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TV観戦 天皇杯 第104回全日本サッカー選手権大会3回戦 柏レイソルvs筑波大学サッカー部

2024-07-12 16:47:50 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

  • 柏ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。

前回の天皇杯の記事 -2回戦・町田vs筑波大(1-1・PK2-4)


2回戦で、J1首位のクラブ(町田)を破るというジャイアントキリングを達成した筑波大。
それでもアマチュアの立場故に以降楽な試合は1つも無く、一戦必勝の構えで臨むトーナメント戦。
放映権を持っているNHKに対し、流石に連続で筑波大の試合を選ぶのはやり過ぎだと一言放ちたくなりますが、見所満載という触れ込み(プレゼンテーションによると、その主要因はOB・かつてのチームメイト絡み)なため納得せざるを得ず。

個人的な注目は、筑波大が柏・井原正巳監督の出身校という要因。
それにも拘らず、直近のリーグ戦(22節・FC東京戦、3-2)では体調不良で不在を余儀なくされ(栗澤僚一コーチが代行)、指揮が危ぶまれたものの何とか間に合う形に。
「古巣と戦うのは複雑な気分」というコメントが紹介されていたものの、既に2017年福岡の監督として天皇杯で相対していたため、一視聴者としてはそれを聞いて逆に複雑な気分になる事に。
というのも当時見事に筑波大に敗れる(1-2)結果に終わったため、そういった綺麗事云々よりは、何としてもリベンジするという執念に駆られていても不思議では無い。
そんな事を傍らから考えつつの視聴となりました。

前回の町田と比べ、遥かにアクセスしやすいスタジアム(三協フロンテア柏スタジアム)に部員が集結し、総出でゴール裏で声援を送る体制を作った筑波大。
しかし町田が「陸の孤島」と称される地理的なアウェイの色が強かったのに対し、ここ柏はとにかくスタンドの距離が近い、物理的なアウェイの雰囲気が齎されやすい場所であり。
ゴール裏以外全方位で柏サポーターの声援と怒号が近距離から飛ぶ(とはいえカップ戦故に集客は6,527人と今一つでしたが)、そんな中で巧く戦う事が出来るか、試される試合となりました。

お互いロングボールの蹴り合いで、中々好機が生まれないという入り。
しかし先んじて最終ラインから繋ぐ体勢に入る筑波大、前半4分に左からの前進をキャンセルしてGK佐藤に戻すと、プレッシャーを受けるなか佐藤はその間を通す縦パスを徳永に渡し。
中央から運ぶ状況を生み出したうえで、中に絞った左サイドバック・安藤のドリブルで好機を作ると、中央への横パスを同じく中へ絞ってきた角が右足アウトで合わせてのシュート。
しかしブロックで跳ね返り、拾った田村がミドルシュートを放つもGK佐々木がキャッチ
最初のチャンスが防がれたと思った刹那、柏は古賀のロングパスで前掛かりの裏を突いて一気にひっくり返しに掛かり。
左サイドに山本が走り込むも、GK佐藤がエリア外へ出て倒れながら(福井と縺れながら)もクリア。
これを拾った筑波大は、ボール保持から再びGK佐藤へ戻しプレッシャーを呼び込む立ち回り。
佐藤は今度はロングフィードで前線に運び、半代が胸で落として敵陣でパスを繋いだもののフィニッシュには持ち込めず。(角のクロスがブロックされコーナーに)
最初に好機が生まれた事で堰が切られ、1分の間に慌ただしい展開が描かれました。

筑波大が地上から繋ぐのに対し、柏はパワーサッカーの色が強い、悪く言えばアバウト・良く言えば効率の良い攻撃という立ち回り。
特に普段から「マテウス・サヴィオ頼みの攻め」と揶揄されがちなその攻撃パターンで、そのサヴィオがベンチスタートなため推して知るべしな状態。
筑波大の攻めを遮断しマイボールとなっても、その後の繋ぎが雑になり結局攻撃機会を得れずという、初見だとどちらが上のカテゴリか判らなくなる絵図も多々見られ。
熊澤のロングスローを手段に加えながら、とにかく攻撃機会を増やす事でプレッシャーを与えにいきます。

そしてそれが奏功したか。
12分以降好機が生まれないという流れに陥っていた展開で、16分に最終ラインでボール保持という慣れない状況となる柏。
試合を落ち着けたい思惑もあったのでしょう、ボールを触れに木下が降りて来た(パスを受けてすぐさまレイオフで古賀に返す)のもあり、まったりとする絵図に。
しかしその刹那、野田の縦パスで速度を上げると、それを受ける山本のフリックで喰い付いた福田の裏を取る形で木下が抜け出し。
先程降りてボールタッチしていた残像もあり綺麗にフリーとなって持ち運ぶ木下、そのままペナルティアークからシュートを放つと、GK佐藤は反応できずにゴール左へと突き刺さります。
緩急付けられた柏の攻撃に筑波大デイフェンスは成す術無かったという絵図で、スコアが動く事となりました。

その後、めっきり攻撃機会が少なくなった末に前半の飲水タイムへ。(23分)
改めて反撃体制を作らんとする筑波大ですが、24分に中盤でパスミスを犯してしまい、拾った鵜木が敵陣へ切り込み。
そして中央へ流れ溜めを作り、スルーパスがエリア内へ送られましたが熊坂が走り込めず。
25分にも山本が敵陣でパスカットしショートカウンター、その推進を福井のカバーで何とか防ぐという具合に、ビルドアップの乱れが大惨事を招きかねない流れに。

柏のしっかりとした守備対応(筑波大SBに、サイドハーフが下がってケア)により、ボールポゼッションを高めても中々好機を生み出せない状況に陥る筑波大。
救いは柏の右SB・川口の安藤への喰い付きが目立つという点で、この辺りは安藤が「偽SB」的な動きを混ぜ、左の2レーンを田村・安藤が流動的に請け負う立ち回りが効いての事でしょうか。

その弱点をカバーしながら良く守るものの、「良い守備から良い攻撃へ」という意識が、サヴィオ不在により実行できない柏。
その間に得点したい筑波大、この日スタメンとなった角が右ワイドに張るのを軸に攻め込み。
41分、ワイドで持った角が中央へ横方向への縦パスを打ち込むと、手前で半代のスルーを混ぜて中に絞っていた田村が受け。
そしてコースを探した末にシュートを放つも、野田のブロックに阻まれ同点ならず。

主体的な組み立てでの好機はこれぐらいで、そのまま前半も終わり際へ。
45分にはストーミング気味に、敵陣に押し上げた末にボール奪取してからの好機。
左ワイドで縦パスを受けた内野がカットインでポケットを取ってのシュート、しかしこれも野田がブロック。
右CKで継続し、クロスの跳ね返りを拾って再度左ワイドから切り込み、ポケットを取った田村のクロスをファーで諏訪間が合わせ。
しかしジャストミート出来ず枠外となり、結局前半のうちに得点は出来ませんでした。

1-0で折り返しとなり、ハーフタイムでの交代は無く後半開始を迎え。
キックオフの柏の初手は、サイド奥へロングボール→防がれるも熊澤がロングスローと、やはりアバウトな手に訴えるものでした。

相変わらず攻撃の形が見えない柏に対し、同点に向けての流れを構築したい筑波大。
後半2分に最終ラインから組み立て、一列前に付けるパスを受けた加藤は初手の切り返しで前に出た熊坂を剥がして前進開始。
そして右へ展開し、受けた角がポケットを突くスルーパスを送り好機到来となりましたが、走り込んだ半代のダイレクトクロスはそのままシュート気味に流れてしまい。
FW故にクロス精度まで求めるのは酷な部分があるか……そんな事を考えさせられるのを余所に、このプレーで加藤が足を痛めてしまう事態に。
今後が危ぶまれたものの、切り返しの所で熊坂と接触してのものらしかったのが幸いし、無事に継続し試合終了までプレーし続けます。

後半の筑波大は、町田戦の時と同じく3バック気味に可変。
池谷が最終ラインに残り、角と安藤がウイングバックのような立ち位置を取る形によるビルドアップで、目線を変えに掛かります。
しかし敵陣でのパスミスで好機を齎す事が出来ず、逆に柏のひっくり返すようなダイレクトプレイにより押し込まれ。
12分からCKが2本続き、GK佐藤が跳び出すもキャッチできず(クリアして凌ぐ)という際どい絵図も生まれる攻防に。

ここで柏ベンチが動き、一挙3枚替えを敢行。
鵜木・戸嶋・木下→山田・サヴィオ・細谷へ交代と、主力のサヴィオ・細谷を投入して勝負を決めに掛かるという采配を取ってきた井原監督。

直後に早速サヴィオはその期待に応え、敵陣へ切り込んでのカットインで中央に託し、チャンスエリアで持った熊澤が徳永に倒されて反則。
これにより好位置での直接FKとなり、当然サヴィオが狙うという意識を植え付けながら、蹴りにいったのは熊澤。
ゴール右を襲うこのシュートをGK佐藤がセーブし、(その後のCKも凌いで)何とか一矢を繋ぎます。

