※前回の愛媛の記事はこちら(27節・千葉戦)
※前回の徳島の記事はこちら(25節・鹿児島戦)
四国ダービー。
こう呼ぶと、「讃岐(前年にJ3降格)との試合はどうなんだよ」と言いたくなりますが、讃岐が両クラブと絡む試合は「クラシコ」と呼ばれるそうです。
それはともかくとして、愛媛・川井健太監督も珍しいスーツ姿で指揮を執るなど普段との違いが見られたこの試合。
ダービーフラッグも用意しているなど演出面も見逃せなく、そのフラッグは前年最後に勝利した愛媛が所有していたとの事。(今季前半戦は1-1の引き分け・9節)
試合開始。
開始早々徳島はヨルディ・バイスのロングパスから攻め、受けた杉本が野村とワンツーで左サイドを突破してクロスを上げます。(これはGK岡本がキャッチ)
これが号砲だったのか、その後もディフェンスラインからのロングパス主体の攻めを敢行。
前半6分には再びバイスがロングパス、今度は右の岸本を使って好機。
ここから渡井→岸本→河田ポストプレイ→岸本→小西と渡り、これを小西がミドルシュートにいきましたが枠外に。
ポゼッションサッカーに定評のある徳島らしからぬ序盤の時間を過ごしていきます。
一方の愛媛も、それに合わせるかのように山崎や茂木がどんどんロングパスを上げていく攻撃を敢行。
ただこちらはロングパスからの好機はあまり無く、徳島のパスを遮断してからの好機が目立ちました。
13分、中盤でのパスカットから神谷がドリブルで運んでエリア内へスルーパス。
山瀬が受けるもシュートは撃てず、下川→神谷と繋ぐ所でパスカットに遭います。
22分にも中盤で山瀬がカット、そのまま近藤→神谷と繋がり、神谷がミドルシュートを狙いましたがGK梶川がキャッチ。
お互い3-4-2-1のフォーメーションというミラーマッチなので、ポゼッションをある程度捨てての攻撃が展開されたのでしょう。
前半も中盤以降はその傾向は薄れますが、今度は攻め手に悩む膠着状態に。
徳島がボールを握るものの、愛媛がしっかりと人に付きつつブロックを崩さない陣形を保つため攻勢に出れないという時間が続きました。
その均衡が崩れた時どちらに流れが来るのか、というのが注目ポイントでしたが、掴んだのは徳島でした。
ボール保持していても攻められない、そんな状況にも焦れる事無く、30分以降攻勢に。
しかしそれでも愛媛の集中力は切れる事無く、この時間帯で徳島が放ったシュートは1本のみ。(35分の内田のミドル)
逆に31分には、反則の笛が鳴った後もプレーを続けたバイスが愛媛・前野にチャージしてしまい、警告を貰うといった我慢の代償を支払う破目に。(バイスはこれで次節出場停止)
40分以降は愛媛も攻撃チャンスが増えますがシュートは放てず(36分に田中がミドルを放った)。
そのまま時間は経過していき、アディショナルタイムに徳島が直接フリーキックを得、バイスが直接狙った所で(右足で巻き気味のシュート、GK岡本がセーブ)前半を終えます。
後半もどちらが主導権を握るかという展開になりますが、今度は双方好機を作っていきます。
後半2分に徳島は左サイドでパス回し、岩尾のパスを受けた杉本がエリア手前からクロスを上げ、河田が頭で合わせにいったものの辛うじてGK岡本がパンチング。
直後の3分、愛媛は神谷の左サイドへのスルーパスからチャンス、受けた下川はクロスを上げずに中央へパス。
これを山瀬→近藤ポストプレイ→山瀬シュートという攻めを見せましたがGK梶川がセーブ。
5分の愛媛の右からのコーナーキック、選手がゴール前に密集を作った所、キッカーの前野はその後方へクロス。
ファーに流れた所を神谷が収め、反転シュートを放ちますがこれもGK梶川がセーブします。
6分の徳島の攻撃は右サイドをDFの石井がドリブルしてからパス、河田がポストプレイで再び右に流し、受けた岸本がクロス。
これをこれまたDFの内田がヘディングにいったものの、ミートせず流れてしまう事に。
双方好機を得る展開はまだ続き、8分の愛媛は、徳島・野村のミス(クリアボールをヘディングも下川の方に転がる)から下川がボールを持ちエリア内左へ進入。
