「貧者を喰らう国 中国格差社会からの警告」阿古智子 2009/9 読了 ☆☆☆☆
焦燥、怨嗟、絶望――。「分断」される社会の恐怖。
経済発展の陰で、貧者たちの慟哭が聞こえる。中国建国60周年、共産主義の理想は、なぜ歪んだ弱肉強食の国を生んだのか? 売血エイズ感染者、貧困農民、出稼ぎ農民工、低学歴者……社会の底辺でもがく貧困コミュニティーに深く入り込んだ研究者が、人間性を破壊する中国格差社会の「恐怖」と「構造」を抉り出す。(出版社)
貧困の再生産と格差の固定化を助長する戸籍制度、土地制度の複雑さや社会主義市場経済がうまく機能しないのかわかりやすく考察している。市場原理が健全に働くための前提となる「公正なルール」を政府が保証せず、コミュニティの中に「信頼」が存在しないためであると語る。またイェン氏は現在中国農村では、自分の権利を主張するばかりで、他人の尊重や社会的責任感に欠ける自己中心的な「公徳心のない個人」が目立つようになっていると指摘する。
そして日本の格差など、まるで発展途上国と先進国が同居しているかのような中国と比べれば、たいした問題ではないと考えられるが、中国も日本も抱えている問題の本質はそうかわらないのではないだろうか、むしろ日本の方が格差社会に耐性がない分、事態はより深刻かもしれないと警告する。人が人を信じられる社会を築くには何をすべきなのか。
焦燥、怨嗟、絶望――。「分断」される社会の恐怖。
経済発展の陰で、貧者たちの慟哭が聞こえる。中国建国60周年、共産主義の理想は、なぜ歪んだ弱肉強食の国を生んだのか? 売血エイズ感染者、貧困農民、出稼ぎ農民工、低学歴者……社会の底辺でもがく貧困コミュニティーに深く入り込んだ研究者が、人間性を破壊する中国格差社会の「恐怖」と「構造」を抉り出す。(出版社)
貧困の再生産と格差の固定化を助長する戸籍制度、土地制度の複雑さや社会主義市場経済がうまく機能しないのかわかりやすく考察している。市場原理が健全に働くための前提となる「公正なルール」を政府が保証せず、コミュニティの中に「信頼」が存在しないためであると語る。またイェン氏は現在中国農村では、自分の権利を主張するばかりで、他人の尊重や社会的責任感に欠ける自己中心的な「公徳心のない個人」が目立つようになっていると指摘する。
そして日本の格差など、まるで発展途上国と先進国が同居しているかのような中国と比べれば、たいした問題ではないと考えられるが、中国も日本も抱えている問題の本質はそうかわらないのではないだろうか、むしろ日本の方が格差社会に耐性がない分、事態はより深刻かもしれないと警告する。人が人を信じられる社会を築くには何をすべきなのか。