「本日も読書」

読書と映画の感想。ジャンル無関係、コミック多いけどたまに活字も。

COPPELION 1~3巻

2009年04月24日 | comic
何気に発売から続けて買っているのですが。
設定とか絵柄とか、なんかガキ向けっぽいなとは思うのですけど、これ放射線とかの問題をよくわかっていてながら、わざとデフォルメしているのでは?と結構思っているのです。

ストーリーは東京に原発作って、それが事故を起こし東京の9割の人間が死亡、東京は立ち入り禁止になり、それから20年経ちました、と。

放射線の影響を受けない身体をもったコッペリオンと呼ばれる女の子3人が自衛隊の特殊隊員として、その東京に降り立つ。東京にいる生存者を助けるために。

廃墟と化した東京を女子校生ルックスの3人が歩くは、自衛隊の幹部や研究員やらがいかにもなキャラクターが濃すぎ、その制服はなんだ、とか、あまりにもモンスターになっている動物とか、3巻あたりではいくらなんでも馬鹿すぎるだろう、首相。みたいなツッコミどころはあります。

だけどね、ちょっと深く考えると「うーん、そうきたか」と。
たとえば東京に原発をつくるってのは、まずありえないでしょ?しかもお台場だよ?だけど、これってまさに現実の日本への皮肉だよね?

あと死者9割だとか、20年後に生存している人たちとか、どう考えるか、なんですが、たとえば実際にチェルノブイリの事故のあと、放射線が残っているエリアに住民が戻って生活していたりするわけですよ。

さらにいえば、チェルノブイリの事故ではいろんな人が数万人は死んだとか言うているのだが、IAEAの報告書では原発事故で死んだ数は一万弱ぐらいだったはず。もちろん国際政治の中でロシアに配慮したりして人数は少なくしているだろうが、個人的にはあれだけの事故、とんでもない数になると思っていた(いや一万人弱でも酷い数だけど)。

しかもチェルノブイリは4月25日に事故を起こして、避難を開始したのがたしか26日だか27日だかなので、放射線をもろに浴びた人はものすげー数だと思うのだが、少なくとも急性放射線障害で短期間に何万という元住民が全滅していない。

まあ田舎だったから、といえばそうまでなのだろうが。
なんかね、作中では防護服とかあるわけですが、20年後の放射線たっぷりエリアに普通の生存者がいる、という事実が馬鹿にできない。いろいろ考えさせられる。


ほかにも3巻でいろいろ出てくるわけですね。
事故直後に避難誘導していた都下駐屯の自衛隊は全滅したはずだ!→いや、生きている?みたいな話。

放射能で汚染された東京に放射能のゴミをおいてしまおう、という話。

政治抗争に原発賛成反対が含まれる話。


科学の知識や謎もちりばめられておりまして。

放射線で汚染されているのに、どうやってこんなに立ち入り禁止の看板いれたんだーとか、今後明かされるのでしょうが。
生存者たちにもいろいろな組織があるようで。

府中競馬場に大量の人骨があるのですが、そのために放射能汚染がより危険にーとか(よく覚えていないが)。

あー、そういえば原発の科学者が生き残っていたんだったなぁ。


まあ、いろいろと読んでいるうちに、これは軽く見ているととんでもないしっぺがえしに合うんじゃないか、と思うようになって、購入が続いているわけですが。

こういう「原発事故起きました、その後」的な話はこれまでもあるにはあったのですが、なんつーか、この漫画はそれらとは一線を画す、妙なリアリティがある。暗い話はありながらも、主人公の委員長がとんでもなく逞しいのですよね。この子、なんでこんなに頑張れるんだろう…と思う。

たぶん、そのへんはこれからの話に出てくるだろうし、あと電力事情が悪くなった日本でこのまま原発廃止ができるのか、という話にもなっていくと思う。
それはひいては「俺ら日本人は電気のない生活をできますか」にだって持って行けるだろう。

少年漫画で初めて「原発」について、感情的にならず、内容が面白いうえ、深く考えるキッカケを与える作品になれるのではないか。

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