ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第10節 ヴァンフォーレ甲府vs栃木SC

2023-04-21 18:17:45 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の甲府の記事はこちら(6節・水戸戦、4-2)
※前回の栃木の記事はこちら(8節・山口戦、1-1)

<甲府スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 武富の故障が発表され、3/14に発生して全治4週間との事。
  • ジェトゥリオの故障が発表され、4/6に発生して全治4週間との事。
  • 8節(仙台戦、0-3)で負傷交代した品田の詳細が発表され、全治6~8週間との事。
  • 内藤の故障が発表され、4/13に発生・4/17に手術敢行して全治3か月との事。

<栃木スタメン>

  • 7節(群馬戦、1-2)で負傷交代(ハーフタイム)した大谷の詳細が発表され、復帰まで6週間との事。
  • 前節は岡﨑・森が負傷交代し、ともに今節はベンチ外。
  • そのためか高嶋が今季初のメンバー入りを果たす。

GKが「かわた」のクラブ同士の対戦。

ホームの甲府は、前年の天皇杯制覇により、開幕前にスーパーカップを戦うというJ2クラブとは思えないスタートを切り。
そこで頭角を現した左サイドの水野・三浦のコンビが今季の売りとなるかと思いきや、両者とも直ぐに序列が落ち。(ベンチ外が長く続いていたが、故障かどうかは不明)
2人のスピードは大きな武器となるものの、開幕節(山形戦・1-2)では、その前掛かりな姿勢の裏を突かれ続けるという弱点が露呈する事となりました。

すぐさま現実路線に舵を切った篠田善之監督、カウンター重視と共に、前年までのスタイルであるボールポゼッションも取り入れるなど微調整を続けている現状。
その中心となるのが、連戦の中でもスタメンを続けている1トップのウタカ。
大ベテラン故にそのコンディションが気になる所で、現に連戦の過去2戦とも60分台の出場で退くとともにチームも連敗とやや下降線を描いているのが気掛かりであります。

コイントスでコートチェンジが行われ、前半に風上を取った栃木。
その振る舞いの通り、前半2分にGK川田のロングフィードを好機に繋げ、エリア手前から山田シュートもブロック→拾い直して繋ぐ→西谷ミドルシュートと連撃を浴びせ。
まずは環境を活かしたロングボールで相手を脅かすと、その後は最終ラインからのショートパスによる前進を交えるという、お馴染みの攻撃パターンを展開していきます。
両ウイングバックを軸としてクロスを入れる(左サイドは、上がってきた大森によるクロス)シーンを数多作り、コーナーキックも2本得るという具合にハッキリしたクロス攻勢に持ち込み。

甲府はその圧力に難儀し、デュエル勝負でも後手に回るなど押し込まれ。
それでもその流れが途切れると、今度は主体的な攻撃を見せるターンが巡って来ます。
当然最終ラインからのビルドアップを敢行するにあたっては、栃木のプレッシングが待っている訳ですが、ここで頼りになったのがGK河田。
前に出てエリア外でボールを裁き、11人目のフィールダーとしてパスワークに参加する事でそれをいなす下地を作り上げます。
自在に足下でボールを操り、縦パスで際どく栃木選手を剥がすその姿は、数年前の河田からは想像が難しい程であり。
前回観た際はウタカがチームに大人の振る舞いを齎していた印象でしたが、この日は河田がそれに値する存在となっていました。

20分にそのGK河田が縦パスを続け、2本目を受けた長谷川が前進からエリア内へミドルパス、そこに鳥海が走り込んで足から跳び込むも僅かに合わず。
かくして速攻と遅攻を自在に選べる立場となった甲府、ゲームの支配に成功して敵陣でサッカーを展開していきます。
スルーパスメインでポケットを突く事を第一目標としつつ、それが叶わなければ最終ラインまで戻し、栃木のプレッシングを誘発。
こうした流れを継続するその姿は、流行である「四局面のフレームワーク」がしっかりとなされている風であり。

色を失った栃木は、優勢であったインテンシティの勝負に舵を切り、中盤でボールを奪いにいき。
しかし甲府もゲーゲンプレスで対抗し、ボールの奪い合いが発生する事数多で、結局最後は甲府ボールとなりそれは実りません。

有利な流れを築いた甲府ですが、勝利に向けて必須となるフィニッシュは膨らまず、38分の須貝のミドルシュート(ブロック)ぐらい。
ボールと共にゲームも支配されているかのような栃木ですが、ここに活路を見出し隙を突いての一刺しに賭ける形となり。
41分に平松のクリアから空中でボールを繋ぎ、黒﨑のアーリークロスを中央エリアライン上辺りで根本が胸で収めにいき。
クリアされるも左サイドで拾って継続、パスワークを経て浮き球で左ポケットを突いたのち、中央へ移した福森がペナルティアークからシュートを放つもブロックに阻まれ。
敵陣で細かく繋ぐ攻撃に持ち込みましたが実らずに終わります。

甲府は45分にGK河田のロングフィードからの攻撃。
ウタカが収めたのち、鳥海が右ポケットを突いてゴールの期待を高めると、中央への横パスを経て最後はウタカがペナルティアークからシュート。
しかし枠を捉えられずと、ともにほぼ同じ位置で持ち込んだフィニッシュは得点を齎さずとなりました。

結局スコアレスで前半を終え。
押されていた栃木がハーフタイムで動き、西谷・安田→神戸・矢野へと2枚替え。

そしてキックオフからの栃木の攻撃、ロングパス→矢野フリックで前線へと渡し、黒﨑のパスを受けた矢野が右ポケット奥へ切り込んでマイナスのクロスと好機が生まれ。(クリアされるも拾った大森がミドルシュート、枠外)
この大ベテランの奮闘に引っ張られるかのように、ペースを握り直す栃木。
特に矢野と同じシャドーに位置する山田が、ドリブルからのスルーパスで目立つ存在となり、好機に繋げていきます。
しかしクロス精度が今一つなシーンも全体として目立つ栃木。

入りから約5分間はそんな栃木の攻勢が続いたものの、それが終わると前半と類似した展開に。
甲府がGK河田からのビルドアップを続ける展開に持ち込むものの、後半に試合を動かすスタイルの栃木も今度はそれに対抗します。
後半9分に甲府のパスワークを右サイドで遮断、山田がドリブルで敵陣を切り裂いた末に右ポケットへスルーパスというカウンター。
走り込んだ矢野が再びマイナスのクロスを入れるもブロックされてCKとなり、そのCKから神戸がミドルシュート(エリア内の根本に当たりこぼれる)と、ゴールへの意欲を高めていき。
対する甲府も焦りは見せず、11分には右サイドからの前進で須貝縦パス→鳥海スルーパスで最前線へ運ぶと、ウタカがクロス。
これを長谷川が足で跳び込むも合わずと、シュートまで後一歩という流れは前半と変わらず。

好ゲームの様相となってきた所で、19分に甲府ベンチも動き。
小林・三平→三浦・宮崎純へと2枚替えを敢行し、長谷川がトップ下へと回ります。
一度は見限られたというような左サイドバックの三浦(前節はスタメン)も、この緊迫した場面でピースに加わり。

それでも栃木の盛り返しを受け、難しい試合を強いられる甲府。
デュエル勝負で後手に回る影響が再び滲み出る時間となり、反則を与えてしまうなどペースを握れません。
一方の栃木も、得たフリーキックからはフィニッシュは生まれず、またチャージを受けても反則無しで攻撃が途切れるシーンも増えてくるなどその弊害が見られ始めます。