そして筑波大ベンチも動き、徳永→高山へと交代。(16分)
これ以降中盤はボランチが縦関係気味となり、加藤がアンカー・高山と田村のシャドー、というような攻撃時の配置に。
20分には左ワイドで田村が(熊坂に)反則を受けた事でのFK、キッカーは投入された高山。
(角のフェイクを交えて)右足でインスイングのボールを入れると、ゴールに向かう軌道となるもGK佐々木のキャッチで防がれ。
その後柏も再度CK攻勢に入るなど、セットプレーでの立ち回りを目立たせた末に後半の飲水タイムに入ります。(24分)

勝負の第4クォーター、長らくゴールが生まれない事により、文字通り次の1点が大きく左右するという局面に。
その通りに柏はチャンスと見るや果敢にゴールを目指し、28分に左スローインを受けた細谷がディフェンスに遭うも、熊坂が奪い返し。
そしてパス&ゴーで山本から受け直してエリア内を突く熊坂、右へ流れてブロックを振りきってのシュートを放ちましたが、ゴール上へと逸れてしまい決められず。
その後30分に川口が足を攣らせたため交代となり、同ポジションで関根を投入。(筑波大も同時に田村・半代→廣井・小林へと2枚替え、角が逆の左サイドに回る)
32分には細谷がプレスバックし自陣でボール奪取、そのまま中央を推進して高山の腕でのチャージを受けつつもパスを繋ぎ。
そして山田がダイレクトでスルーパス、関根が抜け出して決定機か……と思われましたがオフサイド判定に阻まれます。

1点差のまま耐え凌ぐ筑波大。
迎えた34分敵陣での繋ぎで、ストライカー・内野へのパスは悉くカットされるも、こぼれ球を確保し続けた末に左ポケットに持っていき。
そして放たれた安藤のシュートは関根がブロックして防がれるも、左CKで継続。
キッカー高山がニアにクロスを入れ、跳んだ小林には合わせられずも、その奥の古賀のヘッドでのクリアがあろう事かゴール内へ。
古賀にとっては小林が触れられなかった事で、「急にボールが来たので」という状況になってしまったでしょうか、反応が間に合わず当てるだけになってしまい。
まさかのオウンゴールでの同点により、試合の行方は全く判らなくなりました。

その後の柏は、熊坂が足を攣らせてしまう(39分、高嶺と交代)等、消耗によるダメージを先んじて露呈してしまう流れが続き。
前半から、ボールを落ち着けるという選択が中々取れずにいたのがここに来て影響してきた感があり。
それでも流れ的には、地力に勝る柏がゴールに迫り続ける展開に。
筑波大は、44分に諏訪間がボール奪取してすかさず縦パス、受けた内野のミドルシュートでゴールを脅かし。(ゴール上へ外れる)
一矢報いるような好機で、その後は角が最終ラインに降り5バックで凌ぐ姿勢を見せるなど、町田戦同様に同点の時間を長くした末の栄光を掴みにいきます。

突入したアディショナルタイム。
再び左ワイドからのFKを得た筑波大、キッカーは先程と同様高山が務め、放たれたキックも同じくクロスがゴールへ向かうというものになりGK佐々木がキャッチ。
この辺りもう一段階制度と工夫が欲しい所であり。

一方の柏は高嶺のボール奪取から、サヴィオが左サイドを持ち運んで一気に好機到来。
そしてパスを受けた山本が左ポケットへ切り込み、奥からグラウンダーでのクロスがブロックを掠めてニアサイドへ。
合わせたのは走り込んできたサヴィオで、ヒールでの合わせで強引にゴールへねじ入れにいきましたが、GK佐藤の脇で諏訪間がブロックと寸での所で凌ぎます。
最後に際どい攻防が生まれたという格好でしたが、スコアは動かず。
1-1のまま後半終了を告げる笛が鳴り、筑波大にとっては連続となる延長戦へ突入しました。

新たに一つ追加された交代カードですが、筑波大の方が3人・2度と選択の幅が大きい状況。
既に5人交代している柏ですが、延長前半(以下延前)早々の4分にそれを使用。
片山→ジエゴに交代と、早めに駒を投入する事で試合を動かしに掛かります。

そんな個の力の圧を掛けに来る相手に対し、これまで組織力を発揮してきた筑波大も、疲労度からか思うようにボールを繋ぐ事が出来ず。
5分に右スローインを直接ポケットに投げ入れ、ディフェンスに阻まれた事でCKへ移行と、それが伺えるような好機の作り方。

それ故に柏の格好の餌食となってしまったのは、ある意味必然だったでしょうか。
9分、サヴィオが溜めを作ったのち細谷のポストプレイを挟んでチャンスエリアへ推進。
その末に中央から放たれたミドルシュートこそ福井がブロックして防ぐも、右CKで継続すると、キッカー・サヴィオのクロスが中央へ。
そして細谷のヘディングシュートが放たれると、筑波大に防ぐ術は無くゴール左へと突き刺さります。
最終盤でようやく主力の本領が発揮され、勝ち越しに成功した柏。

キックオフでの再開前に、カードを切る筑波大。
角・池谷→小川・鈴木へ交代し、小川が最終ラインの中央に入った事で本格的な3バックへシフト。(WBが右=鈴木・左=安藤)

その後は、再三左サイドを上下動してきた安藤を活用し、何とか突破口を開かんとする攻撃。
しかし既に安藤も余力はあまり残っておらず、アーリークロスが精度を欠くという絵図も目立ちます。
一方の柏は、山本が足を攣らせるも既に交代枠は無く、気力を振り絞って最前線でブロックの姿勢に入る山本の姿が痛々しく。

結局そのまま延前は終了し、ラスト15分の延長後半(以下延後)へ。
開始前に筑波大は最後のカードを使うと、福井→竹内へと交代し再度4-4-2へと戻して延後に臨みました。(竹内は右SHに入る)

柏がバックパスでGKに戻すも、佐々木がキックを空振りしてしまいCKを献上するという入りになったその延後。
この右CK、キッカー竹内のクロスは跳ね返されるも、確保ののち再度竹内に回してのクロス。
これがライナーでファーサイドを突き、小林の下へピタリと収まるボールとなり絶好機が到来します。
しかし放たれた小林のシュートは、サヴィオのスライディングを避けて撃った影響かサイドネット外に終わり同点ならず。

これを逃したのは痛いの一言で、以降運気は巡って来ない筑波大。
5分、ゴールキックからロングフィード→細谷フリックと単純明快な流れでアタッキングサードに運ぶ柏。
走り込む山本を小川が倒してしまい反則、警告を受けたのみならず絶好の位置で直接FKを与えてしまう事に。
相手に好機ととに時間を与えるのが最もキツイという反則となり。
放たれたジエゴの直接シュートは左へ外れるも、その後も逃げきりに向かう柏に対し一向に好機は巡って来ず。

逆に10分、縦パスを高嶺にカットされ、サヴィオが左サイドから切り込むという具合にまたも柏の好機に。
中央の山本への横パスは遮断した筑波大ですがこれにより左CK。
しかもこの際に諏訪間が足を攣らせてしまい、長らく倒れ込んだため担架も持ち出されたため、ピッチ外へ出る事を余儀なくされ。
このセットプレーを10人で凌ぐという具合に、逆境が続く筑波大。

何とかGK佐藤がクロスをパンチングで跳ね返し、諏訪間がピッチに復帰するも既にCBを務める余力は無く。
最前線に回った諏訪間により、加藤がCB・竹内がボランチ・小林が右SHと玉突き的にシフトした残り時間。
一方柏も、野田が足を攣らせたためか最前線に回る事に。
こちらも関根がCB・山田が右SB・細谷が右SHと激しくシフトし残り時間を戦います。

お互いダメージが深刻という絵面で、最後のATへ。
筑波大は安藤が内野を狙ったロングパスを送り、クリアされるもセカンドボールを拾って最後の攻撃。
そして竹内がミドルシュートと、ゴール裏の期待と希望を乗せて放たれたこのフィニッシュも、ゴール上へと外れてしまい。

そして試合終了の時を迎え、2-1で柏が勝利。
2戦連続の奇跡は起こせずとなった筑波大ですが、まだまだ続く彼らのサッカー人生、幸の多いものとなる事を祈りたいものです。

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ABEMA観戦 UEFA EURO2024準決勝 スペインvsフランス

2024-07-11 16:01:46 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

  • スペインはル・ノルマン、カルバハルがこの試合出場停止。
  • 両軍の選手表記はyahooスポーツナビに準拠。

参考動画

前回のEUROの記事 -準々決勝・スペインvsドイツ(2-1)


いよいよ栄冠まで残り2戦、というセミファイナル。このブログでスペインの追っかけをしているような感じだが気にしない

カタールW杯以降、久々に見るフランス代表。
あれから1年半という月日を経ても、当然ながら当時の代表選手も大幅に残っています。
左サイドバックのテオ・エルナンデスや、ザ・アンカーというべきチュアメニ、やや特異な守備布陣のバランスを取るラビオといった名前を見るに懐かしさが先に立つ自分。
そしてそんな軍団の先頭に立つ男はやはりエムバペ(ムバッペ)ですが、今大会でいきなり負傷に苛まれて出鼻を挫かれる格好に。
鼻骨骨折という部位もあり、欠場は1試合のみ(グループリーグ2節・オランダ戦、0-0)と無理を押してその後も出場を重ねていますが、挙げた得点はPKによる1点のみという低調ぶり。
彼に引き摺られるように得点力不足に陥っている現在のフランスですが、貫禄をもってスペインの進軍を止める事が出来るか。

yahooスポーツナビでは、ロドリ・ルイスをドイスボランチとした4-2-3-1という布陣のスペイン。
その形はこれまでも大部分で使用しているものですが、この日は攻撃時にハッキリとした、ロドリがアンカーを務める4-1-2-3の形でボールを繋ぐスタイルに。
そして守備時は4-4-2へ可変という、最近のトレンドである4-3-3をなぞる体制を採りました。

