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DAZN観戦 2023年J2リーグ第10節 徳島ヴォルティスvsV・ファーレン長崎

2023-04-20 16:01:07 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の徳島の記事はこちら(4節・ヴェルディ戦、0-2)
※前回の長崎の記事はこちら(7節・仙台戦、1-0)

<徳島スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 戦列を離れていたGKスアレスが復帰、スタメンで出場。
  • 新助っ人ケサダが初のメンバー入り。
  • 石井が今季初のメンバー入り。
  • GK黒田・GK近藤が2種登録で加入。

<長崎スタメン>

  • 前節出場停止(累積警告で)のフアンマが復帰。
  • ヴァウドが初のメンバー入り、即スタメン。
  • 長期離脱していた秋野が前節に復帰・途中出場も、この日はベンチ外。
  • 5節(熊本戦、2-0)で負傷退場した名倉の詳細が発表され、3/23に手術を行い全治12週間との事。

開幕前の派手な演出・編成も、今や虚無と化してしまっている徳島。
現実は非情という事を示す例もこれほどまでに綺麗に表れれば、悲惨さを飛び越えて喜劇的ですらあり。

ボール保持率が高いだけに、得点期待値の低さがなまじ目立ってしまう。
そして実際に得点出来ずにいるのは、やはりチームの何処かに欠陥があるという事でしょうか。
実際自分も、前回観た際は強風の影響もあったのでしょうが、そのサッカーの内容にはほぼ何の魅力も感じられず。
それから時間が経っても良くなるどころか……という歩みのなか、節目の10試合目を迎えました。

長崎を迎えてのホームでの一戦。
その入りの前半1分にいきなり、長崎は自陣深めという位置から米田がフアンマに届けるロングボールを送り。
するとボールはフアンマの頭を越え、ワンバウンドの後最終ラインの裏で加藤大が拾ってドリブルでエリア内へ切り込むという決定機を迎えます。
ディフェンスに遭うなか横パスを送って走り込んでいた笠柳がシュートと、いきなりの電撃作戦成功かと思われましたが、シュートはゴールバー直撃で惜しくもモノに出来ず。
いきなり徳島の対応の拙さが露わとなり、GKスアレスの怒号も響きます。

長崎は12分にも決定機を作り、左サイドでの前進を経て最初のクレイソンのクロスはブロックされるも、尚も繋いで加藤大がクロス。
このボールも飛んだフアンマを越え、ファーサイドで増山がフリーで拾うという事態を招きます。
そして切り返しを経て放たれたシュートがGKスアレスの左を破るも、ゴール前で内田がブロックして何とか防ぎ。
どうも「フアンマへのハイボールを抑えれば何とかなる」という意識が強いあまり、空回りしている節が見受けられた徳島ディフェンス。

一方の攻撃では、アンカーシステムにも拘らず、その白井永が降りる最終ラインによる組み立て。
この辺りが良く言われる「欧州式を和式に取り入れる限界」なのでしょうが、それは前年の監督であったダニエル・ポヤトス氏(現ガンバ監督)も苦難した道であり。

理想と現実の挟間が不透明な状態の中、この日も目立ったのがベテラン・柿谷の細かな技。
5分に左からの杉本のクロスが跳ね返された後、そのボールを浮かせるポストプレイで繋ぎ、杉本のダイレクトシュートに持っていき。(枠外)
19分には内田縦パス→森フリックを経て中央で受けた柿谷がそのままドリブルに入ると、エリア手前という所で対峙したヴァウドを際どくかわしにいき。
「愚直にまっすぐ」でも無く「パスで逃げる」のでも無いこのプレーを受けたヴァウド、たまらず柿谷を引っ掛けてしまい反則を誘発させます。
これで得たエリア間近での直接フリーキック、ゲットした柿谷が直接撃ちにいきますが、このシュートはゴール上へと外れ残念ながら実りません。

