ブロブロガー@くつログ

Proと呼ばれたい...そして日々悪戦苦闘する
Brofessional な職業人の安息の日誌

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◇アベノミクス仕事始め~補正予算は12兆円規模に

2013-01-07 | 経済学

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130107-OYT1T00521.htm?from=popin

> 政権誕生前から『インフレ目標2%』を掲げて、円安株高に多大な実績を挙
> げて来た「アベノミクス」ですが、巳年を迎えて一皮剥けて、いよいよ日本
> 経済再生総合事務局の仕事をスタートしたみたいですね。


ええ、大規模な金融緩和政策を打ち出して、既に「アベノミクス」ロケット
燃料注入を終えていますから、これから財政政策を出動させて「打ち上げ」
入るところですね。


> 補正予算の規模は総額10兆円と言われていましたが、最終的に12兆円
> まで膨らんだみたいですよ!


▼安倍政権補正予算案は10兆円超規模で決定へ(13/01/07)

http://www.youtube.com/watch?v=kgtiavHS4mQ

▼補正予算総額12兆円程度、国債5兆円以上増発で最終調整(13/01/08)

http://www.youtube.com/watch?v=q9qZ_ZaPimc


まあ、昨年夏の時点のデフレ・ギャップが15兆円と推計されていましたから、
有効需要の不足を埋めるためには、そのぐらいは必要なのでしょうね。


▼日本経済の需要不足は15兆円 7~9月期、内閣府推計
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121115/fnc12111519230017-n1.htm

> 『デフレ・ギャップ』って、何ですか?


日本経済の潜在供給力と実際の需要量の差の事ですよ。
需要量の方が不足している場合を『デフレ・ギャップ』と呼びます。

> では仮に12兆円の補正予算が全て有効需要に為れば、『デフレ・ギャップ』
> は「15兆円-12兆円=3兆円」に減る?

実際には「乗数効果」を伴いますから、有効需要はもっと大きくなるはずです。


> じゃあ『デフレ・ギャップ』は、ほぼ解消される訳だ!


詳細は知りませんが、概ねその様に計算しているはずだと思いますよ。
『インフレ・ギャップ』として経済成長分を織り込んでいるのかもしれません…。


> でも、『デフレ』って「市中に出回る通貨量」の不足で起こる現象じゃなかっ
> たっけ…?


「お金」が足りないから「物」が買えない、即ち「需要不足」になる訳です。
去年の春、古典落語の「花見酒」のパロディを書いて、暗黙裡に日銀批判を遣りましたよね。


▼◇【現代落語】大東京人・熊と与太の花見酒
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/97b4c5aaa19fd560937824f564bb68cb

> でも、「お金」だけ貰っても「貯金」してしまえば、需要は増えませんよね…。


だから、民主党政権が行った「子供手当」などは、デフレ対策の効果が薄い
です。インフラ建設などの公共投資に使えば確実に有効需要を生んで、かつ
「乗数効果」が大きい
のですよ。
しかも、確実に「市中に出回る通貨量」が増える。


> では、「子供手当」は「バラマキ」で、「インフラ建設」はそうでは無い?

不要なインフラを造っても、「バラマキ」と呼ばれるでしょうけどね…。
結局「バラマキ」などと、安易な非難は慎むべきなのです。
財政支出の必要性や、目的と効果を良く考えて評価するべきです。



> なるほど!
> 甘利経済再生相は、今後も機動的な財政政策の実施を行うと発言しています。
> 我々もゼネコンに転職して、一儲け狙いましょう!


「金は天下の回りもの」です。
経済のパイが大きくなれば、その内我々の所にも「パイの切れ端」が回ってきますよ…。


> 波及効果ですか…。
> う~ん…その前に全部食い尽されてしまう気がする…。



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コメント (3)

◇巳年に日本経済再生元年を祝う~円安株高の経済学とアベノミクス

2013-01-03 | 経済学



皆さま、明けましておめでとうございます。
明日は、いよいよ2013年巳年の大発会ですが、期待膨らむ巳年の相場の始まり
にあたり、今回は『アベノミクス』をテーマにしたいと思います。


> 『アベノミクス』って何ですか、Bro?


安倍自民党が推進する新しい経済政策を、最近この様に呼ぶらしい。
かつて80年代に、レーガン米大統領が推進したサプライサイダーの経済政策の
事を『レーガノミクス』と呼んでいた事に擬えたのでしょうね。
「アベ+エコノミクス」の造語です。

> でも安倍総理が主張している経済政策は、30年代の世界大恐慌の時代に主張
> されたケインズ政策の焼き直しではなかったですか…?
> これこそが正しいデフレ脱却の処方箋だと、Broもそう言っていましたよね?


そうですね、でも正確に言うと、ケインズの時代と現代とでは経済を取り巻く
環境が明らかに異なりますから、前提条件は色々と異なっています。

> ケインズの時代の貿易は、金本位制に基づく固定為替相場制でしたよね。
> 現在では変動為替相場制です。他に何か異なる点が在りますか?


第二次大戦後自由貿易体制が発展した事と、米ソ冷戦時代が終わって、90年代
以降はグローバリズムが台頭
して来ました。
世界中の市場が統合されて、世界経済の緊密度が飛躍的に増大しています。
資本や財の移動がはるかに自由になり、移動手段やITの発達で、世界経済は
驚異的にスピードアップしています。
今や米国市場の変化は、日本市場でも即座に影響が顕れる時代なのです。


> 為替取引が変動相場制に移行した事の影響は大きいとは思いますが、本質は
> 自国通貨が他国通貨と比較して割高か、それとも割安かの問題だと考えれば、
> これもケインズの時代と本質的に異なるものでは無いですよね?

より本質的には、経済政策の効果に違いが生じます。
金本位制の下では、政府が決定する自国通貨と金との交換比率(金平価)が、
貿易や国際収支に決定的な影響力を及ぼしますが、変動為替相場制の場合には
国際為替市場の自動調整作用が働きますから、その分政府の経済政策の影響は
減殺される
訳です。

> なるほど、1971年のニクソン・ショックと、1973年の変動為替相場制への
> 移行によって、ケインズ流の政府の裁量的な経済政策運営が難しくなった
> ですね。そもそも世界経済全体を裁量的に運営する『世界政府』など無いし!


さらには、この頃から多国籍企業ヘッジ・ファンドなどが国際市場で大きな
影響力を持つ様になりました。
そして、1991年に旧ソ連が崩壊した事で世界市場が統合された事は、グローバ
リゼーションの時代の到来
を意味しました。
経済学では再び、市場の自動調整機能の果たす役割を重要視する市場原理主義
の考え方や新自由主義の経済学が主流になった
訳です。


> では、この経済学の潮流を変えた事件は「リーマン・ショック」だったの?


その点については、これまで過去記事で何度も書きましたよね!


▼◇米金融史上最大の作戦成功。。。市場原理主義の敗北か?
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/a47a9f2e44cd228f1286724b56c2594d

> でも、『アベノミクス』が単なるケインズ政策では無く、「古くて新しい経済
> 政策」なのだとすると、その効果については大いに疑問の余地がある事にな
> りますね?

第一のポイントは、「インフレ目標」を設定して市場を「インフレ期待」の方向
に誘導する点
に在ると考えます。
これによって、かつてケインズが言った「流動性の罠」の状態を脱する事が期待できます。

> 大規模な金融緩和政策の推進を明示して、市場心理を変える訳ですね!
> 昨年末以来の円安株高傾向は、明らかに市場心理の変化を示していますよね。
> 国債を売って日本株を買う動きは、確かに景気回復を市場が予想しています。
> でも、「円安が経済成長を導くのかどうか」は、疑問視する意見も多い…。


円安で輸出企業が有利になっても、輸入企業には不利ですからね。
特に最近の日本経済は輸入超過ですから、貿易赤字は一時拡大します。
結局、為替相場自体が経済成長の要因になる事はありませんね。
むしろ、ここでは株高の方に着目するべきです。
銀行に滞留を続ける資金が、日本企業株や土地などの「投資」に向かう事が、
経済成長にとってより大切なのです。


> でも、「投機資金」が増えても「実体経済」には影響はありませんよね…?


いいえ、まず資産デフレから脱却する事で、それを担保にする金融機関の信用
創造機能が活性化します。
株式や土地の評価額が上がれば、企業も設備投資が行い易くなります。
結果的に「実体経済」にも、良い刺激を与えてくれるはずです。



> 資金供給が「投機」にではなく、「投資」に向かえば良いですが…。

無論、「投資チャンス」が必要ですね。
短期的には財政政策がこの機会を提供して、民間消費の活発化を図ると伴に、
これを呼び水にして中長期的に民間投資の活性化を図る必要が在る。

円高期待の環境下では、資金は「海外投資」に向かって、「投機」とあまり変わ
らない経済効果しか生みませんが、円安期待のビジネス環境を誘導できれば、
資金が国内に向かい、海外からの投資資金の流入も期待できます。



> なるほど…その様に考えてみると円安の方が経済成長は期待できそうですね。
> 日本企業がリショアリングを加速すれば、海外流出した雇用も国内に戻って
> くるし…。


円高が日本の産業空洞化を促進した事は、日本経済の弱体化の原因の一つとし
て非常に大きかったと思います。


▼◇財政政策の効果を棄損するもの~米五輪ユニホーム騒動からの考察
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/ff7fc11aaf1dfb09c15d7bc0e9a4e284

> 今年こそ、日本の雇用環境が改善されて、明日への希望が戻ると良いですね!
> ところで、今日のテーマの話ですが、前回記事で「安倍新内閣の客観的評価」
> を披露すると言っていたのはどうなったのですか?