スペインの最終ラインからのパスワークに、当然ながら対抗姿勢を取る守備時のフランス。
それはW杯の時と全く変わらない、エムバペが前残りしての4-4-2という、変則なブロックへの移行とシステム面でも自分だけに懐かしさを醸し出すものでした。
エムバペの攻撃力を存分に発揮させる手法ですが、同時に守備時にサイドハーフと化すデンベレとラビオ、特にラビオのバランス調整が大変なように映るシステム。

スペインにポゼッションからの好機を許す展開が続いていたものの、前半7分にオルモ→モラタへのスルーパスを遮断したのち、こぼれ球をGKメニャンが直接ロングフィードを送ってのカウンターに持ち込むフランス。
こちらもコロ・ムアニ→エムバペへのスルーパスが遮断されて終わりますが、これによりスペインのターンを終わらせ。
そして続く8分、エムバペとは逆の右サイドで前進する体勢から、デンベレのサイドチェンジにより託されるエムバペ。
そして左奥でナバスと対峙するなか、予備動作を殆ど見せず右足でクロスを送るエムバペ。
これに中央からファー寄りに位置を変え、センターバックのマークを絶妙に外したコロ・ムアニがヘディングシュート、ゴール右へと突き刺します。
直接の得点は無くともやはり左翼の矛は強力の一言、といった先制点に辿り着いたフランス。

追う立場となったスペイン、これが今大会2度目。
1度目はラウンド16(ジョージア戦、4-1)で、その際は格上らしく猛攻の末に逆転を果たす試合を演じましたが、相手が強豪だけにどうなるか。
やはり守備布陣に気を使うフランス故に、その要因であるエムバペのサイドの右から仕掛けにいき。
11分、右ワイドで持ったヤマルがエリア内へ「横パスと表現すべき縦パス」を打ち込むと、ポケットに居たオルモはスルーを選択するもディフェンスに当たり結局自分が持つ状態に。
すると今度は奥へ切り込む姿勢からのヒールパスと、変化を付けにいったオルモでしたが結局モラタには繋げられず。

こうして敵陣での細かなパスワークで打開を図ったものの、14分にはフランスの逆襲で、ラビオをスライディングで止めにいったナバスが削ってしまい反則・警告。(ラビオは治療を受けたのち起き上がるも、警告のためそのままプレー続行)
これにより直接フリーキックのピンチも招いてしまいますが、ここはエムバペの直接シュートを壁が防いで事なきを得ます。
しかしその後も、19分にエムバペにワイドから切り込まれてカットインを許しシュート(ナチョがブロック)、こぼれ球をデンベレが逆サイドからマイナスのクロス(クリア)と両翼に押し込まれる流れに。

そんな状態故に、こちらもウイングの力を発揮するのが一番という思考に落ち着いたでしょうか。
迎えた21分、ナチョの縦パスを受けたオルモを経由し中央からモラタに託すも、ディフェンスに遭いこぼれ球を拾ったのは右WGのヤマル。
するとカットインから果敢にミドルシュートを放ち、これが芸術的な弧を描き左ポスト内側を叩いてのスーパーゴールとなります。
これが大会史上最年少のゴールという事で、一躍スターダムへと躍り出たヤマル。

これにより、一気に上げ潮モードとなるスペイン。
先制点のように中央での前進を見せながら、右サイドのヤマルを使う事で、可変を強いられるフランスディフェンスは混乱気味に。
逆の左サイドでは、ウィリアムズが主に中央寄りでビルドアップの出口役を務め、自らの突破は控え気味とやはり肝は右サイドと踏んでいた感があり。

そして25分でした。
最終ラインからパスを受けたヤマルは、中央へ流れての縦パスを選択とここでも最初に中央を見せた事で、空いた右スペースを突き上がって受けたナバスがクロス。
クリアが小さくなった所を右ポケットでオルモが受けると、空中での絶妙なトラップでチュアメニを剥がして奥へ進入、そして斜めからシュート。
GKを抜いた奥でクンデがブロックに入るも、ゴールへ向かうボールの運命を変える事が出来ずにネットに突き刺さり。
最初はクンデのオウンゴールという記録も、のちにオルモのゴールに切り替わったこの逆転弾で、前に出たスペイン。

一気にビハインドとなってしまったフランス。
こうなるとエムバペを警戒されるのは明らかで、以降は逆の右からデンベレが仕掛ける攻撃を続けます。
その思惑通りに何度も右奥からマイナスのクロスを送るデンベレですがスペインに防がれ。
エムバペも31分に仕掛けたドリブルがナチョに止められるという具合に、依然今大会で本調子とはいかないというシーンを露呈してしまい。
ここでビルドアップまで停滞しては一巻の終わりといったフランスですが、こちらはチュアメニが最終ラインに降りる3枚での繋ぎにより何とか安定を保ち。

39分に再び右ワイドで持ったデンベレ、今度はカットインを選択すると、その初動でククレジャの足に引っ掛かって倒れ反則。
これでワイドからのFK→左コーナーキックとセットプレーが続く流れに入り、ショートコーナーからの繋ぎを経てエルナンデスのクロス。
ファーでサリバが合わせるもミート出来ずに終わると、流れたボールをスペインが繋いでカウンターに持ち込み。
ウィリアムズの前進から託されたのはヤマルで、先程と同様にカットインを経て中央からミドルシュートが放たれましたが、ここはエルナンデスのブロックで何とか防いだフランス。

結局、攻撃の流れ自体は悪くなかったもののゴールは奪えなかったフランス。
2-1で折り返し、ハーフタイムを挟んで後半を迎えます。

そしてスペインのキックオフで始まった後半、その通りボールを握りにいったスペイン。
しかしフランスが果敢にハイプレスを掛けた事で、ナバスのバックパスが乱れて辛うじてゴールライン際でナチョが掻き出しCKを防ぐというシーンで開幕。
これで得た左スローインから好機を作りたかったフランスですが、狭い局面での繋ぎは逆にヤマルのパスカットからスペインのカウンターが齎され。
こちらも細かな繋ぎを強いられるもロドリの縦パスで脱出に成功し、素早く逆サイドへ展開、広大なスペースへ送られたルイスのスルーパスにウィリアムズが走り込む状況に。
そして飛び出してきたGKメニャンに先んじて触れたウィリアムズですが、メニャンは身を挺してのスライディングでその推進を阻み、この危機を凌ぐ事に成功します。
この際に無理をした所為か足を痛めたメニャン、それを見たフランスベンチでサブGKの準備が行われるもその後も無事にプレーを続け。

フランスのハイプレスは、常時アンカーを切り、その脇に降りてくるルイスに対しカンテが付くという体制で行われ。
しかしそれも次々とかわしていくスペインのボール保持。

後半8分にようやく、降りて受けにいったウィリアムズに対しクンデが前を向かせず、監獄を生み出した末に奪ったクンデ。
そのまま上がってパスを受け直してクロスに繋げたクンデによりCKに持ち込むという具合に、このままボールゲインの流れを生み出せれば……というフランス。

しかしスペインも9分、センターバックの持ち上がりを使い、その期待通りにコロ・ムアニを剥がして敵陣へと運んでいったラポルテ。(その後敵陣でパスワークもフィニッシュには繋がらず)
ただのパスワークだけでは無いスペインの前進の前に、敵陣で奪ってショートカウンター……という手法もやり辛くなり。

こうなると残るは主体的な攻撃のみのフランスの道筋。
強力なWGが居るだけに、そこにどう出来るだけフリーな状態で託すかがカギとなり。
10分、遊びのパスでククレジャを釣り出した隙にデンベレに預けるというその通りの手法を発揮したものの、シュートには繋がらず不発。
直後の11分には、こちらもCBウパメカノの持ち運びを使い、その後スルーパスがエムバペに通り。
そして奥からのカットインでポケットに入ったエムバペですが、放たれたシュートはブロックの間を通すもののGKシモンが正面でキャッチ。

1点差故に気の抜けないスペインは、12分にナバスが足を痛めた事で先に交代カードを切り。
カルバハルの代役を何とか務めた格好となり退いたナバス、ビビアンを投入してCBに入れ、ナチョが右SBにシフトし穴を埋めに掛かります。
その直後に観客がピッチに乱入(放送席の談)というトラブルが発生するも、冷静さを保つ両チーム。

15分に自陣でボール奪取したデンベレから素早く縦に運び、スルーパスに走り込んだデンベレがダイレクトで奥からクロス。
これがシュートも取れるゴールに向かうボールになり、前に出ようとしたGKシモンの逆を突きましたが片手で何とかセーブ。
敵陣では奪えずも、スペインのポゼッションに対し何とか早めに奪いたいという思惑は変わらず。
直後にモラタのポストワークを倒してしまったチュアメニが警告を受けるものの、多少の被害は覚悟の上であり。
17分にベンチが動き、一挙3枚替えを敢行するディディエ・デシャン監督。
ラビオ・カンテそしてコロ・ムアニに代え、カマビンガ・グリーズマン・バルコラを投入。
そしてこれによりエムバペがセンターフォワードに回る(左WGにはバルコラ)という具合に、最後はエムバペの能力に頼る体制となり。