一方の長崎、立ち上がりから見せていたフアンマ狙いの姿勢も時間が経過するとともに落ち着きを見せ。
序盤の決定機逸が響くかと思われる展開ですが、同時に徳島にとっても前述の通り「フアンマへのハイボール警戒」のみでは通用しない立場ともなり。
その意識の切り替えが足りなかったでしょうか。
26分、クロスの跳ね返りを回収して二次攻撃に持っていく長崎ですが、一旦後方にという事でGK波多野まで戻り。
ここでハイプレスへと移行する徳島でしたが、長崎サイドの戻しのスピードが速かった事で、これにより間延びしてしまう布陣に。
それを突いてすかさず前へとベクトルを向ける長崎、右サイドからスルーパスを交えて素早く前進した末に、笠柳のグラウンダーのクロスをフアンマが合わせシュート。
この切り替えの早さに、フアンマのチェックも緩慢とならざるを得なかった、といった所でしょうか。
再三の決定機逸を帳消しにする先制点を奪いました。

上記の柿谷の奮闘以外では、「ただ敵陣でボールを回しているだけ」という攻撃シーンに映った徳島。
特に長崎の守備ブロックをズラすべくのサイドの移しが今一つであり。
西谷の居る左サイドを意識させつつ、右の浜下に渡すという流れは一貫しつつありましたが、如何せんそのサイドを移すパスワークの速度が遅く。
また左(長崎から見て右)へ密集させるべくのパスワークも足りずと、質・量双方が物足りないといった印象しか残らず。

ビハインドとなるやたまらず、その課題の一つであった右への移しのスピードを上げて反撃せんとします。
それでもリードした事で、ゾーンディフェンスの意識が強まる長崎を前に崩しの作業は容易では無く。
おまけにポケットを突く要となる西谷を、長崎の右サイドバック・増山がマンマークするような形を採る長崎。
その分左ワイドが空く状況となるのですが、それ以上に徳島は西谷を消される事で難儀してしまい。
空いたワイドから、外山や杉本がクロスを入れるという申し訳程度の攻撃しか出来なくなる左サイドで、長崎サイドもそう割り切っていた節がありました。

また逆サイドでもポケットの突き方がお粗末で、守りが固くとてもじゃないが浜下のカットインには期待出来ない状況。
従って森が右ポケットの位置に入り、そこを狙って(玄や浜下が)パスを送るというワンパターン化一直線となり。
長崎のブロックを前に、トップ下に位置する柿谷がその中で孤立しつつあるのも痛かったでしょうか。
結局徳島は「ボールを握らされている状態」の域を出る事無く、前半を終了します。

ハーフタイムで早くも動くベニャート・ラバイン監督、柿谷→杉森へと交代。
これにより布陣も4-1-2-3へと代えて打開を図りましたが、連戦故の「ベテラン(柿谷)の体力面を考慮」という意味合いの方が強かったでしょうか。
前節(水戸戦、0-2)も後半12分に柿谷を退かせましたが、その矢先に先制を許して敗戦一直線といった試合展開。
その危惧が再び牙を剥く事となります。

その後両ウイング(右=杉森・左=西谷)を活かした、前半とは違った攻めで打開を図らんとする徳島。
しかしパスミスが目立つようになり思うように前進出来ず。

すると徳島攻勢の潮目が変わったのもそのパスミスからで、後半7分敵陣に攻め入るもバックパスがズレてしまい、それをフアンマに拾われる始末。
泣きっ面に蜂という中、浜下が反則で何とか止めて(浜下に警告)大事には至らずも、これでボールと共に流れも失う事となります。

9分に増山の例によっての飛距離の長いスローインで、コーナーキックを得る長崎。
2本続いた末に、その2本目でしっかりゴールに辿り着きます。
ショートコーナーからのパス交換を経てクレイソンがクロスを上げると、ニアサイドに入り込んだ櫛引がヘディングシュートでゴールネットを揺らし。
徳島は揺さぶられた影響かカカが競りにいけずとあり、これもディフェンスの細部がなっていないという印象でした。

キックオフで再開直後も好機を作ったのは長崎の方で12分、敵陣深めで笠柳がボール奪取と、徳島サイドの落胆が伺える起点に。
右サイドでスルーパスに走り込んだ鍬先がグラウンダーでクロス、これをニアサイドに入り込んだ加藤大が合わせる(枠外)という際どいシーン。
気を取り直して再び攻勢に入る徳島ですが、相変わらず長崎の守備ブロックを崩せる打算は感じられず。
やむを得ずミドルシュートを狙っていくという攻めに終始します。

