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ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第42節 ジェフユナイテッド千葉vsV・ファーレン長崎

2023-11-17 18:26:15 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の千葉の記事はこちら(41節・群馬戦、2-1)
※前回の長崎の記事はこちら(41節・仙台戦、2-1)

<千葉スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 契約満了での退団が内定している福満がスタメン出場。
  • U-18所属の東(2種登録?)が初のベンチ入り。

<長崎スタメン>

  • プレーオフ進出の条件は、勝利が絶対条件でかつ山形vs甲府が引き分けの場合のみ、3チーム勝ち点で並び得失点差で上に立てる。
  • 前節はドイスボランチシステムの4-2-3-1を採用したが、元のアンカーシステムに戻す。
  • 前節コンディション不良で欠場(放送席の談)したギリェルメがスタメン復帰。

激戦のPO出場権争いを、前節一足先に制した千葉。
そのためメンバーを微調整し、今季限りでの退団が決定的となった福満が(10節・ヴェルディ戦以来)久々のスタメン。
ベンチにはユース所属の東も入るなど、昇格に向けてのテンションを一時落ち着かせた感のあるホーム最終戦となりました。

他方、現在8位の長崎はこの試合に全てを賭ける状況。
逆転で6位に滑り込むには勝利以外許されないという最終節で、ベストメンバーを揃えて挑み。

そんな双方の状況の違いが、序盤の展開に影響を齎す事が予想された前半戦。
確かにそれはあったものの、ハイテンションで挑んだはずの長崎が押されっぱなしの内容に。
つまりは負けられないというプレッシャーに屈するかのようなものとなります。
常時敵陣でサッカーをする千葉に対し、長崎は後手に回って反則で止めざるを得なくなったり。
やっとマイボールになっても、パスミスで失ってショートカウンターを浴びたりとで、勝利に向けて一丸と……という機運を感じられず。

長崎が一度も攻撃機会を得られないうちに、前半9分に千葉がセットプレーの好機。
出足良くこぼれ球を拾いにいったドゥドゥが(増山に)反則を受けた事でのフリーキック、キッカー日高のクロスがクリアされてさらに左コーナーキックに。
ゴール前に人数を集める千葉、ドゥドゥとギリェルメのポジションの取り合いで長らく時間が掛かった末に、キッカー田口のクロスをニアサイドで鈴木大がフリック。
これで浮いたボールに対しGK波多野がパンチングにいくも、ドゥドゥとの競り合いを強いられ小さく弾く事しか出来ず、こぼれたボールをすかさず見木がヘッドで詰めてネットを揺らします。
ガチガチな相手に対し、しっかりと先制点をモノにした千葉。

何とか試合を落ち着け、最終ラインからのビルドアップを図る長崎。
それでもその硬さは、「いかにもサイドで詰まりそうな運びだな……」と思わざるを得ないものであり。
プレッシャーによるものでは無く、構造的な欠陥を抱えてのものという疑惑を強くします。
つまりはアンカーシステムにありがちな、アンカーへのパスコースを切られる事でサイドからの運びをするしか無いという状態を常時強いられている。
そして前進に成功するのは、相手の素早い寄せをダイレクトパスでいなす時ぐらいのものと、シーズン中目立っていた問題は最終節でもしっかり健在であり。

そんな流れを変えようと、14分にはセンターバックの白井がドリブルで持ち運び、敵陣に進入した所を呉屋に倒されて反則。
16分には前線のプレッシングで、GK鈴木椋にフィードを蹴らせてスローインという形で回収するなど、何とか攻勢の流れを掴まんとします。

しかし千葉の攻撃は止まず、それを無理に止めにいって反則が膨らむという立ち上がりの症状は直す事が出来ず仕舞い。
16分にはや鍬先が(日高への反則で)警告を受けるなど、反則ポイントリーグトップのクラブの本領というべきか。
終盤でサスペンドにリーチという選手も数多居ましたが、退場にならない限りPOには持ち越されないのでその点は安心か。

光明が見えないっぽい長崎でしたが、21分には前述のサイドからのダイレクトでの繋ぎから好機。
左サイドでの前進で、米田のダイレクトパスを受けたギリェルメ、ターンからのスルーパスを澤田に通して独走態勢に。
果敢にプレスにいく千葉の逆手を綺麗に取った格好で、GKと一対一に持ち込んだ末にシュートする澤田。
GK鈴木椋の右を破ってゴールに突き刺し、劣勢のなかタイスコアに戻す事に成功します。

長崎はこれでファイティングポーズを取り直した……とはならず、依然として千葉の一方的な展開に。
29分には澤田と増山が味方同士交錯する形でボールを失い、拾ったドゥドゥがエリア内へ縦パス→呉屋ポストプレイ→福満と繋がる所を何とかクリアして防ぎ。

守備がままならない以上、攻撃で何とかしたい状況。
しかしフアンマというゴールゲッターを抱えながら、それに対しクロスを供給する事すらままならず。
それだけ千葉のプレッシングに対し前進出来る術が無く、申し分程度にアーリークロスを何度か上げるのみだった前半戦。
31分にはフアンマが左に開いてスルーパスを受け、奥からマイナスのクロスを入れるという逆のパターンで崩し。
澤田のポストプレイを受けた増山がラストパスを送るも、ギリェルメとは合わず。
37分にはGK波多野が、フアンマでは無くジェズスをターゲットとしたロングフィード。
これが奏功し、セカンドボールからギリェルメがドリブル→ミドルシュート(ブロックに当たりCK)とフィニッシュに繋げ。
フアンマがターゲットの逆を突く姿勢から、何度か好機を生み出します。

数多好機を迎える千葉ですが、悠々ボールを回せる事もあり、そのフィニッシュは殆どがミドルシュートとなり。
つまりは前節と同様の現象を起こし、長崎がボールを奪えずリトリートを強いられるのもあり、気付かないうちにその沼に入り込んでしまったでしょうか。
そんな中で45分、自陣でのこぼれ球を佐々木がダイレクトで縦パスを送った事で、相手守備が整わないうちに前進に入り。
そして呉屋がスルーパス、田中が走り込んで右ハーフレーン・エリア手前で受けると、それを防ぎに前に出て来たGK波多野を左にかわし。
後は無人のゴールに蹴り込むだけとなりましたが、放たれたシュートは眼前で白井がブロックと、決壊寸前で何とか防いだ長崎。
守勢を強いられながらも、こうしたプレーで勝利への機運は持ち上がり。

結局1-1のまま前半が終了。
ともに交代は無く、残りシーズンも最後の45分を残すのみ……とはなりたくない長崎。

しかしその入りの1分、いきなり千葉がドゥドゥの突破からエリア近辺での展開と、何ら変わらないという流れに。
入れられたクロスはブロックするも尚も繋がれ、パスを出した見木へのアフターチャージでジェズスの反則を取られ。
これにより絶好の位置での直接FKを与える事となり、左ハーフレーンという横位置から、キッカーには田口・日高の2人が立ち。
入念に壁を作って防がんとする長崎でしたが、それを嘲笑うかのように田口から放たれた直接シュートが越えていきゴール左へ。
しかしポストを直撃し、跳ね返りを鈴木大に詰められるも何とかクリアと、またも瀬戸際での防御を強いられました。

6分にも、スローインを受けにいったドゥドゥがカイオのチャージを受けて反則、先程と似た位置(やや外側)での直接FKに。
この反則により、ドゥドゥのユニフォームのパンツが破損するという事態も起こり、カイオへの警告並びに2枚目による退場(前半36分に警告を受けている)を猛烈アピールする一幕もあり。
このFK、今度は日高が直接狙うも壁を直撃し、二次攻撃で鈴木大狙いのロビングからのこぼれを繋ぎ。
そして拾った鈴木大がシュート(鍬先がブロック)と、攻勢を維持する千葉。

流れを変えたい長崎は11分にベンチが動き、鍬先・カイオ→松澤・中村へと2枚替え。
ともに警告付きとなっていた2人を退かせ、ジェズスをアンカーの位置に入れたうえで配置を調整します。(インサイドハーフに澤田・中村、サイドハーフが右にギリェルメ・左に松澤)

13分には中村→澤田→ギリェルメ→松澤と、変わった選手同士で繋いでいきクロス攻勢に持ち込むなど、一定の効果を齎し。
しかしその後持ち込んだCK(15分)から、千葉がカウンターに持ち込む事となり、ドゥドゥが日高とのパス交換を経て抜け出しドリブル。
これを反則で止めたギリェルメが警告を受けるという具合に、依然として千葉優勢の流れに見えました。

千葉も交代カードを切る時が訪れ、17分に福満・ドゥドゥ→風間・椿へと2枚替え。
様々なサイドでボールを受けて攻撃を流動化させる、本来レギュラーの風間の役割に徹していたこの日の福満、これでお役御免となり。

