「本日も読書」

読書と映画の感想。ジャンル無関係、コミック多いけどたまに活字も。

ぼくらのよあけ 1・2

2012年10月17日 | comic
いまiPhoneを使っている子供たちが大人になったとき、
この世界はどんな風になっているだろう?

そんなお話。
テクノロジーと私たち人間との幸せな未来を描いている。

今井哲也先生の絵ってどこかで見たことあるな、と思っていたら
ハックスの人か!といま気付いたw
そうか途中でアフタヌーン読まなくなったので全然わかってないな。
ハックスも完結しているのかあ。最後まで読んでたっけか?

iPhoneを使っている子供たちが、ある日異星人に出会った。
異星人は宇宙に帰ろうとしていたが、子供たちだけの力では帰せない。
子供たちはいつかこの異星人を返してあげようと誓って、それぞれが大人になって。

大人になった彼らの子供たちが、今度は出会う。
タブレットを使って授業をするのが普通になり、
周りにはオートボットのナナコという人工知能をもったロボットが浮かんでいる。

主人公はナナコと喧嘩しながらも仲良くなって
異星人をなんとか宇宙へ帰そうと奔走。

子供たちのネット時代のいじめを絡めつつも、
このお話はSFなのにすごくほのぼのとしている。
地に足がついたかのような、安心した、こうあってほしいという未来の姿。
希望にあふれ、明るさにあふれている。
テクノロジーを嫌う人がこんなに増えた世の中だけど、
この作品はテクノロジーをとても身近に描いてくれる。

そして大人も子供も普通だ。
普通だけど格好良くて、可愛くて素敵だ。
ハックスのときも感じたが、この先生の作品は人間に失望も絶望もしていないのだ。
日本の多数の人がもうこれから世の中は悪くなっていく、そう思っている。
だからそんな未来の作品ばかりが出てくる。
だけど、と。
この本を読むとなんで俺たちは自分の未来をこんなに悪くなる悪くなるとばかり
言っているのだろう?と思うのだ。

悪い未来を描くことがリアルなのか?
悪い未来を描くことが知的なのか?
悪い未来を描くことが格好いいのか?クールなのか?冷静なのか?

本当にそうか?

この本を読むと泣きそうになる。
こんなに希望を感じて泣かせる本は無い。

私たちは暗い未来ばかりの姿を選択して予想し、想像している。
違うだろ、と。
未来は決まっていないはずなのに。

私たちが勝手に未来を悪く悪くしようとしているのだ。
悪い話ばかりを集め、悪いデータばかりを集めているのだ。

未来を想像するのはもっと自由なはずだ。
もっとポジティブで、明るいデータもきっとあるはずなのだ。
未来には明るい面もたくさんあるはずなのだ。

IPS細胞の山中教授のノーベル賞受賞が「久々の明るいニュース」だと言う。
本当に「久々」だろうか?
たぶんこの瞬間にも新しい発見があって、新しい商品やサービスが生まれている。
その人はノーベル賞はとらないし、その商品は売れるかどうかも知らない。
だけどたくさんのアイディアが生まれているのであれば、
それはとても喜ばしいニュースではないか?
私たちがそれを報じず、そして気に留めない、あるいは勝手に判断を下す。
「それ売れないよ」「それはやらないよ」「それつまらないよ」と。
ただそれだけのことだ。
本当は明るいニュースを勝手に潰しているのだ。

明るくて、優しくて、暖かい未来を想像していい。
この本はそんな気にさせてくれる。

ぼくらのよあけ(1) (アフタヌーンKC)
クリエーター情報なし
講談社


ぼくらのよあけ(2) (アフタヌーンKC)
クリエーター情報なし
講談社

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