ケインズの「美人投票」の話を知っていますか?


> 「誰が一番美人か」を美人投票のコンテストで決める話でしたよね?

そう、この際の評価のコツは、「私が美人だと感じる人」に投票しても、それは
単なる「主観的な美人評価」に過ぎませんから、「大勢が美人だと感じそうな人」
に投票する事が大切なのだと云うものです。
この方が「客観的な美人評価」だと言えますよね。

> はぁ…?

「安倍新内閣の客観的評価」についてですが、少なくとも喫緊の最重要課題で
ある景気回復に対するアベノミクス推進体制の評価に関しては、明日の大発会
の株式市場が客観的に評価してくれます
よ。


> なるほど!
> 「市場機能」を利用して、「主観」を「客観化」する訳ですね!
> 上がりますかね…明日…?


何度も言う様ですが、私は期待しています…安倍新政権にね!



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コメント (7)

◇車はガソリンで動くのです?~自民安倍総裁インフレ目標3%を主張

2012-11-09 | 経済学


MOBIL

> また、随分と古いCMですね、Bro?


1971年頃放映されていたCMなので、私は未だ小学生かなぁ…?
中学時代にフォークソングが全盛期を迎えましたから。

> 「ガス欠で動かない車」って何か意味あるの?


「金欠で動かないデフレ経済」をイメージしてみました。

> おっ、成程、デフレの仕組みは、前々回の寓話で説明しましたよね。
> 需要側(国内)の資金量が減少すると、デフレ圧力が高まるのは理解できま
> した。


▼◇なぜマクロ経済学が必要なのか?~人は皆、経済学者である
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/defbcdb96906391ac59cd13a14187434

> でも、日銀は継続的に金融緩和を行っていて、言わばガソリンタンク(日銀)
> には、お金が満タンにある状態ですよね。
> それで何故、自動車(日本経済)は動き出さないの?


当然、エンジン(需要)が動いていないからですよ。
いくら、ガソリン(資金)だけ満タンでも、エンジン(需要)が駆動しないと
車は動き出しませんよね。


> そうか、前回の寓話では、政府の公共投資によって、資金を循環させる話
> しましたね。
> まず、エンジン(需要)に点火(投資)して、エンジンが回り出す様に、景
> 気付けないと駄目なのですね。


▼◇アダム・スミスに罪を問う~資金循環に関する寓話
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/5ad39fafd447daeacc082c8324cb4cbc

エンジン(需要)が回り出して、景気が良くなってくれば、放っておいても民
間投資が活発化します
から、車(日本経済)は動き出すのです。
後は、アクセルを踏んでスピード(経済成長)の調整をすれば良い。

> そう云えば、自民党の安倍総裁が「インフレ目標3%」を主張したそうです。


▼インフレ目標3%を主張…自民・安倍総裁
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121108-OYT1T00529.htm?from=ylist

> リフレ政策の是非については、今だにハイパーインフレの発生を危惧する人
> が居る様ですね?

日本経済はロケットエンジンを搭載している訳ではないですからね!
行き成り、成層圏を突き抜けてしまうかの様な心配は必要ありません。
それ以前に、インフレを鎮静化する方法は在りますから。


> でも、日本経済は度々エンストしてしまう中古車ですから、財務省あたりの
> お役人は、バッテリー(財政)が干上がってしまう心配をしている様ですよ?


▼自民を牽制? 財務省「公共事業拡大は困難」と提言
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121107/fnc12110712130007-n1.htm

だからこそエンジンを回して、バッテリーチャージ(財政再建)してやる必要
があるのではないですか。
このまま、デフレを放置している方がむしろ危険です。
福祉予算ばかり肥大化させては、確実に破綻します。

> う~ん、でもこの20年来、何故こんなにエンストが多いのでしょうかね?
> かなりオンボロ車になってしまった様な気がします、日本経済は…。


財政破綻の問題については、2年前にも議論しましたよね。
その際の結論では、日本経済は未だボロ車ではない、と云う事でした。


▼◇日本はいつ財政破綻するか?~お金に支配される社会について考えてみる
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/671d17f37de688824542c83e795b4e4b

この論点はその後、経済評論家の三橋貴明さんなどが、さらに日本経済全体の
マクロのバランスシート
を示して、詳細に説明してくれています。


▼家計簿的発想で「国家のバランスシート」を見るなかれ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20100816/215789/

> 成程、この論説は、Broの主張を補足強化してくれていますね。
> では、今の日本経済に補強・修理が必要な欠陥などは無いですか?


否、実はガソリン(資金)の循環系にガス漏れの心配はしています。
「巨額の不良債権の穴」の方は、小泉政権時代に竹中大臣が補修しましたが、
リーマンショック以降、「超円高」が続いていますから…。
つまり、海外に資金や雇用が漏れ出す心配が大きいですよね。


▼◇財政政策の効果を棄損するもの~米五輪ユニホーム騒動からの考察
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/ff7fc11aaf1dfb09c15d7bc0e9a4e284

▼◇クラウディングアウトとマンデルフレミング効果について
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/ad24eda3a9493f7771336a57a12b5d8c

本稿では、日本経済の現状を自動車の仕組みとの対比で説明しようと試みた訳
ですが、結局、日本経済は自動車の様に「閉鎖系」ではないのです。
海外から資金や財・サービスが流入したり、流出したりする「開放系」です。
ここを見落とすと、間違える恐れがあります。

> 自動車よりは、「人体の仕組み」に近い?

そうですね、デフレを「ガス欠」で説明するより、「貧血」として説明した方が
明解かもしれませんよね…。

> では、デフレは血液の不足と循環不良になりますから、血液(資金)が回ら
> ない細胞群(企業・失業者)は、壊死してしまう話になりますね。。。


う~ん、やはりその寓話は「怖すぎる」かもしれません!
「のんびり」歩いてはいられないのです、デフレ脱却は。

コメント (4)

◇アダム・スミスに罪を問う~資金循環に関する寓話

2012-11-02 | 経済学

Adam Smith, 1723-1790年

> 今回は、近代経済学の祖-アダム・スミスのお話ですか。
> 前回話した、マクロ経済学の父はケインズでしたよね、Bro?


その通りですけどね、でもむしろ私は過去の偉大な経済学者達の思想を、一旦
忘れて欲しいのですよ。
「人は皆、経済学者である」と前回タイトルの副題に書きましたが、偉大な思
想家達の主張を鵜呑みにする事は、反って現状理解の妨げ
にもなりますから。
前回は、「需要と供給」と云う表現をなるべくしないで、「資金量と資源量」
云う概念を使って寓話を説明したのも、その様な意図からです。

▼◇なぜマクロ経済学が必要なのか?~人は皆、経済学者である
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/defbcdb96906391ac59cd13a14187434

> 成程、そう言えば「持続可能な経済」などと云う言葉は、ケインズの書物に
> は出てきませんね。
> 一方で、「デフレ経済下の二重構造」の話などは、マルクスの「階級分化」
> 彷彿させるものがあります。


端的に言って、ケインズの時代は未だ「金本位制」で貿易を行っていた時代
のです。従って、世界全体の貿易額は「金の保有量」と云う「資金量」の制約
を受けていました。勿論、金と通貨の交換レートである「平価切上げ・切下げ」
の問題は、為替相場の変動問題に帰着します。

> 現代の変動為替相場制の様に、日々乱高下するものではない訳ですね。
> 通貨供給量の問題を複雑にするのは、為替相場の変動があるからだし…。
> マルクスの時代には、失業保険も生活保護も無いですしね。


ところが、驚くべき事に、最も古い18世紀のアダム・スミスの経済思想は、
21世紀の現代でも大いに健在
なのですよ。
米大統領選でのオバマ大統領とロムニー候補の論戦を見ても、共和党のロムニ
ー候補はアダム・スミスの主張を繰り返しています。



> レッセフェール(自由放任)と「小さな政府」論ですね。
> 「神の見えざる手」に導かれて、自由市場は自律的に均衡するとアダム・ス
> ミスは考えていましたね。


19世紀になって、アダム・スミスの経済思想を数学モデルを用いて集大成し
たのがワルラスです。
彼の一般均衡理論は、アダム・スミスの言う「神の導き」
を数学モデルを使ってより美しく表現したので、信心深い学者は数学モデルの
中に「神の声」を聞くようになりました。

これ以降、経済学者には「不況に喘ぐ失業者の声」は聞こえなくなったのです。

> 「神の見えざる手」は、あくまで比喩であって、自然の法則を表現したもの
> でしょう?


18~19世紀の西欧の人々にとって、「自然の法則」とは「神の意志」の事な
のです。だから、神が示す「普遍的な真実」なのだと考えられていました。

20世紀初頭のアインシュタインでさえ、「神はサイコロを振らず」と言って、
量子力学の不確定性を認めようとしませんでした。
確率的な要素と云うのは、あくまで人間の知識不足に由来すると信じていた。

> もしや、「神の見えざる手」には確かな科学的根拠など無いの?


そもそも、市場原理は「自然法則」ですらなく、むしろ「心理法則」とか「道
徳法則」に近い
ものです。

> そう言えば、アダム・スミスには、有名な『国富論』以前に、『道徳情操論』
> と云う著作が在りますね。『国富論』があまりに有名なので、忘れていますが。

そう、『道徳情操論』アダム・スミスは、「公平な観察者の視線」云わば「神
の眼」が、人間の行動に規律とモラルを与える
と云う意味の事を書いています。
「理性的な人間」つまり「合理的な経済人」がレッセフェール(自由放任)の
思想の前提として在る
訳です。


> では、市場原理主義者ハイエクの「反理性主義」とは、前提が異質ですね?

