「本日も読書」

読書と映画の感想。ジャンル無関係、コミック多いけどたまに活字も。

高熱隧道

2011年05月21日 | comic
吉村先生の作品を読むようになったのは
この作品からなんだよな

黒部の太陽で有名な黒部ダム、の前、黒部第3発電所だっけけかな建設の話。

たしか何年か前の香取慎吾の黒部の太陽のドラマの中でも、あの人、名前忘れたけど
クロサンに働きに出てダイナマイトが自然発火して、腕だか足だか失った人が
いるんだが、そのときの過酷な発電所建設の話

戦時中で電気足りないからというわけで、地元の人も入らない
山奥に発電所をつくるため、山にトンネルをつくろう、と。

現場に行くには断崖絶壁の細い道をとおり、何時間もかけて歩いていく。
麓との往来も難しい陸の孤島。

そしたら掘り進めているうちに、前例のない、高熱に悩まされ、
作業をする人足たちは火傷、建設は進まず、対策を施しても高熱になるばかりで
やがてダイナマイトが自然発火し爆発。

それでも対策を施して進める技術者達。
本作はこの技術者たちが主人公。

度重なる事故に、戦時中とはいえ県警が怒り出し
それでも国策として押しとどめられ
建設を進める

冬になり、それでも建設は進む。
しかし雪崩対策をほどこした宿舎が爆発音とともに「消滅」する。

雪崩か、事故か、しかし消えた宿舎と作業員たちがいつまでたっても見つからない。
そしてある日、宿舎を襲ったのが「ホウ雪崩」では、という意見が。
谷を挟んだ山の向こうの断崖をみたとき、あるはずのない残骸らしきものが…

日本で最も過酷な自然環境のひとつで、多くの犠牲者を出しながら
進められたトンネル建設。
その困難のなかで狂いかけ、あるいは狂い、それでも対策を考えながら
建設を進める技術者達の物語。

最後には感動も無く、ただ呆然と読み終え、これが実話を基にしていることに
なんともいえない記憶にこびりつく、戦慄というか、凄まじいものを読んだ。


高熱隧道 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社

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