27分に再び動く栃木、山田→高萩へと交代。
29分にその高萩が、右からの高いクロスをファーサイドで(脚での)ポストプレイで繋ぐトリックプレーを経て、逆サイドから再びクロス。(GK河田が抑える)
その後もクロス攻勢を続ける等、甲府ディフェンスを何とか崩さんとする姿勢は見せるものの、上がるクロスはフィニッシュを生み出せず実りません。

一方の甲府も31分に鳥海→荒木へと交代。
ここに来て逆足のサイドハーフを投入と、形を変えてきました。
33分にはその配置通りの攻めで、右サイドで荒木を軸にしたパスワークを経てサイドを移し、三浦が左サイド奥を突いてクロス。
ブロックされて左CKへと持ち込むと、キッカー宮崎純が上げたファーサイドへのクロスに、合わせたのはウタカ。
ループ軌道でゴール左へと突き刺さり、混迷しそうな流れのなかエースの一撃で均衡を破った甲府。

追う展開となった栃木、残された時間は多くなく。(キックオフ前に黒﨑→大島へと交代)
そのキックオフでの攻撃、再び矢野狙いのロングボールから、跳ね返りを拾ったのち神戸が遠目からミドルシュート。
これがブロックに当たりゴールを逸れた事で左CKとなるなど、強引な攻撃の色を強め。
36分にもGK川田ロングフィード→矢野フリックから好機に持ち込むも、大島のクロスがクリアされると甲府のカウンターに。
宮崎純の中央のドリブルを経て、中継点を務めるウタカが右奥へスルーパスを送ると、スピードダウンしてボールキープに移行する甲府。
再び最終ラインへと戻し、GK河田から繋ぎ直すという具合に、逃げ切りも視野に入れた大人の振る舞いを見せ付けます。

栃木が40分に最後のカードを切った(根本→小堀)一方で、甲府も42分に最後の交代。
殊勲のウタカを退かせ(松本孝と交代、同時に長谷川→蓮川へと交代)、DFを一枚多くする、つまりは3-4-2-1の5バックシステムを採る事で逃げ切り体制へ入ります。

そしてその後は、面白いようにボールキープに努める甲府。
GK河田はロングフィードを送る体制へと移行しますが、そのボールも前線に繋がる事で、栃木サイドは中々マイボールに出来ずに時間を費やし。
45分にその河田のフィードから、拾った荒木が左コーナー手前でキープする体勢に入り。
そしてCKに持ち込んだ所でアディショナルタイムに突入、ショートコーナーから尚も続く甲府の逃げ切りモード。
ポゼッションを続け、逆サイドでのスローインで同様のボールキープに持ち込むなど、時間を使っていきます。

何とかそれを切って前線へ運ぶ栃木、右CKに持ち込んでGK川田も前線に加わる総動員体制へ。
執念は見せたものの、最後は神戸のクロスがGK河田にキャッチされた所で試合終了の笛が鳴り。
しっかりと逃げ切った甲府、連敗を2で止める事に成功。
前節に続きとんでもなく低い得点期待値(チーム平均値の半分以下)を叩き出してしまったものの、ゲームコントロールに成功すればこうして勝利に辿り着けるという見本のような試合だったでしょうか。


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DAZN観戦 2023年J2リーグ第10節 徳島ヴォルティスvsV・ファーレン長崎

2023-04-20 16:01:07 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の徳島の記事はこちら(4節・ヴェルディ戦、0-2)
※前回の長崎の記事はこちら(7節・仙台戦、1-0)

<徳島スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 戦列を離れていたGKスアレスが復帰、スタメンで出場。
  • 新助っ人ケサダが初のメンバー入り。
  • 石井が今季初のメンバー入り。
  • GK黒田・GK近藤が2種登録で加入。

<長崎スタメン>

  • 前節出場停止(累積警告で)のフアンマが復帰。
  • ヴァウドが初のメンバー入り、即スタメン。
  • 長期離脱していた秋野が前節に復帰・途中出場も、この日はベンチ外。
  • 5節(熊本戦、2-0)で負傷退場した名倉の詳細が発表され、3/23に手術を行い全治12週間との事。

開幕前の派手な演出・編成も、今や虚無と化してしまっている徳島。
現実は非情という事を示す例もこれほどまでに綺麗に表れれば、悲惨さを飛び越えて喜劇的ですらあり。

ボール保持率が高いだけに、得点期待値の低さがなまじ目立ってしまう。
そして実際に得点出来ずにいるのは、やはりチームの何処かに欠陥があるという事でしょうか。
実際自分も、前回観た際は強風の影響もあったのでしょうが、そのサッカーの内容にはほぼ何の魅力も感じられず。
それから時間が経っても良くなるどころか……という歩みのなか、節目の10試合目を迎えました。

長崎を迎えてのホームでの一戦。
その入りの前半1分にいきなり、長崎は自陣深めという位置から米田がフアンマに届けるロングボールを送り。
するとボールはフアンマの頭を越え、ワンバウンドの後最終ラインの裏で加藤大が拾ってドリブルでエリア内へ切り込むという決定機を迎えます。
ディフェンスに遭うなか横パスを送って走り込んでいた笠柳がシュートと、いきなりの電撃作戦成功かと思われましたが、シュートはゴールバー直撃で惜しくもモノに出来ず。
いきなり徳島の対応の拙さが露わとなり、GKスアレスの怒号も響きます。

長崎は12分にも決定機を作り、左サイドでの前進を経て最初のクレイソンのクロスはブロックされるも、尚も繋いで加藤大がクロス。
このボールも飛んだフアンマを越え、ファーサイドで増山がフリーで拾うという事態を招きます。
そして切り返しを経て放たれたシュートがGKスアレスの左を破るも、ゴール前で内田がブロックして何とか防ぎ。
どうも「フアンマへのハイボールを抑えれば何とかなる」という意識が強いあまり、空回りしている節が見受けられた徳島ディフェンス。

一方の攻撃では、アンカーシステムにも拘らず、その白井永が降りる最終ラインによる組み立て。
この辺りが良く言われる「欧州式を和式に取り入れる限界」なのでしょうが、それは前年の監督であったダニエル・ポヤトス氏(現ガンバ監督)も苦難した道であり。

理想と現実の挟間が不透明な状態の中、この日も目立ったのがベテラン・柿谷の細かな技。
5分に左からの杉本のクロスが跳ね返された後、そのボールを浮かせるポストプレイで繋ぎ、杉本のダイレクトシュートに持っていき。(枠外)
19分には内田縦パス→森フリックを経て中央で受けた柿谷がそのままドリブルに入ると、エリア手前という所で対峙したヴァウドを際どくかわしにいき。
「愚直にまっすぐ」でも無く「パスで逃げる」のでも無いこのプレーを受けたヴァウド、たまらず柿谷を引っ掛けてしまい反則を誘発させます。
これで得たエリア間近での直接フリーキック、ゲットした柿谷が直接撃ちにいきますが、このシュートはゴール上へと外れ残念ながら実りません。

一方の長崎、立ち上がりから見せていたフアンマ狙いの姿勢も時間が経過するとともに落ち着きを見せ。
序盤の決定機逸が響くかと思われる展開ですが、同時に徳島にとっても前述の通り「フアンマへのハイボール警戒」のみでは通用しない立場ともなり。
その意識の切り替えが足りなかったでしょうか。
26分、クロスの跳ね返りを回収して二次攻撃に持っていく長崎ですが、一旦後方にという事でGK波多野まで戻り。
ここでハイプレスへと移行する徳島でしたが、長崎サイドの戻しのスピードが速かった事で、これにより間延びしてしまう布陣に。
それを突いてすかさず前へとベクトルを向ける長崎、右サイドからスルーパスを交えて素早く前進した末に、笠柳のグラウンダーのクロスをフアンマが合わせシュート。
この切り替えの早さに、フアンマのチェックも緩慢とならざるを得なかった、といった所でしょうか。
再三の決定機逸を帳消しにする先制点を奪いました。