そうですね、『国富論』はアメリカ独立の年に出版されて大好評を得たらしいで
すが、おそらく政府の経済干渉を嫌うレッセフェール(自由放任)の思想が、
イギリスから独立を勝ち取った、自由の国アメリカの人々の心情を掴んだ
ので
しょうね。アダム・スミスのレッセフェール(自由放任)はアメリカに渡って、
よりリバタリアン的に変質したのかもしれません。


> でも、「市場原理」の根底にキリスト教的な合理的道徳価値観が在るのだとす
> れば、これを一般化して現代の日本経済に適用するなどは危険ですよね?


そもそもキリスト教国でもない日本では、貧しい人々の救済のために、自主的
に寄付をする様な慣習などは根付いていないでしょう?
この様な道徳的価値観が無いまま、「小さな政府」論だけ「好いとこ取り」して
も、弱者切捨ての殺伐とした社会にしかならないはずです。
それは、本来のアダム・スミスの思想とは異なります。

> う~ん、そうですね…。


ここで再度、例え話を一つしましょう。
小さな島に無一文の「失業者」と、販売不振に悩む「たこ焼き屋」と、大金を
蓄えて別荘暮らししている「資産家」
が住んでいるとします。
小さな島の経済は不景気です。


> 「資産家」は「たこ焼き」を食べないのですか?

彼は別荘で自炊していて、「たこ焼き」は嫌いなのだと仮定して下さい。


> では、この島の経済は成立しませんよね。
> あっ、そうだ、「資産家」がキリスト教信者で、「失業者」に寄付を与えれば、
> 彼は、そのお金で「たこ焼き」を買って食べられます!


「失業者にお金を与える事は、彼の労働意欲を損なう」と、「資産家」は考えて
います。


> じゃ、失業者は「たこ焼き屋」で雇ってもらうしかないですね。
> でも販売不振では、「たこ焼き屋」も人は雇えないか...?
> これでは、全くのお手上げです!


では、この島に「お役人」を派遣しましょう。
彼には、島の経済活性化のために、政府の全権が与えられています。


> おっ、それでは早速、失業給付金を支給しましょう。
> これで「たこ焼き屋」も、商品が売れますね!


でも、「お役人」には政府の全権があっても、お金はありません。

> えっ、お金は「資産家」の所にしか無いのなら、ここに課税して取上げる
> かないですよね、でも突然現れて乱暴だなぁ...!


まぁ、当面は国債を発行して「資産家」に引受けてもらう事にしましょう。

> でも、いずれ課税しないと償還できませんね。
> そうだ、「たこ焼き屋」は売上を得たので、税収があるはずですよ。

いずれにしても、給付金から発生した税収では、国債の償還はできません。
仮に「たこ焼き屋」の売上の全額を納税させても、国債の金利は払えませんか
らね。

> やはり、消費需要ではなく、投資需要を発生させないと経済発展は無い!
> でも、「資産家」が当初から投資していれば、「お役人」は要りませんね?


不景気で、それが無いから「お役人」が派遣されたのですよ。
まず、島のインフラ整備公共事業として行いましょう。
「たこ焼き屋」の便宜のために漁港を整備します。
再び国債を発行して、「資産家」に港湾整備事業を発注しましょう。


> 「資産家」に「失業者」を雇用させる訳ですね。
> 「失業者」は職を得て、これで安心して「たこ焼き」を食べられますね。
> 「たこ焼き屋」の販売不振も、これで解消します!
> 「資産家」は、事業利益が得られるはずだ。

漁港整備が完了すれば、「たこ焼き屋」の生産性も向上するはずです。
「お役人」も、全員から所得税と消費税を徴収できます。


> でも、この島で流通している資金は、元々全てが「資産家」の貯蓄していた
> お金ですから、結局、国債の償還には足りませんよね?
> 償還期日が来たらデフォルトしてしまいます。


「お役人」通貨発行権が有れば、経済成長に応じて通貨供給を増やせば良い
のですが、無ければ、再度国債を発行して借り換える事になるでしょうね。

> 何か、経済成長と伴に、国債発行残高が増えて行きそうですね!
> 国債発行残高には、制約条件が必要な気がしますけど?


名目GDPと通貨供給量と国債発行残高の間には、一定の関係が在ります。
これを管理するのが、日銀の役割なのです。
あと、国債を発行して漁港を整備した訳ですから、これらの資産価値の評価
大切でしょうね。

> そうか、「円建て」で国債発行している限り、デフォルトは原則在り得ませんでし
> たね。
> 後は「港湾整備村」とか、「バラマキ」とか非難されなければ、「お役人」
> 任務は完了ですが...。


最大の問題は、「それ」なのです…実はね!


▼クルーグマン「財政出動と金融緩和が必要」(ノーベル賞学者) 2012/4/30


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◇なぜマクロ経済学が必要なのか?~人は皆、経済学者である

2012-10-26 | 経済学

> 今回は、久しぶりに経済学がテーマですね!
> Broが以前話していたとおり、9月以降、景気の下降が顕著な様子です。
> 生活保護受給者も増加を続けているみたいだし、いよいよデフレの深刻化は、
> 末期的な段階に突入しつつあるのではないでしょうか?


▼◇今年の流行語大賞は『売国奴』?~マイナスサム社会の世相日記
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/d6765ceb13c477baeac0c83a99ece90b

誤解を受けないように言葉尻を訂正しておきますが、デフレと云うのは単なる
不景気なのではなく、対策も何もしないで放置しておいて、自律的に回復する
様な経済現象では無い
のです。
末期的も何も、悪くすれば倒産企業と失業者とがどんどん町に溢れて行って、
最期には、国民経済を壊滅させるぐらいの破壊力があります。
だから、怖いのです。

> う~ん、ようやく政府も事態を重く見て、緊急経済対策を模索中みたいです
> が、何分財源が在りません。
> 現在の民主党政権は、既にレームダック状態ですから、お手上げですよね。
> でも、海外で生産して、海外で販売している企業などは、未だ元気ですね?

世界全体がデフレな訳ではないですから、モノが売れる国で、利益確保可能な
低賃金で生産できれば、未だ個別の企業としては成長できますよ。
日本で納税していれば日本企業ですが、実態は空洞化していて、ほぼ外国企業
と考えて良い、海外投資の利益を持ち帰っているだけなので、投資銀行の一種
だと考えた方が分かり易いです。


> では、日本法人は製造業ではなく、金融業に分類されるべきですか?


実際には、日本本社で生産や販売の企画を行っているでしょうから、企業分類
と云うのは、なかなか厄介ですけどね。
しかし分配面で企業を見ると、結局日本国内で雇用する少数の従業員の給料と、
納税でしか日本経済に寄与しません
から、国内の規模はかなり小さいですよね。

> 世界市場における販売額だけを見ていても、日本経済への貢献度は測れない
> 訳ですね!


一流企業の経営者の多くは、法人納税額を基準に国への貢献度を評価しますが、
実際には、国内の従業員への支払いが、その後国内の消費需要や給与所得税等
に変化して、波及効果を生み出している
事までは考えていません。
日本全体のマクロ経済ではなく、自社の経営、つまり一企業のミクロ経済が、
彼ら自身の関心事
ですからね。

> 成程、自分が納めた税金の使い道をアレコレと詮索して、「バラマキ」としか
> 言わない国民と同じですね、政府の財政支出が、結局国民の懐に戻ってきて
> 波及効果を生んでいる所まで考えていない訳だ…。

一番酷いのは、財政赤字を心配して緊縮財政と増税しか頭にない、お役人方
近視眼こそが最低です。
自分達が世の中を不景気にしておいて、税収が減ると、また緊縮財政と増税を
言いだす始末では際限が無い!



> そうか、ミクロな経済現象を全部集計してみても、マクロな経済循環構造は
> 見えてこないですね!


一つ例え話をしましょう。
大きな湖で釣りをしている人々を想像して下さい。
彼らは夕飯のおかずが目的で、のんびりと釣りを楽しんでいます。


> 大量に釣っても、食べきれないので捨ててしまう訳ですね。

そこに、余った魚を買い上げてくれる業者が現われたらどうでしょう?


> 沢山釣って、金儲けする人が出てきますね。
> もし業者の資金量が限られていたら、その内、釣り人達の間で競争も始まる
> でしょう!


この買取業者に資金力があれば、その内専業の漁師が出現して、漁法を研究し、
生産性も向上するでしょうね。
沢山釣って、より沢山収入を得る事、これがミクロ経済的な観点です。

> この場合、生産者競争ですね。
> でも、資金量が一定なら、その内「値下がり」が顕著になりそうですが?

つまり、最も生産性の高い漁師が「安く」販売できるでしょうから、買取業者
側は、彼から「大量に」購入する事を望むでしょうね。
このゲームの最期はどうなると思います?


> 最も生産性の高い漁師が勝ち残って、他の漁師は買ってもらえなくなります。

その前に、その最も生産性の高い漁師は、画期的な漁法を発明するでしょう。
つまり、湖の魚を全て丸ごと網で漁獲する漁法ですね!


> えっ!そんな事したら、もう魚が居なくなって、漁ができないじゃん!


それが、ミクロ経済的な終末でしょうね。資源の枯渇です。
このゲームを持続可能な経済にするには、どうします?

