※前回の福岡の記事はこちら(17節・水戸戦)
※前回の横浜FCの記事はこちら(18節・徳島戦)
これまで不振で残留争いを余儀なくされている福岡ですが、この日のホームゲームは観衆1万人超えと盛況。
前節上位の山形に勝利を挙げた効果か、はたまた相手の横浜FCに大選手・中村俊輔が加入した効果なのか。
福岡の本拠地・レベルファイブスタジアム(以下レベスタ)は、今季はラグビーW杯に使用されるという事で、前半は改修のため使用不可。
現在こそ福岡の試合に利用されていますが、9月にW杯が始まると再び利用不可に。
その影響もあってかこれまでホームでは僅か1勝の福岡、それも博多の森陸上競技場での事でレベスタでは未勝利。
10月中旬から再び使用可能になるとはいえ、今のうちに勝っておいた方が気分も良いはずです。
3連戦の最後の試合、福岡側は早速補強選手の加藤(前新潟)・山田(前町田)を起用する事で、チーム強化・ターンオーバーを揃って行う一挙両得のスタメン選択。
横浜FC側は、レアンドロ・ドミンゲス(以下Rドミンゲス)が休養のためかベンチ外、そのため4-2-3-1の3の部分に齊藤光毅・松尾・中山と若手が揃って起用されたのが目をひきます。
前節(山口戦)田代・松井が揃って出場停止でしたが、4-1の大勝に終わったため逆に良い休養となったでしょう。(松井はベンチスタートで後半43分に交代出場)
試合が始まり、福岡のサッカーを見ると、監督交代の混乱期に比べれば大分形は整ってきたようです。
チーム得点王のヤンドンヒョンも、以前に比べるとポストプレイがしっかりしてきた印象を受け、それでいてチャンスでは得点に絡む動きも怠らないと不動の1トップに恥じない存在になっていました。
前半13分、鈴木のフリーキックにバックヘッドで合わせてのシュートはゴールバーを叩き惜しくもゴールならず。
33分には輪湖のロングパスに松田がエリア内でトラップして左サイドへ、そこからのグラウンダーのクロスにスライディングで合わせたヤンドンヒョン、このシュートもゴールバーに当たりノーゴール。
後半10分にもエリア内右からシュート、GK南にセーブされるという惜しいシーンだらけの結果となったヤンドンヒョン、3試合連続ゴールはなりませんでした。
この1トップの働きや、両ウイングバック・石原と輪湖の上下動、ボランチ・鈴木のパスで攻撃を組み立てていく福岡。
ただ今春にセレッソから移籍してきたヤンドンヒョンは、既に33歳というベテランの域。
降りてきてパスを受けて出した後、そこから最前線に上がる事が出来ないというシーンも何度か見られました。
この3連戦は全てスタメンでしたが、過去2試合は後半途中に交代で退き、この日も後半30分で森本と交代されるなど運動量・スタミナ面が欠点でしょうか。
チームとしては、彼が降りてきた時・交代した時に得点を決められるシャドーの存在が欲しい所で、その1番手は松田(現在5得点)でしょうが現状でもタスクが非常に多いのが彼。
前線からの守備・空中戦・サイドに出てのクロッサー等、苦しいチーム事情を支えているだけにこれ以上の無理はさせたくない所。
一方の横浜FCも、1トップのイバがポストプレイヤーとストライカーを兼ねている、ベテラン故無理は出来ないという共通点が。
この日の前半は中央突破を図る機会は少なく、サイド攻撃が主となっていました。
右は中山と北爪、左は松尾と武田というサイドハーフ・サイドバックのコンビで崩す攻撃に終始。
イバのポストプレイが絡んだチャンスは1度だけ(17分)、トップ下であった齊藤光も前半は流れの中の攻撃に絡む事は微少。
惜しいシーンは前半26分のコーナーキックで、キッカー佐藤のクロスをイバが折り返すもウォンドウジェの背中に当たってこぼれ、エリア内右から中山がグラウンダーで入れる→齊藤光がフリック→エリア内左で松尾が折り返し→田代がシュートでネットに突き刺したものの、松尾の位置がオフサイドでノーゴール。
結局前半は0-0で折り返す事となりました。
就任して間もなくは、3トップによるポゼッションサッカーを目指す方針を採っていた横浜FC・下平隆宏監督。
しかし20節・岡山戦を境に修正、4-2-3-1あるいは4-4-2というフォーメーションでバランスを取り、そこから連勝街道を歩んでいます。(目下6連勝中)
