ODORAMOX!

BABA庵から  釣り糸なんぞが ごちゃごちゃ こんがらかった状態を ここでは「オドラモクス」と言う。

大学の研究と戦争

2015-01-24 19:01:00 | 世の中
 ノーベル賞の受賞時の取材に、中村修二教授が「なぜ米国籍か」を語っている。

「米国の大学教授の仕事は研究費を集めること。
 わたしのところは年間一億円くらいかかる。その研究費の半分は軍からくる。
 軍の研究費は機密だから米国人でないともらえない。
 米国で教授として生きるなら、国籍を得ないといけない」
   朝日新聞2014年10月18日朝刊
中村教授の率直で明快な人柄には、かねてから好感をもっているが、
それだけでいいのか・・・と、研究者の責任をふと思う。

東大の情報理工学系研究科で昨2014年12月に改訂された「科学研究ガイドライン」
軍事研究を解禁したと報道された。
「そんなことはない、いっさいの軍事研究に関わらないという方針に変わりない」
と大学は報道を否定しているが、
「多くの研究には、軍事利用・平和利用の両義性があ」ると述べる以上、
研究結果の軍事利用を阻止しようとする意志は希薄になっていると思う。


科学研究ガイドラン  抜粋

学問研究 の両義性
本研究科でも成果が非公開となる機密性の高い軍事を 目的とする研究は行わないことにしています。
共同研究の過程で、意図せずにそのような研究に関わってしまうおそれがありすので、注意ください。
なお、多くの研究には、軍事利用・平和の両義性があります。
本学では個々の研究者の良識のもと、学問研究の両義性を深く意識しながら、個々の研究を進めることを方針としています

翻訳で読みたくなくなる文章

2015-01-08 10:09:30 | 言語の表現

「一回の脳震盪と八万ドルを手にして現役を引退するのは、一見してそう思っているほど悪い話ではなかった。」

「そのあと最初の場所に逆戻りして」

まちがってはいないけれども、なんとも煩わしい日本語に、ああ、やっぱり翻訳ものを買うのではなかったと後悔する。
訳者は名前のとおった人で、以前は読みやすい翻訳だったから、
迷いながら書店の処分品コーナーで買って帰った文庫。
まだ一割も読んでいないけれど再処分しようと思う。

原文が想像できるような翻訳、それでもいいが、すわりのよい日本語にしてほしい。
かつて伊丹十三だったか、俳優が翻訳したものは、
原文にそって主語を訳出したりしていても、
すらすら面白く読めたのは、俳優としてことばを究めた力があったからと思う。

国語が不得手な英文学科学生の下訳のまま本にしないでほしい。
翻訳に賞が設けられたそうで、翻訳本をふたたび読めるようになることを期待する。
やっぱり原文ではエネルギーと時間がかかる。

鴻臚井碑(こうろせい・ひ)

2015-01-03 15:43:22 | 世の中
鴻臚井碑(こうろせい・ひ)とは、
渤海国の歴史資料として重要な遺物のひとつ。
日露戦争の戦利品として旅順からもちだして天皇に献上され、
いまも皇居内にある。
この碑の返還を求める行動が、天皇誕生日の皇居前で中国人によっておこなわれたことが、
中国で報じられていた。

「現代史は時間切れ」で教われないせいか、
日露戦争とかお話にきくくらいでもちろんこの碑が皇居にあることを知らなかった。
事の真偽を調べたら、
同じく日露戦争で日本軍将校が日本に搬出して靖国神社に置いた
北関大捷碑(ほっかんたいしょう・ひ)というものもあって、
こちらは2005年に韓国へ返還されている。
加藤清正軍を撃退した義勇兵を讃える碑だったが、日本へ持ち出す理由がふるっていた。

「 自国軍(朝鮮)の忠義を賞賛した碑文を刻んでいる記念碑であり、
  我が国(日本)にとっては好ましくないものである。
  よって、六四出征軍においてこれを発見した時に、
  この碑の存在が日韓両国の親善の妨げになる事が心配になり、
  建立した人の子孫の承諾を得て持ち帰った 」


確かに子孫の承諾は得ているけれど、どのようにして得たのか、
どんな気持ちで承諾したのか、血を吐く思いでの承諾かもしれないし、
いずれにしろ、植民地支配下の「承諾」などまともであるはずはない。