> 政府が競争に介入して、漁獲制限する必要があります。
> 湖の魚の総量が安定的に維持できる水準以下に、漁獲量は制限されますね。

資金量と資源量に限度があれば、おそらく生産性の高い漁師達が少数で組合を
作って、お互いに漁獲量を割り当てつつ、安定価格で漁を続ける事でしょうね。

> 結局、マクロ経済の観点から政府の介入が必要で、そうすると生産者競争
> 制限されて、生産性の向上も低下する訳ですか…?


もし、何らかの事情で、買取業者の資金量が減った場合どうなりますか?

> 漁師達は供給量を減らすか、または再び「値下げ」合戦の始まりですね。

つまりデフレ経済です。
価格低下と販売不振に耐えられない漁師から、漁を辞めて行くでしょう。

> 結局、マクロ経済全体が縮小しますね、失業者が発生します。


あなたが漁師だとして、この窮状をどの様に打開しますか?

> 当然、新たな買取業者を探しますよね、なるべく資金力のある。

隣のもっと大きな湖に、豊富な漁業資源と需要とを発見したら?


> 勿論、生産拠点をそちらの湖に移します。
> 投資する資金の蓄えがあればの話ですけど…。


結局、生産者は成長市場でのビジネスを望む訳です。
その方が、投資の費用対効果が大きいですからね。
需要も資金も無い所では、いくら腕の良い漁師でも、精々夕飯のおかずを釣る
事で満足するしかありません。


> でも、最初の湖の方でのデフレ経済の話に戻りますけどね、買取業者が資金
> 量を減らしても、結局、価格低下で元の需要量を満足できるなら、どんどん
> 運転資金を減らしますよね。でも、生産者が無くなると、供給も途絶える訳
> ですから、どこかでデフレの進行は止まるはずですね?

国内の生産が壊滅したら、輸入に頼れば良いので、やはりデフレは止まりませ
んよ。
金持ちは海外投資からの収益がありますから、国内のデフレは物価が安
くなって歓迎かもしれませんね。さらに円高だと、海外投資の旨みも増すし。
問題は失業者達、そして増大する福祉予算と税収減少に悩む政府の方です。
デフレ下では、国内経済が二重構造化して行きます。
つまり格差社会が顕著になって、社会不安が拡がるのです。

> デフレ経済の対策は、ミクロ経済学では不可能なのですか!


ここに書いたのは、解り易く単純化した寓話ですから、実際の経済現象とは異
なりますが、是非理解して欲しいのは、マクロ経済学の重要性なのです。
これを使用する人々は、主に経済官僚達ですが、現在の日本では世論が官僚を
総攻撃するので、まっとうな官僚までも想う様には仕事ができません。

マクロ経済政策は、経済全体の最適性を主眼にして対策を考えるので、一般の
家計、企業会計、財政の様なミクロ経済の感覚からは、一見逆転した、奇異に
映る政策も多く、解り難いのです。
結局、国民一般がマクロ経済学の重要性を理解しないと、問題解決が進まない。


> 経済現象では、「1+1=2」では無いのですね?

そう、「1+1=3」も「1+1=0」も在り得るのが経済現象です!
各個のミクロな部品を最適化しても、全体のマクロな機械が上手く動く訳では
ありません。

デフレ脱却が目的ならば、マクロ経済の視点から経済現象を眺めてみて下さい。


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◇クラウディングアウトとマンデルフレミング効果について

2012-07-20 | 経済学

> 前回は、円高環境下で進展する「産業空洞化」によって、財政政策の波及効
> 果に「水漏れ」が生じる可能性を考察してみました。


▼財政政策の効果を棄損するもの~米五輪ユニホーム騒動からの考察
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/ff7fc11aaf1dfb09c15d7bc0e9a4e284

今回は、同じ「財政政策の効果を棄損するもの」と云うテーマで、もっと一般
的に議論されている要因の影響を考えてみましょう。


> まずは、アダム・スミスの時代から議論されてきた「クラウディングアウト」
> についてですね!

そう、小さな政府を理想として「夜警国家」の概念を唱えたアダム・スミスの
時代から、政府活動による「民業圧迫」と云う考え方は既に存在していました。


> 本来、民間部門で活用するはずであった資金を政府が吸い上げて、財政支出
> に用いる事は、民間の経済活動を阻害する行為だと考えた訳ですね。

資金量が一定で、民間がこの資金を積極的に活用したいと考えている経済状況
であれば、この主張は正しいと考えられますよね。

> 今の日銀は、金融緩和政策を継続しているにもかかわらず、「民間に資金需要
> が無い」と言って困っている実情ですからねぇ…。
> 当分の間、クラウディングアウトなど起こりそうも無いです、実際。


本当は長引く不況で消費者金融に対する潜在需要は有るはずなのですが、先の
規制強化によって「貸出規制」されてしまっていますから、顕在化しないのです。

> なるほど、代わりに生活保護が激増してしまいました。


そもそも、クラウディングアウトは民間投資が活発に動いている経済状態、つ
まり「完全雇用状態」において議論されるテーマなのです。

現在の様なデフレは、民間投資が動かない事が原因で生じる問題ですから、当
面は論外なのだと理解できると思います。


> 2番目の「マンデルフレミング効果」って何ですか、Bro?

1999年にノーベル経済学賞を受賞したロバート・マンデルと、ジョン・マーカ
ス・フレミングによって作られた経済モデルによって、導かれた経済効果です。
この「マンデルフレミングモデル」では、変動為替相場制の下で、財政政策の
効果は通貨高による輸出減少によって相殺されてしまう事と、むしろ金融政策
が有効に働く事が示されています。



> えっ?
> では、財政政策は効果が無いんですか?


「輸出減少によって相殺されてしまう」のです。
つまり、財政政策自体は有効需要を増大する効果を生じます。

> でも、輸出の減少が、増大した有効需要を減らしてしまうのでしょう…?

「通貨高」、つまり円高を通じてね。


> …円高なんて、今でも生じてますよね…???

そう、財政政策が金利を上昇させて、それが円高を誘導する前提なのです。
財政政策が金利を上昇させる効果を生じるのは、ケインジアンのIS-LM分
と同じです。そもそも、「マンデルフレミングモデル」はIS-LM分析を前
提にしています
からね。

> では、変動為替相場制の下で「金利上昇が円高を誘導する」と云う条件が、
> モデルに追加された部分ですよね?

そう、「マンデルフレミングモデル」は、IS-LM分析を開放系(自由貿易環
境)に拡張して作られた経済モデル
なのです。


> でも、「金利上昇が円高を誘導する」と云うのは、何か我々の経済実感と異な
> りますよね…今の日本は、「低金利下の円高」が常態化しています。
> スペインなどでは、「金利上昇でユーロ安が深刻化」しているし…?


そう、資金の動きが教科書どおりの市場原理とは異なりますよね。
通常は「マンデルフレミングモデル」の様に、高金利を求めて資金が動くはず
ですが、今はまるで資金がリスクから逃げる様に、低金利の方へと動きます。


> なるほど、つまり「国際金融市場の不安」を反映した動き方ですね!

国内で云う「銀行取付騒ぎ」の様な集団心理が働いている訳です。

> 「欧州ソブリン危機」の影響下にあるのですね…国際金融市場は。


ミクロの経済主体は、各々リスクを回避する合理的行動を選択している訳です
が、結果的にマクロで見ると危機を深刻化する様な効果が生じています。
一種の「合成の誤謬」と云える状況かもしれません。

> 結局「マンデルフレミングモデル」も有効ではないみたいですね、現在の国
> 際金融市場の環境では。


コメント

◇財政政策の効果を棄損するもの~米五輪ユニホーム騒動からの考察

2012-07-13 | 経済学

> もうすぐロンドン五輪開幕というのに、米議会ではここに来て五輪選手団の
> ユニホームについて騒動が起こっている様です!


▼米五輪ユニホームは中国製 「全部燃やせ」大統領選にらみ政治問題化
http://sankei.jp.msn.com/london2012/news/120713/otr12071315300002-n1.htm

米国製造業のプライドの問題もあるのでしょうけど、世界的なデフレ環境下で、
欧州に限らず、米国でも雇用問題は深刻ですからね。
騒ぐ気持ちは理解できます。

> でも、本家グローバリズムの米国の議会での騒動ですからね!
> 何か奇妙な感じがします…。


リーマンショック後の現在でも、未だ米国がグローバリズムに固執していると
考えるのは早計だと思いますよ。
米国では既に保護主義勢力が台頭して来ています。
だから日本のTPP参加についても、慎重な姿勢です。

> そう言えば、自動車などの特定分野では貿易摩擦が再燃している様ですね。
> TPPは既に「ブロック貿易体制」だとの意見も聞かれます。
> グローバリズムの理念は、どこに隠れちゃったのでしょうか…?


結局、グローバリズムの恩恵は、産業資本ではなく、金融資本において大きい
と云う事です。市場原理がより有効に機能しますからね。
産業資本の場合、生産設備はともかく、労働市場がグローバル化できない限り、
その効果は限定的です。結局、国際競争力に大きく影響してしまいますから。

> 労働市場が閉鎖的な日本の産業にとって、TPP参加は不利との結論ですか、
> でも、日本は資産国なので、全体的には有利ですよね…?

日本の資産は、そのほとんどが低金利の日本国債に化けていますからね…。
真に有効な活用がされているとは言い難い。
米国の様にフロンティア精神の旺盛な国情でも無いし…特に、戦後はね…。

> う~む…。
> 円高環境下でのTPP参加は、日本の金融資本には有利だと想うのですが?