上記の柿谷の奮闘以外では、「ただ敵陣でボールを回しているだけ」という攻撃シーンに映った徳島。
特に長崎の守備ブロックをズラすべくのサイドの移しが今一つであり。
西谷の居る左サイドを意識させつつ、右の浜下に渡すという流れは一貫しつつありましたが、如何せんそのサイドを移すパスワークの速度が遅く。
また左(長崎から見て右)へ密集させるべくのパスワークも足りずと、質・量双方が物足りないといった印象しか残らず。

ビハインドとなるやたまらず、その課題の一つであった右への移しのスピードを上げて反撃せんとします。
それでもリードした事で、ゾーンディフェンスの意識が強まる長崎を前に崩しの作業は容易では無く。
おまけにポケットを突く要となる西谷を、長崎の右サイドバック・増山がマンマークするような形を採る長崎。
その分左ワイドが空く状況となるのですが、それ以上に徳島は西谷を消される事で難儀してしまい。
空いたワイドから、外山や杉本がクロスを入れるという申し訳程度の攻撃しか出来なくなる左サイドで、長崎サイドもそう割り切っていた節がありました。

また逆サイドでもポケットの突き方がお粗末で、守りが固くとてもじゃないが浜下のカットインには期待出来ない状況。
従って森が右ポケットの位置に入り、そこを狙って(玄や浜下が)パスを送るというワンパターン化一直線となり。
長崎のブロックを前に、トップ下に位置する柿谷がその中で孤立しつつあるのも痛かったでしょうか。
結局徳島は「ボールを握らされている状態」の域を出る事無く、前半を終了します。

ハーフタイムで早くも動くベニャート・ラバイン監督、柿谷→杉森へと交代。
これにより布陣も4-1-2-3へと代えて打開を図りましたが、連戦故の「ベテラン(柿谷)の体力面を考慮」という意味合いの方が強かったでしょうか。
前節(水戸戦、0-2)も後半12分に柿谷を退かせましたが、その矢先に先制を許して敗戦一直線といった試合展開。
その危惧が再び牙を剥く事となります。

その後両ウイング(右=杉森・左=西谷)を活かした、前半とは違った攻めで打開を図らんとする徳島。
しかしパスミスが目立つようになり思うように前進出来ず。

すると徳島攻勢の潮目が変わったのもそのパスミスからで、後半7分敵陣に攻め入るもバックパスがズレてしまい、それをフアンマに拾われる始末。
泣きっ面に蜂という中、浜下が反則で何とか止めて(浜下に警告)大事には至らずも、これでボールと共に流れも失う事となります。

9分に増山の例によっての飛距離の長いスローインで、コーナーキックを得る長崎。
2本続いた末に、その2本目でしっかりゴールに辿り着きます。
ショートコーナーからのパス交換を経てクレイソンがクロスを上げると、ニアサイドに入り込んだ櫛引がヘディングシュートでゴールネットを揺らし。
徳島は揺さぶられた影響かカカが競りにいけずとあり、これもディフェンスの細部がなっていないという印象でした。

キックオフで再開直後も好機を作ったのは長崎の方で12分、敵陣深めで笠柳がボール奪取と、徳島サイドの落胆が伺える起点に。
右サイドでスルーパスに走り込んだ鍬先がグラウンダーでクロス、これをニアサイドに入り込んだ加藤大が合わせる(枠外)という際どいシーン。
気を取り直して再び攻勢に入る徳島ですが、相変わらず長崎の守備ブロックを崩せる打算は感じられず。
やむを得ずミドルシュートを狙っていくという攻めに終始します。

21分に加藤大が足を攣らせた所で、両チームともベンチが動き。
徳島が浜下→ケサダへ交代(左SBに入り、外山が右SBに回る)した一方で、長崎は加藤大・笠柳→安部・宮城へと2枚替え。

その後は投入されたケサダを前面に押し出す徳島。
左サイドで強引な突破からクロスに持っていくという攻めで、何度か好機を齎すケサダ。
これで徳島全体に、長崎の制空権を制するだけの高さがあれば……といった所でしょうか。
実際ケサダが上がる分、西谷がエリア内でターゲットマンのような動きを取り始める等、アンバランスぶりは顕在という感じは拭えず。
その後34分に玄→千葉へと交代すると、4トップにも近いような状況となる前線。

一方無失点のまま、カウンターも交えつつ着実に時計を進めていく長崎。
40分に今季初出場だったヴァウドを退かせ(白井陽と交代、同時にクレイソン→加藤聖へと交代)、運動量の維持に努めます。(徳島は41分に白井永→櫻井へと交代)

するとその効果は得点によってすぐに齎され。
42分に左サイドの突破からCKを獲得した長崎、キッカーは投入された加藤聖が務め。
最初のクロスは跳ね返されるも、自ら拾ったのちに奥へ切り込んで再度クロス。
これがまたも櫛引のヘディングでのゴールを呼び込み、ダメを押した長崎。
この直後にフアンマもお役御免となり、都倉へと交代します。

徳島サイドはこの場面でも、櫛引を完全フリーにしてしまうエラーを顕著に表す形に。
そしてもう守備面ではファクターも何も無いといった感じで、45分には長崎の最終ラインからの繋ぎに、プレッシングを掛けるも全く阻止出来ず。
カイオのスルーパスで抜け出した米田が左ポケットを突き、グラウンダーのクロスがファーサイドの宮城に合うまでノーチェックといった感じで、ゴールネットが揺れて止めの4点目。

そのままアディショナルタイムに突入後も、カイオの左ポケットからのシュートをGKスアレスが足でセーブと、続く長崎の決定機。
徳島サイドにとってはまさに拷問といった感じで、試合終了の時を迎え。
おまけに終了後にはケサダが警告と、余分なお土産まで貰ってしまいました。

一方大勝となった長崎。
地元帰還後は、ファビオ・カリーレ監督とヴィヴィくんプロ野球のイベント参加を果たすなど、良好なムードが伺える一幕も作り上げ。

その傍らで、最早最悪といった徳島のチーム状況。
スコア以上にその内容の閉塞感がたまらないといった感じであり。
インテンシティ勝負で駄目(5節・いわき戦)、ハイプレスを受けて駄目(8節・千葉戦)という流れの中、今節は守備ブロックを固められて駄目といった所でしょうか。
要するに何が相手でも駄目、なのでは最下位という成績も納得できるものであり。

この日の内容を振り返ると、まず守備面では開始1分で早くも気が抜けたような危機を招いたのが脆さに直結。
第一の対策(フアンマへのハイボール)は出来ても、イレギュラーが齎された際にてんやわんやとなってしまう。

また攻撃では、ファイナルサード攻略にどれだけ手間を掛けているかどうかという疑問が拭えず。
西谷を消される対策を施されてからというもの、ボックスを突く手法に何の工夫も見られなかったのが残念でした。
アタッキングサード進入までは出来ても、そこからの崩しは選手によるアドリブが重要とは良く言われるものですが、この日は本当に「武器を持たずに前線に立たされる」といった感じ。
練習の段階でオートマティックな崩しを用意していれば、それを盾にしつつ他の攻撃ももっと有効になったはずであり。
外山なり杉本が、西谷を中継点ないしは囮としつつ、パス&ゴーでポケットを突くような攻めは出来なかったのか。

相手対策・イレギュラーへの対処と、実戦段階で求められる部分の落とし込みがまるで出来ていないのでは、という疑問に辿り着いてしまい。
そうなると監督の資質の問題ともなりますが、果たしてその行く末は。