エムバペが居なくなった分、エルナンデスが前への意識を高める事となったフランス左サイド。
その通りに、20分・24分と2度前に出てボール奪取に成功したエルナンデスから好機を作るも、フィニッシュには繋げられず。
特に後者は、右へ展開してデンベレがカットインという状況に持ち込むも、スリップしてボールロスト(その後勢い余ってモラタを削り反則)と勿体無い終わり方。

ウイングの仕掛けが中心というフランスの攻撃パターンは、エムバペが不在となっても変わる事は無く。
それ故に中央で張るエムバペは相手へのプレッシャーとなっても、ボールが渡らずに能力を活かす機会が少なく。
31分、左サイドから前進していきグリーズマンが奥を突いてクロス、ファーサイド奥へ上がったボールをデンベレが足で折り返し。
マイナス方向へ流れるも拾ったカマビンガが左へ横パスを送り、エルナンデスがフリーの状態でシュート。
しかし利き足とは逆(右足)なためかふかしてしまい枠外と、エムバペのプレッシャーの外で作った好機も実りません。
直後にスペインベンチが動き、途中交代の定番となりつつあるメリーノ・オヤルサバルの2人を投入します。(オルモ・モラタと交代)

やはりエムバペの1トップ状態では厳しいと踏んだか、34分にジルーを投入したフランス。
デンベレと交代し、以降4-4-2に近い布陣で同点を狙いにいき。(サイドハーフは右にグリーズマン・左にバルコラ)

フランスの攻撃機会が続くも、然したるフィニッシュは生まれず時間が進み。
36分は逆にスペインの攻撃、左サイドでのパスワークから中央→右へ展開し、先制点を挙げたヤマルが再度カットインからミドルシュート。
これも先制点同様に強烈にゴール上部を襲うも、僅かに外れて追加点とはいきません。

しかし攻め疲れの様相も見せるフランスに対し、ポゼッションを高めてボールを動かす立ち回りの色を強め。
敵陣アタッキングサードまで運ぶも、戻して作り直しという絵図を何度も作り、諦めずに掛けられるフランスのプレッシングも物ともせず時計を進めていきます。

44分にククレジャをアフターチャージで倒してしまったカマビンガが反則・警告と、焦りを隠せないフランス。
それを見計らって続く45分、ついに打って出て戻さずにエリア内を突きに掛かるスペイン。
左ポケットへのオヤルサバルのスルーパスによりCKを奪い、同時にアディショナルタイムに突入。
攻めの姿勢を見せたスペインですが、この左CKからカウンターに繋げるフランスと一瞬の隙が生まれてしまいます。
グリーズマンのドリブルをヤマルが反則で止め、当然ながら警告が出たものの防ぐ事に成功。
それによるFKから、ウパメカノがヘディングシュートを放つも枠外と、どうしても決定打を放てないフランス。
(スペインは最後の交代、ヤマル・ウィリアムズ→トーレス・スビメンディへと2枚替え)

押し込み続けたいフランスですが、その後もバルコラのアーリークロスからのグリーズマンのヘディングシュート(枠外)のみに終わり。
単発で終われば、その分スペインのボール保持が待っているという具合に追い詰められた状況のAT。
結局それをひっくり返せないまま、2-1で試合終了の笛が鳴り響きました。

ついに決勝へと駒を進めたスペイン。
一方の相手も、その翌日にイングランドがオランダを破って(2-1)勝ち上がり決定。
果たしてどんな結末が待ち受けているのか。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第23節 レノファ山口FCvs鹿児島ユナイテッドFC

2024-07-10 16:00:46 | サッカー視聴記(J2)

※前回の山口の記事はこちら(18節・清水戦、2-0)
※前回の鹿児島の記事はこちら(21節・大分戦、3-0)

<山口スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 下堂がJ3・富山から完全移籍で加入決定。(選手登録は7/14以降)
  • サーラット・ユーイェンがタイ・BGパトゥム ユナイテッドFCからレンタルで加入決定。
  • 酒井がJ1・名古屋からレンタルで加入決定。
  • 奥山洋平がJ1・町田からレンタルで加入決定。
  • 加藤がJ3・今治へ完全移籍となる。(登録抹消は7/14)
  • 梅木が仙台へ完全移籍となる。

<鹿児島スタメン>

  • 端戸の負傷が発表され、6/19に手術実施して全治約2か月との事。

「薩長ダービー」と呼ばれるこのカード。
鹿児島ゴール裏に西郷隆盛の肖像画が写された断幕が掲げられれば、山口ゴール裏にも吉田松陰の「諸君、狂いたまえ」という名言の断幕が際立つ、薩摩・長州の関係性を感じさせるスタジアム内。
近隣の地域同士では無く、日本史に基づいたダービーマッチの典型例となりましたが、リーグ戦ではこれが通算6試合目と試合の歴史自体はまだ浅く。
そのため、wikipediaのページにもまだ記載されていない現状。
2014年にJFLで初の開催となったものの、先んじて山口がJ2にまで上り詰めたのが一因であり、鹿児島がそれに追随する事が定着への道ですが果たして。

この日の舞台は山口のホーム・維新みらいふスタジアム。
しかしその芝の状態は剥げ具合が画面でも目立つ程でかなり悪く、コンディションに気遣いながらのサッカーを余儀なくされ。

とりわけナイーブとなっていたのはやはりアウェイの鹿児島サイドで、普段の地上での繋ぐスタイルを薄めざるを得なく。
つまりはロングボール中心の攻撃ですが、慣れるのに時間を要して中々攻撃機会を得れない立ち上がりとなります。

そんな相手を尻目に、山口のロングパス攻勢は普段からのものであり。
それ故大きな変化は必要無い……と思いきや、前半7分でのゴールキックで、センターバックの平瀬がターゲット役となり前線に上がるという大きな変化を見せ付け。
そして左サイドで彼がフリックしたボールを繋ぎに掛かると、そのパスワークに本来逆サイドの吉岡が加わり、さらに野寄のスルーパスを左奥で受けるという終点にもなり。(奪われてクロスは上げられず)
かつての町田の「ワンサイドアタック」を彷彿とさせる圧縮ぶりで、この悪条件を制しようという姿勢だったでしょうか。
そんな絵面で自分のみに度肝を抜かせると、続く8分には、前がボランチへ可変してのビルドアップの体勢を採り。
前回の清水戦とは明らかに違うそのスタイルに、「何か変化を付けよう」という思考が見え隠れしていた感があり。
夏の移籍市場で大幅な入れ替えが必至な編成もあり、補強選手の出場前に色々と試していたでしょうか。

しかしサッカーそのものは、清水戦で威力を発揮した「相手を引き付けてその裏を取る」意識を貫き。
ロングボール一本を取っても、十分に待って相手が前に出た所を見計らって出されるので有効打に結び付きやすく。
11分GK関の左へ開くパスを、ヘナンがキープで引き付けて送ったロングパスにより迎えた好機。
それを走り込んで落とした新保からアタッキングサードで展開し、河野のスルーパスを左ワイドで受けた小林がポケットに入り込みクロス。
クリアが小さくなった所を中央から野寄がシュート、藤村がブロックするも尚も池上が拾ってペナルティアークからシュート(枠外)と、チャンスと見るや果敢に連撃を放ち。

一方の鹿児島も、ロングボール攻勢に加えて田中渉のロングスローも活用する等、パワーサッカーのスタイルで対抗姿勢を見せるも苦戦は免れ得ず。
山口は15分に再びの好機、最後方での平瀬のサイドチェンジを新保落とし→ヘナン浮き球パス→野寄フリックとワンタッチでの繋ぎを経て、新保がドリブル突破に入り。
左ハーフレーンから直進してポケットを突き、入れられたクロスは眼前の戸根のブロックでディフレクションした結果、ゴールに向かうも右ポストを直撃。
そして詰めにいった小林は合わせられず、その股を抜ける際どいボールとなり先制ならず。
続く16分にも同じく新保の左ポケットからのクロス、グラウンダーでニアに入った所を小林がダイレクトでシュート(岡本がブロック)と、ピッチコンディションを物ともせずにストロングポイントを発揮していきます。

何とか巻き返したい鹿児島、19分に山口がコーナーキックから、ショートコーナーののちクロスを収めた河野からエリア内で細かく繋ぐという具合にここでも変化を付け。
しかし野寄にアタックを掛けた山口卓己が奪ってカウンターに持ち込む事に成功。
ここは山口卓のドリブルが敵陣浅めで止められて終わりますが、これで山口のベクトルの逆を突く腹が据わったでしょうか。
22分には山口のロングボールを跳ね返し、拾った圓道がドリブルで推進、相田に倒されるも鈴木が拾い引き続きドリブル。
そしてミドルシュートを放ちますが、GK関がキャッチ。