現代の生産要素は、土地・労働・資本そして情報ですからね。
ネットの時代になって、情報と資本は完全にグローバル化しています。
しかし、土地と労働のグローバル化は困難です。

尖閣諸島を中国に売り払う訳には行きませんから。
結局、土地集約的、労働集約的な産業にとって、円高環境下でのTPP参加は
不利になります。


> なるほど…。
> ところで、日本の五輪選手団のユニホームは中国製ではないでしょうね?

JOC公式パートナーのミズノ、アシックス、デサントの3社から提供される
みたいですよ。


▼ロンドンオリンピック日本代表選手団のオフィシャルスポーツウエアを発表
http://www.joc.or.jp/news/detail.html?id=1568

> いやしかし、これら3社の生産工場は日本国内に在るのでしょうか?

3社とも国内に生産工場を持っていますが、中国や台湾などにも生産拠点が分
散していて、原材料なども含めると、やはりサプライ・チェーンをグローバル
化させています。
結局、IBMのパソコンが中国で組み立てられていて、その中身を覗くと、世
界中の多種多様なメーカーの部品から構成されているのと同じ事で、既に工業
製品は、その大多数が多国籍化
していますよね。

> 「国産」と云う言葉自体の意味が、既に変質してしまっている訳ですね!


そう、日本でも円高が顕著になった80年代以降は、生産拠点の海外展開が進
んで、「産業の空洞化」が懸念される状況になりました。
結局、国内製造業の売上が伸びていても、それが直接的に雇用を生み出すとは
限らない
のです。
付加価値の多くが海外の所得に移転されてしまう事態は生じているはずです。

> では、日本でグローバル化が進展した80年代後半のバブル期以降は、財政
> 出動しても、その国内産業への波及効果は、かなり海外に「水漏れ」してい
> た訳ですね!


その可能性は大きいですね。
90年代の日本の財政政策の効果が、期待どおりに顕在化しなかった理由は、
通常「巨額の不良債権」の存在で説明されているのですが、どうもこれだけで
は説明不足な気がしていました。
産業連関分析をグローバルな視点で行って、この点を再検証してみる必要があ
るかもしれません。


> 消費税増税を前にして、これから財政出動によるデフレ脱却の試みが始まろ
> うとしています。
> 我々の血税を、効果的に国内雇用の創出に繋げるためにも、是非この点の再
> 検証を実証的に行ってみて欲しいですね。
> 貧乏な財政を支出する訳ですから、確実に景気浮揚効果を招来させて、最終
> 的に「緊縮ではなく、税収増による財政再建」を達成する必要があるのです
> から!


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◇成熟社会の大ヒット商品とは?~小野経済学入門

2010-08-12 | 経済学
> Bro,ケインズ経済学のエッセンスはどうしたの?
> 今日のテーマは,ケインズだったはずですよ。


やっぱりね,面白くないかもしれないので,急遽方針を変更しました。


> どうして?
> ケインズの名前を知らない人は,ほとんど居なくても,その経済理論とな
> ると,専門外の人では知らない人も多いと思いますよ。
> エッセンスだけでも,分り易く整理すれば,読む人は多いと思う。


最初その様に考えたのですが,流石にケインズ理論を一般向きに解説したWeb
サイトや書物は,沢山ある事に気が付いたのですよ。
もし,読みたいのなら,あのノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン博士
が解説したものを,山形浩生さんが邦訳している,このサイトがお勧めです。

ジョン・メイナード・ケインズ『雇用、利子、お金の一般理論』解説
  URL:http://cruel.org/krugman/generaltheoryintro.html


> なるほど,難解な理論の読書案内には良い解説ですね。
> でも,まったく専門外の人には,少し難しいかも?

今さら,有効需要原理だの,乗数効果だの,流動性選好説だのと説明してみて
も,知っている人には退屈なだけですよ,おそらく。
もっとも『流動性の罠』の話は,近年の日本の経済状況を考える上で復習して
おくべき事柄かもしれません。

> じゃあ,今日のテーマは何なのです?
> 成熟社会の大ヒット商品??


ケインズの経済理論が,現在の日本のデフレ状況の解決に,どこまで有効か?
きちんと考えてみる必要があると思ったのです。

> なるほど,前々回の高橋財政の議論の際に,社会状況の変化について少し
> 触れていましたね。経済政策の有効性や効果に違いがあるかもしれないと。
> そう言えば,財政政策の乗数効果については,はっきりと否定する論者が
> 多いですね。特に経済学の専門家に多い様ですが?

ええ。私も当初,その様な意見の経済学者は,市場原理主義の立場に立ってい
る人達だと考えていたのです。そもそも政府の介入を有害だと考えていますか
らね,市場原理主義者の場合には。
しかし,以前にも話した通り,そもそも1990年代の日本の財政政策が,なぜ期
待通りの効果を達成できなかったのかを,きちんと検討してみる必要があるの
です。


> Broは,巨額の不良債権の存在が当時の金融政策の効果を無効化した事と,
> 今日の様な豊かな社会では,収入の増加が直ちに消費や投資の増加に直結
> するとは限らない点を主張していましたよね。不良資産や負債などがあれば
> その改善を優先する場合も考えられると。

そうなんです。そもそも大多数の人々が貧しくて消費意欲が旺盛な社会と,バ
ブル後の日本の社会の様に,大多数の人々が豊かで,基本的な生活物資や消費
財が充足している社会とでは,需要の行く先が異なる事は容易に想像できます。

> 「豊かな社会の需要の行く先」=「成熟社会の大ヒット商品」と言う訳で
> すか。何なのです,そのヒット商品とは?


それは「お金」の事です,菅総理のブレーンの小野善康先生の説明によると。
確かに,慢性デフレの低金利下では,流動性に対する選好が高まる事は,ケイ
ンズも指摘していた事なのですけどね。

> 物価や,株や土地などの資産の価値が下落するので,相対的に現金や預金
> などの「お金」の価値が高くなる訳ですね。分り易いです,そのお話は。


多くの人々の需要が,消費財ではなく「お金」そのものに向かい,「お金」に
執着する結果として,消費がさらに冷え込んで,デフレが一層強化される事に
なります。投資よりも貯蓄が過剰になりますからね,デフレ・ギャップを生む。

> でも,低金利なのだから,企業は,その様な遊んでいる資金を効果的に吸
> い上げて,再投資に振り向けるはずではないですか?


充分豊かな成熟社会では,その様な投資効率の高い,効果的な投資先が少ない
事も特徴らしいです。それよりも,遊休資金を集めて,借金の借り換えや,バ
ランスシートの改善を行う方が効果的である場合が多い。

> なるほど,需要が少ないと,財テクの方が有利ですか。それも,分り易い。


結局,充分豊かな成熟社会では,慢性的に需要の不足が生じていて,有効な投
資先が少なく,デフレ圧力が強いために,「お金」を保持する事が有利になって,
人々は「お金」そのものに執着する。その結果として,ますますデフレを強化
してしまうと云う,デフレ・スパイラルに陥って,不況からの脱出が困難にな
っているとの事です。

> でも,デフレ不況を放置しておくと,失業者が増大していって,ますます
> 購買力が縮小して,デフレは深刻化して行きますよね。企業の倒産も増加
> するはずだし。どうすれば良いのです,財政政策も効果的ではないのなら?


政府による「雇用創出」が最も有効であるとの事です。小野先生のお話では。
もっとも,これにも財政支出が必要ですけどね,目標が若干異なる。
でも,非自発的失業者の場合,消費性向も高いはずですから,財政政策の有効
性も担保されますよね。何よりも,そもそも失業対策こそが,政府の経済政策
にとって,最も大切な目標なのだと云う意見です。小野経済学では。

> う~む,結局行き着く先は,ケインズ経済学と同じ気がするのですが?
> どこが違うのでしょうか,むしろ?


最も顕著な違いは,増税の効果に対する見解の相違に顕れると思います。
ケインズ経済学では,と言うか,むしろケインズの後継者であるケインジアン
達の経済学では,乗数効果の重要性を強調するので,その反対の増税によるマ
イナスの乗数効果も大きいと考えられて来たのです。しかし,乗数効果があま
り有効でない前提に立てば,増税によるマイナス効果も小さいとの結論になる。
結局,消費性向の小さい富裕層から徴税して,消費性向の大きな非自発的失業
者などに再分配する政策が,非常に効果的だと考えられる事になります。
しかも,ただ失業給付するだけでなく,介護分野等の民間では投資効果が薄い
分野での雇用を創出すれば,社会保障も強化されて,最も効果的に財政政策を
運用する事が可能になる訳です。


> なるほど,小野先生がご自身を「ケインジアンではない」と言われる理由
> この辺にある訳ですね,やっと理解できました。

小野先生は元来,新古典派の経済学を研究していた様ですよ。
新古典派の不況理論が不完全だと云う想いから,不況理論の研究を続けた結果,
最終的にケインズ本人の経済学に似て来たらしい。
ケインズの「一般理論」における矛盾点も指摘しておられます,小野先生は。

> そのお話も面白そうですね!
> 結局Broは,小野経済学の勉強を始めた訳ですか,ついに。


浅学の私が,ケインズを直接再検討するよりも,小野経済学を下敷きにしてケ
インズを再読した方が,現代的な経済理論も吸収できて,効率的な気がしたの
です。

> じゃあ,また続きを期待して良い訳ですね!
> 現代における「日本のケインズ」は,小野善康先生ですかね。


小野先生が日本人初のノーベル経済学賞を取れば良いですね!
近年の海外の受賞者には不満が多いです,私的には。


コメント

◇今こそ吼えよ達磨さん!~高橋財政に学ぶケインズ経済政策論

2010-08-05 | 経済学
> 前回は,昭和初期の井上緊縮財政がテーマだったので,今回は井上蔵相の
> 後を受けて,積極財政に転じたという高橋是清蔵相について,もう少し話
> して下さい。


そう来ると思って,ネットで動画を探していたら,良いのを見つけたのですよ。
「動いている達磨さんの映像」を見るのは,私も初めてだったので,とても
興味深かったです!