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DAZN観戦 2023年J3リーグ第7節 松本山雅FCvsアスルクラロ沼津

2023-04-19 18:12:52 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

開幕から6戦無敗と聞こえは良いものの、引き分けが3もあるので上位の混戦から抜け出せていない松本。
変則的な膠着といった感じの中、2試合ぶりにホーム・サンプロアルウィンへと戻って来て、沼津を相手に迎えました。

その沼津は、今季から中山雅史氏を監督に迎え。
説明不要の大スターであり、磐田のコーチとして指導者生活を始めたとあっては、現役時代の大部分を過ごしたクラブ(おまけに黄金時代の象徴的存在となり)に骨をうずめる覚悟が伺えたはずでした。
しかしそれは前年を持って終わり(2年間)、監督業は2度目の実質的な引退クラブとなった沼津で開始する事に。

この心変わりの程は不明ですが、かくして同じ磐田のスターである名波浩氏(現日本代表コーチ)とは逆の状況となったスタート。
磐田で監督業を始め、J1へと上がったは良いが、そこから尻すぼみのような実績に終始する事となった名波氏。(代表に入閣したのは果たして吉か凶か)
前年はJ3でも松本を昇格させる事は出来ずと、その苦戦する姿はまさにトップダウンの流れに呑まれたといった感じ。
それ故に、反面教師的にJ3からのボトムアップを目指す選択を取ったのは頷けるものがあります。

そんな中山氏に率いられる沼津。
前節までの戦いぶりは、「良いサッカーはするが得点出来ない」と評されるものでしたが、百聞は一見に如かず。

試合が始まると、その沼津は前半1分にいきなり浮き球を収めにいった和田がハンドの反則を取られ。
この自陣でのフリーキックで、パウリーニョが素早くリスタートさせて縦パスを送り、菊井浮かせるフリック→小松落とし→鈴木国ドリブルと縦に速く攻め込む松本。
最後は菊井の低いクロスを、前節ハットトリックを達成した小松が頭で跳び込む(合わず)という具合に、スピード&ダイナミックといった絵図を描く攻撃。
3分には左サイドで菊井が倒されながらもスルーパスを送るという、沼津の寄せにも屈しない縦への運びから、受けた小松がドリブルで左ポケットを突き。
そして中央へ横パスを送り、鈴木国がシュートを放ちましたがゴール右へ外れ。
相手のプレッシャーの一歩手前で縦へパスを送るという姿は、力の違いを見せ付けているかのようであり。

そんな松本に対し、組織力を高めて対抗したい沼津。
4-1-2-3のフォーメーションらしく、守備時は持井が最前線に上がっての4-4-2の隊形を取るプレッシング。
一方の攻撃時は、4-1-2-3の布陣に相応しくない、サイドバックがガンガン高目の位置で攻めに絡むという姿勢を見せます。(といってもW杯のアメリカ代表の例然り、「4-3-3ではSBは(敵陣に持ち込むまで)上がらない」というのは日本特有の趣があり)
菅井・徳永がそれぞれ一列ずつ降りる事でそれを可能にし、主に左SBの濱の上がりが特徴的であり。
彼が最前線に上がる時は鈴木拳が引いてやや中央へ絞ったり、逆に鈴木拳がワイドに張って濱が内側のレーンに入るなど、可変の自在ぶりが目を引きました。名波氏よりよっぽど「偽SB」戦術に向いているっぽいぞ

それでも松本の前線の圧(と松本ホームのスタジアムの雰囲気)により立ち上がりは苦戦気味で、繋ぎたいのに逃げざるを得ないシーンが多くなり。
得にゴールキックから、エリア内にセンターバックを左右にセットするも、結局はロングフィードを選択するGK武者といった場面を続ける沼津。
変節は14分のゴールキックで、GK武者→附木→篠崎とパスを回し、篠崎のロングパスでプレッシングを脱出。
収めた徳永から攻撃を展開していくも、持井のドリブルからのスルーパスが鈴木拳には合わず終わります。
しかし続く15分濱のパスカットから敵陣で攻撃開始、右サイドへ展開したのち奥を突いた安在のパックパスを経て津久井が手前からクロス。
この「奥からと見せかけて手前からのクロス」で松本ディフェンスを巧く騙し、ファーサイドで鈴木拳がほぼフリーの状態でヘディングシュート。(しかもその手前の持井までフリー)
ゴールネットを揺らして先制と、やりきる勇気を見せ始めた途端に好結果に繋げました。

これで勢いを得た沼津は以降も前へベクトルを向け、コーナーキックを量産するなど押し込み。(20分の最初のCKから、附木がヘディングシュートもGKビクトルセーブ)
ここで注意したいのがそのCK(キッカーは全て徳永)からのカウンターで、20分の二度目のCKの際、クロスが流れたボールを拾った津久井が奪われて松本がカウンターの体勢に。
ここは榎本のドリブルを安在が素早く蓋をした事で、榎本の反則を誘発して逆にフリーキックの好機とした沼津。(ここからはシュートにいけず)

しかし24分、今度は流れの中でカウンターに持ち込む松本、左サイドを鈴木国がドリブルで疾走してクロス。
逆サイドに流れるも榎本が右奥で拾いもう一度クロス、これが山なりの軌道を描いてファーサイドの小松にドンピシャリでヘディングシュート。
ゴールネットを揺らし、素早く同点に追い付いた松本。
沼津にとってはエリア内に人数は戻っていたものの、榎本のクロス精度もありCBが手前でのジャンプを強いられたのが痛かったでしょうか。
低身長(といっても170センチある)の菅井が小松に最も近い位置に居たという絵図で勝負ありとなり。

松本が追い付いたのも束の間、尚も主体的な攻撃を続ける沼津。
26分右からのクロスの跳ね返りを回収したのち、最後方からまたも篠崎のロングパス。
和田の落としを経て拾った津久井がドリブルでエリア内を突き、そのまま右ポケット奥を窺って横パスを送り、最後は和田が合わせて仕上げ。
すかさず突き放すといった格好で、再度リードを得ます。

有利に立った沼津に対し、再び追う立場となった松本。
また素早く追い付かんとし、31分に菊井が左サイドからのドリブルからカットイン、そして中央からシュートを放つもブロックに当たり枠外に。
これで得た左CK、ショートコーナーからの住田のクロスが直接右ゴールポストを叩くなど、その圧力は健在であり。

そしてここから、沼津のサイド攻撃を参考にしたか、松本もSBを高い位置に押し上げてのビルドアップの意識を重視します。
これにより沼津は、そのSBをケアする両ウイングはピン止めされた格好となり、プレッシングに加われず。
36分に右でパスを受けた野々村に対し鈴木拳が出ていった結果、かわされて藤谷がサイドを前進する攻撃に持ち込まれる(その後パウリーニョのクロスを鈴木国が足で合わせるも枠外)などその効果は抜群となります。
やむなく沼津はインサイドハーフが2人とも最前線に加わるなど、プレッシングは困惑気味に。

そして41分、先程の右サイドアタックに、住谷が張り出して加わった事でプレッシングをかわして前進。
そして藤谷が奥へ切り込む場面を作ってCKに持ち込みます。
その右CKニアサイドにクロスを入れたキッカーの菊井、クリアされるも二次攻撃で再び右CKへ。
そして菊井は今度もニアサイドにクロスを入れると、榎本のヘディングシュートが放たれてゴールネットを揺らします。
「一度目が防がれた後も、さらに同じパターンを続ける」という選択で見事逆を突いた形でしょうか。