そして攻勢を維持したかった千葉ですが、その後に最後方が乱れるまさかの展開に。
18分にGKからショートパスで繋ぐビルドアップを試みるも、内切りで追い込まれた末に右サイド深めで奪われるという事態を招き。
そして奪った松澤が左ポケットを突き、さらに奥に切り込む所を鈴木大が倒してしまい反則、よりによってPK献上となってしまいます。
キッカーは当然フアンマで、フェイントを交えてのシュートでGKの逆を突いてゴール左に突き刺し。
しかし主審の笛が鳴り、あろう事かギリェルメが蹴る前にボックスに入っていたという判定でやり直しに。
再び蹴る破目となったフアンマですが、今度は素直なキックで逆の右に蹴り込み、またもGKの逆を突いて正真正銘のゴールゲット。
逆転を果たし、PO進出へ希望の光を灯します。

圧倒的優勢から一転、という状況となった千葉。
選手交代もあり、長崎の積極的な姿勢に徐々に押されるようになった感じであり。
22分には一旦最終ラインに戻して繋ぐ千葉、それに対して松澤が激しくチェイスする長崎。
何とか右へ展開していなしきり、松澤により長崎が陣形を乱した所を前進する攻撃でエリア内まで進んだもののシュートには繋がらず。

リードした長崎ですが、それでもそのサッカーの印象は変わらず。
前に出れば上記のような状況を突かれ、後ろを固めれば前半のような蜂の巣状態を招くという守備。
それにより攻撃機会も著しく減少するなど、良好な流れは自発的に生み出せないというのが全体的な感想。
相手によって左右され、それが前節もそうだったように、体力勝負となる終盤での巻き返しという展開に繋がっていく感がありました。
まあ外国人枠を大幅に越える助っ人の獲得という編成面から問題を抱えているのですが

再び押し込む時間帯に入る千葉ですが、やはり前半からハイプレスを果敢に仕掛けるそのスタイルは、時間が進んだこの段階ではキツくなり。
29分に高橋壱が前に出てロングパスをカット、そこからパスワークで右奥を突き、戻し→右ポケットを突いた末に風間がクロス。
流れた所を左奥で拾った日高が再度クロスを入れ、呉屋のフリックでファーへ浮かんだ所に風間が合わせにいき。
クリアでこぼれた所を高橋壱がシュートと、重厚な攻めを見せたものの枠を捉えられません。

攻勢が止んだ32分、長崎は自陣からの左スローインで白井サイドチェンジ→増山落としでギリェルメが抜け出すという単純な流れで好機に持ち込み。
そのままエリア内まで切り込んだギリェルメから、横パスを受けた松澤がシュート(田口がブロック)に持ち込み。
この単純な攻めを防げなくなってきている千葉、体力の低下は明らかであり、それが3失点目に直結する事に。

33分に双方選手交代。
長崎は澤田・ギリェルメ→名倉・岡野へと交代し、増山が一列上がって右SHに。
千葉は呉屋→小林祐介へと交代し、見木がFWに回り。

その後も千葉は攻め続け、セットプレーの量産に鈴木大も上がりっぱなしとなる状況に。
しかしそれが途切れ、再び長崎の単純な攻撃の受けに回るとあっさりと決壊します。
37分ゴールキックから、GK波多野のロングフィードが誰にも合わず、かつ誰もクリアにいけずに中央をバウンド。
一気にエリア内まで転がり、GK鈴木椋と鈴木大が前後から抑えるという状況になるも、躊躇ってお見合い状態となる隙に鈴木大の後方から走り込んだ増山が足を伸ばしてシュート。
コースを少し変えただけというシュートでしたが、そのままゴール内へと転がって致命的な失点を与えてしまった千葉。
一方長崎は、ゴールを決めた増山がユニフォームを脱いだ事で警告を受け、これでこの日チーム4枚目。

2点差となり、勝利に大きく前進した長崎。
後半の2点は相手のミス絡みというスッキリしないものながら、この最終盤では「勝てばよかろう」の精神以外に望む物は無く。
3点目とほぼ同じ時間に、山形vs甲府は山形が同点に追い付いた事もあり、このまま行けば……という状況に。

尚も攻め上がり、敵陣での展開を続ける千葉。
しかし既に体力も運気も残されておらず、そんな状態で2点リードは重くのしかかり。
45分に最後の交代、日高・田中→メンデス・西堂へ代える(佐々木が左サイドバックへ)も、流れを変える事は出来ません。

7分と長くなった目安のアディショナルタイム。
その最中に長崎もフアンマ→セリンサリウへ交代と、最後のカードを使用。
諦めずに攻め上がる千葉をいなしながら、松澤がドリブルで持ち運び時間を使い、勝利に向けての歩みを見せ。

そして試合終了の笛が鳴り、勝利というミッションを達成した長崎。
しかし他会場は、ATに山形が勝ち越してそのまま逃げきったため、最終順位は山形5位・千葉6位に。
それに届かず7位となった長崎、残念ながらPO出場を果たせずここでシーズン終了となってしまいました。
何とも無念という締めとなりましたが、サッカーの内容に触れると、前述の通り前半の一方的な展開を何とかしたい所。
つまりは構造的な欠陥を改善して来季に臨みたいですが、それは果たして現政権に出来るかどうかという選択も迫られる事でしょう。

一方、敗戦ながら6位でPO出場とシーズンはまだ続く千葉。
2017年以来の出場で、当時のメンバーも高橋壱・熊谷アンドリュー以外皆無という全く異なるチームで挑む事になり。
2戦ともアウェイという厳しい戦いとなりますが、大外からの逆転昇格を狙いたい所です。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第42節 モンテディオ山形vsヴァンフォーレ甲府

2023-11-16 16:00:42 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の山形の記事はこちら(41節・いわき戦、3-1)
※前回の甲府の記事はこちら(39節・長崎戦、1-1)

<山形スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • プレーオフ出場の条件は、勝利のみ。
  • 岡﨑が今季限りでの引退を表明。

<甲府スタメン>

  • PO進出の条件は、勝利で無条件、引き分けの場合は長崎が引き分け以下。
  • ACL4節(浙江戦、4-1)からの継続スタメンは、井上・中村・宮崎の3人。

PO出場権を掛けた、6位・7位の仁義なき戦い。

とはいっても、山形の方は前年も経験あり。
前段階では8位だったものの、勝ち点差1の6位・徳島とのホームでの対戦となった最終節。
試合に入りきれていない相手に対し、徹底的に裏を突く攻撃でペースを掴み。
早期に先制点を挙げたのみならず、そのすぐ後に相手に退場者(エウシーニョ)が出た事で俄然有利な状況を手中にしました。
そして数的不利の相手に着実に加点していき、終わってみれば3-0の快勝。
かつ、7位の仙台が(秋田に)引き分けに終わった事で、2つ順位を上げて見事滑り込みに成功。
何が起こるか最後まで判らないPO争い、今季もその場をセットアップして、迎えたホーム最終戦。

ここ最近の戦いとは裏腹に、チアゴをスタメンで起用してきた渡邉晋監督。
対する甲府、ACLを兼務する過酷な戦いを続けていますが、リーグ戦に関しては3試合連続での同一スタメンであり。

前半2分、最後方でのパス回しを経て、GK後藤雅が甲府2トップ(守備時)の間を抜いて縦パスを高江に通し。
そしてすかさず左サイド裏へとロングパスを送る高江、受けたチアゴがカットインで左ポケットに進入して中央へ横パス。
イサカのスルーを経て渡った後藤優がシュート(GK渋谷キャッチ)と、この日も前年のあの時同様、徹底した裏狙いを貫く事を予感させる入りとなり。

それでも序盤は甲府のハイプレスの前に、その前段階である縦パスを遮断される事が多く。
7分には松本凪が敵陣でその縦パスをカット、拾った中村がエリア内右へスルーパスを送り、そこに走り込むクリスティアーノ。
そしてダイレクトでシュートともクロスとも取れるボールを放ったもののブロックに遭い。

甲府優勢とも取れる展開から、流れが変わったかのようなシーンは11分。
ここもチアゴに向けてロングパスを送る山形、オフサイドポジションだったチアゴですが、手前でクリアしたため笛は吹かれず。
しかしそのクリアが逆方向に流れてしまい、甲府サイドがセルフジャッジかつ手を上げてアピールしていたのを尻目に左ワイドで小野が拾って継続。
この後は奥から上がったクロスがクリアされて終わるも、やや迂闊な一幕を露呈してしまいます。

そしてこれと前後して、急速に風が強まるピッチ上。
向かい風をモロに受ける事となった甲府、GK渋谷のフィードもその影響で乱れがちとなり、それに合わせる作業を強いられます。

