http://www.antislavery.org
※この記事はmixi内『世界の肖像』コミュの内容に編集を加えて転載しています
24歳の決断
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=29859859&comm_id=1808806&
24歳の決断(続)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=37292332&comm_id=1808806&
1人の女の子が誕生した。
その子は、ハジャトゥ(Hadijatou)と名づけられた。
やがて、ハジャトゥちゃんは大きくなり、
12歳になったとき、
4人の妻を持つ男のところへ売られた。
その額、5万円。
ここニジェールでは、
奴隷の子は奴隷であり、
幼いときに、親から引き離され、
子どもたちは"物"として売買や贈り物に"使われる"。
ハジャトゥちゃんは奴隷として生まれ、
そして、奴隷として売られた。
それからの10年間、
ハジャトゥちゃんは、
家事と畑仕事、
そして、"サダカ(sadaka)"呼ばれる性的な奴隷として、
暴力と、性的暴行を受ける日々を送った。
だが、そんな日々も、ついに終わりを迎える。
2003年、
ニジェールの議会が奴隷の禁止法を可決。
そして、2005年、
ハジャトゥさんは自由の身となる。
このとき、"主人"はハジャトゥさんに、
"平民の権利"を与える代わりに、
自分の妻になることを要求したが、
ハジャトゥさんは、それを毅然と断った。
それは、ハジャトゥさんが、
生まれて22年目にして、
初めて手にいれた、
自由の選択だった。
やがて彼女は、ある男性と恋に落ち、
そして、結婚した。
もちろん、自分自身で決めたことだ。
しかしそれは、
幸せな結婚生活にはならなかった。
かつての"主人"が、
自分がハジャトゥさんと、
すでに結婚していると訴えたのだ。
ニジェールの裁判所は、
"主人"の訴えを認め、
ハジャトゥさんに対し、
「重婚罪」として懲役6ヶ月を宣告した。
子ども時代、青春時代を、
奴隷として奪われ、
愛する人との結婚さえ奪われた。
だがもう彼女は、その場でただ、
打ちのめされている"奴隷"ではなかった。
ハジャトゥさんは、2008年4月7日
ニジェールなど西アフリカ15カ国が加入する、
西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の裁判所に、
「2003年の奴隷制度の違法化にも関わらず、
自分たちを保護できなかったばかりか、いまだに奴隷制度を続けさせている」などとして、
ニジェール政府に対する訴訟を起こした。
24歳の女性、ハジャトゥさんは、
地元の弁護士、そして、Anti-Slavery Internationalなど、
奴隷の廃止を求める国内外の団体とともに、
自分自身と、
ニジェールに4万3千人いるといわれる奴隷たちの、
自由と権利のために、
国家の大臣や官僚たちと、世界を舞台に対決した。
その判決が、
先月、2008年10月に下された。
ECOWASの裁判所は、
ハジャトゥ・マニさんを
奴隷境遇から保護することを怠ったとして、
「奴隷制度はすでに根絶し、
もう存在しない」
…と主張していたニジェール政府に対し、
有罪の判決を下した。
裁判所は、「疑いの余地はない」と、
ハジャトゥ・マニさんが12歳で売られ、
およそ10年間、奴隷とされていたことを認め、
そして、ニジェール政府に対し、
およそ200万円(10m CFA francs)を、
ハジャトゥ・マニさんに支払うように命じた。
「この判決に、とても喜んでいます。
かつての私のマスターや、
もう奴隷など存在しないと主張する人たちに対峙することは、
とても大変なことでした。」
ハジャトゥ・マニさんは、
そう語っている。
「この保証金で、わたしは家を建てようと思います。
そして、農場を作り、家畜を育てて、
家族を養っていきたい。
それから、子どもたちが大きくなったら、
…わたしに絶対に許されなかった…
学校で教育を受けさせてあげられます。」
この国の奴隷制度の慣習として、
たいてい、奴隷の親から生まれた子どもは、
自動的に、そのマスターの奴隷となる。
ハジャトゥ・マニさんが、
この裁判に踏み切った理由は、
彼女の2人の子どもの自由を守り、
絶対に彼女のような人生を
歩ませないためだという。
世界の奴隷問題に取り組み、
ハジャトゥ・マニさんをサポートしてきたNGO
反奴隷インターナショナル
(Anti-Slavery International)によれば、
現在ニジェールでは、
およそ4万人が奴隷となっているという。
そして、反奴隷インターナショナルは、この5年間に80人を、奴隷から助け出したという。
この判決が、ニジェール政府に、
奴隷問題の解決を促すメッセージとなることが、
期待されている。
ニジェール政府の弁護士は、
この判決を尊重すると語った。
関連サイト
反奴隷インターナショナル
(Anti-Slavery International)
http://www.antislavery.org
※この記事はmixi内『世界の肖像』コミュの内容に編集を加えて転載しています
24歳の決断
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=29859859&comm_id=1808806&
24歳の決断(続)
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