同点に追い付くとともに、沼津ペースを終わらせる事に成功した松本。
残り時間でもプレッシングを嵌めて沼津に攻撃機会を与えず、榎本のミドルシュート(45分)などゴールも脅かし。
好循環を持って前半を終えました。

それでもハーフタイムに住田→喜山へ交代と、手を打ってきた松本。
入りである後半1分、榎本がデュエルを制してのボール奪取から攻め上がり。(シュートまではいけず)
これを境に、インテンシティの高いサッカーを展開する意識が強まったでしょうか。
4分にはスローインのボールを収めた小松が、チャージを受けながらもポストプレイで繋ぐという具合に強さを見せ付け、そこから菊井がドリブルから左ポケットへスルーパス。
走り込んだ山本がシュート気味にクロスを送り、GK武者にセーブされて阻まれるも、球際の強さを発揮して有利に立ちます。
しかし直後の5分には、前に出てビルドアップに加わったGKビクトルがコントロールを誤り、和田に危うく奪われそうになるなどヒヤリとするシーンも作り。

前半見せたカウンターも発揮し、11分に沼津のCKからの直接カウンター。
菊井のドリブルを止めんとする沼津ですが、今度は止められず逆に和田のチャージがアドバンテージとなり(ここで後に警告が出なかったのは疑問)、鈴木国の右ポケットへのスルーパスから藤谷のクロスに繋がり。
そして走るのを止めなかった鈴木国がヘディングシュートを放ちますが、浮いてしまい枠外となり。

それでも強度を高めた影響はマイナスにも現れ、15分には持井の左からのカットインをスライディングで倒してしまった野々村に対し反則・警告。
サイドからのFKを得た沼津、キッカー鈴木拳が意表を突くように直接シュートを狙い、ゴール右上を襲ったもののGKビクトルがセーブ。

ホーム故に勝利への意欲を高めたい松本、18分にさらに鈴木国→村越へと交代。(菊井が鈴木国の居たトップ下に回る)
これを機にさらに意識を強め、20分・21分と立て続けに、敵陣での反則気味のボール奪取でショートカウンターに持ち込まんとします。(いずれもシュートまではいけず)
その影響で持井が(喜山の)スライディングで倒れ込むという痛々しいシーンを見せた沼津(無事に起き上がる)も、22分に和田→赤塚へと交代します。

尚も激しさを増す試合展開。
26分には自陣でボール奪取した津久井をすかさず山本が倒してしまい反則・警告。
続く27分には松本陣内でこぼれ球となり、喜山と赤塚の交錯が生まれてしまい、反則となった赤塚に警告とカードも飛び交う事態となり。
その余勢か、この際ヒートアップし赤塚に激しく詰め寄ったパウリーニョの絵図には見苦しさの方が目立ちましたが。
直後に松本は藤谷→下川陽太へと交代。

肉弾戦へと傾倒していたかのような松本、30分には最終ラインからの前進で好機。
パウリーニョが降りた最終ラインから左へ展開し、スルーパスに走り込んだ村越が奥からマイナスのクロス。
そして小松がシュートを放ちますが左ゴールポストを直撃と、乾坤一擲の組み立てでもゴールを奪えません。(沼津は33分に安在→大迫へと交代)

35分に中盤からのFKで、放り込みによる攻めを見せる松本。(といっても前半から遠目での放り込みの姿勢は変わらず)
その流れで、スローインとなったのちもCBが前残りしたまま攻撃していき。
そしてそのまま迎えた36分、喜山の左→右へのサイドチェンジをフリックした榎本が足を攣らせて倒れるなか、攻撃を続けて下川陽がクロス。
これをファーサイドで山本が合わせ、角度が付いたヘディングシュートが右サイドネットを揺らし。
点の取り合いから一転、2-2の均衡状態を破る一撃を放ちました。

ホームで点の取り合いを制する、胸すく勝利まであと数歩という松本。
しかしドラマには続きがありました。
キックオフ前に沼津は2枚替え、鈴木拳・津久井→森・ブラウンノア賢信へと交代。
これで赤塚・ブラウンノアを2トップとする4-4-2気味となったでしょうか。
一方榎本にアクシデントがあった松本も、38分に榎本・山本→國分・稲福へと2枚替え。
下川陽が左SBに回り、村越が右SHへ回るという具合にポジションチェンジも絡みます。

森の推進力を左サイドに加えた事で、陰り気味だった攻撃にエンジンを積み込む格好となった沼津。
ちなみに森は今季初出場であり、松本にとってはまさに未知の脅威となり得たでしょうか。
39分にはその左サイドから、奥を突いた濱のクロスをパウリーニョの顔面ブロックで何とか凌ぐ松本。
しかしCKに持ち込まれると、松本の2点目と同様に連続するCK。
キッカー徳永もその時と同じく中央へのクロスを連続させた結果、篠崎のヘディングシュートがゴールネットを揺らします。

これで三度同点となりましたが、落胆が大きかったのは当然、この日初めて追い付かれた松本の方。
42分に沼津は自陣左サイドからのFKで、GK武者がキッカーを務めて放り込みを匂わせた末に同サイドへの縦パス。
受けた森が前進からカットインと、チャンスエリアへの推進を止められない松本、そのままミドルシュートが放たれ。
ブロックに入ったパウリーニョに当たり、コースが変わってGKビクトルの逆を突いてゴールへ吸い込まれ。
立て続けの得点で逆転し、三度リードを奪った沼津。

既に交代枠も使い果たし、打てる手段は既に無い松本。
有効打となっていたインテンシティを強めるサッカーに活路を見出すしか無く。
45分には沼津のクリアミス(菅井のキックが附木の背中に当たって跳ね返り)を菊井が拾うという願っても無いシーンが生まれますが、右サイドから放ったシュート気味のクロスはGK武者が抑え。

迎えたアディショナルタイム、松本の強度を何とか凌ぐという体勢に入る沼津。
その中でハイボールの競り合いで小松が倒れて沼津の反則となった際、ピッチサイドから大声で異議を飛ばすなど、現役時代さながらの熱さを見せる中山監督。
その後もFKによる好機が膨らんだ松本ですが、放り込みを続けた結果、同時に時間も多く費やす事となり。
残り時間的に最後のFK(AT5分台)を迎え、菊井のエリア内やや左への放り込みを、野々村が跳び込んでヘディングシュートに持っていき。
松本ベンチ側も決まったと思い込んだそのシュートは右ゴールポストを叩いてしまい、跳ね返りを詰めたパウリーニョのヘッドも右へ逸れ、惜しくも同点ならずに終わりました。

3-4で試合終了の笛が鳴り、ピッチサイドで喜びの咆哮を挙げた中山監督。
今までの得点力不足が嘘のような、まさに激戦を制する運びとなりました。


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DAZN観戦 2023年J2リーグ第10節 ブラウブリッツ秋田vs大宮アルディージャ

2023-04-18 16:33:14 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の秋田の記事はこちら(2節・熊本戦、1-0)
※前回の大宮の記事はこちら(8節・山形戦、2-1)

<秋田スタメン>

  • 田中・藤田が今季初のベンチ入り。
  • 駒沢大卒のウォー・モハメッドが加入。まさにギリギリの3/31に決定。
  • 吉村の故障が発表され、2/17に手術を行い全治5か月との事。
  • 齋藤の故障が発表され、発生日不明(5節・水戸戦以降か)で全治12週間との事。
  • 中村の故障が発表され、発生日不明(恐らくHTで交代した6節・徳島戦)で全治16週間との事。