10分近く山形が攻撃権を独占する時間が続き、出した甲府の答えは宮崎の突破力を押し出す事だったでしょうか。
ハイプレスを諦め、中央を固める事で自陣~中盤でしっかりと山形の攻撃を防ぎ。
そこから右サイドのスペースを突き、ドリブルで奥を取りにいく宮崎。
その流れで得た右コーナーキック(20分)、クロスの跳ね返りを繋いで再び右からクリスティアーノがクロス。
これを中央で中村が合わせ、放たれたヘディングシュートはループの軌道を描いたもののゴール上へと外れ。

しかし折角の反撃の流れもすぐに途切れ、再度山形の攻勢に。
それでも、しっかり中央を固める甲府の前に、普段のような電撃的な縦への運びは期待出来ない状況となります。
そんな中でも、最終ラインは西村を中心に間を通す縦パスを狙う姿勢は崩さず。

33分、例によって西村縦パス→高江から、今度は裏を狙わずに右から前進の姿勢も一旦戻して逆サイドへ。
今度は野田から縦パス攻勢で、小野→チアゴと渡り、そのチアゴのエリア内へのスルーパスに藤本が走り込み。
GK渋谷に抑えられるも、いつものような前進が封じられた事で、繋ぎながら隙を見つけるポゼッションスタイルの崩しの気概が高まった感があり。

中々攻撃できない甲府、35分にはセンターバックの井上がドリブルで右サイドを敵陣まで運ぶなど、何とか流れを変えようとするもその姿勢は報われず。
前半も時間が進み、再度ハイプレスを仕掛けにいき。
41分にはそのプレッシャーでGK後藤雅にフィードを蹴らせたものの、藤本の落としを経て結局山形の攻撃にさせてしまうなど依然として振るわず。
ここからチアゴのドリブルを経て、中央へのパスを受けた高江がミドルシュートを放つもGK渋谷がキャッチ。

結局は「引き分けでOK」(この時点で長崎は1-1の同点)という精神の下、耐え凌ぐ意識を強くせざるを得なかった前半の甲府。
そしてスコアレスのまま、何とか前半を終了させました。

後半を迎える前に、ハーフタイムで宮崎→鳥海へ交代と甲府が動き。
あれだけ攻められれば当然という感じですが、より流動的に動き回る鳥海の投入で流れを変えに来たか。
それともACLでもスタメンだった宮崎に、前半のみで体力を使いきるべく立ち回らせたのか。

後半3分、早速投入した鳥海を絡ませての攻撃。
井上が右斜めへ縦パスを送ると、鳥海がスルーして三平に渡りここから前進。
上げられたクロスは跳ね返されるも松本凪が拾い、三平のダイレクトパスを受けた鳥海が右ポケットへ進入(その後奪われる)という具合に、単騎突破が多かった宮崎とは対照的な立ち回り。

そして直後の4分、縦パスを受けた鳥海に対し小野が後ろからチャージしてしまい反則。
これで警告が出たと思ったら、それはその後異議を唱えた(放送席では人間違いと言っており詳細は不明)後藤優に対してのものであり。
このカードが物議を醸すシーンを招く事となり、その後の7分。
甲府最終ラインにプレッシャーを掛けにいった後藤優ですが、パスを出した蓮川にアフターチャージという結果を招いてしまいます。
当然反則で蓮川も長らく倒れ込む事態となりますが、カードは出ず。
恐らく2枚目はなるべく出したくないという判断が主審(榎本一慶氏)にあったのでしょうが、当然甲府ベンチが猛反発する事となり。
篠田善之監督の大声がひっきり無しに響く状況となりますが、結局判定は変わらず試合は続きます。

その後10分の甲府の攻撃の最中にも、松田をアフターチャージで倒してしまった南が(アドバンテージを経て)警告を受け。
尚も発される篠田監督の(これが警告で何で後藤優のがノーカードなのかという)異議が目立つも、流動性が高まった相手を前に守備面で厳しくなってきたという山形。

そして14分、半分クリアボールという最後方からの縦パスを三平がポストプレイで繋ぐと、右サイドから鳥海が斜めに向かうドリブル。
一気に中央まで切り込んだ末に右ポケットへスルーパスを送ると、走り込む三平が受けるのを阻みにいくGK後藤雅という際どいシーンが生まれます。
腕でしっかりボールを抑えた後藤雅でしたが、その直前にブロックにいった足が三平を引っ掛けてしまったのが拙かったか、三平が倒れた結果反則の笛が鳴り響き。
山形サイドにとっては釈然としないPKとなりましたが、当然判定は覆らず。(前述の甲府サイドの度重なる不満が効いた格好だろうか)
山形が後藤優→高橋へ交代したのもあり、長らく間が置かれた末に、キッカー・クリスティアーノのシュートがゴール左へ強く蹴り込まれ。
GK後藤雅は反応するも届かず、POに近付く先制点を挙げた甲府。

その後、19分にまたも蓮川が(藤本の)アフターチャージで痛む場面が生まれ。
再び長らく倒れ込んだ蓮川でしたが、篠田監督の檄が飛んで何とか起き上がりプレー続行。
その後も、長崎が勝ち越した事で、ピッチ内に「勝つしかないんだ」と指示を飛ばしたりとチームを動かす篠田監督の大声が一際目立っていたこの日の甲府。

反撃の糸口を掴みたい山形。
HTでの調整の影響か、前半と比べて多用していた縦パスを遮断される事が一層多くなり、PKのシーンまで攻撃機会は僅か一度と低調な流れを強いられており。
そして2度目は23分で、南の縦パスを受けた藤本が前進する所中村に反則を受け。
このフリーキックを素早くリスタートさせ、イサカが右からカットインを仕掛けるも防がれて実りません。
早く仕掛けたいという焦りも見え始め、正直この時点では勝利のビジョンが見えない状況に感じました。

既に後半で、良くない流れは采配で変えるべきであり。
26分にベンチが動く山形、イサカ・藤本→横山・デラトーレへと2枚替え。
デラトーレ狙いのロングパスを選択肢に加え、30分に西村ロングパス→デラトーレフリック→チアゴとホットラインらしきものを見せ。(その後チアゴがクリスティアーノに反則を受けて途切れる)
32分にはチアゴがロングパスをフリック、左へ流れるボールを自ら拾うという具合に逆の選択も生きてきたでしょうか。
ここから長らく敵陣で繋ぎ、チアゴのミドルパスをエリア内で収めた高橋がシュートするも枠を捉えられず。

甲府も33分に、三平・クリスティアーノ→飯島・ウタカへと2枚替え。
一方山形は35分に最後の交代、高江・チアゴ→小西・宮城へと2枚替え。
この日は一転してジョーカーの役となった宮城、そして直後に最高の結果を叩き出す事となります。

36分、左からの前進を選択する山形、手法は小野のパスを経ての宮城のドリブル。
細かいタッチで前進し、カットインの姿勢からフェイントで縦突破を選択すると、奥を窺ってポケットへの横パス。
小野が受けた所に松本凪がアタックを掛けるも、上半身を使いながら止めにいくなかで出した足が小野を引っ掛けてしまい、倒れて反則の笛が鳴り響きます。
先程のお返しというようなPKゲットで、キッカーはその状況を齎した宮城が務め。
そしてゴール右へ蹴り込み、GKの逆を突いて見事に決めた結果、試合は振出しに。

他方、長崎はほぼ同じ時間に3点目を挙げており勝利はほぼ手中に。
あと1点が必須の山形ですが、これで甲府も1点が必要と同じ条件なり、混沌とした状況と化するピッチ内。

39分、これまであまり目立たなかった三浦がドリブル突破を仕掛け、左ワイドから中央へ斜めへと向かった末にウタカへスルーパス。
しかし長くなってしまい繋がらず。
41分にも長谷川ポストプレイ→ウタカ横パスを経てボールを持った三浦、左ポケットへ切り込んで中央へ横パスを出しましたが、これも遮断されてしまい好機を作れず。
キツくなってくる時間帯で突破力を利かせにいきましたが、精度が悪く流れを齎せない三浦。
(直後に松田→関口へと交代)

そしてその疲労度の影響か、甲府の守備強度も極端に落ちてしまい。
前掛かりになっては山形にそれを突かれるの連続で、45分にはウタカのスルーパスがブロックされて直接カウンターに繋がってしまい。
宮城が今度は中央を突破してペナルティアークからシュート、しかしGK渋谷がキャッチ。
直後にも山形の攻撃、今度は横山がボールキープの姿勢からカットインを経て縦パス。
受けた高橋が中央からミドルシュートを放ちますが、ゴール左へ際どく外れた末にクーラーボックスを直撃。
その際の激しく飛び散る氷を観て、これが歓喜に変われば……という思いが最高潮に達したかどうかはいざ知らず。