> 「達磨さん」て何ですか?


高橋是清蔵相の愛称ですよ。
この動画をみれば,一目了然です。


 URL http://www.youtube.com/watch?v=bOAa-GN1bHc


> なるほど,高橋財政の解説も付いていたので,良く分りました。
> でも,Broの主張する「ケインズの復権」って,世界金融危機の影響が最
> も深刻だった去年あたりから,世界中でブーム化しているみたいですね?


ええ,去年は私も仕事にどっぷり嵌っていて,世情の動きを良く捉まえていな
かったのですが,今調べてみると,世界的にケインズ経済学の見直しの動きが
始まっている様子です。嬉しい傾向です,私としては!


> 高橋是清蔵相は,ケインズ経済学を学んでいた訳ですか?


いえ,高橋蔵相の経済理論は,自身の実務経験から導いた全くの独学ですよ。
まあ,例の2・26事件で,青年将校達に「達磨切り」に斬り殺された際,
寝室の脇に,発刊されたばかりのケインズの「一般理論」の原書が,読みかけ
たまま置いてあったという伝説も伝わっていますがね。

> へ~え,凄いものですね!全くの独学で,あのケインズと同じ見解に達し
> ていた訳ですか!


だからこそ,「日本のケインズ」なのですよ。
そして,浅学の私がケインズの経済学を信用する理由も,むしろ高橋蔵相の
眼力を信じるが故なのです。実務の達人が,自身の観察眼を基礎にして唱え
た理論だと断言して良いのです。それは宗教でも何でもなく,極めて実際的
な,実用の学問なのです。


> なるほどね。Broの主張はよく分りました。
> そう言えば,Broは学生時代「日本のケインジアンの父」である伊東光晴
> 先生の教えを受けたのでしたよね,確か?


まあ,直接「伊東ゼミ」に入れてもらった訳ではないので,ただ先生の講義
を何度か聞いたに過ぎません。とても面白い講義でしたのでね。
でも,やはり数学モデルを駆使して「力ずくで」説得する姿勢の時(時は,
レーガノミクスの台頭期でしたのでサプライサイダーなどは,けちょんけちょん
でした)には,切れ味とともに非常に反感を感じた事も事実です。


> 経済学は,数学モデルを使うべきではないと?

そうではありません。数学モデル自体が悪い訳ではなく,数学モデルの様な
単純化した,抽象化のプロセスによって,捨象されてしまうものへの考慮
重要性を言いたいのです。経済現象は,もっと人間の集団心理が影響してい
る現象なのだと思います。

> 大衆は,「合理的な経済人」ではないと?

今風に言えば,そう言う事なのかもしれません。
人間は感情の動物ですからね。一人一人が合理的に行動する訳ではありません。

> でも,個々人はそうでも,総体としての人間集団は合理的行動になるので
> はないですか?


個々人の感情の違いは,総体としては「誤差」に含まれる,と言う意見ですか?
それでは,株式市場の様な感情的な動きは説明できませんよね!
議会が一法案を否決しただけで,株式市場がパニックになるみたいなね。

> 一昨年の世界金融危機の時の話ですね,それは。
> でも,あの時の株式市場参加者達は,個々のプレイヤーとしては,とても
> 合理的な予測もしくは期待に基づいて行動したのではないですか?

でも総体として,その合理的期待に基づく行動こそが,株式市場を混乱の深淵
に導いた訳で,全体的には自爆的な集団行動になってしまいますよね!


> 全体的には,不合理な行動になってしまう?
> 合成の誤謬ですか??

一種のね。
気体分子の個々の運動法則を合成してみたところで,決して気象現象の解明が
できる訳ではないと云う理屈と同じだと感じます。
気象現象は,やはり高気圧や前線と云ったレベルで観察してみないと,人間に
とって,意味ある理解はできないと思います。

> やはり,複雑系としての独特の構造的理解が必要ですか?
> ミクロ理論とマクロ理論の相克を考える訳ですね,Broは?


おそらく,ミクロ経済理論の主張する均衡点などは,現実世界に実在するもの
などではなく,もっと多元的に,いくつもの均衡点が存在し得て,その間を
往ったり来たりしている様なイメージが,現実世界の現象なのだと感じています。

人間がそれを実証できるのかは,また別の哲学的問題としてですが。

> 実証できないものを仮定するのは,Broらしくないですね!
> それでは,また宗教的な理論に近づいてしまう様な…?


そうですね…
死ぬ前に一度は,とことん突き詰めて考えてみたい気がするのですが…。


> まあ,良いや。
> 高橋積極財政は,現在でも有効ですか,その意見を聞かせて下さい。

社会環境は,あの時代から随分と変わっている訳なので,注意は必要だと思い
ますが,人間や人間集団の心理に由来する基本的な経済法則は,未だ変わって
いないと思います。
従って,ケインズや高橋是清の「経済現象理解のフレームワーク=経済理論」
は,現代でもかなりの部分が有効であり,少し修正すれば大部分が実用的に
利用できると思います。


> 最後はやはり認識論に戻る訳ですね,「歴史認識の相対性理論」の時みたく!

所詮,「経済現象」と云う「もの」が実在している訳ではないから,ですね。
人間の概念的な理解を,相対的に共有しているだけなのです。
客観的認識のためのモデルに過ぎないのです,その本質はね。


> 結局,政治学や経済学の問題って,哲学の問題なのですかねぇ?

その意味では,科学全般そして宗教まで含めて哲学の問題ですよ。
伊東先生の教えで,私が唯一心に留めていたのは「経済学とは規範科学である」
と云う言葉です。当時は理解できていなかったですけどね,その真意を。

> ケインズが「モラルサイエンス」と呼んだものですね。
> 何となく理解できた気がします,今では。


コメント

◇今だからこそ叫ぶ緊縮財政警戒論~井上財政に学ぶ政策不況

2010-07-31 | 経済学
> 今回のテーマは,緊縮財政警戒論ですか?
> 財政再建は日本の喫緊の課題ですからね,Bro!
> 財政削減は,必要不可欠でしょう?
> なぜ,警戒論なのですか?


そんな事ぐらい,分ってますよ!
巨額の財政赤字を抱えて,大勢の目線が財政削減に向いているからこそ,この
テーマを選んだのです。
デフレ下のデフレ政策の危険性について,語る人が少ないでしょ,今の世の中!
菅総理の命運も危ういし。

> でも,財政の無駄をカットして,浮いた予算で国債を減らさないと,いつ
> までたっても巨額の財政赤字は減らないでしょう?
> Broが参院選前に消費税増税止む無しの意見だったのは,現下の財政事情を
> 考えての事だったはずですよ?

財政再建問題の行方を心配しているからこそ,懸案を警戒しているのです。
景気の先行きが不透明で,まだ日本は不況から脱却していないでしょう?
参院選勝ち組の自民党もみんなの党も,景気回復の具体策を後回しにして,財
政削減ばかりを強調している!


> 財政赤字が重しになっているから,景気回復への有効な道筋が立てられな
> い訳ですよね。優先課題は財政削減じゃないですか?


多くの人々が,その様に短絡的に考えるから心配なのです。
国内需要も輸出も伸び悩む中で,財政まで削減したらどうなりますか?
それこそ,GDPがマイナス成長になるだけでしょう?

> デフレを強化するだけだと?


そうです。それこそが「デフレ下のデフレ政策」です。
お役人がタクシー代を節約する事は,その裏側でタクシー業者の収入が減る事
を意味しています。タクシー業者の減収は容認するとしても,その分は別の有
意義な分野の支出に充てないと,日本経済全体のパイは縮小してしまいます。
マイナス成長となれば,税収も減って,ますます財政赤字は膨れるだけです。
以前にも話したとおり,逆効果なのですよ。「政策不況」と呼ぶのです,これを!


> 優先課題は,景気回復だと?

財政の無駄をカットする事には,私も賛成ですよ。
でも,不景気の間は,財政の削減ではなく,浮いた予算を景気対策に充てるな
どして,全体の予算規模を縮小させてはいけません。

> でも,それでは赤字国債は減らないですよね?
> 財政再建は,進まないではないですか?


財政再建は,景気が回復軌道に乗ってから着手する事です。
それまでは,無駄の削減と,浮いた予算での景気回復策です,考える事は。

> その前に,財政が破綻するかもしれない!


財政破綻の議論は,以前したでしょう。
もう少し,日本には時間があると結論したはずです,あの時。
いずれにしても,あまり余裕はないのです。早く不況から脱出しないと!
こんな議論は,ケインジアンの全盛時代には常識だったけれど,小泉改革以来
の経済環境は,むしろ第二次世界大戦以前の資本主義経済に近いと思います。
昭和2年の昭和恐慌から世界大恐慌に至る時期の,井上蔵相の緊縮財政の結末
を再確認すれば,その罪深さは理解できると思います。


> 何ですか,その井上財政とは?

この動画でも見て下さい。

井上準之助 演説「危ない哉日本経済」 1932総選挙

 URL http://www.youtube.com/watch?v=Y7Cg-gWOO-0


> 昭和初期に井上蔵相が緊縮財政を行った事は分りましたが,それがなぜ罪
> 深いのですか?


結果的に,井上緊縮財政こそが,この時期の日本経済の行き詰まりを深化させ
て,日本人を地獄の底に陥れた事実です。

> どうやって,地獄の底から脱出したのです?
> 戦前の日本経済は?