<大宮スタメン>

今季のJ2も節目の10節を迎え、そろそろ優劣がハッキリとしてくる時期。
そんな中で「青森山田」と揶揄される町田が首位争いを演じているのが象徴的ですが、その流れに乗っかった秋田も上位に着けている現状。
まさにパワーサッカー全盛といった感じでしょうか。

3年前ぐらいは下位カテゴリに当たるJ2の場でも、「ボール保持を重視して相手の守備ブロックを能動的に崩しにかかる」クラブが多数を占めていたものですが、今や形勢逆転の趣に。
そのパンドラの箱を開いた(と思われる)事象が秋田のJ2昇格で、2年間掛けてその地位を固めた影響が、リーグ全体にも波及した感があり。
まさに先駆者といった活躍で、3年目に当たる今季の飛躍もある意味当然っぽくありますが、まだまだシーズンの先は長く。

この日は、そのパワーサッカーの神髄を発揮するには十分な環境。
相手の大宮もパワーサッカーに針が振れている現状と、上記のリーグ全体の流れに従うかのようですが、低迷期を経ての事で苦し紛れの印象もあり。
そんな大宮をホーム(ソユースタジアム)に迎えた一戦は、強風吹き荒れるなか開催されました。

完全に(メインスタンド側から見て)左から右へ吹く強い風という条件が固定されていたこの日。
キックオフ前からどちらが風上を取るのかが嫌でも注目される中、前半は大宮がその条件を得ました。

しかし強い追い風という要素を味方につけるのに苦労する大宮。
前半2分の左からの茂木のロングスローは、誰にも合わずエリア内でバウンドする(高柳が拾いにいくもGK圍抑える)という具合に、ボールの伸び具合を把握するのに難儀します。

逆に秋田が普段通りのサッカーで攻勢。
縦に速い前進でサイドを突く攻撃で、風にナイーブとなっている大宮を押し込み。
12分にボールの蹴り合いで両チームベクトルが入れ替わる中、藤山のラフな裏へのロングパスが通り、左サイドで水谷が切り込んでクロス。
これがファーサイドでフリーの高田がトラップするも、収められずゴールラインを割り。
大宮にとっては、この場面のようなロングボール合戦によるトランジションの遅れも考慮しなければいけない展開を強いられ。

立ち上がりの時間を過ぎると、悩まされていた大宮は攻め方を一新し、グラウンダーでのパス重視の姿勢に切り替え。
21分には右サイドからの前進で、縦パスをカットされた栗本が自らボール奪取して継続。
そして逆サイドへと渡し、泉澤がドリブルでエリア内を突いてシュート(GK圍キャッチ)と一定の形を見せると好循環が巡って来ます。
23分には左右からクロスの応酬を見せたのち、こぼれ球を拾った茂木が梶谷に後ろから倒されて反則、直接フリーキックの好機に。
左ハーフレーン・エリアからすぐ手前という良い位置で、キッカー高柳の直接シュートがゴール左を襲いますが、GK圍の好セーブに阻まれ。

それでも秋田の中央が固いため、必然的にサイドからの突破が重視となる大宮。
ブロックをズラさんとするサイドチェンジも多用する攻撃で、そのため攻撃の接続役である小島にボールが渡る回数は少なく。
そんな要素からか再び停滞し始める大宮を尻目に、ゴールを目指す秋田。
向かい風でも、ロングボールを取り入れる攻撃に躊躇いは無く、この辺が百戦錬磨のパワーサッカークラブといった感じでしょうか。
28分にはボールカットした小暮がすかさず左サイド裏へロングパスを通し、クロスまで辿り着いて左コーナーキックを獲得。
キッカー水谷はニアへ低いクロスで(才藤の)フリックを狙い、クリアされた所を高田がミドルシュート。
ブロックされるもさらに諸岡が追撃のシュート(枠外)と、得意手で得たセットプレーで全力で仕留めんとします。

難儀な試合を強いられる大宮ですが、やはり地上での攻めが好結果を齎します。
36分に最終ラインで秋田のチャージを受け、試合が止まったためドロップボールでの再開。
FKではなかったのが影響したか、浦上が右サイドへグラウンダーで長いパス、受けた岡庭のアーリークロスと大宮の素早い運びを通す秋田ディフェンス。
これをニアサイドやや手前で合わせた富山、放たれたヘディングシュートはループの軌道となり、GK圍の上を越えてゴールに吸い込まれ。
心理的な隙を突いた形での先制点を挙げました。

一方ホームで相手を自分のペースに巻き込みながらも、リードを奪われた秋田。
再び同じ土俵に放り込まんと、42分に得た中盤からのFKで放り込み。
ここからCKへと繋がって、そのCKも2本続くという具合に繋がるセットプレー攻勢。
いかにも秋田らしい好機の作り方で、1本目の左CKからは再びニアサイドでフリックを経て丹羽がヘディングシュートにいくも、栗本のブロックに阻まれ同点ならず。
結局0-1のまま、前半を終える事となりました。

追い掛ける立場の秋田ですが、後半はそれを後押しする追い風を得る環境。
攻め方を変える事無く、その威力を必然的に増す事となります。

流石にパワーサッカーに慣れているだけあり、その強風を味方につけるのに時間は掛からず。
早速の後半1分に才藤が左からロングスローを投げ入れると、その後も裏へのロングパス攻勢を続けた結果、大宮ディフェンスのセーフティなクリアが膨れ上がり。
その結果ロングスローの機会も大幅増となる、いたれりつくせりの状況に持ち込みます。

大宮の攻撃は、6分に高柳が苦し紛れに遠目からシュートを放った(枠外)1度のみに終わり。
その後はほぼ秋田が攻め続けるという、チーム全体が強風と化したかのような展開が繰り広げられます。

自分達のペースに移行したというタイミングで、交代カードを切る秋田・吉田謙監督。
10分に小暮・丹羽→畑・青木へと2枚替えを敢行。
これで2トップは青木・梶谷のダブルポストという状況になり、ターゲット役を絞らせず。

12分諸岡のラフなロングパスからセカンドボールを拾っての好機、右サイドからの攻めは遮断されるも、エリア内へこぼれたボールを青木がダイレクトでシュート。
ブロックされても尚繋ぎ、今度は左サイド奥を取って才藤のクロスが上がり、ファーサイドで畑が合わせたものの茂木を倒してしまった事で反則。
ゴールにはならなかったものの、そのパワーで押し潰すという、ワンサイドゲームにも似た状況となりつつあるのは明白であり。
直後に大宮ベンチも動き泉澤・高柳→大澤・大山へと2枚替え、流れを切らんとしたもののそれは実りませんでした。

ロングスロー→CK→CKとセットプレーを続ける秋田。
そして迎えた16分の左CKで、キッカー水谷のクロスがニアに上がる、ボールはDFと競り合いながら跳んだ阿部を越えて中央へ。
これが浦上の足に当たってゴールに入る、オウンゴールを誘発するボールとなり。
意外な結果での同点劇でしたが、攻め続けた秋田へのご褒美と言うべきでしょうか。

追い付いたのちも、尚も同様の攻めを継続して圧し続ける秋田。
21分には左から(才藤が)ロングスロー、藤山のフリックを経て中央で乱戦に。
シュートにいくも撃てなかった梶谷が尚もこぼれ球を拾い、右ポケット奥から畑のクロスが上がったものの合わずに流れ。
大宮はこの流れを切る手段は無いといった感じで、ひたすら耐え凌ぐ事を余儀なくされます。

27分にさらに交代カードを切る秋田、水谷→井上へと交代。
攻勢を維持せんとしますが、29分にその前掛かりな姿勢が空回りを見せ。
青木のフリックが繋がらずに、石川が拾った所を諸岡が勢い余ってチャージしてしまい反則・警告を受けてしまいます。