ついに突入したアディショナルタイム。
甲府も山形のバックパスをカットしてカウンターを仕掛け、長谷川の中央突破からのラストパスにウタカが走り込み。
そしてシュートが放たれるも西村がブロックと、勝ち越しを防ぐ側の粘りも凄まじい最終盤。

続く山形の攻撃、右サイドで川井と南がパス交換、ディフェンスに遭いながらも2人で前進。
そしてポケットで縦パスを受けた南が間髪入れず低いクロスを送ると、デラトーレが中央で合わせ。
この足の出し方も万全な風では無かったものの、ワンテンポ置いて左足で放たれたシュートはゴール上部へ突き刺さります。
とにかく点を取るだけというオープンな展開のなか、とうとうスタンド全体を熱狂の渦に巻き込む勝ち越し弾が生まれました。

諦めは許されない甲府。(キックオフの前に松本凪→林田へ交代)
井上を前線に上げ、パワープレイの格好で押し込みに掛かり。
その井上へのロングボールから、跳ね返りを繋いで右から関口がクロス、大外で長谷川が合わせにいきましたが身体に当ててしまいミート出来ず。

何とかその後CKを得て、GK渋谷もターゲットに加わり最後の攻撃。
キッカー長谷川のニアへのクロスをウタカがヘッドで合わせるも、これも枠外に終わり。
そして試合終了の笛が吹かれ、PO最後の一枠の決着がつきました。

既にPO圏を決めている千葉が敗れたため、5位にまで浮上する事となった山形。
前年とは遥かに厳しい戦いとなりました、それでも苦労の末にATの劇的ゴールで勝ち取ったPOは格別なものがあるでしょう。
余韻に浸る間も無く……と見せかけ、今季は代表ウィークに合わせるように2週間のインターバルが採られる日程。
1回戦の相手は強敵・清水なので、これを利用しどれだけ煮詰める事が出来るかが勝負のカギとなるでしょうか。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第42節 水戸ホーリーホックvs清水エスパルス

2023-11-15 18:13:46 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の水戸の記事はこちら(38節・千葉戦、1-1)
※前回の清水の記事はこちら(40節・熊本戦、1-3)

<水戸スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節(磐田戦、0-5)は長井が左センターバックの3-3-2-2(3-1-4-2)で、そこから微調整。
  • 前半5分頃から杉浦と小原の位置が入れ替わり、左サイドハーフに杉浦。小原はFWというよりはトップ下気味に。
  • 前節出場停止だった山田がスタメン復帰。

<清水スタメン>

  • 自動昇格の条件は、勝利で無条件で確定。引き分け・敗戦ならば磐田・ヴェルディが引き分け以下。(得失点差では2チームを上回っているため並ばれても可)

決戦の最終節。
3つ巴のクラブ(清水・磐田・ヴェルディ)はともに前節勝利し、現状維持の勝ち点差で迎えました。

有利な立場である事は変わらない2位の清水ですが、差は僅かに1。
躓きが許されないのも不変であり、多大なプレッシャーも圧し掛かっている事でしょう。
それ故か、勝ち負けが交錯している成績(過去5戦で3勝2敗)にも拘らず、6戦連続スタメンという選択を採った秋葉忠宏監督。

その秋葉監督が前年まで指揮を執っていたのが、対戦相手の水戸。
最終節でこうした因縁の対決が生まれるのは何の因果かと感じてしまうものの、Jリーグに良くある「開幕節のカード=最終節のカード」という組み方が一因でもあり。(今季のJ2は5試合がそれと、やや中途半端でもあり)
前回対戦時は開幕節だったこのカードで、その際秋葉氏はコーチ。
成績不振による監督交代で昇格した事により、舞台は整いました。

清水にとって運命の一戦が始まると、水戸は前節からフォーメーションを調整。
3バックの前節から、長井を一列上げたというような4-4-2にシフトしておりました。
しかし少し時間が経つと、杉浦と小原の位置が入れ替わり。
守備時は2トップの一角としてプレッシングに加わり、攻撃時はトップ下の如く様々な位置に降りてビルドアップの出口役となった小原。
特に後者が良く効き、「最短距離」を唱える現在の清水とは対照的に、程よい溜めを作りながらボールポゼッションによる攻撃で流れを齎していました。

清水は、何とか中継役の乾にボールを集めて前進せんとするも、水戸の対応は素早く。
彼やサンタナ・カルリーニョスにボールが渡るとすかさず取り囲み、激しいデュエルも辞さずという姿勢で流動性を断ち切り。

こうして土台を整えた水戸の立ち上がり。
清水のプレッシングに対しても、最終ラインをボランチ1人が降りて3枚にする事で対応。
そして2列目に小原やSHが降りてパスを受けるというやり口で、前に運ぶその姿は、水戸1年目の秋葉氏(2020年)のスタイルそのもののようであり。
つまりは個人の技量に乏しいが故に、後ろの人数を重視しつつの繋ぎに徹してのビルドアップ。
それが、個の力で圧倒的に勝る清水相手に牙を向く事となったでしょうか。

度々サイド奥まで進入し、コーナーキックも数多得ていく水戸。
そのCKでも、キッカーに2人(武田・杉浦)を立たせる変則体制を貫くという具合に、「師弟対決」への意気込み度合は濱崎芳己監督の方が上回っていた感があり。
10分の右CK、武田が蹴ったクロスをGK権田がパンチングするも、エリア内左で拾った石井が追撃のシュート。
しかしGK権田のセーブに阻まれ先制ならず。

これらの水戸の徹底した姿勢を前に、自身のサッカーを封じられてしまったような清水。
22分に水戸のパスミスからの好機、拾ったホナウドから素早く運び、左ポケットを取ったカルリーニョスから乾へとスルーパス。
これでCKを得て、二次攻撃で原が(前田に)反則を受けてFKと、セットプレー攻勢を仕掛けたもののフィニッシュには辿り着けず。
攻勢といえたのは前半ではこれぐらいで、後はひたすら水戸の流動性溢れるサッカーに苦しむ事となり、以降の攻撃機会は僅か1度。(自分の集計です)
その姿はやはり、掛かっている物の重圧が伺えるものでした。

一向に良くならない状況を受け、30分台で早くも動く清水。
つまりは3バック(3-4-2-1)への変更であり、中山がウイングバック的な位置取りを見せ始めます。(カルリーニョスが右シャドー・原が右CBに)
後半からの布陣変更というお決まりの流れ(ただし最近自分が観た試合ではそれが奏功するという印象は無く)を、早くも使用するその姿に危機感も高まる清水サイド。

攻め上がる水戸サイドも、36分の安藤のミドルシュート(GK権田キャッチ)をはじめフィニッシュは遠目からが多く。
これがもっと近付くようになると決壊も、という展開ですが、何とかやらせない清水。

しかし45分、前田の敵陣でのボールキープを原が倒してしまい反則となり、直接FKを得た水戸。
横位置は左ハーフレーンのやや中央寄りで、キッカー杉浦は多少距離があったものの躊躇わずに直接狙い。
これがゴール左を襲ったものの、GK権田がファインセーブで防ぎ。
前半は最低といった内容の清水でしたが、ビハインドは避けて前半を終えました。

一方圧倒的に勝っていた内容の水戸も、42分に長井が空中戦でサンタナのチャージを受けて痛んでしまう懸念事項が発生。
その影響かハーフタイムで交代となり、同ポジションで高岸が投入されました。

良かった方のチームが、半分アクシデントも交わってメンバー交代となって始まった後半。
それでも最初の好機はその水戸で、後半2分にGK山口のロングフィードを安藤が合わせにいき、こぼれ球を左奥で拾い直した事による好機。(奥からクロス→小原がヘディングシュート、GK権田キャッチ)
前半の繋ぎの姿勢に加え、こうしたロングボール一本でもフィニッシュに繋げるという具合に、水戸ペースの継続を予感させる入りとなり。

しかし目標に向けて後が無い清水が、いよいよ尻に火を付けたかのように巻き返します。
5分に白崎縦パス→カルリーニョスドリブルからパス→乾中央からミドルシュートという、素早い縦への運びでまずファーストシュートに辿り着き。
これで勢いを得ると、その後は3バックの利点を生かす立ち回りを攻撃面で見せ始め。
即ち、スタートが右サイドバックだった右CBの原が、最前線にまで上がり攻撃に絡むシーンを増やし。
これは明らかに敗戦した前回とは異なる姿勢であり、プレッシャーが良い方に働くというまさに背水の陣のようでした。