井上緊縮財政の後を継いだ,高橋蔵相の積極財政によってです。
時の高橋是清大蔵大臣は,司馬遼太郎原作のテレビドラマ「坂の上の雲」でも
正岡子規の英語教授役で登場しているので知っているでしょう?
日露戦争では日本の戦費調達のため,あのリーマン・ブラザースの前身会社か
ら巨額の外債募集を成功させましたし,以後,総理大臣や大蔵大臣を何度も歴
任しています。日本のケインズとまで呼ばれた重鎮ですよ。

> なるほど,深刻な不況から脱出するには,財政赤字など気にせず,積極財
> 政を断行する事が大切であると言う訳ですか,Broの意見は?

巨額の不良債権や不良資産などが存在しない限り,これが最も確実な不況脱出
の処方箋です。

> 高橋財政では,どの分野に財政を投下したのですか?

保護主義が台頭して国際緊張が高まっていた当時としては,軍事予算にその多
くが投じられる結果になりました。
しかし,これが波及効果を生じて,経済全般の回復を助けました。

> 結局,ヒトラーがドイツ経済を奇跡的に回復させた手法と同じですよね?


目的は軍事目的でなくとも,その時々の必要に応じて最も必要性の高い分野
選択すれば良いのです,むしろこの際に留意すべきは乗数効果です。

> 医療や介護,代替エネルギー開発や地球環境保護活動などでも,財政支出
> の目的としてはOKですか?

日本経済全般への波及効果が考慮されていればOKです。

> う~ん…井上緊縮財政と高橋積極財政の再検証ですか…つまりは。


それと,1990年代の失敗を繰り返さないための再検証ですね,必要な事は。


コメント

◇ケインズの復権を阻むもの~小声で叫ぶケインズ主義のために

2010-07-28 | 経済学
> 今日のタイトルは,「ケインジアンが沈黙している理由」ではないのですか?
> 前々回,リバタリアンの政治哲学を「理由その1」としていたので,今日
> のテーマはその続きかと?


ええ,「沈黙」とすると誤解を生じるかなと感じたので,表現を少し変えただけ
です。内容を変えるつもりではありません。

> ケインジアンが「沈黙」している訳ではない?

ネットで調べていると,それなりにケインジアン側からの意見も出てきているし,
新刊として出版されている書籍もありましたので,それらに失礼かと。


> でも,あまり目立たないですよね,正直なところ…。
> 目立つ人は叩かれているし!
> だから「小声で叫ぶ」と副題をつけた訳ですか。


そこですよ,問題の核心は!
本来,ケインズの経済学は,現在の様な深刻な不況期にこそ,輝きをみせる
ずのものなのです。でも,現実はそうなっていない!


> ケインズ政策の実現を阻む要因-について考える事になる訳ですね,結局。
> で,その要因の2点目は何なのです?

「1990年代の日本の経験」と呼べば良いでしょうか?
日本経済が最初の大規模なバブル崩壊を経験した,あの後の経済政策運営に対
する,極めて批判的な議論ですね,その実体は。


> 日本経済の今に至る「失われた20年」の起点ですよね,時期的には。
> その時期には,まだ日本におけるケインズ主義は健在だった?

はい。80年代にアメリカでレーガノミクスやサプライサイド経済学が台頭して
きても,日本の経済学界は,これに批判的な意見が主流でした。
90年代に入っても,基本的な事情は同じです。

> つまり,90年代のバブル崩壊後の不況に対して,ケインズの経済学は無力
> だった訳ですか。

少なくとも,その効果に対する意見が分かれる事は事実です。
「期待された効果」との意味で言えば,失敗だったと言えるのかもしれません。


> 日本経済の姿は,この時期に大きく変貌しましたものね,実際。
> 「失われた10年」の言葉は,90年代の日本経済を振返って語られましたし。


この10年間に実施された経済政策が,期待された経済効果を発揮できなかった
事が,ケインズ経済学の威信を大きく損なった点では間違いありません。


> 何が問題だったのでしょう,90年代のケインズ政策では?


まず,金融機関が抱えていた巨額の不良債権の存在が,この時期の金融政策の
効果を無効化してしまいました。

> 不良債権処理と金融再編の問題は,当時よく議論されましたよね。
> 政府による規制の象徴として,「護送船団方式」が批判の的になっていました。
> 政府による過度の保護政策は,金融再編の障害になっていましたし,「不良金融
> 機関はつぶせ」との声が,日ごとに大きくなって行った。

結局,金融の自由化が,この時期に「正義」として認識された訳です。

> ケインズ政策のもう一方の翼である,財政政策の効果は,なぜ損なわれたの
> ですか?


いろいろな意見があるのでしょうが,財政政策がこの時期の景気の底割れを支
えた点では評価できると,私は考えています。
ただ,やはり巨額の不良資産の存在が,期待した乗数効果の実現を損なった
だと思います。


> 収入が借金の返済に回って,消費や投資を充分に喚起できなかったと云う
> 事ですか。

そのとおり。結局,民間需要を喚起できなければ,財政支出は一時的な下支え
の意味しかありませんからね。
つぶれかけた企業の延命を助けるのみで,業界再編などの構造改革の促進を損
ない,財政赤字を膨らませるだけの,愚策として認識されるように変化したの
だと思います。
乗数効果を伴わない,不要な箱ものへの財政支出は,政治家の人気取りのため
の「バラマキ」に過ぎない,と考えられる様になりました。


> 原因は「不良債権の存在」なのですよね,財政政策の効果を損なうのは。

原因が一つだけとは限りませんがね。
「含み損」などの「不良資産の存在」も,民間需要の喚起を阻害する原因にな
る事が予想できます。
この時期に,経済学はそれまでのフロー中心分析から,ストック分析にまで視
野を広げて行きました。

> なるほど,豊かな社会にあっては,収入増が,即消費増に直結する訳では
> ないからですね。自分の家計の実情を考えてみれば分かる話ですね。

また,この時期の財政政策が,一見無駄にも感じる「箱もの」を中心に行われ
た点も批判の対象になりました。財政支出の効果は同じでも,使われもしない
公共建築物ばかりを作っては,結局その後の維持費の増大によって,ますます
財政を圧迫する原因にしかなりません。

> 「目的と効果が重要」だと言う事ですか,財政政策では!

薬にも毒にもなるのです,財政支出の使い方次第では。


> 2点目は分りました。
> 最後の3点目は何ですか,ケインズ政策の実現を阻む要因の。

それは,一流のケインジアンの多くが「官僚」である事です。


> なるほど,Broは以前,「ハーヴェイロードの前提」を話していましたね。
> ケインズ経済政策の実現を担う者は,エリートである必要がある。
> でも,「脱官僚」のこのご時世では,「悪者」の代表格になっていますよね。

日本経済を駄目にした犯人が「官僚達」である,との昨今の論調からすれば,
言葉を替えると,まさにケインジアンが日本経済を駄目にした事になる。


> この不景気に,ケインジアンの声が小さい理由が分りました。
> でも大学の先生や経済評論家にも,ケインジアンは居ますよね?

一流の経済評論家は,それで飯を食っている訳ですから,時代の風潮には敏感
なものです。必然,ケインジアンは減りました,それでないと食っていけない。

> 評論家と云う人種は,「一流であるほど風見鶏」だと。
> 大多数の経済評論家が市場原理主義者である理由は,小泉改革の影響ですね。
> 二流の方が頼りがいあるかもしれませんね,現在の様な改革期には!

残る期待は,大学の研究者達だと思うのです,私は。
今,自信をもって改革を語るには,彼らの力に期待するしかない気がします。

> でも,大学の研究者達の多くは,「経済の実態に疎い」ですからねぇ…。
> それこそ,数式ばかり捏ね繰り回している人々の印象が強いです,私には。
> 結局,Broの様な「超二流」のブロガー達の意見に期待する以外ないかも?


「二流」に「超」が付くと,とても侮辱的に感じるのですけど…。


コメント

◇市場原理主義の欠陥を学ぶ~「欲ボケ社会」に正義はあるか?

2010-07-23 | 経済学
> Bro,前々回の「@くつログ」のハイエク論は,かなり反響があった様子で
> 「経済ブログ村」の人気記事ランキングで1位を獲得しましたよ!
> 今日は既に4位に転落していますが…


もう4位まで転落しましたか!
あそこは,1,214サイトの登録があるので,「競争」も激しいのでしょうね。
でも,沢山読んでもらえると「嬉しい」です。素直に。


> しかし,批判的な意見も沢山ある様子ですよ。
> 巨大な財政赤字を抱える日本では,Broの様なケインジアンは批判の的です!


それは,充分に理解していますよ。
小泉改革で,竹中さんが日本経済の構造改革の旗振り役を行って以来,いつの
間にか日本人の頭脳は,「市場原理主義=正義」であるかのメッセージで洗脳
されていましたから。
この現状を批判しているのだから,反対意見も多いはずです。

> 本職のケインズ派経済学者達は,なぜ沈黙しているのです?
> Broは所詮,本業ではないと云う意味で,ProではなくBroに過ぎない。

3つほど,理由は想像できます。
一つには,アメリカのレーガン政権以来,市場原理主義の背後にある政治的な
思想風土として,リバタリアンの思想が支配的であった事です。


> 何なのです?そのリバタリアンとは?


