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DAZN観戦 2019年J1リーグ第26節 北海道コンサドーレ札幌vsベガルタ仙台

2019-09-18 17:07:39 | サッカー視聴記(2020年以前)

勝つ時は大勝だが、接戦で勝てないという悩ましい状況が続いている後半戦の札幌。
これがプロ野球だったら「接戦を悉く落とすのは監督の采配が悪いからだ」という論調に発展するでしょうが、得失点差が影響する事もありその風当たりはさほどでも無く。
清水戦で8得点という衝撃的な勝利を挙げたのは記憶に新しいですが、この得点をもう少し他の試合に振り分けられたら……と感じる戦績。(後半は3勝2敗3分、敗戦はいずれも1点差)
特に来季のACL出場圏に届きそうで届かないという位置に着けているだけに、関係者は一層歯がゆい思いを抱いている事でしょう。

その状況の入口となったのが、前半戦も最後の17節・仙台戦。
ロースコアの攻防による好ゲームとなったものの、GKクソンユンの足元を狙われてのボールロストにより勝ち越し点を許すという悔しい敗戦(1-2)。
前節・神戸戦でようやく1点差勝利(14節の広島戦以来・3-2)を挙げ、ルヴァンカップ準々決勝では際どい2戦を戦った末(3-2・1-1)広島を下すという具合に改善傾向が見られるだけに、遠因となった仙台には是非ともリベンジして弾みを付けたい所。

しかし立ち上がり、いきなりクソンユンを加えたビルドアップを仙台に狙われ、立て続けにセットプレーを与えてしまう札幌。
3分の仙台の直接フリーキック、キッカー永戸の直接シュートが枠内を襲いますが、これはクソンユンが片手でセーブして難を逃れます。

その後もペースを握る仙台。
札幌のビルドアップを徹底的に対策していたのか、ボールを持たせてもチャンスを作らせず、逆に好機を作っていきます。

監督のミハイロ・ペトロヴィッチ氏(以下ミシャ)が指導する、独特かつオートマティックなビルドアップが落とし込まれている札幌。
通称「ミシャ式」と呼ばれるそれは、逆に言えば対策の標的にされ易いものでもあります。
その対策が確実に実行できるかどうかは相手クラブの能力・状況にも拠るのですが、少なくともこの日の仙台は、それをほぼ万全で仕上げて来たようです。

トップ下のような役割を果たすチャナティップに対し、ボランチの富田がマンマークに付き自由を与えず。
そして札幌の左右のセンターバックがワイドに広がり、ボランチ1人が降りて来る基本陣形に対しても対策。
FW2人が最後尾にプレスを掛け、サイドにボールが逃げるとすかさず左右のサイドハーフがチェックする事で出口を与えません。

これをベースに、攻撃で好機を作っていく仙台。
10分には自陣で関口のパスを長沢が倒れながらポストプレイで繋ぎ、松下→道渕→ハモン・ロペス→道渕と渡り、道渕がエリア手前中央からミドルシュート。
DFに当たってコーナーキックになり、キッカー永戸のクロスをファーサイドでハモンがヘディングシュート。(枠外)
13分は永戸のロングパスが左サイドでハモンに渡り、彼のクロスを長沢がヘディングシュート(枠外)と立て続けにシュートを浴びせます。

中々流れが作れない札幌は、結局ボランチが2人とも降りて最終ラインを3人とするビルドアップにシフトしていく事に。
しかし相変わらずチャナティップを自由にさせてくれない仙台の守備なので、サイド攻撃を主にせざるを得なかった札幌。
クロスを上げるだけに留まり、時折ルーカス・フェルナンデスや白井がカットインを図ってもシュートまでは持って行けず、札幌の初シュートは仙台の先制後まで持ち越されます。

その仙台の先制点は前半32分でした。
札幌・白井の左サイドでのドリブルを止めた蜂須賀、そのまま中央へ向かってドリブル。
敵陣に入ってパスを出すと、ハモン→長沢→ハモンと渡るも収まらなかったボールが札幌・キムミンテに当たってもう一度ハモンの足元へ流れ、エリア内左に入ってシュート。
一度はGKクソンユンが止めるも、正面に転がったこぼれ球を松下が詰めてゴール。

札幌の初シュートは35分で、ルーカスのクロス気味のキック(ミスキック?)をシュートに含めれば34分か。
前者は、それまで富田のマークに苦しんでいたチャナティップが、荒野のディフェンスから中央やや左寄りでボールを受けてのミドルシュート。(枠外)
終盤は昇り調子を見せた札幌ですが、シュートは結局これを含め2本(3本?)のみで前半を終えます。

後半頭に早くも札幌は早坂→深井に交代、早坂の居た右CBには宮澤がシフトし、深井はボランチに入りました。
その効果か、立ち上がりは札幌ペースとなり、迎えた後半5分。
チャナティップのパスで左サイドからの攻撃、白井は奥まで進んだ後カットイン。
自分で仕掛けると見せて戻すと、受けたチャナティップはさらに横パス、ここに猛然と走り込んだのは荒野。
果敢にミドルシュートを放つと、仙台のブロックでコースが変わった事もありゴール右隅に豪快に突き刺さる同点ゴール。
これが荒野にとってはJ1初ゴール、シュートが強烈だったのもあるのですが、「あの決定機を外しまくってきた荒野が……」という感じで暫く口あんぐり状態でした。
しかし喜びも束の間だった札幌サイド。