ようやく流動性が蘇った清水、8分にはサイドチェンジを絡めてのビルドアップから、中央でホナウドが持つと乾が降りて受けにいったのを逆手に取り左へミドルパス。
スペースを開けた所に山原が走り込むという具合に、相手を釣るオフザボールの動きも交えながら好機を生み出します。
この場面はここから、山原の左奥からのクロスに白崎が合わせヘディングシュートを放ったものの、惜しくもゴール右へと外れ。

水戸に最初の好機以降、全く攻撃させない程に押し込んでいく清水。
15分には最前線まで上がった原が、乾の左からのクロスに合わせヘディングシュートを放ったもののGK山口のセーブに阻まれ。
文字通りゴールまであと少し、という状況だっただけに、後方の乱れが悔やまれる事となり。

16分、縦パスを自陣で前田がカットした水戸、ここからサイドチェンジも使いながら前進に成功してようやく後半2度目の好機。(右から村田がクロスも合わず)
シュートは放てずも、清水サイドも水入りという感じになり。
落ち着くべく最終ラインから繋がんとした、17分に事案は発生してしまいます。
高橋からのビルドアップ、右への展開を選んだ高橋でしたが、脇の原では無く一つ飛ばしでワイドの中山へのパス。
しかし、原を監視する体勢だった杉浦がこれを良い出足でカットすると、そのままクロスに繋げ。
そして安藤のヘディングシュートが放たれると、ゴール左へと突き刺さる電光石火のショートカウンターに。
優勢のなか得点出来なかった水戸が、劣勢のなかで先制に成功します。

これで窮地となった清水。
周知していたかは不明ですが、ほぼ同じ時間で磐田が勝ち越し・ヴェルディが先制に成功したので、密かに勝利が絶対条件と化していたこの試合。
何とか反撃体制を整えるも、焦りからか21分には水戸のカウンターに繋がってしまい。
スルーパスを受けた小原が一気に左ポケット奥まで切り込むも、戻しを経ての再度のポケットへの(石井の)スルーパスが繋がらずに命拾いします。
続く22分にはホナウドが左ハーフレーン→中央へレーンチェンジからのミドルシュート、GKの手前でバウンドさせる難しいボールとなるも、GK山口がセーブ。

23分にベンチが動き2枚替え、中山・カルリーニョス→北爪・北川へと交代します。
終盤戦故にメンバー固定で戦っている清水、交代で入るメンバーも半ばパターン化しつつありますが、形振り構ってはいられず。

水戸が前を向いた所を突きたい清水。
24分にカウンターのチャンスが訪れるも、敵陣で持った乾がキープする事で遅攻へと切り替わり結局シュートは撃てず。
28分には水戸の左スローインを跳ね返し、ベクトルを反転させての好機。
乾が中央からエリア内へ入り込むも、杉浦の反則気味のディフェンスに遭い撃てずに終わります。(反則無し)
一方の水戸ベンチは、27分に武田→得能へと交代。(杉浦が右に移り得能が左SHに)
清水が速攻を狙っているので、必然的に攻守の入れ替わりが激しくなるなか、水戸のカウンターチャンスは30分。
その得能が一気にドリブルで切り込む展開となり、敵陣の浅い所でホナウドが反則で何とか止めざるを得なくなる始末。(当然警告、4枚目も既に最終節なためサスペンドは無し)

刻一刻と厳しくなる清水、35分に2度目の交代。
8試合ぶりのベンチ入りとなったコロリを投入という、パターンから外れた交代に勝負を掛けます。(ホナウドと交代、同時に高橋→岸本へと交代)
そしてボランチを一枚削る事で、3-3-2-2(3-1-4-2)へと布陣も変える、文字通り前方集中の体勢で挑み。

そして直後の36分、GK権田のロングフィードから、空中でヘディングの連続で運んでいくというその通りの強引な攻め。
中央で持ったサンタナがディフェンスに遭うも、岸本が拾って左へ展開、山原がクロスに持っていく執念の繋ぎ。
そしてサンタナのヘディングシュートが放たれると、GK山口が触れるも及ばずゴールに吸い込まれ。
泥臭さを発揮し、終盤一歩手前で同点に追い付きます。

当然、勝利に向けて尚も前へベクトルを向け続ける清水。
右だけでなく、左のCBもSBタイプの岸本を入れた事で、両サイドに人数を掛ける体制は整い。(この攻勢を何故藤枝戦で出来なかったのか……)
38分にはその通り左右からクロス攻勢を掛けた末に、こぼれ球を拾いにいった白崎が安藤に反則を受け。
これで直接FKの絶好機となり、水戸サイドも入念に壁を作る攻防のぶつかり合い。
キッカー山原が直接狙ったボールは、水戸の壁を直撃と勝りを見せます。
それどころかここからカウンターに繋げ、再びの得能のドリブルが北川に倒されて反則・警告と、水戸もこのまま引き分け上等という精神は何処にも見られず。(この直後に安藤→草野へと交代)

それでも43分、再び清水はGK権田のサンタナをターゲットにしたロングフィードから好機。
中央を強引に突破した末に、北川のラストパスを受けた北爪が右ポケットからシュートするも、GK山口のセーブに阻まれ。
尚も右CKで継続し、水戸のクリアミスでこぼれたボールをコロリがダイレクトでシュート。
決まったと思われたこのシュートは浮いてしまいゴール上へ外れ、痛恨の決定機逸となってしまいました。

これを受けた水戸、45分に最後の交代。
小原・杉浦→楠本・柳町へと2枚替え、CBを増やした事で3-4-2-1の5バックシステムへ。
清水の圧力はやはり脅威的で、流石に引き分けOKを選択せざるを得ない最終盤。
それでもアディショナルタイムの最初の好機は水戸で、高岸がミドルシュートでゴールを脅かし。(ゴール左へ外れる)

どうしてもゴールが欲しい清水、白崎ロングパス→サンタナ落としで一気にエリア内を突く攻撃。
水戸のクリアが小さくなった所を、すかさずサンタナがダイレクトでシュート。
強烈なボールがゴール左を襲うもこれも際どく外れと、本当に後一歩ながらモノに出来ません。

その後ゴールキックの際にGK山口が遅延行為で警告を受けるなど、スローペースを交えた水戸の立ち回りに苛立ちを隠せない、水戸のホーム(ケーズデンキスタジアム水戸)に大挙して訪れた清水サポーター。
しかし無情にも時間は経過していき、試合終了の笛が。

1-1で引き分けで終わった事により、勝利した磐田・ヴェルディに抜かれて4位転落。
頭上まで迫っていた自動昇格の権利は、最後のジャンプが足りなく手中にする事が出来ず。
それでもまだプレーオフが残っており、それに賭ける清水。
ホナウドもサスペンドとはならず出場出来るレギュレーションなので、薄氷の昇格だろうが何だろうが、勝ち抜きたい所でしょう。

一方の水戸、前半のサッカーはまさに理想郷といった所であり。
ポゼッションを下地とした攻めに溜めをしっかり交える等、この試合で感じた欠点はすっかり改善されていました。
これで24年連続J2の地位を維持と、名誉とも汚点ともどっちとも取れる経緯となりましたが、果たして来季はさらに成熟し上位を目指す事が出来るでしょうか。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第42節 大宮アルディージャvs東京ヴェルディ

2023-11-14 16:26:38 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の大宮の記事はこちら(38節・山口戦、2-1)
※前回のヴェルディの記事はこちら(40節・磐田戦、1-1)

<大宮スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節をもって21位が確定し、同時に降格確定。(※)
  • GK南が今季限りでの引退を表明。今節スタメンで出場。(22節・いわき戦(1-5)以来)
  • シュヴィルツォクの負傷が発表され、37節(大分戦、1-0)で発生するも全治は不明、そのまま母国(ポーランド)へ帰還となる。
  • 市原がU-18代表メンバーに選出。代表はこの日からスペイン遠征に入るとの事で、市原本人は後日合流の運びか。(11/15にメキシコ戦)

※正確には降格圏が確定であり、後はJ3昇格枠の行方次第。

<ヴェルディスタメン>

  • 自動昇格の条件は、この試合に勝利し、かつ清水と磐田が引き分け以下。勝ち点で並んでいる磐田とは得失点差で5の差があり、逆転は困難。
  • 前節退場(警告2度)となった深澤が出場停止。
  • 前節体調不良との事(放送席の談)で欠場した森田がスタメン復帰。

連勝を4まで伸ばし、「ひょっとしたらひょっとするかも……」と思わせた大宮。
しかしやはり奇跡はそうそう起きるものでは無く、連敗で降格圏が確定してしまう事となり。

ハイプレスで相手のペースを奪う事で連勝を続けていましたが、それは後が無い状況故の開き直りだった事も確か。
インテンシティ重視のスタイルへの変更は、以前(霜田正浩監督の頃)からも図られていましたが、そうした泥臭いサッカーを突き詰めるにはメンバー的に厳しいものがあったでしょうか。
ユース出身者が多い編成故に、「勝つためのサッカー」を落とし込むには並大抵の事では無く。
そして現在のJ2には、そのスタイルを突き詰めた町田・秋田・いわきが居るため、どうしても下位互換にしかならないのが致命的でした。

