※前回の甲府の記事はこちら(34節・大分戦、3-2)
※前回の長崎の記事はこちら(31節・栃木戦、1-2)
<甲府スタメン> ※()内は前節のスタメン
- クリスティアーノは長崎からのレンタル選手なため出場不可。
- GKマイケル・ウッドがニュージーランド代表に選出。帯同期間は10/18までで試合とは被らなかったが、帰還して2日後という事を考慮してかこの日はベンチ外。
<長崎スタメン>
- 奥井の負傷が発表され、9/20に手術実施して全治3ヶ月との事。
- 33節(大分戦、2-2)で負傷?交代した秋野は、以降ベンチ外が続く。
- 36節(町田戦、0-6)で負傷交代した岡野は(以下同文)
プレーオフ圏の丁度境目に当たる、6位と7位の直接対決というカード。
しかし甲府は、翌週にACL第3節が控える日程なので全集中する訳にはいかず。(そんな状況故に、クリスティアーノが契約上出場出来ないのは却って良かったかも)
一方の長崎も、6位をキープしている割には安定感に乏しく。
それ故に、「このまま一気に昇格」というムードが今一つ高まっていない風に見えてしまうのは気のせいか。(それをカバーするように、マスコット・ヴィヴィくんが絡んでのイベントはディナーショー・ホテルルームとのコラボなど凄まじいものがありますが)
山形戦(27節・1-5)・町田戦のような、時折衝撃的な大敗を演じてしまうのもそれに拍車を掛け。(退場絡みでの敗戦が目立つのも印象悪し)
フォーメーション的には色々微調整があったようで、スタメン復帰した鍬先の下、何とか落ち着きを取り戻したといえる星取表でしょうか。
その鍬先をアンカーにして、中村慶をウイング(右)に配置したというのが前節。(藤枝戦、5-1)
町田戦での一発レッドを受けてか、負担のかかる中央での起用は避けた格好に映り、微調整の総決算のような起用でしょうか。
前半3分に長崎の左スローインから、最終ラインに戻してプレッシャーを引き込んだのち、ロングパス→米田落としを拾ったのはフアンマ。
そしてドリブルで奥を突いてマイナスのクロスを入れるという具合に、ターゲットとクロッサーが逆転したような攻撃を見せると、ニアでの米田のスルーを経て中村慶がシュート。(ゴール上へ外れる)
フアンマへのロングボールだけでは無い、というような流動性からフィニッシュに繋げた事で、以降その流動性がテーマとなります。
WG(あるいは4-1-4-1のサイドハーフ)との事だった中村慶ですが、インサイドハーフのカイオの稼働範囲に伴い、中央に絞ってのプレーの方が圧倒的に目立ち。
特に守備時は、フアンマ・中村慶の2トップで、カイオが右SHに位置取った4-4-2の布陣となる事が多かったこの日の長崎。
システム上で語れるのはこのぐらいですが、逆サイドでもギリェルメやジェズスが入れ替わったりと、全方位で流動的なポジションとなっている風でした。
助っ人の目立つ布陣だけに、ある程度自由にやらせた方が力を発揮するという思惑からでしょうか。
5分に決定機を迎える長崎、再びの左スローインからの戻しを経て今度は右へ展開し、増山が奥を突いてクロス。
そして米田が跳び込んでヘディングシュート(GK渋谷セーブ)と、フアンマに代わるように高い位置でターゲット役をこなす米田の存在もあり、立ち上がりは優位に試合を進めます。
しかしその時間を凌ぎ、落ち着きを取り戻した甲府の立ち回り。
16分に最終ラインでプレッシングを引き込んでのロングパス、セカンドボールを拾った長谷川のドリブルに対し中村慶がチャージしてしまい反則。
ここでは出なかったものの、懸念材料である長崎のカードの多さが露呈されかかる格好となり。
続く18分にも、カイオを前に釣り出す最終ラインでのパスワークから好機を作る甲府。(飯島スルーパス→小林走り込んでクロスもクリア)
以降も変則的な守備時の隊形を突かれるように、サイドから押し込まれて何度も奥を取られる状況となる長崎。
そんな流れで前半も半分を過ぎ、長崎はプレッシングを諦めて自陣で構える守備体制に。
4-5-1で守備を固めると、甲府も容易にボールを運べなくなり苦戦の色を見せ始めます。
29分に甲府のパスミスを突き、拾ったジェズスが自陣からドリブルで駆け上がり。
