MUSIC IS THE SCENERY

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インディー・ポップ中心の洋楽ブログ。

<アルバム・レヴュー>Suzanne Vega「Beauty & Crime」

2007-06-20 02:00:49 | レヴュー
01年の「Songs In Red And Gray」以来6年ぶりの7枚目のアルバムで、Blue Note Recordsに移籍しての第1弾です。NYで娘と暮らし、NYの街を歩き、生活することで生まれたストーリーを書き溜め、それをもとに表現された作品になっているとのことです。プロデューサーはCorinne Bailey RaeやKT Tunstallを手掛けたJimmy Hogarth。ゲスト・ミュージシャンも多彩です。

MySpaceで3曲ほど聴いていたのでなんとなく予想できましたが、1曲目の「Zephyr & I」からエレクトリック・ビートが効いています。この曲と5曲目のシングル曲「Frank & Ava」はバック・ヴォーカルにKT Tunstallを起用しています。この2曲あたりが目玉になるのだと思いますが、アルバム通して聴いてみるとこれらややアップテンポな曲がある一方でMySpaceでも聴ける3曲目「New York Is A Woman」、6曲目「Edith Wharton's Figurines」、9曲目「As You Are Now」と、3曲おきに配されたフォーキーな曲の完成度の高さが目立ちました。いずれもストリングスなどオーケストレイションを取り入れた流麗な曲に仕上がっています。とくにクラリネットとサックスとホルンの美しい「New York Is A Woman」は、初期の曲「Cracking」「The Queen And The Soldier」、5枚目の「World Before Columbus」にも匹敵するほどの出来です。
また2曲目「Ludlow Street」は02年に他界した兄弟のTim(確か弟)に向けられた曲のようで、アルバム自体もTim Vegaに捧げられています。
個人的には90年代以降の彼女の作品の中では、今回の「Beauty & Crime」が最高傑作です。サウンドはアルバムごとに多少の変化はあるものの、根幹の部分の音楽は22年間ほとんど変わらず、おまけに来月には48歳になるのに声も全く衰えていません。

86年ごろの音楽雑誌の記事で、当時流行していたアコースティック・ミュージックとその頃人気のあった女性アーティスト3人(Tracey Thorn、Suzanne Vega、Kate Bush)を絡めたものがあったのですが、それによると
Tracey Thorn=アコースティック
Suzanne Vega=フォーク
Kate Bush=ポップス
という図式でしたが、その3人ともが21世紀に入ってもカムバックしたりソロ・アルバムを出したりと、変わらぬ水準で活動してくれているのが嬉しい限りです。

Suzanne VegaのMySpace↓
http://www.myspace.com/suzannevega
The Queen And The Soldierほかのライヴ映像↓
http://www.youtube.com/watch?v=Dt0sXRBLfJM
コメント
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