後半7分、札幌陣内での道渕のパスカットから仙台の攻撃。
松下のパスを長沢がポストプレイでハモンに渡し、ハモンのミドルシュートをGKクソンユンがセーブしてコーナーへ。
前半コーナーキックからも何度かシュートに繋げていた仙台、ここでもそれが炸裂します。
永戸の中央へのクロス、札幌・宮澤との競り合いに勝ったシマオ・マテが、難しい体勢ながら強烈なヘディングシュート。
GKクソンユンの手を弾いたボールはゴール内に吸い込まれ、再び仙台がリードを奪います。
こうなると札幌の攻撃を封じて試合を収めにかかりたいですが、その後再び札幌が攻勢に。

残留争いの真っ只中にある仙台。
4連勝を達成し、監督の渡邊晋氏も月間最優秀監督に選ばれたのが6月ですが、7月以降は僅か1勝(4敗3分)と再び残留への雲行きが怪しくなってきました。

特に最近3試合はいずれも後半の失点で勝ちを失う試合を演じており、課題となっているのが試合の閉め方。
キャプテンでセンターバックの大岩は19節・鹿島戦での0-4での大敗後はベンチ入りすら無く、18節・浦和戦で退場となった(警告2度)椎橋がレギュラー落ちという具合に、守備的な選手が悉く信頼を落としている現状。
交代で試合を閉めたくても、駒不足で中々おぼつかないという状況に陥っています。

9分の白井のカットインからのシュートを皮切りに攻勢を続ける札幌。
相変わらずマンマークされているチャナティップですが、代わりに鈴木が中盤に降りてきて縦パスを受ける場面が頻発し、ペースを握る事に成功した結果でしょう。
反面仙台もカウンターで好機を作り、長沢がGKと一対一の場面で決められない(19分)など、オープンな展開になってきたのを境に渡邊監督は交代カードを切り始めます。

22分の関口→石原崇兆への交代は、恒例となっている関口のスタミナ面を考慮しての采配(おまけに関口は故障で2試合欠場の直後でした)故効果はさほどでも無く。
次に27分道渕に代え、前年まで札幌所属だった兵藤を投入します。
すっかりサブに定着しこれが6試合ぶりの出場となった兵藤ですが、この効果は抜群でした。

宮澤がDFに回った事で、ボランチが2人とも落ちる事無く後ろ3枚でのビルドアップを展開していた札幌。
それに対し、FW2人に加えて兵藤がフレッシュな動きでプレスに入り、再び札幌のビルドアップを封じる事に成功します。
31分のシーンを取り上げると、札幌は右サイドでの攻撃からルーカスが戻し、組み立て直しを選択します。
一旦中央やや左でチャナティップに渡るものの、攻められずGKクソンユンまで戻す事となりますが、ここで仙台のプレスを激しく受ける破目に。
結局ボールを逃がす事が出来ず、富田にカットされ仙台ボールとなりました。(その後蜂須賀がクロスもクリア)

兵藤というクローザーを見出した(と思われる)仙台のペースとなり、窮地に立たされた札幌。
既に白井→アンデルソン・ロペスとカードを切っており(22分)、3枚目の交代は35分、荒野→菅でした。
この2つの交代でポジションもめまぐるしく変わり、2番目の交代で福森が左ウイングバック・深井が左CBへと回れば、3番目で元の福森CB・深井ボランチへと戻ります。
その直後の37分に最大のチャンス。
仙台・永戸の反則で得た右サイドからのフリーキック、福森が上げたボールはエリア内中央で混戦となり、ファーにこぼれたボールをルーカスが収める絶好機に。
しかしルーカスのシュートはGKヤクブ・スウォヴィクが防ぎゴールならず。

すると仙台が、再びセットプレーでとどめを刺します。
40分に右からのコーナーキック、永戸の上げたクロスはニアサイドで飛んだ平岡の頭を越え、中央に居たハモンが足で合わせてゴール。
札幌のお株を完全に奪った、コーナーキックからの2得点でリードを広げました。

その後の札幌。
菅がゴールネットを揺らすもオフサイドでノーゴールというシーンが見られたり、鈴木が仙台・平岡と激突し反則・警告を貰い4枚目で次節出場停止になれば、それに異議を唱えたジェイにも警告が出て同じく4枚目で出場停止となるなど後味悪く。
そのまま1-3で仙台が勝利というゲームとなりました。

仙台側のしたたかな対策が光った内容・結果であった試合。
渡邊監督は過去2年間(と今季序盤)、今の札幌と同じ3-4-2-1のポゼッションスタイルを模索しており、「ミシャ式」対策を編み出すのに十分な経験となったのでしょう。
残留争いは未だ予断を許さない状況(9位~15位までが勝ち点32~31というカオスな状態)ですが、この勝利を脱出に繋げたい所です。


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