J2最後のホームゲーム、その相手はヴェルディで、最後まで自動昇格の可能性を残しており。
そしてユース重視のこれまでの編成に加え、大卒選手を多数登用し「勝つためのサッカー」の落とし込みに成功している、何から何まで正反対の状況のクラブという皮肉ぶりとなりました。

自動昇格に向けての戦いの総決算といったこの日のヴェルディ。
そのため硬くなりがちな立ち上がりは浮き球のパスを多用し、他方大宮はその長いパスをカイケが前に出てカットするなど、積極性を前面に押し出します。

ヴェルディのもう一つの懸念は故障という要素で、3分に中原が茂木との交錯で足を痛めてしまう事態が。
仮に自動昇格を逃しても、プレーオフが待っているという状況で、大きな武器である選手を失うわけにはいかない側面も抱えています。
何とか中原は起き上がるも、ピッチ外での治療に思いのほか時間がかかり、6分に復帰。
その後11分に今度は加藤が長らく倒れ込む事態となるも、治療は入らずにそのまま様子見を経て何とか起き上がり。

その序盤は、様々な位置に降りてパスを受ける齋藤の存在もあり、ボールを運べるようにはなっていたヴェルディ。
しかし大宮は前線の守備の調整に成功し、攻撃時にアンカーとなる森田を切りつつ、最終ラインへプレッシャーを掛ける中野・富山の2トップ。
その脇に降りて受ける選手(齋藤・稲見)に対してはドイスボランチが前に出て対応するという基本姿勢。
そしてGKマテウスを加えてボールを持つヴェルディの最終ラインに対し、サイドハーフも前に加われる体勢を取りながら、ヴェルディのサイドバックの脇で構え。

この大宮の前線にヴェルディもかなり手を焼く事となり、12分にはその姿勢を見てパスの出し所が無くなり、横パスがズレた末にGKマテウスがラインアウトで逃げる事を強いられるなど嵌りを見せ。
14分には黒川の反則気味のボール奪取から決定機を作り、右サイドを駆け上がった岡庭のクロスが流れるも、逆サイドから大澤が上げた再度のクロスを黒川が折り返し。
そして中央で中野が頭から飛び込みましたが、ジャストミート出来ず左へ逸れてしまい決められません。

その後はヴェルディサイドもインテンシティを高める事で応戦し、激しいデュエル勝負が多発するピッチ内。
そして奪った後の素早い運びを図るという、一昔前のポゼッションスタイルは脇に置いたようなサッカーを貫きます。
25分にはクリアボールを繋いだのち、裏へのロングパスを左サイドで受けた染野が奥へ切り込むと、市原に倒されて反則・警告。
これで得たフリーキック、キッカー中原のクロスから山越が中央でヘディングシュートを放つも、浮いてしまい決められず。

大宮は時折決定機を作られるも、敵陣でのボール奪取を頻発させるなど概ね良好な流れ。
ペースを握ったのちは自発的にも好機を作らんとし、中々嵌らないヴェルディのプレッシングを見るや、カイケが持ち運ぶという具合に中々の立ち回りを見せ。
しかし岡庭のアーリークロスに頼る局面が圧倒的に多く、もっと奥へ切り込む事を混ぜた方が……と言っても時は既に最終節であり。
そしてショートカウンターの精度が欲しい所でありましたが、終盤からのスタイル切り替えなため致し方無く。

ヴェルディは止むを得ずというべきか、GKマテウスのロングフィード中心に組み立てる手法に。
39分には齋藤の足下へ送る低いフィード、これは収まらずもすかさず染野が繋ぎ、受け直した齋藤が右へ展開。
そして中原のアーリークロスに、大外で加藤が脚で折り返さんとしますが惜しくも合わず。
41分に今度はハイボールを送るマテウス、齋藤がフリックで浮かせたボールを染野が落とし、齋藤→染野を経由と2人で前進していき。
そして染野のスルーパスをエリア内で受けた齋藤、1トラップでGK南を左にかわしましたが、角度が無くシュートは撃てず。(その後クロスに切り替え、染野が折り返すもGK南がキャッチ)

終盤は大宮が、カイケに対する加藤の反則(警告)からセットプレー攻勢に入り。
このFKをはじめ、コーナーキックも2本続けるなど押し込みましたがゴールは奪う事が出来ず。
善戦した大宮でしたが、結局はスコアレスで折り返しとなりました。

全試合同時開催の最終節。
ヴェルディにとっては清水・磐田の途中経過も気になる状況ですが、まずは勝たなければどうしようもなく。(この時点ではともに同点)

迎えた後半も、大宮の前線に対しビルドアップに難儀するヴェルディという展開に。
ヴェルディは前半に比べ、森田がアンカー・その前に齋藤と稲見という布陣の維持に努めるようになり。
しかし中々ボールに触れない森田が最終ラインに降りる事も目立つなど、状況を変えられず。

後半8分小島が前に出てボール奪取し、ショートカウンターに持ち込む大宮。
拾った中野がすかさずミドルシュートを放つと、ブロックを掠めたのもあり難しい軌道となり、手前でバウンドしたボールをGKマテウスが何とかセーブ。
ここからの右CKでも、こぼれ球を繋いで好機を作る大宮、右からの岡庭の低いクロスを黒川がダイビングヘッドで合わせ。
しかしゴール左へ外れと、窮鼠猫を噛むような先制点は奪えません。

流れを変えられないヴェルディ、14分にベンチが動き、林・加藤→平・綱島へと2枚替え。
CBを入れ替え、齋藤を左SHへシフトし綱島がトップ下と、思い切った手を打った城福浩監督。
そのポジションを移した齋藤から好機を作ったのが17分で、右スローインから中央→左へと展開ののち、カットインからクロスを上げた齋藤。
これをファーサイドで中原がボレーシュート(枠外)という具合に、徐々に流れを作り始め。

一方の大宮も17分に中野→室井へと交代。
お互いカードを切ったものの、執念のポジション変更という要素もありヴェルディが勝りを見せたのが分かれ目だったでしょうか。

18分、ヴェルディのスローインを遮断して大宮が攻め上がり、エリア内左角を取り。
しかし室井がバックパスを選択すると、受けた高柳が再度エリア内を突かんと縦パスを出すも、すかさず寄せた綱島がこれをブロックして奪いカウンターに持ち込みます。
それは前回の磐田戦の縦突破とは一味違ったパスワーク中心の速攻となり、染野→齋藤→綱島と繋いだのち、ボールキープで落ち着かせて右の中原へ。
そして細かいタッチでの突破を経てポケットへスルーパスを送り、森田が走り込んでマイナスのクロスを入れると、中央で綱島が合わせて完遂。
溜めも巧く取り込んでのカウンターで、苦しい試合展開ごと切り裂くような先制点を挙げました。

追い掛ける展開となった大宮。
何とかホームの声援を背に戦いたい所でしたが、その声量もアウェイのヴェルディサポーターの方が勝っている感があり。

21分に速攻気味にパスを繋ぎ、黒川が右ハーフレーン手前から低いクロス。
これを室井が裏に抜け出して合わせたものの、オフサイドで無効となり。
以降の大宮はプレッシングも嵌められなくなり、一転して勝機が見出せない展開へと突入します。

GKマテウスのフィードを自在に使いながら、大宮の前線をいなしていくヴェルディ。
ここに来て脇に置いておいたポゼッションサッカーを見せ始め、相手が隙を見せれば一気に好機に持ち込み、無ければ戻して作り直しと本領を発揮していき。
23分にはGKマテウス右へフィード→稲見受けてドリブル→染野右ポケットへ切り込みシュート(枠外)と、隙を突いての素早い運びで脅威を植え付けます。

何とかその合間に、好機を作らんとする大宮。
セットプレーも交えながら、多少強引ながらも好機を作らんとします。
しかしカイケと染野の頭部同士の激突という絵図も生み出す(25分、両者とも無事)など、その精神は悪い方に作用した感があり。
このシーンの最中に再度ベンチが動き、小島・富山→大山・泉澤へと2枚替え。(大澤がFWへシフト)

決して元から攻めの精度が高くない大宮、その意識への傾けにより、一層パスのズレが目立つようになり。
そして33分それを突かれ、縦パスがズレた所を谷口がダイレクトで縦パスを送り返し、一転してヴェルディの攻撃に。
左サイドでパスワークでボール保持ののち、戻して作り直し右からの攻めに切り替えると、宮原→森田→中原と縦に繋いでいき。
ボールキープでカットインに切り替えた中原を捕まえられなかったのも、中央に居るはずの森田が加わったが故だったでしょうか。
出来たスペースを斜めに前進していく中原、そのまま放たれたミドルシュートがゴール左に突き刺さります。
勝利をほぼ確定付ける2点目を挙げたヴェルディ、キックオフの前にすかさず齋藤→奈良輪へ交代と守備固めを図り。

