ODORAMOX!

BABA庵から  釣り糸なんぞが ごちゃごちゃ こんがらかった状態を ここでは「オドラモクス」と言う。

立法とビジネス

2008-09-05 10:51:03 | 世の中
 「地域ぐるみの食育~安心できる地産地消で健康な食生活」という主題をかかげたショクイク(食育はまだマイクロソフトの辞書にはない)講演を聴いた。で、うんざりして、これを書いている。
 配られた印刷物の本文はまるで関係ない内容ばかりで、地産地消についてはわずかに最後に新聞記事からの縮小コピーが小さくつけられただけ。「メタボ」を連発する口からも「地産地消」そのものへの言及はなく、まして島の食事環境について勉強してきている気配は微塵もなかった。

 こういう羊頭狗肉(羊の頭をかかげて、犬の肉を売る)の講演に遭ったのは3回め。全国を飛び回っているというそれら講師の手持ち講演原稿は、ひとつしかなく、表紙(表題)を替えているだけ。各地での講演に向けてそのつどの準備などない。いちど作った講演原稿の手直しもない。

 推測だが、たぶん事実だろう。さらに憶測をすすめてみる。

 この食育講師は、10年の公務員生活を経て、2002年に会社をおこしている。この年は自民党が「食育調査会」を設置した年。そして、会長の山東昭子による議員立法で2005年に食育基本法が成立する。

 官僚なら、食育基本法がどのようなビジネスを創出するか、ピンと来る。

 自宅を老人介護サービスのグループホームに改造して経営しているという人にたまたま会ったら「3年で元が取れますよ」との話だった。大企業から個人まで、介護事業に血道をあげていたからほんとうなのだろう。環境対策も同じようにさまざまな事業をつくりだした。先だってに話題になったタバコの値段を3倍にする提案は、わたしは暴力団の資金作りを助けるものとうけとっている。闇タバコが成り立つ値段だから。

 食育基本法に話をもどす。食育調査会は、BSEとか食品偽装問題をきっかけに設けられた。しかし、きっかけが政策の方向になるわけではなく、国民の心配ごとは、なにごとも自民党+官僚(と取り巻く人々)にとって大きなビジネスチャンスにほかならず、そのために法律が作られていく構造がよく見える。

食育基本法から 
(地域における食生活の改善のための取組の推進)
第二十一条
 国及び地方公共団体は、地域において、栄養、食習慣、食料の消費等に関する食生活の改善を推進し、生活習慣病を予防して健康を増進するため、健全な食生活に関する指針の策定及び普及啓発、地域における食育の推進に関する専門的知識を有する者の養成及び資質の向上並びにその活用、保健所、市町村保健センター、医療機関等における食育に関する普及及び啓発活動の推進、医学教育等における食育に関する指導の充実、食品関連事業者等が行う食育の推進のための活動への支援等必要な施策を講ずるものとする。


 ショクイクを推進しろというこんな法律が、BSEや偽装問題の解決に役立つわけもなく、つまりは、地方自治体において、講演などの教育・広報の需要を発生させるだけである。そして公務員から<独立>して会社をおこし、全国を股にかけて講演料を稼ぐ偽実業家・キャリアウーマンがでてくる。

 講演の内容がすこしでも実のあるものだったら、ここまで考えなかったけれど、あまりにひどかった・・・たとえば「健康度」のグラフは80歳でゼロに。<75歳以上は早く死んで>という後期高齢者医療制度の精神にそった「こそ泥政府の忠実な役人」そのものの思考を露骨にみせられては、やはり、意地悪く見ざるをえない。