栗田工務店 スタッフ ここだけの話

快適な空間づくりをめざす―(株)栗田工務店 この空間では,『歩き遍路日記』『介護日記』『etc・・・な話』を展開します♪

社長の介護日記 ~ お雑煮 ~

2014-06-09 15:31:05 | 社長の介護日記
ここでは、社長 (寺川 勲雄) の介護日記を掲載しております。

 はじまりは2007年ですが、当初のものより順次載せております。この介護日記は、みのりホームの 「ティータイム通信」 にて掲載し続けていたものですが、ぜひこちらでも紹介したく、掲載の運びとなりました。
※今回は、2011年、2月号に掲載の内容です。




「おばあちゃん、オメデトウ」 「・・・・オメデトウございます」 「今日はお正月よ。分かる?」 「・・・・ウン、分かるよ」

大晦日に集まっていた家族もそれぞれに引き上げ二人だけのお正月である。


「お雑煮食べる?」 「ウン、そうするかいねぇ」

昨夜、女房の作ってくれた雑煮のおつゆを温める。さて、雑煮をよく喉に詰まらせて・・・・などとニュースでよく聞く話にならぬ様、お餅は少し固めにすることにした。


1個はおつゆの鍋の中で固さを見ながら、もう一つはオーブンで焼いたものを出す。そして、おせち料理の中から柔らかそうなものを選んでお皿に盛り合わせて、これでいかにもお正月らしいベッドの上の食卓となった。


更にプレゼントされた手製のウサギ一対の人形があって、庭に咲いたサザンカの花もある。


1時間かけて今年最初の食事の終了。心配した雑煮も美味しそうに平らげて間食である・・・・。今年も元気そう・・・・。

10時に 「おばあちやん、お茶にする?お菓子があるよ」 お菓子と聞いた途端、ニコニコと 「ホォ~そぉ」 といい反応。長崎の弟が母親に食べさせてと送ってきた地元のお菓子である。クリスマスから少し甘いものが多めになっているので少々心配ではあるが、ココアとお菓子を半切・・・・私もお相伴した一切れ半いただく。

「これは美味しいもんじゃ」 とペロリと平らげる。甘いものを食べた時は大抵こういうのであるが・・・・。用事を済ませてベッドのテーブルを見ると、コップはテーブルの端にあり、テーブルが濡れている様子、毛布の上にもココアがこぼれている。それでも本人は一言も発することなく悠然とテレビの方を向いたままである。私が食べたお菓子が半切多かったせいではあるまいが・・・・。


「おばあちゃん、折角ココア入れてあげたのにまかしてしもうて・・・・」と少しなじる様に云うが、相変わらず無言。しばらくして 「熱いから冷ましよってこぼれたんョ」 とポツリ。いつも何かにつけて 「ありがとう」 「すまんねぇ」 を連発する彼女だが、自分の失態にどう威厳を保つか悩みの中でのジェスチャーなのかもしれない。


お昼は女房が食事の世話にやってきて、夜は妹家族がやってくる。今年の正月はおばあちゃんにとってどんなお正月になったことだろう。
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社長の介護日記 ~ バクダン ~

2014-05-19 11:39:43 | 社長の介護日記

ここでは、社長 (寺川 勲雄) の介護日記を掲載しております。

 はじまりは2007年ですが、当初のものより順次載せております。この介護日記は、みのりホームの 「ティータイム通信」 にて掲載し続けていたものですが、ぜひこちらでも紹介したく、掲載の運びとなりました。
※今回は、2011年、1月号に掲載の内容です。



                 
 


 彼女は以前、胆石の摘出手術をしたのだが、その時、他にも小さな石が数個あるが全部を摘出するのは年齢的にも難しいので小さい石はそのまま胆のうの中に残っている。その為、油分の無い食事を心がけ、甘い物を制限された食事を続けている。食事や何かの拍子で、石が移動したりするといつ激痛がおそってくるかもしれない。


 ところがある日突然、これが現実のものとなった。


 夕食を済ませた彼女は半倒しにしたベッドに背をもたせた状態でウトウトしていたのだが、そのうち様子がおかしい。苦しそうに「ウ~~ン」という低い声と、額に汗が浮かんでいる。「どしたん?」と聞くと小さい声で「お腹が痛い」と云う。5分程背中をさすったり様子をみるが一向に治まる様子がない。時計は夕方7時を過ぎている。このままの状態で一夜を過ごすのは難しい。女房と相談して、救急病院へ連れて行くことにした。調べると当番病院は県病院である。


 車に乗せて途中まで来るとスヤスヤ寝入っている様子。車に揺られたせいで石の位置も移動したのかもしれない。それならと引き返して自宅に帰ってベッドに寝かせた。すると目を覚ました彼女は「ここはどこ?」「ここはどこ?」と周囲を見ながら眠ってくれた。夜中も翌日も痛みはなく、ホッとしたが、いつ何時「爆弾」が活動するかヒヤヒヤものである。あれから2ヶ月平穏に過ごしている。






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社長の介護日記 ~ おごちそう ~

2014-02-05 10:35:31 | 社長の介護日記

ここでは、社長 (寺川 勲雄) の介護日記を掲載しております。

 はじまりは2007年ですが、当初のものより順次載せております。この介護日記は、みのりホームの 「ティータイム通信」 にて掲載し続けていたものですが、ぜひこちらでも紹介したく、掲載の運びとなりました。
※今回は、2010年、12月号に掲載の内容です。