この交代により、奈良輪が激しく上下動する事で通常の4バックと、5バックとを使い分けるシステムに移ったヴェルディ。
大宮は前半の姿は既に何処にも無く、ひたすら振り回される時間帯に突入する事となり。
36分に最後の交代、大澤・黒川→矢島・石川へ2枚替えを敢行する(高柳が右SHへシフト)も、流れは殆ど変えられません。
切り札的存在の泉澤も、前を向いてボールを受けられずにその能力を活かせず。

パスワークを続け、「相手に攻撃させない」事へと意識を移すヴェルディ。
41分に最終ラインの繋ぎで大宮のプレッシャーをいなし、山越ミドルパス→染野胸で落としから一転して前線での展開に。
奈良輪が反則気味のチャージでこぼされるもそれすら繋ぎ、中原右ポケットへスルーパス→宮原クロス→染野ヘディングシュートという完璧な流れでフィニッシュ。
枠を捉えられずに終わるも、これだけ相手を振り回した末にシュートで終われれば逃げ切りの状況では十二分。

最終盤を迎え、ようやく泉澤が前に向けられるシーンが生まれる大宮。
アディショナルタイムに突入し、その泉澤がエリア内で大山の横パスをシュートするもGKマテウスがキャッチ。
その後も室井がエリア内からシュート、CKからの流れを経て市原がエリア内からシュートと好機を量産する大宮でしたが、いずれもブロックで防ぐヴェルディの最後の粘りを崩すのは残り少ない時間では難しく。

そして0-2のまま試合が終了。
勝利したヴェルディですが、歓喜という訳にはいかず、他会場の結果を待つ事を強いられます。

そして弾き出された結果は、清水は水戸と引き分けた(1-1)ものの、磐田は栃木に勝利。(2-1)
これにより清水を追い抜いたものの、勝ち点75で並んだ磐田が得失点差で上をいく事となり。
2位に入った磐田を尻目に、3位に甘んじる事となった最終順位。
最後までやりきり、最良の結果は得られずとなりましたが、未だ終わらず。
2週間後のプレーオフで、3位に入った意味合いを存分に活かして貰いたいものです。

一方、最後の試合も敗戦となった大宮。
試合後のセレモニーもとても穏便な雰囲気とはならず、GK南の引退セレモニーに助けられたという格好に。
アイデンティティを失ったクラブ(J1の時代もただ残留を目指すだけという感はありましたが)はただ堕ちるだけ、という事を示す結果となりましたが、再起を図る術はあるでしょうか。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第41節 ザスパクサツ群馬vsジェフユナイテッド千葉

2023-11-10 18:17:49 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の群馬の記事はこちら(再試31節・金沢戦、1-1)
※前回の千葉の記事はこちら(38節・水戸戦、1-1)

<群馬スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 山中の負傷が発表され、9/10に発生して全治4週間との事で、前節(山形戦、1-2)復帰して途中出場。
  • 白石の負傷が発表され、10/11に発生して全治4週間との事。

<千葉スタメン>

  • 篠原が今季限りでの引退を表明。持病故の早期引退という事で、今後に幸あれ。

トップハーフ同士の対戦。
アウェイの千葉は、勝利すればプレーオフ圏確定である勝負の試合という要素もあり、大挙して群馬のホーム・正田醤油スタジアムに集合。
それ故5ケタに迫る観衆(9,110人)を集めての試合開催となり、最終盤に相応しい盛り上がりぶりでした。(なお今季の群馬の最多集客数は29節・栃木戦の10,823人、ただし1万人チャレンジ実施による)

そんな試合の入りは、前半1分に早くもクリアボールを巧く入れ替わって受けた川本がドリブルにより好機を作りかけるハイテンションなものに。
対する千葉も、2分に群馬のパスミスからボールポゼッションによる攻撃を展開と、スタンドの雰囲気に相応しいものとなりました。
その入りの雰囲気は、続く3分に群馬が裏へのロングパスから、左サイド奥を突いた杉本によりコーナーキックを獲得。
キッカー風間宏希のファーへのクロスを川本が合わせヘディングシュート、ゴールネットを揺らしたもののサイドネット外と、あわやのシーンで終わり。

その後はお決まりというべきか、群馬がボールポゼッションによる様子見モード。
3センターバックが中央に密集しての繋ぎで、相手のプレスの間を通しながら隙を窺うという、実に洗練されたスタイルをこの日もブレなく発揮します。
千葉はハイプレスでボールを奪えずという状況が続くも動じる事無く、マイボールの際には全力で仕掛け。
こちらも日高が前方に上がっての3バック気味への可変から、逆サイドの高橋壱が偽サイドバックの動きで好機に絡むという具合にシステマティックな攻めを披露。
しかし好機はドゥドゥが控えている左サイドからが圧倒的に多く、13分にはそのドゥドゥのパスを受けた日高がボックス左角を取り、出した横パスを受けた小森が反転しながらシュート。(GK櫛引セーブ)

群馬が数多パスを繋いでやっと前進出来るのに対し、個人技で上回る千葉はそれより少ないタッチで、かつ多くのフィニッシュを創出するという展開に。
それでも群馬の組織的守備により、アタッキングサードでは千葉も崩しに頭を使わなければならない状況となります。
25分、ワイドで受けたドゥドゥの横パスはズレてしまうも、そのまま逆サイドへと流れて田中が繋ぎ。
そして中央から風間宏矢がミドルシュートを放ち、これを彼の兄・風間宏希がブロックで防ぐという具合に兄弟間でぶつかり合い。
そのこぼれ球を拾った中塩の腕に当たったとして、ハンド並びにPKをアピールした千葉でしたが実る事は無く。

ここから千葉の意識は、ブロックの外からのフィニッシュ、つまりミドルシュートに振れていったでしょうか。
28分にドゥドゥがエリア手前でカットインからシュート(枠外)、続く29分にもこぼれ球を拾った高橋壱が前進からそのままミドルシュート。(GK櫛引セーブ)
パンチの利いたボールで、ある程度はゴールを脅かせていたものの、同時に崩しきれない事をアピールするようでもあり。

一方の群馬は、千葉のプレッシングを掻い潜り、川本がドリブルする局面を作り上げて何とか好機が生まれるという感じに。
15分にはゴールキックから、長短交えて11本パスを繋ぎ中盤中央で川本がフリーで持つ局面を作りましたが、その川本がドリブルの最中転倒してしまいボールロスト。
28分には右サイドで佐藤がスルーパス、手前でカットに入られるもこぼれ球をフリーで拾った川本、そのままカットインでポケットへ切り込み。
しかしクロスがブロックされると、千葉のカウンターとなり前述のドゥドゥのシュートにまで繋げられ。
苦労してチャンスを作っても、防がれてひっくり返されるという辛さを強いられます。
この辺りは、いかに大槻毅監督による洗練されたサッカーとはいえ、それは個人能力の不足による苦肉の策・辛抱の賜物という印象を強く残し。

高い組織力を発揮しても、相手(の組織+個の力)を上回れない群馬。
徐々にその影響を受け、圧され続ける事となり。
33分、中盤でのフリーキックで素早くリスタートする千葉、群馬の守備が整う前に好機を作らんとします。
早い前進を経て風間宏矢のミドルシュートが炸裂しますが、ゴールバーを直撃して先制ならず。
35分に再び風間宏矢に好機が訪れ、今度は左サイド奥を取ったドゥドゥがクロスを上げ、跳ね返りを高橋壱がダイレクトでシュート性のクロス。
このグラウンダーのボールに中央で合わせ、コースを変えるようなシュートを放った風間宏矢でしたが、浮き球となってまたもゴールバーを叩き。
この日は兄弟対決という要素も絡み、何時にも増してゴールを狙っていたような風間宏矢でしたが、徹底的に枠に嫌われてしまいました。

その後も積極的にフィニッシュに繋げていく千葉の面々。
37分には小森が、43分にはドゥドゥがミドルシュートを放つも決められず。(前者は枠外、後者はGK櫛引がキャッチ)
それに対し群馬は、ゴールキックを城和が蹴るなどして様々に最後方で揺さぶりを掛けんとしますが実る事は無く。
結局フィニッシュは最初のCKからの1本に終わってしまった前半。

最後方でのビルドアップも徐々に対応されていたようで、千葉は果敢にプレッシングを掛けるも、次第にSBのプレッシャーは抑え気味に。
32分には見木が岡本に詰めにいって左サイドでボール奪取という具合に、後方に選手を残しながら嵌める事を目指していた節があり。