24分に飲水タイムが挟まれ第2クォーターになると、パワーサッカーで対抗すると覚悟を決めた鹿児島により、山口ペースは影を潜め。
31分に左スローインから、相田がロングスローと見せかけて短く繋ぎに入り。
ここから野寄⇐野嶽への反則でフリーキック→左CK→左スローイン→右CK→右からロングスローと、目まぐるしくセットプレーを続けた山口ですが、FKからフェイントを交えて放たれた池上のシュート(壁に当たる)を除いて有効打は生まれずに終わり。
おまけにその直後(36分)、中心選手の新保が足を痛めて倒れ込むという危機的状況が生まれてしまいます。
筋肉系トラブルを予感させたその光景でしたが、幸い軽度だったようで治療も受けず継続する新保。
以降も目立ったアクシデントは無く終わり、山口サイドは一安心といった所。

試合の方は、山口のセットプレーを凌ぎ続けた鹿児島が終盤に引き戻しに掛かり。
その中で39分、外山の左サイド手前からのクロスが流れた所、ファーに誰も走り込んでいなかった事に外山が怒りを表すという場面も作られ。
続く40分、再び左サイドから好機を迎えると再び外山のクロス、今度はファーに上がったボールを藤本が合わせヘディングシュート。
しかし強引に撃ちにいった結果、野寄を倒してしまった事で反則を取られて終わり。
中々波に乗れないなか、こうしたベテラン選手の姿勢と奮闘が目立つ絵図となります。

結局スコアレスのまま前半が終了。
ともにハーフタイムでの交代は無く、後半もロングボール中心の我慢の展開という流れは変わらずとなります。

山口は後半に入っても、ゴールキックの際に平瀬が上がる手法は継続。(飲水タイムの後辺りから取り止められる)
しかし前のボランチへの可変は見られず、逆にCBが思いきりサイドに張り出して押し上がる状態が目立ち、時にはヘナンがワイドからクロスを上げる事もあり。
つまりはボールサイドに大きくスライドする状態に。(サイドバックが中央辺りに位置)

フォーメーションはあくまで参考、と言わんばかりに攻める山口。
5分には池上の縦パスを受けた野寄がドリブルに入ると、中央→右と逆のサイドへ前進していき吉岡にパス。
受けた吉岡はカットインからミドルシュートを放ちますが、巻ききれずゴール左へと外れ。
11分には新保が右サイドでのパスワークに加わり、受けたのち中央→左へ展開。
野寄のエリア内へのミドルパスを吉岡が戻し、繋ぎ直して左からクロスを上げたのは前述の通りヘナン。
そしてファーで小林がヘディングシュートを放つ(枠外)、という具合。

前半同様にフィニッシュに持ち込む流れを構築した山口ですが、14分に先んじてカードを切り。
吉岡・小林→末永・山本へと2枚替えを敢行します。
前年鹿児島で昇格を決定付けるゴールを齎した山本、この場面で古巣に牙を向く存在に。

15分に左スローインから繋ぐ山口、池上のクロスの跳ね返りを拾い、ミドルシュートを放ったのは末永。
この強烈なシュートに対し、鹿児島は戸根が頭部でブロックと、決死のディフェンスで防ぎきり。
山本・田中渉がピッチに揃い、古巣対戦の要素が強まった事でお互いハイテンションと化したでしょうか。
続く16分には、鹿児島陣内で鈴木がショルダーチャージで野寄を倒してボール奪取、笛は吹かれずにそのままドリブルする鈴木に対し山口も相田がショルダーチャージを敢行。
そして奪いきって敵陣で継続させると、新保のボールキープに対し戻った鈴木が倒してしまうと、ようやく反則の笛が鳴るという具合に激しいデュエル・トランジションが展開され。
この後、先程のブロックで出血した戸根がピッチ外で治療する事となり後に復帰。
(鹿児島ベンチは18分に田中渉→ンドカに交代、鈴木が左サイドハーフに回る)

投入された山本は、19分に新保のクロスを合わせてのヘディングシュート。(ゴール右へ外れる)
24分には敵陣での細かなパスワークを経て、相田のラストパスをエリア内で受けてシュート(GK泉森キャッチ)と、古巣相手にゴールを奪わんと積極的にFWの役目を果たしにいき。
その傍らで激しさは留まる事無く、23分には鹿児島のCKから、クロスの跳ね返りを圓道がミドルシュートにいくもジャストミート出来ず。
ここからクリアボールを末永が繋いだ事で山口のカウンターになると、新保のスルーパスを受けた野寄がエリア内へ突撃。
そして右ポケットからカットインでゴールを窺ったものの、藤村のディフェンスで倒され奪われると、笛が鳴らずに終わったのみならず逆に鹿児島のカウンターに。
ンドカが右サイドをドリブルで持ち運び、山口は素早い戻りで遅らせた事で大事には至らなかったものの、ペースを握りきれないその展開に不気味さを感じる事にもなり。

そして25分、池上が足を痛めたというタイミングで後半の飲水タイムに。
ブレイク明けに彼に代わり田邉を投入した山口ベンチ。

スコアが動かないまま迎えた第4クォーター、緊迫した状況から一転してのオープンな展開が予想されましたが、それとは裏腹にお互い攻撃機会が減る事に。
ロングボール重視の攻撃とそれによる肉弾戦により、疲労度は攻撃面に影響を及ぼしていたようでした。
それに伴い、鹿児島は32分に圓道・藤本→河辺・有田へと2枚替え、山口は34分に野寄→若月へ交代と前線の駒を代えに掛かり。

山口は最後の交代により、これまで最前線のターゲット役で奮起してきた河野が左SHへシフト。
前節(水戸戦、1-1)のスタメン2トップが揃った事による采配ですが、結果的にこれが大当たりとなります。

36分山口は田邉のボールキープにより敵陣で溜めを作るも、鹿児島の素早い寄せを受けた事で、右へ展開してからのアーリークロスを選択。
前のクロスはファーサイドのターゲットとなった河野に上がるものとなり、野嶽のクリアミスもあり綺麗に収まった事でボックス内で迎える好機。
そして最初に放たれたシュートこそ野嶽がブロックし、ミスを挽回という絵図になったと思われた刹那、すかさず反応して再度シュートした河野。
豪快にゴール右上へと突き刺さり、とうとう均衡が破れる事となったこの試合。
ベンチの狙いを見事にピッチ上に表した先制点となりました。

追う立場となった鹿児島ですが、本来のパスサッカーを繰り広げるには厳しい状態故に、反撃の流れを構築できず。
焦りが顔を出す展開となり、38分にはカウンター阻止気味に若月を倒してしまった山口卓に反則・警告。
41分にも最終ラインで末永にボール奪取され、その刹那彼を倒してしまった外山が反則・警告と膨らむ被害。

そんな中で浅野哲也監督が採った手段は、完全なパワープレイへの移行でした。
43分に野嶽・藤村→井林・千布へと2枚替えを敢行すると、井林がFWの位置に入ってターゲット役となり。
そして右SBの穴埋めはせずと、リスクを承知の上でゴールを目指す体勢に入ります。
45分にはまたも、カウンター阻止で山本のドリブルを倒してしまった岡本が反則・警告を受けましたが、多少の被害には構っていられず。

期待に応え、送られる(主にGK泉森の)ロングフィードを次々と頭でフリックしていく井林ですが、エリア内での決定機までは齎せず。
スローインの際はロングスロー役が山口卓に代わったものの、放られたボールは低い弾道に終わるなど、付け焼刃感は否めず。
そして2度目は近場へのスローに切り返る山口卓、ここから外山のクロスが上がり、ファーで戸根が折り返したもののフィニッシュには繋がりません。

逆にクリアボールを敵陣で河野が拾い、溜めを作ってからのパスワークでィフェンスを剥がした末に若月がエリア内左を突く決定機を迎えた山口。
カットインで自ら撃つと見せかけてパスを送り、田邉のシュートが放たれるも枠を捉えられず。
駄目押しこそなりませんでしたが、勝利への進軍は止まる事は無く。

そして試合終了の時を迎え、文字通り難しい試合を制した山口。
今後は編成面でのやり繰りがピッチ上に影響する、この日よりも難儀な対応が迫られると思われますが、その苦境を跳ね返し昇格争いを制する時は来るでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第23節 ファジアーノ岡山vsベガルタ仙台

2024-07-09 16:01:02 | サッカー視聴記(J2)

※前回の岡山の記事はこちら(18節・千葉戦、1-2)
※前回の仙台の記事はこちら(20節・長崎戦、2-2)

<岡山スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 負傷離脱中のグレイソンが、治療に専念のため20節(熊本戦、1-0)をもって登録抹消。
  • 育成型レンタルから復帰の山田が19節(鹿児島戦、1-1)から登録される。
  • ユース所属の末宗が2種登録選手となり、前節(清水戦、1-3)から登録される。

<仙台スタメン>

  • 梅木が山口から完全移籍で加入が決定。(選手登録は7/14以降)
  • 實藤がJ1・マリノスからレンタルで加入が決定。

丁度プレーオフ圏内に居るクラブ同士の一戦。(仙台4位・岡山5位)
それでも3位・清水との差は大きく、次第に残り試合が少なくなるこの後半戦、結果に一喜一憂する戦いを強いられる事でしょう。
この日の岡山のホーム・シティライトスタジアムはチケット完売という事(放送席の談)で、そんな立ち位置が市民の熱狂ぶりを生み出しているものの、それが数年続いている状況故に殻を破りたい所であり。