グラウンダーでクロスを入れ、ニアで藤本が右足で合わせますが、当たりは薄くゴール右へと逸れていき決定機を逃します。
徳島は12分のコーナーキックから、バイスがエリア外に流れたボールを拾うと、杉本に渡し左サイドから二次攻撃。
杉本がフェイントを入れながら溜めを作り、中央へ送ると受けたのはバイス。
左へ切り替えした後、エリア手前からシュートを放つもののGK岡本にキャッチされます。
15分も徳島のチャンス、敵陣やや深い所でボール奪取して、左サイドから杉本→渡井→野村と渡りエリア内へ進入。
野村のシュートはまたもGK岡本が止め、こぼれ球を岸本が詰めにいくも愛媛・下川が間一髪クリア。
19分には愛媛、コーナーキックからのクリアボールを下川が中盤で拾ってロビング。
これをエリア手前で山崎がエリア内へと落とし、田中が受けてシュートを放つもゴール上へと外れてしまいます。
オープンな展開へと移行していき、前半ゲームをコントロールされていた印象の愛媛にもワンチャンスが生まれてきたような内容の後半。
この日の愛媛は、前節のレギュラーを3人欠いた状態で試合に臨み、しかも出場停止(野澤)・代表に参加(長沼)・故障(丹羽)と色とりどりな内訳です。
右ウイングバックの小暮はこの日3試合目の出場で、後に交代で出場する河原が5試合目・西田が8試合目と、苦しさは否めなかったと思います。(ただし小暮は前年レギュラー、河原・西田は既にベテランなので経験面での不安は少ないはず)
そんな状況なので、前半は我慢して願わくばスコアレス、そして後半勝負という展開に持っていく算段だったのかもしれません。
それが本当だとしたらその通りの展開になりましたが、惜しむらくはこれらの好機を決めきれなかった事でしょうか。
その後徳島側は再びロングパス主体の攻撃にシフトします。
愛媛の気勢を削いで試合を落ち着かせるのが目的だったでしょうか、20分以降次第に愛媛の攻撃機会は減少する事に。
そして後半28分から、徳島はボールを握り攻撃を仕掛けます。
空中での競り合いから敵陣で岩尾がボールを持ったのが始まりで、以降河田に入れる→岸本シュートもブロック→渡井拾って一旦戻す→(バイス左サイドへ展開→杉本受けるも戻す)×数回という長い攻撃。
そして小西の縦パスが防がれて内田が拾った後、今度は河田のポストプレイを交えて野村が右から前進。
パス交換からエリア内右へ進入してシュート、愛媛・山崎がブロックに入るも勢いは止まらず、ゴール右へと突き刺さる先制ゴール。
実に1分20秒もかけてのフィニッシュで、徳島らしいポゼッションの攻撃を完結しました。
試合を見事にコントロールする事に成功した徳島。
32分にも小西のドリブルから、野村がエリア手前左から際どいシュートを放ちます。(GK岡本セーブ)
愛媛はここまで手を付けなかった交代枠を使い、流れを引き戻す試みを見せます。
33分、小暮に代えて有田を投入し、フォーメーションを4-4-2にシフト。(近藤・神谷がサイドハーフに)
その後藤本→河原(37分)、田中→西田(41分)とカードを切っていき、35分以降攻勢に出るものの決定機を作る事は無く。
これを耐え抜いた徳島がその後反撃。
43分、敵陣で内田がパスカットしてそのままエリア手前まで行き、ミドルシュートを放ちますがGK岡本が触った後ポストに当たって得点ならず。
直後のコーナーキックでも、キッカー野村ニアに上げる→河田フリック→ファーで石井合わせるという際どい場面を作ります。(枠外)
アディショナルタイムでもじっくりボール保持して逃げ切りを図り(&残していた交代枠も使い)、そのまま0-1で動かず試合終了。
この勝利で4連勝となった徳島。
連勝の間スタメンも、この日に清武→杉本と入れ替えたのみで後は固定と安定感が生まれています。
しかし次節(長崎戦)はディフェンスの要であるバイスが出場停止。
以前中心選手の岩尾が出場停止した新潟戦(26節)では0-4の大敗を喫しているだけに、アクシデントへの脆さを見せる愚を避け、昇格争いに食い込みたい所でしょう。