そんな中、44分逆に群馬が前線右サイドでパスカットに成功し、佐藤がカットインからエリア内へパス。
しかし平松にはズレれてしまい結局撃てずと、最後の精度という問題が付きまとうのはやはり個の力の不足と言うべきか。

結局前半はスコアレスで折り返し。
シュート数は1対15と大差が付いたので、群馬にとっては無失点で良かったという展開でしょうか。

迎えた後半戦。
圧され気味の前半だった群馬は、振り回されたが故の体力との勝負という難題も抱え。
色濃く表れたのが順延となった32節・藤枝戦(1-5)で、短く繋ぐ群馬に対し、相手のビルドアップは長い距離のパスを中心にする事が多く。
それ故にプレッシングで走り回されて終盤に崩れたというのがその試合で、この日の千葉の前半の立ち回りも例外ではありませんでしたが、それを念頭に入れてかハイプレスは控えめだった前半の群馬。
そうなる前にリードを奪うか、逆に相手に攻め疲れを起こさせたい後半戦。

最初の好機は後半4分で、ハイボールの争いを経て確保した群馬、天笠の裏へのロングパスを左サイドで平松が収めて好機を迎え。
カットインでポケットに入り奥へと短いスルーパス、そして川本が走り込んでシュートを放ちましたが、角度が足りずGK鈴木椋のセーブに阻まれます。

それでも千葉の優勢は変わらず、7分に見木が田口とのワンツーで切り込みエリア内へラストパス。
見木とともに前進していた田口が最後合わせてシュート(ブロック)と、中央を通される事も目立ち。
劣勢を受けた群馬、早めにベンチが動き10分に杉本・佐藤→山中・北川へと2枚替えを敢行します。

その後も日高のミドルシュートが炸裂(11分・GK櫛引セーブ)するなど依然として失点の危機が付き纏いますが、それでも後方ではやる事は変わらず。
あくまで距離感の近いビルドアップで、千葉のハイプレスの間を通して前進を図る姿勢を貫きます。
特に中塩はこの間を通すパスに自信を持っていたようで、15分には敵陣深めでのスローインから戻して作り直しという場面で、迫る千葉のハイプレスを風間宏矢・田中の間を通していなし。
そして右サイドからの攻めに繋ぎ、北川の黒の跳ね返りを風間宏希がミドルシュート。(枠外)
こうした姿勢に千葉もプレスをかわされ始め、16分には左サイドでの平松のドリブルに対し鈴木大が引っ張る格好で倒してしまい反則・警告。

そして17分ここも最後方で中塩から、今度は距離の長い縦パスで間を通して川本に渡り、そのままドリブルでエリア内に切り込む川本。
放ったシュートはブロックされるも、跳ね返りを拾った岡本から再度エリア内で持つ状況となった川本、今度は相手のディフェンスを剥がしながら右へと流れてのシュート。
これも付いていった鈴木大にブロックされますが、拾った北川のシュート(佐々木がブロック)と尚も追撃してCKに繋がります。
この左CKから、キッカー風間宏希はニアにクロス→フリックを選択し、こぼれた所を中塩がすかさずシュート。
威力重視で蹴り込まれたボールがゴール上部に突き刺さり、待望の先制点を挙げた群馬。
金曜に甲府が勝利したため、既にPOへの望みは潰えた状況でしたが、大観衆の前で気持ちを切らさず結果に繋げました。

一方、負ければ7位と勝ち点で並んだ状態での最終節となってしまう千葉。
とにかく得点が欲しい状況となり、それは一層守備を固めにかかる群馬に対して難しくなるのは必然に。
21分にベンチが動き、ドゥドゥ・風間宏矢→椿・福満へと2枚替え。
ドゥドゥの加入で存在感が軽くなっていた感じの椿ですが、ここに来てジョーカーとして起用されます。(前節に久々のベンチ入りから途中出場)

その椿の左サイドでの仕掛けを中心として、何とか打開を図る千葉。
それでもフィニッシュに辿り着けないでいると、25分には再び群馬のビルドアップに対し、ハイプレスにいくも阻めず前進を許し。
CKに持ち込まれ、ここではシュートを許さなかったものの、こうしてセットプレーを与えて時間を使われる事がビハインドの状況では嫌な事の一つであり。
27分には山中のボールキープを、先程の鈴木大の反則と似た位置で高橋壱が倒してしまい反則。
ここでもFKを与えてしまい、守備を強いられるという具合に反撃の機運を高められません。

そんな状態でも、椿からの攻めを貫く千葉。
次第にその椿も、縦突破中心からカットインシュート・ポケットへの切り込みなど多種の選択肢を採り始めます。
そして32分、椿・日高の2人で左ワイド奥を窺う姿勢から、一転して福満が見木とのワンツーで左ポケットを突き。
奥からのグラウンダーのクロスをファーサイドで田中が合わせシュート、意識を右(千葉から見て左)にやっていたGK櫛引が何とか身体でセーブするも、こぼれ球を抑える余裕は無く田中がすかさず詰め。
ゴールネットを揺らし、歓喜の同点弾を挙げて振り出しに戻します。

尚も逆転を狙わんと、34分に呉屋を投入する千葉。(小森と交代、同時に田中→西堂へと交代)
一方の群馬も同じタイミングで、平松→武へと交代。

群馬は追い付かれてもそのスタイルは普遍であり、中塩の間を突くパスは相変わらず冴え渡り。
しかし終盤を迎え、千葉にとっての椿のような、威力ある推進が欲しい時間帯でその駒が不在という苦しさが顔を出し。
折角サイドから崩す展開を作っても、戻して作り直しを強いられるなど不発に終わります。

その椿は尚も脅威を与え続け、36分には福満のスルーパスを受けて左ポケットへ切り込んだのち、マイナスのカットインを経て中央からミドルシュート(城和がブロック)とフィニッシュにも積極的となり。

耐えるか、無理に勝ち越しを狙うかという選択を強いられる群馬。
大槻監督が選んだのは前者のようで、どちらにも使える駒の畑尾を本来のセンターバックとして起用する事を選びました。
41分に中塩と交代で出場し、同時に風間宏希→内田へ交代と2枚替え。
これにより畑尾が中央を務める3-4-2-1へとシフトしたようでしたが、その布陣変更の乱れを突かれてしまったでしょうか。

42分、千葉はゴールキックから短く繋ぐと、ハイプレス・リトリートの狭間で中途半端になった群馬を尻目に左から素早く運び。
そして椿が推進する状況に再度持ち込むと、今度は福満とのワンツーでポケットを突いた椿、奥から浮き球でマイナスのクロス。
これを中央で田口がワントラップからシュートを放った結果、ブロックに入った酒井の腕に当たりハンドの反則に。
PKに加えて決定機阻止で酒井に警告と、とうとう破綻となってしまった群馬。
キッカーは呉屋が意気揚々と務め、臆する事無く左へ蹴り込み、GKの逆を突いてネットに突き刺します。
劇的な勝ち越し点に、アウェイゴール裏前に総出となる千葉メンバー。

既に時間は44分と、アディショナルタイム目前に。
群馬が畑尾を前に上げてパワープレイを敢行してくるのを予想し、千葉は日高→メンデスへと交代(佐々木が左SBに)し先んじて防ぐ采配を見せる小林慶行監督。

その通りに畑尾がFWへ回り、4-4-2へ戻して残り時間に賭ける群馬。(武が左サイドハーフ、山中が左SBに回る)
その畑尾がロングボールに合わせにいき、落とされたボールを何とか好機に繋げんとします。
その最中に、畑尾と競り合った田口が肘打ちを喰らったとして、主審に対し猛烈に異議を唱える一幕も生まれ。
絶対に負けられないという感情のぶつかり合いに、状況を忘れる程のヒートアップぶりとなりましたが破綻には至らず。

千葉のゴールキックを回収し、中盤から攻撃スタートとなった群馬ですが、やはりここでも畑尾狙いのミドルパス。
その跳ね返りを北川が拾った事で、サイドからのクロス攻勢に入ったものの繋がらず。
それでもクロスを繰り返し、4度目のそれは北川が奥に切り込んで上がったものでしたが、アウトスイングなため無情にも手前でラインを割って実りませんでした。

そして鳴らされる試合終了のホイッスル。
千葉が2-1で勝利を挙げ、甲府・山形と勝ち点差3を保ち。
同時に、最終節がその甲府と山形の潰し合いになるため、この時点で6位以上が確定する運びとなりました。
2017年以来のPO出場が決定し、これで4度目の出場。
そのうち2度が決定戦で涙を飲む(2012・2014年)という経歴を歩んでいるだけに、今度こそ……の意気込みは誰もが持っている事でしょう。

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