天皇杯2回戦(仙台大学戦)を境に重用され始めた齊藤光に松尾と若手抜擢もスムーズに進めている中、ボランチには田代・佐藤を再び起用し、そこに大ベテラン・松井が絡む形。ただ草野の故障で若手の数自体が不足気味になっていますが
ここに中村がどう絡むのかが一般的な焦点となっていますが、補強ではむしろFW・皆川(前広島)が重点的に起用されており、中盤に関しては良いバランスを崩したくない所でしょう。
本来トップ下はRドミンゲスですがこの日は不在、ここから勝ち切れるか否か。
後半、福岡・輪湖が左サイドでのパス交換から抜け出してエリア内左でシュートを放ったのがオープニング。(2分・GK南がセーブ)
以降ヤンドンヒョンは中盤に降りてくるのがメインとなり、シュートは前述の後半10分のものだけで、福岡は攻めるものの決め手に欠ける場面が目立ちます。
エリア外からのミドルシュートがメインになり、そんな展開ではボランチ・鈴木の見せ場ともいえますがこの日は不発。
16分、松田のクロスがブロックされたこぼれ球を拾いミドルシュートも、威力を欠いたボールはGK南がキャッチ。
26分は左サイドで輪湖クロス→こぼれ球を石原ポストプレイ→受けた加藤がシュートもブロック、そのこぼれ球を拾った鈴木。
再びミドルを放ちますがゴール右へ外れてしまいます。
最も可能性があったのは22分の松田のシュートか。
左サイドで木戸のクロスがブロックされたこぼれ球を拾い、エリア手前左までカットインしてからのシュート、GK南が際どくセーブし阻まれました。
一方横浜FCの攻撃は、後半6分に齊藤光がトラップで加藤をかわして中央突破を見せたのが始まり。
Rドミンゲスの代わりを任されたこの日の齊藤光、消え気味だった前半とは打って変わってチャンスに絡み始めます。
8分にはカウンターからイバがポストプレイで左サイドへ、松尾からパスを受けた齊藤光、切り返しからのクロスでファーサイドでフリーの中山に。
中山は収めてからシュートを放ち、これは輪湖のブロックに遭いますが、結果的にこの形を作れた事が先制点に結びつきました。
後半18分にはイバ→皆川へと交代、イバのスタミナという要素もありますが、新戦力・皆川の起用は「サイド攻撃だけじゃあ無いぜ」というメッセージのようでもありました。(同時に武田も袴田に交代)
白熱した展開のなか、後半29分と少々遅れた飲水タイムの後ヤンドンヒョンもスタミナが切れたのか交代。(前述)
直後の31分に早速森本がエリア内でシュートを放ち見せ場を作りますが、試合の針は横浜FCに振れます。
32分、松尾が左サイドを突破して奥に入り、左ハーフゾーンの齊藤光へパス。
齊藤光はエリア内に入るも福岡の守りの前にバックパス、佐藤→袴田と渡りクロス。
これが輪湖の頭を越えてファーサイドで中山がトラップしシュート体勢に入るという、8分の場面と酷似した形に。
中山の放ったシュートは、慌ててブロックに入った輪湖の足に当たってGKセランテスを抜き去り、ゴールに突き刺さりました。
プロ初ゴールはとても貴重な先制点となった中山。
その5分後の37分、今度はゴールキックからのシンプルな攻撃でした。
皆川が頭で落としたボールに齊藤光が走ってトラップ、この動きで同じく拾いにいっていた福岡・篠原をかわし2対1の状況に。
エリア手前で左にパスを出し、受けた松尾はエリア内から落ち着いて右足でシュート、ゴール左に突き刺しました。
松尾もプロ初ゴールと、新人が揃い踏みで結果を出す記念日に。
一気に2点差とした横浜FC、以降はボールをキープしつつ福岡ゴールを脅かす理想的な展開に。
先制点を挙げた中山、以降2本シュートを放ったもののいずれもGKセランテスに阻まれ、この日2点目とはならず。
アディショナルタイムは福岡の猛攻を浴びるもゴールを許さず、試合終了のホイッスルが鳴り響きました。
7連勝を達成し一気に4位まで順位を上げてきた横浜FC。
前年はあと一歩の所で自動昇格は果たせず、プレーオフで涙を呑む破目となりましたが、今季はさらに順位を上げる事は出来るでしょうか。
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