それとほぼ同時に大宮が交代カードを切り、栗本→室井へと交代。
栗本が退いたボランチに大山を充てるのかと思われましたが、小島がその役を務め、富山・室井の2トップに。
上記の秋田の失態もあり、文字通り一息つく事となった大宮。
直後のサッカーもそれに従うかのように、ゴールキックを短く繋いでポゼッションに徹する事で、時間を作りにいきます。

それでも流れは変わらず、以降も5分間で3度ロングスローの機会を得る秋田。
37分の右からの(高田の)ロングスローによる攻撃、これが試合を動かす契機となったでしょうか。
高田が投げ入れたボールは誰にも合わず、中央へとこぼれるも有効打が撃てずにクリアされ。
尚も継続しようとした所を、大山のパスカットで切った大宮がカウンターに持ち込みます。(その後スピードダウンして作り直し)

続く39分、敵陣でパスカットを果たした大宮、そのままパスを繋いで右サイドから岡庭がクロス。
これをファーサイド奥で室井がヘッドで合わせたもののゴールには向かわず。
なまじ攻撃機会を得れるようになってきた大宮でしたが、この際に岡庭が靴紐を結び直す体勢を取り、これが落とし穴となります。
それを見た秋田サイド、ゴールキックを岡庭の居ない左サイドに蹴り込み、スペースに転がったボールを青木が拾って敵陣で攻撃開始。
そして奥を突いてのカットインで左ポケットへ切り込む青木、中央への横パスを受けた諸岡がシュートという完璧な流れで、ゴールネットを揺らします。
大宮サイドの心理的な緩みは(攻められっぱなし故に)ある程度仕方ないにせよ、それを絵図に表すという最もやってはいけない事象を行ってしまい高く付きました。

攻めなければいけなくなった大宮、以降もゴールキックを短いキックで繋ぐ姿勢を見せ、ポゼッションに活路を見出す事に。
42分には繋ぐ最中に、センターバックの袴田が流れの中で最前線まで上がる変則的なパワープレイ体制に。
その袴田への石川のロングパスはクリアされるも、セカンドボールを繋いで大山がエリア内からシュート(ブロック)と好機を生み出します。

それでもゴールという結果でなければ意味の無い大宮、45分に最後の交代を敢行し石川→柴山。(今度こそ大山がボランチへ回る)
一方の秋田も同時に、諸岡→田中へと交代します。

アディショナルタイムに突入し、大宮サイドも(岡庭の)ロングスローを活用してとにかく追い付かんとする姿勢に。
それでも秋田の守備を破るには至らず。
逆に梶谷のボールキープを活かして敵陣で時間を作る姿勢に持ち込まれます。
その最中に、左ポケット奥まで切り込んだ梶谷に対し、袴田が強引に倒して奪った事で「PKじゃないか」という秋田サイドの異議が飛ぶ一幕も生まれ。

そんな大宮の形振り構わない姿勢も実らず、試合終了の時を迎えます。
2-1で勝利した秋田、順位もさらに一つ上げて4位となり。
今季のスローガンである、「シン・秋田一体」に誠に相応しい立ち位置を維持出来たでしょうか。


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DAZN観戦 2023年J1リーグ第8節 アルビレックス新潟vsアビスパ福岡

2023-04-17 16:00:52 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

昇格組にしては華々しいスタート(開幕から4戦無敗)を切った新潟も、そろそろ現実との戦いを強いられているようであり。
6節(名古屋戦、1-3)では長時間数的不利を強いられての逆転負けと、中々堪える敗戦も経験し、メンバーが揃わない中での戦いも余儀なくされ。
この日はその退場→出場停止を強いられた舞行龍がスタメンに復帰し、何とか体勢を整えて好調の福岡に挑みました。

強度の高い守備を誇る福岡に対し、いかにして前進を図るかというのがテーマとなったこの日の新潟。
当然ながら、相手がハイプレスを掛けて来た際の「いなし」は必須の要素であり。
前半8分にはセンターバック2人に対し2トップでプレッシャーを掛けてくる福岡、それを左右にパスを振って凌ぐ新潟。
右サイドで鈴木が降りてきて受けたのち、秋山のサイドチェンジでかわしきる事に成功し、敵陣左サイドでパスワーク。
そして伊藤・堀米・高の連係でエリア内を突かんとするも、前のアタックで高が倒されて(反則無し)惜しくも実らずとなりました。
課題を乗り切る気旺盛といった新潟の振る舞いでしたが、続く9分に今度は福岡側が、左サイド深めで金森がボール奪取に成功。
そのままスルーパスでエリア内を突く(小田に撃たれる前にGK小島が抑える)という具合に、ショートカウンターの恐怖を植え付けに掛かります。

福岡はハイプレスにいかないという選択肢もあり、当然最終ラインから一列前に送った際の寄せが新潟にとっては難儀となり。
むしろその場合の方がより厳しいといった感じで、11分には打開を図らんと自陣からゴメスがパスカットからのドリブル突破を見せましたが、アタッキングサード手前で奪われて終了となり。

そんな中で迎えた15分、GK永石のフィードから組み立てる福岡、ルキアンのポストプレイを経て金森→ルキアンのボールキープをプレスで止められない新潟。
そして右サイドへの展開を許し、奥を伺ったのちのバックパスを受けた紺野がドリブルで右ポケットへ切り込み、止めにいった堀米が足を引っ掛けてしまい倒れる紺野。
たまらず反則並びにPKを告げる笛が鳴り、新潟が行いたいはずの主体的な攻撃を絶好機に結び付けた福岡。
PKゲットした紺野がキッカーを務め、グラウンダーのシュートをゴール左へと蹴り込み。
GK小島は反応するも届かず、戦いを有利にする先制点を挙げました。

リードを奪われた新潟、早くも精神的に不利な中での戦いを強いられ。
J1の戦いも、結局はトップ下の伊藤の出来如何といった感じで、その伊藤が徹底的にチェックに遭って持ち味を発揮出来なければ当然厳しくなり。
失点直後の18分、左サイドからの攻めを経てカットインで中央へと移る伊藤、そのまま右へとパスを送るも短くなってしまいダニーロには通らず。
調子の乱れが伺えるシーンを描くと、22分には中盤でフリーキックとなった際、それを妨害した前を突き倒してしまうという絵図も生まれ。

福岡は先制点以降ハイプレスを掛ける場面は減り、コンパクトなゾーンディフェンスを重視する体勢へ。
それに伴い好機が減っていく、新潟にとっては文字通りの「ボールを持たされる展開」を強いられる事となります。

そして福岡の逆襲が冴え渡るという、予想通りの流れに。
30分に相手のお株を奪うように最終ラインから攻める福岡、左への展開に対する新潟のプレッシャーを受け、小田がパスのタイミングをズラしてのサイドチェンジ。
技ありのワンシーンの末に突破、右サイド奥へ攻め込みコーナーキックを獲得と、主体的な攻撃でもアドバンテージを得たかのような福岡。

すると当然というべき追加点が齎され。
上記ののちの右CKからも、キッカー中村ニアにクロス→金森フリック→ファーでルキアン足から跳び込みとゴールを脅かすと、攻めを継続させてさらに右CKに持ち込み。
今度はファーにクロスを上げたキッカー中村、そこにはサイズに似合わずヘッドの強さを誇る小田の跳躍が。
前回観た際の、京都・パトリックとの競り合いを制し続けたそのジャンプ力は健在で、ヘディングシュートをネットに突き刺し。
ペースを握った末にセットプレーで仕留める、一級品の流れで2点目を挙げた福岡。