21分に加藤大が足を攣らせた所で、両チームともベンチが動き。
徳島が浜下→ケサダへ交代(左SBに入り、外山が右SBに回る)した一方で、長崎は加藤大・笠柳→安部・宮城へと2枚替え。

その後は投入されたケサダを前面に押し出す徳島。
左サイドで強引な突破からクロスに持っていくという攻めで、何度か好機を齎すケサダ。
これで徳島全体に、長崎の制空権を制するだけの高さがあれば……といった所でしょうか。
実際ケサダが上がる分、西谷がエリア内でターゲットマンのような動きを取り始める等、アンバランスぶりは顕在という感じは拭えず。
その後34分に玄→千葉へと交代すると、4トップにも近いような状況となる前線。

一方無失点のまま、カウンターも交えつつ着実に時計を進めていく長崎。
40分に今季初出場だったヴァウドを退かせ(白井陽と交代、同時にクレイソン→加藤聖へと交代)、運動量の維持に努めます。(徳島は41分に白井永→櫻井へと交代)

するとその効果は得点によってすぐに齎され。
42分に左サイドの突破からCKを獲得した長崎、キッカーは投入された加藤聖が務め。
最初のクロスは跳ね返されるも、自ら拾ったのちに奥へ切り込んで再度クロス。
これがまたも櫛引のヘディングでのゴールを呼び込み、ダメを押した長崎。
この直後にフアンマもお役御免となり、都倉へと交代します。

徳島サイドはこの場面でも、櫛引を完全フリーにしてしまうエラーを顕著に表す形に。
そしてもう守備面ではファクターも何も無いといった感じで、45分には長崎の最終ラインからの繋ぎに、プレッシングを掛けるも全く阻止出来ず。
カイオのスルーパスで抜け出した米田が左ポケットを突き、グラウンダーのクロスがファーサイドの宮城に合うまでノーチェックといった感じで、ゴールネットが揺れて止めの4点目。

そのままアディショナルタイムに突入後も、カイオの左ポケットからのシュートをGKスアレスが足でセーブと、続く長崎の決定機。
徳島サイドにとってはまさに拷問といった感じで、試合終了の時を迎え。
おまけに終了後にはケサダが警告と、余分なお土産まで貰ってしまいました。

一方大勝となった長崎。
地元帰還後は、ファビオ・カリーレ監督とヴィヴィくんプロ野球のイベント参加を果たすなど、良好なムードが伺える一幕も作り上げ。

その傍らで、最早最悪といった徳島のチーム状況。
スコア以上にその内容の閉塞感がたまらないといった感じであり。
インテンシティ勝負で駄目(5節・いわき戦)、ハイプレスを受けて駄目(8節・千葉戦)という流れの中、今節は守備ブロックを固められて駄目といった所でしょうか。
要するに何が相手でも駄目、なのでは最下位という成績も納得できるものであり。

この日の内容を振り返ると、まず守備面では開始1分で早くも気が抜けたような危機を招いたのが脆さに直結。
第一の対策(フアンマへのハイボール)は出来ても、イレギュラーが齎された際にてんやわんやとなってしまう。

また攻撃では、ファイナルサード攻略にどれだけ手間を掛けているかどうかという疑問が拭えず。
西谷を消される対策を施されてからというもの、ボックスを突く手法に何の工夫も見られなかったのが残念でした。
アタッキングサード進入までは出来ても、そこからの崩しは選手によるアドリブが重要とは良く言われるものですが、この日は本当に「武器を持たずに前線に立たされる」といった感じ。
練習の段階でオートマティックな崩しを用意していれば、それを盾にしつつ他の攻撃ももっと有効になったはずであり。
外山なり杉本が、西谷を中継点ないしは囮としつつ、パス&ゴーでポケットを突くような攻めは出来なかったのか。

相手対策・イレギュラーへの対処と、実戦段階で求められる部分の落とし込みがまるで出来ていないのでは、という疑問に辿り着いてしまい。
そうなると監督の資質の問題ともなりますが、果たしてその行く末は。


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