「あ~おいしかった。こんなごちそう、初めてヨ!!」

仕事の都合で、早めの出勤をせねばならぬ私は、彼女に5時過ぎに起きてもらい、手間のかからぬパン食にしたのである。

 メニューはスティック状のレーズン入りパン2本と食パン1枚をオーブンで温め、一口サイズにちぎり、食パンにはほんの少しハチミツをつけ、コップ半分づつのアセロラジュースと牛乳、フルーツヨーグルトである。珍しいものと云えばアセロラジュースくらいのもので、酸っぱいものの嫌いな彼女にはあまり出したことがない。アセロラ以外は手を抜く食事の定番メニューで、時々食べてもらっているのだが・・・。

 察するに脂肪分と甘いものをドクターストップにかけられている彼女はチョピリパンについたハチミツに感動したのかもしれない。


 思いっきり手抜きをしている私には彼女に「初めてのごちそう!!」などと云われると面映ゆい限りである。確か2~3日前もこんなメニューの筈である。


 チョッピリのハチミツで「初めてのごちそう」と素直に云える認知症も考えようによれば有り難いものである。これと云った楽しみも無い彼女に満足のいくまで甘い物を食べさせてあげたいと思うけれど、そうも行かず、さりとて医者に「ご臨終です」と云われて出してあげても味もなければ、食べることも出来まい。

 「クオリティ オブ ライフ」 とよく云われるが、生活の質を高め、維持しながらの最後を迎えると云う事は中々難しいものである。
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社長の介護日記 ~ 若年性認知症 ~

2013-07-17 17:32:29 | 社長の介護日記
ここでは、社長 (寺川 勲雄) の介護日記を掲載しております。

 はじまりは2007年ですが、当初のものより順次載せております。この介護日記は、みのりホームの 「ティータイム通信」 にて掲載し続けていたものですが、ぜひこちらでも紹介したく、掲載の運びとなりました。
※今回は、2010年、11月号に掲載の内容です。


 先日、若年性認知症フォーラム案内のチラシが目にとまり、参加してみた。若くして認知症になるとは、どういう事なのかという興味からである。

 厚生省の発表では、若年性認知症の人は全国で37,800人と発表されているとの事だが、群馬県の現役県会議員が、自分の奥さんが50代で若年性認知症になられた体験を話されました。最初は単純な計算ができなくなり、今では精神病棟に入院しているとの事だった。その人の体験の中から認知症対応法が語られた。


 ● 本人の話をすべて肯定して聞く。決して否定してはいけない。怒っても押し付けてもダメ。

 ● 認知症がどんなに進んでも人格は変わらない。プライドは残る。

 ● 認知症を止めることは出来ないが、進行を遅らせることはできる。その為早期発見が大切。


 今も現役の県議をやりながら、精神病棟に奥さんを見舞いに行って、「 ○○子、愛しているよ、好きだよ。」と云う。すると表情が和らぎ落ち着くという。夫婦には子供が無く、この壮絶な人生を生き抜くこの人の強さと優しさに感心させられた。

 かつてテレビなどで著名な大学教授や、バリバリ現役で仕事をしている人がある日突然認知症になっていく、そんな番組を見た記憶があるのだが、誰だってそうなる可能性はあり、明日は我が身かもしれない。

 この強靭な精神の持ち主の県議さんも介護の疲れから一時、鬱状態が続いたという。ならば肚を決めて、介護する人もされる人も共に認知症を楽しむ気概で行こう。

 でももし私が認知症になっても人は決して若年性とは呼んでくれないだろう。


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社長の介護日記 ~ しょうゆごはん ~

2012-12-10 13:06:29 | 社長の介護日記
ここでは、社長 (寺川 勲雄) の介護日記を掲載しております。

現在進行中の介護です。はじまりは2007年ですが、当初のものより順次載せております。この介護日記は、みのりホームの 「ティータイム通信」 にて掲載し続けているものですが、ぜひこちらでも紹介したく、掲載の運びとなりました。
※今回は、2010年、10月号に掲載の内容です。


 彼女は週2回デイサービスに通っている。朝9時頃スタッフの人に迎えに来てもらって夕方の5時頃ご帰館となる。

 お昼をご馳走になり、家では中々難しいお風呂に入って帰ってくる。

 前の晩に女房が用意した外出着を着せながら 

「おばぁちゃん、今日はデイの日やからね。もうすぐ迎えに来てくれるよ。」

「ホォ~」

と話してみるのだが、いつも新しい体験をする様な返事が返ってくる。

 以前は「私はどこにも行きたくない」と人前に出るのが好きではない彼女はよく拒否反応を示したものだが、今はそれもなく従容として時の流れに身を任せ・・・。といった感じである。

 帰宅した彼女に聞いてみると

「おばぁちゃん、今日は何のご馳走だった?」

少し考えて

「しょうゆごはん」

これが毎回何度聞いても「しょうゆごはん」なのである。どんな粗末なデイサービスだって、毎回同じしょうゆごはん(炊き込みごはん)という事は無いと思うのだが、食事を済ませた彼女には、どんなご馳走もしょうゆごはんになってしまうのだろう。

 デイの状況を伝えるノートには「完食されました」と書いてある。

 有り難いことにいつも「完食」である。


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