そしてパスを受けたギリェルメもドリブルに入り、そのまま左ポケットに進入して奥からシュート。(GK渋谷セーブ)
カウンター気味に、助っ人パワーを活かしての攻撃で脅威を与えます。
それが効いたか、33分の好機でついに試合を動かし。
ここもジェズス・ギリェルメのホットラインを作り、左サイドからジェズスのポケットへのスルーパスに走り込んだのは米田。
虚を突かれた甲府サイド、井上がスライディングで阻止しにいったものの、これが米田に入ってしまい倒れた事で反則の笛が鳴りPKに。
足裏は向けておらずカードこそ出なかったのが幸いでしたが、それを良しとせず抗議する井上ならびに甲府サイド。
しかし当然判定は覆らず、キッカーの位置には中村慶。
ゴール左隅に蹴り込み、GK渋谷も届かずしっかりとゲットします。
ビハインドの甲府が反撃せんと焦るのを受け、以降もマンパワーで脅かす長崎。
38分に今津の反則気味のボール奪取から、再びギリェルメとジェズスがパスワークで前進していき、スルーパスにギリェルメが走り込んだ事で(クリアされ)コーナーキックに持ち込み。
キッカー中村慶のクロスを今津が合わせるも、ゴール右へと外れ。
43分には得意手であるフアンマへのロングパス、しかしここは裏狙いで、一気にエリア内へ走り込んだフアンマがそのままシュート。(GK渋谷キャッチ)
攻守ともに力量の差で負けている格好のような甲府。
アディショナルタイムに左サイドからのフリーキックで一矢を放った(クロスの跳ね返りを長谷川がシュート、GK波多野キャッチ)ものの、結局有効打を放てないまま前半を終えます。
それ故にハーフタイムで動き、松田・宮崎→関口・鳥海へと2枚替えを敢行した篠田善之監督。
その通り流れを変える一手か、ないしはACLも見据えての采配か。
交代で入った鳥海ですが、後半1分にいきなり中村慶のドリブルを反則で止めた事で警告を受けてしまいミソが付き。
その後6分に鍬先に対して再び反則を犯した鳥海、これに中村亮の方が異議で警告を貰う事態となり。
前半のPKシーンを引きずるように、判定絡みでのフラストレーションは最高潮といった甲府サイド。
しかし長崎もそれに合わせてしまったのが拙かったか。
ファビオ・カリーレ監督が試合前インタビューで「主審が若い方(高崎航地氏)なので、そのレフェリングに期待したい(要約)」という具合に、判定面での不安に触れていた事もあり、そんなシーンを見てこちらもそういった面が噴出してしまったでしょうか。
2分に裏へのロングボールに走り込んだフアンマ、蓮川に足を踏まれたというような格好で倒れるも、反則の笛はならず。
すると倒れたまま激しく異議を唱えるフアンマ、負傷は無かったものの長らく倒れ続けた事で試合も止められ。
その姿は駄々っ子のようにも見えたものの、踏まれた事でスパイクの紐が切れたという物証?もあり、交換する運びとなります。
試合以外での時間が長くなると、7分に今度は判定以外でのアクシデント、即ち故障が生まれる事態となり。
これまたスルーパスに走り込んだ中村慶でしたが、その瞬間に筋肉系トラブルが発生したらしく倒れ込んでしまい続行不可能に。
すかさず交代措置を採る長崎、同ポジションで名倉を投入します。
こうした事象もあり、前半同様流れを掴めずにいた甲府。
しかし長崎のリトリートの姿勢もあり、センターバックの持ち運びなど徐々に甲府らしい攻撃が見られるようになり。
そして11分、ここも蓮川のドリブルから左サイドを前進していき、小林の低いクロスが中央で鳥海に収まる好機に。
放たれた鳥海のシュートを今津がブロックするも、これが開いていた左腕に当たった事でハンドを取られて反則・PKとなります。
決定機阻止(+PK割引?)で今津に警告も突き出され、逆に判定に後押しされる格好となった甲府。
そしてキッカー三平がゴール右へとシュートし、しっかりGKの逆を突いてネットを揺らします。
お互いPKでのゴールゲットとなり、試合は振出しに。
これで暗雲を振り払ったかのように、以降も左サイドで跳梁を見せ押し込む甲府。
長谷川と小林の関係性は抜群で、それに引き摺られるように中村亮も高い位置でボールに絡むなど人数を掛けて攻め上がり。
長崎は4-5-1のリトリートでも、カイオと中村慶(名倉)のどちらが右ワイドを担当するのか曖昧な面が(前半から)見られており、こちらでは流動性が仇となっていたでしょうか。