ハーバード大学の哲学者であるロバート・ノージックなどが代表格らしいです
が,Broな私が説明するより,当代一流の政治哲学のProである,ハーバード大
学のサンデル(Michael J. Sandel)先生の授業を聞いた方が良いでしょう!
この動画を見てみて下さい。

Justice: What's The Right Thing To Do? Episode 03: "FREE TO CHOSE"

 URL http://www.youtube.com/watch?v=Qw4l1w0rkjs


> 英語は苦手なので,良く分からないのですけど…?


キャプションの翻訳を「日本語」にして見ましたか?


> リアルタイムの翻訳では,日本語が変ですよね?

これもやはり「広島弁編」が必要ですかね…
こんな感じだと,分り易いかも?

iPadの説明するけぇ,よう聞きんさい。

 URL http://www.youtube.com/watch?v=bh-sENPLd44


> これ良いですね!楽しく理解できます。
> Broもサンデル先生の授業を「博多弁」で解説して下さいよ!


その内にね…
とりあえず,リバタリアンの政治哲学について概略を述べると,それは「政府
の介入が最小限度に抑えられた『夜警国家』において,国民の自由を最大化す
る事ができる」とする主張と,「人間にとって,自由こそが最も良いものであ
る」とする理念とから成り立つ,思想的立場と言えば分り易いでしょうか?

> 前々回の「ハイエクの反理性主義」にそっくりですね。
> ハイエク経済学の政治哲学版ですか,そうすると?

ハイエクも,リバタリアンの思想系列に位置づけられていますからね,それで
良いと思います。


> ハイエクは経済学の立場から,政府の政策的介入を否定していましたが,
> それを政治学的に見ると,どの様な主張になるのですか?


例えば,タバコに課税するなんて,とんでもない事ですよね!
そんなもの,個人の勝手だと…これには私も賛成ですが。
あとは,シートベルトの強制も,メタボ健診も,売春も,マリファナも,とに
かく人間全てに共通した道徳的価値などは,在り得ないのだから,「政府が規
制を行う事は全て悪い事である」と言う理屈になると思います。
勿論,富める者から貧しい者への所得再分配は,政府による強奪行為だと主張
する事になりますし,失業者は本人が好きで失業しているのだから,これを再
就職させるなどは,政府による強制労働になってしまう。


> う~ん,アメリカらしい考え方ですねぇ,さすがに「自由の女神の国」です!
> 徹底しているので,むしろ感心してしまいます。


そんな具合で,規制緩和と減税政策を推し進めた結果が,賭博場と化した国際
金融市場の姿であり,カジノ資本主義であり,その末路が一昨年の世界金融危
と云う訳です。


> 人間の果てしない欲望とアニマル・スピリットが生んだ世界崩壊劇ですか…
> でも,Broは以前,世界金融危機の遠因は,日本のゼロ金利政策だと言っ
> ていませんでしたっけ?
> ハイエクの経済理論みたいに?


よく覚えていますね,そんな事!
でも,誤解しないで下さいね。
どんなにゼロ金利でも,お金に対する需要が無ければ,バブルは発生しません。
人間のアニマル・スピリットが,お金に対する無限の需要を生んで,規制の無
い事を良い事に,ゼロ金利の資金を金儲けの手段として利用するのです。
資本には目的も意思も存在しません。人間に目的と意思があるのです。
お金は単なる手段にすぎません。

> なるほど,マルクスは資本自体に目的や意思が存在するかの如き議論をし
> ていましたね,だから「唯物論」ですか!


その誤謬は,ハイエクの理論も同じです。資金供給が資金需要を生むかの如き
誤解を犯している。数式ばかりこねくり回すから,小学生でも分る常識が見え
なくなるのですよ。お金が勝手に「借りてくれ」などと言って回る訳が無い
しょ,「貸してくれ」とお願いするのは人間の方なのです。

> マルクスもハイエクも,どこかしら似ていますね?


実証のできない仮定や前提を基礎にして,理論的な整合性を頼りに体系化を行
うから,どこかで誤りを犯すのです。
その意味で,ハイエクの言う「理性の誤り易さ」と云うのは事実でしょう。
しかし,その様に主張する「ハイエク自身の理性が誤っている」事に気が付い
ていないのかもしれません。

> ハイエクの理論に自己矛盾がある

マルクスもハイエクも,「人間の理性を超越した意思の力」を前提にしている
意味で,「思想的に同根」ですからね。

> それは,宗教と云う意味ですか?
> アインシュタインも,かつて「神はサイロコを振らない」と言ったのではな
> かったでしたっけ?


彼は人間の認識能力の限界を知っていたくせに,「唯物論」の立場を生涯捨て
られなかったですからね。
でも,人間の社会は人間の集団が構成していますから,人間の意思次第で創り
かえる事が可能な,「人工的システム」に成りえるのです。
元来は「自生的システム」として発生したものであっても,「恐れず」に「人
工的システム」として再設計する事は可能です。
問題は,それを是とするか否とするか,人間の理性の規範的な問題です。

> まるで「人工授精」の様な,神への挑戦ですね…
> サンデル先生の「これからの正義」について,もっと勉強したくなりました!
> 教えて下さい,Bro!


私の理性の限界まではね…その後は「集団知」を活用しましょうか。


コメント (2)

◇ハイエクの亡霊との闘い~「反理性主義」へのシンプルな批判

2010-07-17 | 経済学
> 「ハイエク」って,誰なんですか,Bro?


簡単に言ってしまえば,「市場原理主義者の教祖」ですよ。
1974年にノーベル経済学賞を受賞し,1991年にはアメリカのブッシュ大統領
(親父の方)から,大統領自由勲章を授賞しています。共和党の思想的支柱
と言っても良いのかもしれません。

> なるほど,ケインジアンのBroにとっては「論敵」なのですね!
> どの様な経済学理論を主張していたのですか?

まあ,この動画でも見て下さい。

 ■ケインズvsハイエク

 URL http://www.youtube.com/watch?v=3EkcQJkudoY


> RAP調で語られると,何か分り難かったのですが,ハイエクはケインズに
> 対して,バブルの発生はケインズの低金利政策に原因があるのだ,とか何
> とか批判していましたね!


そう,彼の1931年の貨幣的景気循環理論においては,理論的な数値である
「自然利子率」よりも,現実社会の利子率が低水準である場合に,過剰投資
が発生してバブルを生じると主張していました。


> なるほど!分り易いですね!
> では,ケインズ流の金融政策によって「政策的な金利水準=自然利子率」
> になるようにコントロールすれば,バブルの発生を予防できるんだ!

しかし,いったいどの様にして,その「自然利子率」を算出するんですか?


> えっ!?
> 理論的に算出可能なのでしょう?
> そう言ったじゃん!Broは今…


「算出可能」とは言ってませんよ,「理論的な数値」と言っただけです,私は。

> じゃあ意味ないやん!利用できなければ!
> 単なる概念的な,想定値なのですね,それは?

理論経済学では「均衡点」と言って,よく使われる概念ですが,正直な話,
理論経済学者と云う人種は,この様な計測不可能な理論値を多用して,抽象的
な議論ばかり行っているので,「まっとうな科学理論体系」を創りだせないのだ,
と学生時代に,個人的には反感を感じていました,私も。
 

> 実証研究が不足している?

そう,実験ができないので,実証が難しい事も原因の1つですけどね。

> でも,それこそコンピュータ・シミュレーションを駆使して,模擬実験を
> 行えば良いじゃないですか!


複雑系と呼ばれる分野で行われていますよ,近年では。
日銀などでも,ケインジアンが行っている様です。
しかし,あくまでモデルそのものが人為的に仮定して構築されるので,現実社会
での挙動をモデルが正確に反映できるのかは,良く知りませんけどね,私も。

> ふ~ん,なるほどねぇ。
> ところで,ハイエクの話に戻りますけど,「自然利子率」が算出不可能であ
> るならば,なぜケインズを批判などできるのですか?
> バブルが発生するとも,しないとも,言えないじゃないですか!
> そんな不完全な理論では。

だから,人間は「余計な事」をしないで,自然で自由な市場の流れにまかせろ
とハイエクは主張するのですよ。
そうすれば「神の見えざる手」が,「自然利子率」へと導いてくれるであろうと
予言してくれています。


> それじぁ,まるで宗教じゃないですか!
> 結局は,「神の御神託」の結果次第では!
> 「出たとこ勝負」の結果論にすぎません,それは。


だから,「市場原理主義の本質は宗教だ」と,私は以前から言っているのです。
しかも,「現実の神」はとても無慈悲です。
弱きを見捨て,強き者を好む。血を見る事が大好きで,人類から永遠に戦争を
止めさせない!
もし現実に実在するならばですが,これこそが「神の本性」なのですよ。


我々人間が,この「邪悪な神」と闘える武器は,「理性の力」しか持っていま
せん。人間は「理性の力」で,「邪悪な神」と闘う運命なのです。
ハイエクの様に,神の前に服従しては駄目です。
理性を捨てて,「邪悪な神」の前に膝まずいた時に,人間は単なる動物に戻って
食料と資源の奪い合いを始め,滅亡する時を迎えるのでしょうね,おそらくは。

> 何となく,言いたい事は分かりました,概よそね。
> Broの主張も,ハイエクの「反理性主義」の哲学も。
> でも,タイトルに書いてあった「シンプルな批判」とは何なのですか?


簡単な事ですよ。
もしハイエクの言う「反理性主義」を認めてしまうと,私の様なシステム・エン
ジニアは飯が食えなくなります。
だから自分達が生き残るための,自然で合理的な理論は,「理性主義」の方です。
「反理性主義」は,人間を自己否定する矛盾を犯すはずだと思いますよ。


> なるほど,背理法ですか…シンプルですね,明快です。


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