そんな訳で、内容よりも結果という意識が一層高まる事が予想される試合。
それを象徴するように、ロングボールの蹴り合いで中々形にならない時間が続く入りとなり。
最初に敵陣でボール確保して攻撃機会を得たのは仙台(前半4分)ですが、この時も最終ラインへの戻しから組み立て直すも、小出の縦パスが強くなりオナイウが収められずと連係面で乱れてしまい。
中心となったロングボールにも差異が見られ、仙台がとにかくラフなボールという印象なのに対し、岡山は裏狙いのボールを何度も送るという具合に明確な意図を醸し出します。

仙台の乱れは、7分にラフプレーという形でも露呈してしまい、仙台のクリアボールに対し拾いにいった松井とルカオが交錯。
ルカオの頭部に松井の足が入ったように見えた(足裏は見せなかったためカードは出ず)その絵図通りに、1分程倒れ込むルカオ。(その後ピッチ外→復帰)

ルカオ復帰直後の9分、オナイウがドリブルで仕掛けた仙台ですが、岡山は鈴木がその推進を完璧に止めて矢印を反転させ。
そして中央→右へとサイドを変えながらの前進を経て柳貴のクロスが上がると、ファーサイドで高橋がボレーで合わせにいくもミート出来ず、しかし岩渕がそれを詰める体勢に。
これによりエリア内で乱戦が生まれ、その末に掻き出されたボールを輪笠がミドルシュート(枠外)と、相手の乱れを突かんと攻め込む岡山。

立ち上がりの時間が過ぎると、仙台は地上での組み立ての姿勢を採り始めて落ち着かせんとします。
しかし岡山もハイプレスで対抗し、柳貴・岩渕が前に出ての4-4-2での守備布陣の前に、前進を果たせない時間が長く続き。
前節(栃木戦、3-2)からサイドバックを両方とも代えた影響か、中々本来の右肩上がりの布陣を採れず、それがパスワークの乱れに繋がっていた感がありました。

一方の岡山も地上での繋ぎの割合を増やしますが、高めに位置を取る柳貴を活かしながら立ち回り。
3バックが幅を広く取っての繋ぎで、相手サイドハーフ(主に左の相良)を釣り出して柳貴にボールを届ける攻撃が形となり、主導権を握ります。

優勢となる岡山に、アクシデントが襲ったのが22分。
仙台の攻撃がクリアされ、ルーズボールを拾いにいった所で菅田がルカオに倒されて反則。
これで菅田が倒れ込むも、同時にルカオもスプリントした事で筋肉系トラブルを発生させてしまい、治療を受ける事となり。
先程の松井との交錯の影響は不明ですが、ともかく倒れて担架で運ばれ交代ととなってしまったルカオ。
グレイソン不在ななか、これでFWの人材不足が一層深刻となる恐れが高まり。(早川と交代で、岩渕が1トップに回る)

嫌な流れを強いられる岡山、25分にプレスを嵌めて岩渕が菅田からボール奪取するも、その刹那菅田に引っ掛かり倒れ。
これに笛が鳴らずとなった事もそれを加速させ、どよめきとブーイングに包まれるスタンドの大観衆。

しかし依然として仙台の攻撃は形にならず、SHのオナイウ・相良の仕掛け頼みという状況。
それに救われたでしょうか、迎えた32分にクロスの跳ね返りを中島が拾うも、ゲーゲンプレスで鈴木が前に出てボール奪取に成功。
すかさず拾った竹内がエリア内へミドルパスを送ると、柳貴が合わせボレーシュートにいくも眼前で菅田がブロック。
しかしこぼれ球がGKとDFの間に入った事で、反応した岩渕がフリーでシュートという決定機を創出します。
これもGK林が至近距離でセーブした仙台ですが、再度素早く反応した岩渕の2度目のシュートは防ぎようが無く。
仙台ディフェンスは岩渕の抜け出しでのオフサイドを主張するも、ブロックに当たってのものなため空しく終わる事となり、岡山が先制点に辿り着きました。

追い掛ける立場の仙台ですが、相変わらず前進する機運は高まらず。
岡山はルカオの負傷退場以降、5-4-1での守備の色を強めたものの、それでも1人減った形の岡山の前線を回避するのに精一杯。
何とか本来の右肩上がりの布陣を取り始めた事で、形式上では「ワイドに張る相良が柳貴をピン止めしている」状態に見えなくも無く。
しかし主体的に行っているのか疑問符が付くため、その状態を活かす手法に乏しく、一向にフィニッシュに辿り着けずに時間を潰していきます。
個人的な意見を述べると、知念と相良の間に誰かが流れ、パスを引き出すという立ち回りをして欲しかった所ですがその場面も一度のみ。
しかも敵陣故に岡山がリトリートしている場面だったため、さしたる効果も無く終わってしまいました。

硬直する仙台のビルドアップ。
41分にはその影響か、引き付けて縦パスを送らんとした小出が、その引き付けた田中にパスを当ててしまうという目も当てられないショートカウンターに。
そしてドリブルに入った田中がそのままミドルシュートまで繋げ、菅田がブロックするもこぼれた所を拾い直した田中、今度はエリア内でシュートと先制点の場面にも酷似した決定機。
しかしこのフィニッシュはゴールバーを直撃、浮き球を詰めにいった早川の前でGK林が抑え、何とか命拾いという形になります。

アディショナルタイム、中盤で工藤蒼が竹内に反則を受けた事で、仙台へ針が傾く試合展開。
これまでオナイウに右で仕掛けさせていたのを囮とし、右に開いた松井が縦パス、中島フリック→郷家レイオフと中央から前進。
受け直した中島がエリア内へ進入してシュート(ゴール上へ外れ)と、流れるようにゴールを脅かし。
そして前半終了と、最後の好機で何とか後半に希望を繋ぐという形になりました。

しかしハーフタイムで2枚替えを敢行する仙台。
小出・オナイウ→真瀬・エロンへと2枚替えし、空いたセンターバックには本職で無い高田が回るという手法を選んだ森山佳郎監督。(また郷家が右SHへと回る)

右サイドの2人を揃って入れ替えた事で、後半の立ち上がりはそこから攻める仙台。
そしてロングスロー(高田)→コーナーキック→ロングスローと、セットプレーによる押し込みでペースを掴まんとします。
前半はアバウトさが目立つだけとなったロングボールによる攻撃も、後半4分にGK林ロングフィード→エロン落とし→郷家中央からミドルシュート(枠外)と、ターゲットが加わった事で良化を見せ。

しかし続く5分、岡山もゴールキックからロングフィード→柳貴フリックと同じ手法でやり返し、クリアボールを拾って右サイドから前進に入り。
早川のエリア内へのパスは誰にも合わず回収されるも、仙台の前進をその早川がプレスバックで奪取して再度岡山の攻撃、1タッチパスの連続で素早く前進し田中がエリア内を突いて右へ横パス。
そして輪笠がカットインからシュートを放ち、工藤蒼がブロックするも右CKに。
このセットプレーからも、ファーに上がったクロスを田上が折り返し、さらに阿部の落としを経て鈴木がシュート(ブロックに当たり再度CKに)とCB3人の連係によるフィニッシュ。
テコ入れをしても、岡山優勢の流れを変えられません。

そして慣れない最終ラインの形により、岡山のハイプレス(後半からまたも柳貴が前に出ての4-4-2が中心となる)に苦戦の色が強まり。
9分に深めに追い込まれ、菅田→高田へのミドルパスで脱出せんとするも、果たせず田中に奪われて左サイド深めからショートカウンターの開始。
そして細かいタッチでの前進を経てポケット奥に送られるスルーパス、走り込んだのはプレスにより前に出ていた竹内で、入れられたマイナスのクロスを岩渕がヒールで合わせてのシュート。
緩いながらも心憎いシュートがゴールに向かうも、ラインの前で何とか菅田が掻き出して防ぎ。
際どい凌ぎを果たした仙台ですが、続く10分にもパスミスから岡山の攻撃を浴び(田中の前進を)、反則で止めた高田が警告を受け。
ベンチがさらに動きを強いられるのは必然で、12分に工藤蒼→長澤へと交代します。
(高田は12分にも左サイド深めで岩渕に反則を犯し、岡山サイドに2枚目をアピールされる危機に)

ボランチが本来の形となった事で、長澤・松井の2人が盛んに動き回ってボールを運ぶ橋頭堡となり。
サイドに流れたり岡山選手の間で受けたりと、様々な手を使い流動化を果たさんとします。

盤石に見えた岡山ですが、19分に高橋(今季初スタメン)が足を攣らせた事で動きを余儀なくされるベンチ。
高橋・田中→本山・木村へ2枚替えを敢行するも、ここからペースダウンし仙台の跳梁を許す事となり。

その後の仙台はやはり右サイドに投入された真瀬を活かす立ち回りで、その推進を松井・長澤がサポートする形で好機を作り。
24分に相良→名願へと交代した事で、更にファーサイドのターゲット強化を図ります。
25分その形での好機が生まれ、中島のスルーパスに走り込んだ真瀬のクロスが上がり、ファーで名願が跳ぶも惜しくも合わず。