何とか甲府の攻めを切っても、素早いトランジションに難儀し好機に持ち込めず、攻撃機会の面では一方的な展開に。
その中で21分に名倉のボール奪取から、甲府の寄せを際どくいなして前に運ぶ場面をついに作り。
名倉がドリブルで敵陣に運んだ所に、戻った中村亮が激しいショルダーチャージで倒した所、反則を告げる笛が鳴り。
「ショルダーだからノーファール」と「ほぼフリーのドリブルを反則で止めたのだから警告」という両サイドの思惑により、どちらにも不満が残る判定が生まれる事となりました。
どちらにせよ、既に警告を貰っていた中村亮にとっては命拾いの格好に。
攻勢をモノにしたい甲府は、24分に今津の(三平への)反則により、中央やや手前からの直接フリーキック。
これをキッカー長谷川が直接シュート、壁に当たって右に跳ね返った所を関口がダイレクトでクロスを送ると、ファーで蓮川がボレーで合わせシュート。
鍬先のブロックに当たり、尚もゴール上へ向かったボールをGK波多野がセーブと、際どい好機がセットプレーから生まれます。
その後の右CKからも、ショートコーナーを経ての松本凪のクロスに、中央で跳んだ三平を越えた所を中村亮が合わせましたがゴール右へと外れ。
劣勢が続く長崎は、27分にカイオ→松澤へと交代。
左WGに入り、ギリェルメが右へ移るとともに、名倉がインサイドハーフへ固定。
功罪双方を齎していたカイオの流動性を改める采配となったでしょうか。
30分にフアンマ狙いのロングフィードから、落としを拾った松澤が左サイドを疾走。
カットインを経てポケット奥からクロス(ブロックされCKに)という具合に、早速威力を発揮しにいく松澤。
しかし流動性という面では格段に迫力が落ち、守備に奔走していたジェズス・ギリェルメもその後今一つなパフォーマンスに終始します。
一方甲府ベンチが次に動いたのは37分で飯島→内藤。
これがプロ初出場となった内藤、直後にパスを出した所(今津の)アフターチャージを受けて反則となりチャンスメイク。
中央ながら先程よりも距離のあるFKでしたが、松本凪が直接シュート。
遠目故に壁の作りも曖昧な長崎でしたが、フアンマが一枚ブロックの形で防ぎます。
41分に長崎陣内で奪い合いとなり、内藤のボール奪取から甲府の好機となるなど、トランジションの面では依然優位な甲府。
しかしクロスを抑えたGK波多野からカウンターを展開し、またも松澤がドリブルで左ポケット奥を取ってクロスを送る(合わず)など、終盤を迎えて甲府サイドの隙も大きくなり。
直後の42分に双方ベンチが動き、甲府は三平→ジェトゥリオ、長崎はギリェルメ→高橋へと交代。(増山が右WGに回る)
そしてATに突入し、甲府の攻撃が切れると、間延びした隙を突かれる場面が膨らみます。
櫛引縦パス→フアンマポストプレイ→増山ドリブルとカウンターをついに形にする長崎、そのまま右ポケットに進入してシュートした増山。
しかしブロックに当たり、跳ね返りが増山に当たる形でゴールラインを割り。
これによりCKと勘違いしてしまったフアンマが激しく異議を唱え、警告を受ける事態となります。
放送席によるとこれが今季11枚目という事で、最終盤を迎え(出場停止という)余計な爆弾を抱える破目となり。(ちなみにカイオや鍬先も7枚でリーチ)
甲府は最後の交代を敢行する(松本凪→品田)も、既に運気が残っていないかのように長崎の好機は続き。
そして右サイド深めから、櫛引ロングパス→名倉収めて戻す→増山裏へロングパスと、先程と似た流れを経てフアンマが抜け出す絶好機を迎えます。
そして右ポケット奥で切り返すと、シュートでは無くパスを選択し、走り込んだ松澤が中央からシュート。
しかしGK渋谷のセーブに阻まれ、土壇場での勝ち越しはなりませんでした。
結局1-1のまま試合終了となり、勝ち点1を分け合った6位と7位のチーム。
8位(山形)以下の接近を許す事となり、ますます混迷を極めそうなPO圏。
しかも甲府はACLによる中国遠征が挟まれるため、追い掛ける前に凌ぎを考えなければならない状況ですが、無事に乗り切れるでしょうか。
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