一方シュートゼロのまま2点ビハインドと、窮地に追い込まれた新潟。
直後のキックオフでは裏抜けを狙うも、ロングパスに走り込んだ太田が湯澤に倒されて受けられず(反則無し)と、福岡の強度を振り払う事は出来ず。
ようやく流れを得れるチャンスが来たのは38分で、左サイドでのパスワークで密集を作ったのち、逆へ展開というお馴染みの流れで前進を果たし。
中央を伺った末の伊藤のエリア内へのラストパスは遮断される(二連続で)も、クリアボールを舞行龍が拾い継続。
再び中央へ送られ、伊藤のポストプレイを経て太田のミドルシュートが炸裂しますが、GK永石のファインセーブに阻まれゴールならず。

結局前半の決定機はこれだけに終わった新潟。
その後は福岡のロングパス攻勢を受け、デンが山岸のチャージで痛んだり、逆にルキアンが舞行龍のチャージで痛んだりというシーンが齎されるのみに終わり。
殆ど好機を作れないままの0-2と、厳しいといった感じで前半終了となりました。

それでもハーフタイムでの交代は無かった新潟。
ホームの大観衆を背に、何とか追いすがる姿勢を見せなければ雰囲気的にも後が無いという状況でしたが、スタメンを信じる選択を取った松橋力蔵監督。

しかしキックオフの利点を活かし、選手達が取った手は半ば奇襲というべき、ショートパスでの速攻でした。
左サイドで高縦パス→鈴木ダイレクトでスルーパスという素早い送りに対し、抜け出した太田を湯澤が倒してしまうと、今度は反則の笛が鳴り。
これでサイドからのFKを得た新潟、クロスが濃厚なこの位置(エリアラインからやや過ぎた所)からキッカー伊藤が取った手は、これまた奇襲のような直接シュート。
これが福岡の2枚の壁の間を抜け、巻いてゴール左へと突き刺さります。
最初の好機で1点を返すという、綺麗に「まだやれる」という意気込みを結果に反映させた新潟。

しかしその後再び福岡の好機が続き。
ボール奪取から少ないパス数で前方へと運ぶという、相手を上回る強度を活かしての攻撃で新潟ゴールを脅かしに掛かり。
フィニッシュこそ後半3分の山岸のシュート(ゴール右へ外れる)のみでしたが、10分の間にCKも2本得るなど押し込み続ける福岡。
新潟にしてみれば、まさに最初の奇襲を成功させていなければどうだったかという展開を強いられます。

何とか無失点で凌ぎ、反撃体制を取る新潟。
それでも守備面でも福岡の強度は光り、パスを繋ぐのに難儀。
12分には自陣で堀米の縦パスを高がスルーして伊藤に渡す(その後パスワークでエリア内まで迫るもシュートはいけず)という具合に、後方でもこうした絡め手を混ぜなければ前進は難しいといった印象でした。
15分には秋山の縦パスを太田がポストプレイで繋がんとするも湯澤にカットされ、思わず秋山が落胆する絵図も描かれるなど、「こんなはずでは……」という思惑を強いられていたでしょうか。

局面を変えたい新潟ですが、その最初の矢はアクシデントだった、というのは邪推でしょうか。
17分にゴメスが小田のチャージを顔に受け、倒れ込むシーンが長くなるなか、他方では高がスパイクの異常(紐が切れたとの事)で履き替え。
思わぬ形でインターバルが長くなり、落ち着きを取り戻さんとする新潟。
23分に伊藤が敵陣左サイドでパスカットしての好機、左奥を突いて得た左CK。
キッカーは伊藤でサインプレーを選択し、ファーサイド遠目で受けたゴメスがシュートを放ちますが枠を捉えられず。
流石に二度目の奇襲はモノにはなりません。

最初に交代カードに手を付けたのは福岡で、24分に金森→鶴野に交代。
これで山岸が左サイドハーフにシフトと、京都戦でも見せた手を使ってきた長谷部茂利監督。
その直後の25分、左サイドでプレッシャーを掛けた末に敵陣深めでのボールカットからのショートカウンターという、願っても無い好機が舞い降り。
交代で入った鶴野が左ポケットを突き、中央のルキアンへ横パスを送ったものの、遮断されて惜しくも撃てずに終わります。
何とか1点差を保つ新潟も、27分にベンチが動いて3枚替え。
太田・ゴメス・鈴木に代えて小見・松田・谷口を投入し、谷口の1トップに。

交代敢行した事で、前方への重心を強める新潟。
時折福岡の逆襲で裏を突かれる(28分にルキアンが収めからのトラップで抜け出すも、GK小島の好判断で凌ぐ)恐怖も過る中、松田の突破力を盾としつつの押し込みを見せていきます。
35分には再び最後方からのパスを藤原のスルーという手段で前進、松田・藤原の前進で右ポケットを突いてのクロス。
これを谷口がヘッドで合わせるも、眼前で三國のブロックに阻まれ防がれます。
徐々にゴールに近づくも、最後に立ちはだかる壁は厚いといった感じで時間が過ぎていき。

その圧力を受ける福岡も、36分に山岸が足を痛めるというアクシデントに見舞われ。
彼と併せ、こちらも3枚替えを敢行する福岡。(山岸・中村・小田→ウェリントン・田邉・前嶋)
これによりルキアンが左SHに、湯澤が左サイドバックにシフトと、ポジションチェンジも絡ませ逃げ切り体制へ。

前節とは異なり、今度はそのポストプレイ能力を逃げ切りに利用する事が求められたウェリントン。
スローインのボールを収めたのちにサイド奥へと切り込む(44分)など、その力を発揮する事はしたものの、得点力とは違いこちらの方面では加齢故の衰えは隠せないといった印象でした。
一方追いすがりたい新潟は、39分に秋山→島田へと交代。
多方面に渡り活躍が見込める島田をこの時間で投入し、推進力を高めに掛かります。

福岡が盤石でないながらも、新潟の攻撃機会を減らしていき、リードを保ったままついにアディショナルタイムへ。
しかしそこで最初の振る舞いで、パス交換の末に右サイド奥を取った紺野が、ボールキープでもクロスでも無くシュートを選んで終わり。(GK小島キャッチ)
結果にこそ直結しなかったものの、これが拙かったでしょうか。

以降最後の好機というべく、攻め上がる新潟。
リトリートに徹する福岡に対し、安易なパワープレイには入らずパスを繋ぎながら何とか隙を見つける体勢に。
そのパスワークの末に、投入された島田がミドルシュートを炸裂させますが、奈良のブロックに阻まれ。
万事休すかと思われましたが、その直後でした。
クリアボールを拾って再度最終ラインから攻める新潟、それに対し福岡はややプレッシングにいくかどうか迷いを見せ、その隙を突いてデンの縦パスで一気に前進。
そして伊藤が小見とのパス交換を経て果敢にミドルシュートを放つと、ゴール左へと突き刺さるボール。
土壇場で同点に追い付き、こうなると形勢逆転で、一気呵成とばかりに攻め上がる新潟。(福岡は直後にルキアン→佐藤凌我へと交代)

そして武器となったのが松田の推進力で、島田とのパス交換からのドリブルの末に、右サイド奥からグラウンダーでクロスを入れる松田。
これが乱戦を生み出し、高・谷口がシュートにいくもこぼれ球となった所に、待ってましたかのようにシュートを放ったのはまたも伊藤。
再びゴール左へと突き刺し、まさかともいえる連続ゴールで逆転劇を演じきりました。

そしてそのまま試合終了を迎え、3-2で勝利に辿り着いた新潟。
停滞が続いた末に待っていたのは大逆転勝利と、今後のモチベーションを保つという意味でも十二分な成果となったでしょうか。


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