それだけに相手にペースを渡したくなかった所ですが、26分にGKブローダーセンから攻撃を始めると、最終ラインへのプレッシャーが緩い仙台。
その隙に左サイドを素早く運ぶ岡山、スルーパスに木村が走り込んでクロス、ブロックされて左CKに。
そしてこのセットプレー、キッカー早川のクロスがゴール近め中央に上がると、予想以上の伸びを見せたためかGK林はキャッチできず弾いてしまい。
これを林が抑える前に田上が拾い、左にかわしながら放たれたシュート、林と郷家の2人掛かりでブロックにいった仙台ですがボールは無情にもゴールへとこぼれ。
またも追撃される形でのシュートが決まり、岡山がリードを広げるに至りました。

それでも諦めずに攻め込む仙台、31分には狙い通りにまたも右からの真瀬のクロスを、ファーサイドで名願が合わせヘディングシュート。(GKブローダーセンキャッチ)
FKでは素早くリスタートして裏へボールを送るなど、岡山の堅守を崩す試みは様々に行われますが実らず。
岡山はその楼閣を強化せんと、34分に最後の交代。
柳貴・岩渕→柳育・齋藤へと2枚替えし、阿部が右ウイングバックへシフト。
後列の5人がいずれもCBという、傍らから観て盤石の布陣となります。

しかもその交代から、流れが反転して攻撃機会を増やすおまけも付き。
37分にワイドで阿部の縦パスを受けた早川がカットインし、右ハーフレーンからミドルシュート。
菅田がブロックするも拾った本山がさらにミドルシュート、これがゴール上部を襲うもGK林が何とかセーブ。
しかし尚も右CK、キッカー早川のクロスを中央で柳育が跳び込んでヘディングシュートを放ち。
豪快にゴールネットを揺らして3点目……と思われましたが、高田に圧し掛かる形でのヘディングとなったため反則で無効とされてしまいました。

仙台は38分に最後の交代、中島→菅原。
純粋なストライカーの2トップと化し、それを活かさんと攻め上がり。
39分に郷家のラフな裏へのロビング、エロンが走り込んだためクリアが小さくなり、拾って好機。
そして中央での繋ぎを経てエロンがミドルシュートを放つも、田上がヘッドでブロックとこの強烈なフィニッシュを防ぎ。

岡山も堅守に阻まれるなか、時間も押し迫る事による焦りもあり、だんだんとロングボールへ傾倒していく仙台の攻撃。
44分のCKから、GKブローダーセンのパンチングしたボールを真瀬がダイレクトでボレーシュートにいきましたが、クリアした早川を蹴ってしまう形となり反則・警告を受け。

そしてATになると、完全に2トップ+パワープレイで上がった菅田狙いのロングボール攻勢に入る仙台。
それを凌ぐ岡山も、マイボールの際はラフに裏へボールを蹴るのみとなり、期せずとも試合開始直後の状態に立ち返る事となった展開。

その中で岡山は、阿部縦パス→早川ワイドから中央へ流れる→鈴木前進と地上での運びに成功。
そしてそのまま鈴木がペナルティアークからシュートを放ち、ゴール左へ際どく外れとあわや追加点というシーンを演出。
最後まで岡山有利の流れは変わらず、といったATになりました。

結局2-0のまま試合終了となり、順位で仙台の上に立った岡山。
次節から夏の補強選手が登録可能となりますが、既に2人補強している仙台に対し、岡山はいわき・嵯峨の獲得が発表され。
それでも薄いFWの穴埋めが待たれる所で、今度こそ昇格への道を歩む事が出来るでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第23節 ヴァンフォーレ甲府vs徳島ヴォルティス

2024-07-08 16:19:14 | サッカー視聴記(J2)

※前回の甲府の記事はこちら(20節・いわき戦、1-1)
※前回の徳島の記事はこちら(19節・横浜FC戦、0-1)

<甲府スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 監督を交代。前節(大分戦、0-0)終了の3日後(7/2)に篠田善之監督を解任(双方合意の下契約解除)し、大塚真司コーチが昇格という形で監督就任。
  • 前節出場停止の飯田はベンチ入りに留まる。
  • 負傷離脱していた小林・三平が前節に復帰し途中出場。三平は今節スタメンに。

<徳島スタメン>

  • GK三井(J1・名古屋から育成型レンタル)のレンタル期間が今シーズン末まで延長される。
  • スペイン5部・ジローナFC Bへレンタル移籍となっていた鈴木輪太朗イブラヒームの復帰が決定。(選手登録は7/14以降)
  • 岩尾がJ1・浦和から完全移籍で加入(再加入)決定。(選手登録以下略)
  • ターレスがJ1・名古屋から完全移籍で加入決定。
  • 内田が20節(千葉戦、0-1)に故障離脱から復帰し、前節(長崎戦、2-2)スタメン出場を果たす。
  • 前節負傷交代した渡はベンチ外。

どちらにも忘れる事が出来ない対戦となった開幕節。
甲府は大勝(5-1)で徳島の出鼻を挫き、文字通り泥沼へ突き落すような勝利となり。
落とされた徳島の方は戦術的にも精神的にも迷走を続け、吉田達磨監督の解任に至ったのは周知の通り。
それに伴うゴタゴタ(島川引退・西谷退団)も、一般層にまでその迷走ぶりを知れ渡らせるのに一役買ってしまいました。

しかし今やこの2チームの順位は逆転するに至り。(徳島13位・甲府14位)
地道に守備を建て直しじわじわと浮上してきた徳島の一方で、8試合未勝利でボトムハーフに落ちてきた甲府は、前節終了後に監督交代を決断。
これにより、開幕節とはお互い異なる監督でぶつかる事となりました。
そんな共通点とは無縁でしょうが、徳島のマスコット・ヴォルタくんとティスちゃんと大林ひょと子氏も甲府の地に訪れ、カメラインで目立っていた試合前。

甲府の最大の長所である、ハイプレスが雲散霧消気味な今季。
何とか立て直すべく、ボール保持の色を強めたり3バックにしたりと調整を図ったものの、結果が全く出ない状態を変えられず。
そして篠田体制は終わりを告げましたが、大塚新監督も基本的な布陣はそれを引き継いでの3-4-2-1。
目を惹く宮崎の右ウイングバックも前節に取り入れたもので、ベーシックな部分を強調しての戦いとなりました。

その甲府の姿勢の通り、前半2分に橋本、4分にチアゴと徳島選手が痛んで倒れ込むシーンが目立った立ち上がり。(いずれも無事に継続)
対する徳島も、6分に柿谷がロングスローを投げ入れるという、テクニシャン風な柿谷も泥臭さを前面に出すというスタイルで対抗を見せます。

しかし反面、どちらもハイプレスは控えめで、次第にボールポゼッションの色が強まる展開に。
特に監督交代の初戦とあり、相手の徳島が出方を窺う姿勢に落ち着いた事でそこに着地した感がありました。

そうなると、超ベテラン・山本のフィードが活きる状態となり。
最後方から送られるミドルパスを中心に、敵陣に切り込んで隙を伺い、戻して作り直しという立ち回りでペースを掴む甲府。
16分、右へ流れた山本はサイドチェンジ気味に荒木にミドルパスを届けると、そこに喰い付いてきたカイケの背後を突くスルーパスがアダイウトンに。
そしてドリブルに入るアダイウトンに対し、カイケが必死に戻りスライディングを仕掛けるも、得られた報酬はアダイウトンを倒した事による反則・警告となってしまいます。

そんな甲府ペースを剥がしたい徳島も、20分過ぎから徐々に体制作り。
それは一重に、エウシーニョのボールキープを使いながらポゼッションを高めるというものであり。
山本と同じくベテランで、前半には彼を酷使して尻すぼみとなった試合(2節・鹿児島戦、1-2)もあるだけに、使い方が難しい彼の力。
しかしこの日のエウシーニョは下がり目の位置でキープし、甲府のプレッシャーを呼び込んでパスを散らし、自ら上がるのは控えめという姿勢。
消耗を抑えながら、ポゼッションスタイルの基本である「相手を動かして隙を作る」事に徹している節がありました。
それに釣られるように、ボランチの永木や児玉も、パウサで巧く甲府選手を引き付ける絵図が目立ち。

しかしそれが形にならないうちに甲府の攻撃に晒され。
24分、自陣で反則を受けた甲府は素早いリスタートを選択し、鳥海が直接裏へ届けるロングボール。
これを収めたアダイウトンがエリア内を突いてシュート、追走していたカイケのブロックに阻まれるも、こぼれ球に走り込んだ三平が追撃のシュート。
これも森がブロックと何とか防ぎましたが、時間を掛けて攻める間に、逆を突かれる危険性が高まる徳島。
28分には最終ラインから左へ運ぶも、青木→橋本へのパスが少しズレた事で甲府のプレッシャーを受けながらの繋ぎを余儀なくされ。
そして林田に奪われて甲府の攻撃(前進もその後戻して作り直し)と、ポゼッションによる崩しを図るなかで微妙なミスを突かれるという多難な状況に。

そのため結局は甲府優勢という流れに落ち着く試合絵図。
オリジナルフォーメーションから、関口が高い位置を取る4バック気味となったり、山本がボランチの位置に上がるなど様々に可変してのビルドアップが冴え渡り。
29分にその高い位置を取った関口が右ポケットでスルーパスを受け取り、ボールキープののちワイドの宮崎へパス。
宮崎は(クロスの跳ね返りを拾ったのち)カットインからのパスでまたもポケットを突き、受けた鳥海が奥からGKのニアを狙うシュートを放つもスアレスが足でセーブ。
これにより得た右CKからも、キッカー中山のクロスを合わせた山本のヘディングシュートをGKスアレスがセーブと、度々徳島ゴールを襲うフィニッシュ。

それでも徳島は、エウシーニョを利用したポゼッションの姿勢を崩さず。
38分にそれが形となり、森→GKスアレスへのバックパスで甲府ディフェンスを引き込んでからの前進で、右サイドで柿谷とのパス交換を挟みつつキープするエウシーニョ。
その最中に突然エリア内へミドルパスを送って急所を突くと、走り込んだ児玉が浮かせながらのキープから戻し。
受けたチアゴの再度のスルーパスはブロックされるも、こぼれ球を児玉がミドルシュート(ブロック)と、ようやくフィニッシュにまで繋がります。

しかし光明が見えた直後、というありがちなパターンに嵌る事に。
39分甲府も最終ラインから地上で繋ぎ、こちらは左サイドからの素早い前進を選択し、アダイウトンがパス&ゴーで中山のスルーパスを受け直し。
そして左奥から低いクロスがニアに入ると、三平の強烈なボレーシュートがゴールを襲い。
GKスアレスがセーブするも威力の方が勝り、こぼれ球がゴール内へ吸い込まれて先制点が齎されます。
新監督の初陣で、どうしても欲しかったリードを奪った甲府。

この先制点により、さらに甲府へと傾く流れ。
41分には徳島のパスミスから拾ったアダイウトンが持ち運んでスルーパス、走り込んだ荒木のクロスが跳ね返されたのちもさらに仕掛け。
右から宮崎のクロスもクリアされますが、拾った荒木がドリブルを仕掛け、エウシーニョを剥がしてエリア内を突いた末にシュート。(カイケがブロック)
44分には縦パスを受けたアダイウトンがカットインを仕掛けた所、対峙するカイケがスリップしてかわされる(その後ロングシュートも枠外)という具合に、目に見えてミスが増えてきた徳島。
このままでは開幕節の再現の恐れが……という所でしたが、幸いにも前半終了までやり過ごします。
甲府も最後に得たフリーキックから、放り込みでは無く横パスを選択した結果、その直後に前半終了の笛が鳴るという立ち回りを失敗といった絵図で終わってしまい。

ハーフタイムで動く徳島。
2試合連続ゴールを挙げている坪井を早くも投入します。(チアゴと交代、FWに入りブラウンノアがシャドーに回る)

最初の好機は甲府で、右サイドでのパスワークの最中に林田が児玉のアフターチャージを受けて反則・FKに。
ここではシュートに繋がらずも、その後後半6分に山本が反則気味のボール奪取からの好機と、球際の部分で運も絡み優位に立つ甲府。
アダイウトンのボールキープがデイフェンスに阻まれたこぼれ球を、ダイレクトでミドルシュートを放った山本。(ゴール左へ外れる)
未勝利が続く状況で最も悔しい思いをしているのはレジェンドのこの男、というようなフィニッシュを撃ちましたが、追加点とはいきません。

立ち上がりの守勢を凌いだ徳島は、前半同様にボールポゼッションの体勢に入り。
しかし今度はエウシーニョを使わずのプレス回避が目立ち、その分最初から高目に上がるシーンを膨らませるエウシーニョ。
追い掛ける立場らしく、後半勝負の色を滲ませます。

甲府は11分にGK山内が低いフィードを左へ送ると、エウシーニョが足を延ばすもカットできずにアダイウトンに渡り。
徳島の上記の姿勢の裏を突くような好機となりましたが、アダイウトンのエリア内へのスルーパスはカットされて実らず。
すると12分、甲府が後方で持った所に徳島がプレッシャーと逆の立場になると、(山本の持ち運びからの)バックパスの連続で引き付けようとする甲府。
しかしワンタッチでの繋ぎが仇となって今津がパスミスを犯してしまい、拾ったブラウンノアの横パスから坪井がダイレクトでシュート。
ゴール左へと突き刺さり、3試合連続となった坪井のゴールで同点に追い付いた徳島。
今津にボールキープでのいなしを選択する判断と技術があれば……という、両チームの地上での繋ぎの姿勢が明暗を分ける格好となりました。

何とかもう一度突き放したい甲府に、追い打ちを掛けたのがアクシデント。
14分にこぼれ球を拾って前進する三平、柿谷のチャージで倒れた所に、さらに永木に後ろから削られるという二重苦を浴びてしまい。(恐らくは柿谷の反則)
ここでは何とか起き上がり続行したものの、62分に徳島が最終ラインでの繋ぎに入った所で、悪化させてしまったのか三平は片足立ちを余儀なくされて守備体勢を取れず。
それでも柿谷縦パス→坪井ポストプレイと容赦無く継続される徳島の攻撃、最後は右ワイドからの永木のクロスがゴール上へ逸れた所で、倒れ込む三平。
離脱から復帰したてでしたが、またも負傷交代となってしまいました。(ウタカと交代、同時に荒木→小林へと交代)
それに併せて徳島も、柿谷→杉本へと交代。

しかし徳島サイドも20分、ディフェンスに入らんとスプリントを掛けたカイケが足を痛めてしまう事態が発生。
これにより内田投入の準備をするも、幸い無事だったようで継続の運びとなります。

そして22分、左サイドでの奪い合いから確保した徳島、甲府のゲーゲンプレスをかわすパスワークで前進。
そして裏を取った橋本のグラウンダーのクロスが入ると、ニアに走り込むブラウンノアと、今津・GK山内の三者が縺れる状況に。
山内が足を延ばして先んじて触れるも、跳ね返せずその奥でブラウンノアが合わせる格好となり、ボールはゴールへと吸い込まれます。
逆転弾で、これで今季初めて甲府からリードを奪った徳島。
負傷を耐え凌いで得点に繋げた(?)カイケも、ここでお役御免となりキックオフ前に内田と交代。

逆に追いかける立場を強いられた甲府。
こうなると、守備意識を高める徳島の前にボール保持からの崩しが必須項目となり。
26分今津が左サイドを持ち運び好機を作ると、アダイウトンの中への縦パスを手前で林田がスルー。
受けた中山のミドルシュートが放たれるも、杉本のブロックに阻まれます。
前半と比べアダイウトンは下がってパスを受ける場面が多く、そこからミドルパスを散らすという立ち回りへと変わり。
それにより目線を変える効果は見られたものの、本来の縦突破が無くなった事でパワーダウンの感がありました。
そのアダイウトンが退いたのが28分。(武富と交代、同時に鳥海→木村へと交代)

徳島は尚も勢いを持って攻めるも、それにより甲府もカウンターのチャンスが健在となり。
33分には関口の低いロングパスが直接ウタカに収まる好機となり、エリア内からGKスアレスの上を抜かんとループシュートが放たれましたが、ゴール上へ外れて同点ならず。

甲府の最後の交代は35分で、山本→佐藤。
佐藤がボランチに入る事により、林田が最終ラインに降りるという微調整で最終布陣となり。

何度かカウンターを浴びた徳島がリトリートの意識を強めると、敵陣でパスを繋ぎ続けるも外循環の域を出なくなる甲府。
フィニッシュに繋げたいのは当然ですが、それが果たされる事は無く。
一方逃げきりの色を高める徳島、最後の交代は42分でエウシーニョ・永木→高田颯・杉森。(杉本がボランチに回る)
投入された高田颯は間も無い44分、小林に対して反則を犯したのち、ボールを蹴り出してしまい警告を受けるという具合に空回りするも大きな破綻は無く。

45分、杉森のハンドにより右ワイドからのFKを得た甲府。
蹴る前にATへ突入と、勝ち点3を得るのは厳しい状況となるなか、上がったキッカー中山のクロス。
今津が合わせにいく手前でGKスアレスがパンチングでクリアすると、勢い余ってスアレスに激しくぶつかってしまう格好となった今津。
反則・警告という当然の処置が下されますが、勝利への執着か焦りか、興奮収まらずという絵図を晒してしまう今津。
しかし倒れ込むスアレスの方が深刻で、脳震盪の危機が高まるものの、3分程掛けて何とか起き上がり。
そしてプレー続行の運びとなり、安堵が齎される徳島。

これにより、正確に何分間か不透明となるAT。
諦めずに敵陣でパスを繋ぐ甲府ですが、致命的なミスを犯してしまいます。
左ワイド→中央への今津のパスに関口が反応できず、杉森が拾った事で徳島のカウンターとなり。
そしてパスを受けてドリブルに入る坪井、林田をかわしてGKと一対一に持ち込むと、右ポケットへ切り込んで山内の左を抜くシュートでゴールネットを揺らします。
勝利を確定させる2得点目と、確変状態は尚も続く坪井。

尚も攻め込む徳島、CKでも逃げきりを選択しないのは、甲府戦ならびに長崎戦の惨敗による得失点差(試合前の段階でマイナス10)を挽回する意図も含めての事か。
高田颯の右ポケットからのシュート(ゴール前で林田がブロック)、CKから森のヘディングシュート(GK山内キャッチ)とひとしきりゴールを脅かし。
そして1-3のまま、試合終了の時を迎えました。

立場の逆転を証明する結果となったこの試合。
膿を出しきった徳島のように、甲府はこの状況を打破する事は出来るでしょうか。

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