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DAZN観戦 2023年J3リーグ第4節 松本山雅FCvsテゲバジャーロ宮崎

2023-03-30 16:01:00 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

J3に参入以降、そのサッカーで注目を集める存在となっている宮崎。
しかし今季は、前年までの攻撃的スタイルを改めるかのような選択を採り、守備構築に定評のある松田浩氏を新監督に選びました。

近年のJリーグでは個の力で負けない同数守備と、それに伴うマンツーマンの色が強まっているディフェンス事情。
プレッシングの重要性が高まっている事もそれに拍車を掛けているようですが、一方でその意識の強いチーム程、脇に置かれた感のあるゾーンディフェンス。
そんな傾向に待ったを掛けると言わんばかりに、2021年途中に突如トップチームの監督へと復帰した松田氏。(当時は長崎監督に就任)
前年も死に体のガンバを見事J1に残留させる大仕事をこなし、新たな戦いの場はJ3。
監督業復帰以降、途中就任では成果を挙げているものの、果たしてシーズン頭からのチーム構築で結果を出す事が出来るか。

という訳で、前年とは真逆と言ってもいいスタイルを中心に戦う宮崎。
しかし相手の松本も今季は、オフに監督交代を挟み、霜田正浩氏の下ボールポゼッション+ハイプレスのサッカーに取り組んでいるとの事で。
宮崎とは逆に、守備的→攻撃的へのスタイルチェンジをしているようであり、そうした最中同士のぶつかり合いとなりました。

キックオフから展開されるロングボールの蹴り合いの最中、コンパクトにディフェンスを固める宮崎。
しかしそうした姿勢が反則も生んでしまい、そこから松本がフリーキックから放り込みを何度か行うといった立ち上がりとなりました。

そんな時間が過ぎ去り、いよいよ宮崎の4-4-2ブロックによるゾーンディフェンスが冴え渡る……と思いきや、中々苦しいシーンが目立ちます。
前半11分、松本の最終ラインからのビルドアップに対しハイプレスを選択しましたが、それをいなされた末に菊井にスルーパスを裏へ送られ。
滝が走り込む所を、GK清水が前に出てクリアして何とか凌ぎましたが、不安ぶりを醸し出します。

その後もブロック構築が今一つ。
その要因として左サイドハーフに入るベテラン・石津の存在で、ここ数年不本意なシーズンを過ごした末に、宮崎に拾われる格好となって加入したアタッカー気質旺盛な選手。
先程のプレッシングに出たシーン然り、他のMFに比べて高目の位置を取る事が多く、その姿はカタールW杯でのフランス・エムバペ(ムバッペ)の前残りのようでもあり。(逆に他の前線5人が前に出た際は逆に下がり目になるという事もあった)
また攻撃でも、左に張るのではなく中央~右へと張り出して攻めに絡むシーンが目立ち、当然その分ブロックに加わるのも遅れ。
フィールドの11人全員が同じイメージを共有しなければ難しいサッカーで、こういった選手が居るのでは厳しくもなるのも当然、といった所でしょうか。

果たして、松本のパスワークに対して苦しさを見せる宮崎。
反則スレスレのディフェンスで何とか止めるといったシーンを量産させ、それが松本のホーム・サンプロアルウィンスタジアムの大観衆にフラストレーションを与えるに至り。
22分には再び松本の最終ラインでの繋ぎから、下川のロングパスで裏を突かれると、小松の落としに対し跳び出したGK清水。
両者交錯して倒れ込んでしまう事となり、エリア内に落とされたボールは繋がらずと、そのスタンドの苛立ちがピッチ上にも現れるような終わり方となりました。(小松・清水両者とも無事に立ち上がり)

完成度が不十分な宮崎のスタイルを受け、松本がどう崩していくかという前半戦。
圧され気味の内容を受け、石津も自重を見せる事で次第にブロック意識を強めていく宮崎。
それに対する松本の手段は、リトリートに徹する相手を楔のパスで崩しにかかるか、あるいは一旦戻して相手のプレッシングを呼び込むかの二択といった感じに。
手っ取り早いのが、ロングパスで裏を突ける分後者での攻撃といった所でしょうか。
30分にもGKビクトルへと戻して宮崎のプレッシングを呼び、ここは長いボールを使う事無く右サイドでのパスワークでかわしたのちに藤谷がドリブル。
そしてエリア手前でパスを受けた鈴木が、中央やや左からミドルシュートを狙いましたが枠を捉えられず。

さらに時間が進むと、宮崎のリトリートに対し松本は全員(GK以外)敵陣に入ってのパスワークで崩しにかかるシーンが膨らみ始めます。
広範囲に顔を出しパスを引き出す菊井を軸に、その守備網の攻略を試みる松本。
しかしソリッドな宮崎ディフェンスの術中にハマるといった感じで、そこからは中々崩す事が出来ず、逆襲を浴びる事もあり。
出来ればもうワンテンポ速い、ブロックが整う前でのタイミングで崩しのパスを送りたい所。

敵陣での崩しが駄目ならばという具合に、トランジションの直後を狙うシーンも目立った最終盤の松本。
しかしこうなると相手に隙を与えるという事でもあり。
アディショナルタイムこそ、下川がボールカットから早いタイミングでクロスを送り、ファーサイドで収めた鈴木がシュート(ブロック)と好機を作り。
一方で45分には宮崎がボールの奪い合いを制して前線でスローインを獲得、素早いリスタートから右サイドで下澤がクロス、これを橋本がヘディングシュート(GKビクトルキャッチ)とピンチも招きます。
結局前半でスコアが動く事は無く。
松本は全体的に攻撃権を握るも、時間が進むにつれて宮崎の網に難色を示すといった感じで終えました。

完全ホームと言わんばかりの、大声援を背にして後半に挑む松本。(ともにハーフタイムでは交代無し)
後半の入りに攻勢を掛け、前半の時と同様、反則を受けてのFKによる放り込みも交えて攻め上がります。

落ち着きをチームに注入したい宮崎、前年までのスタイルであるボールポゼッションを交えて何とか松本の圧をかわさんとし。
しかし松本のプレッシングも鋭さを増し、何とか相手に当ててのスローインに逃げるのが精一杯というシーンを量産させてしまい。
その宮崎の自陣からのスローインも、直接カットして好機に持ち込むなど、ホームという地の利を活かすように敵陣でサッカーを展開する松本。

そして10分に絶好機を迎え、自陣からの繋ぎを経て左サイド・センターライン付近から喜山が斜めの縦パス。
これを鈴木のスルーを経て中央に渡ると、小松はダイレクトで前へ送る事を選択、エリア内へ送られた浮き球に先程スルーした鈴木が抜け出して収め。
まさに前述のワンテンポ早い仕掛けが見られた格好となりましたが、放たれた鈴木のシュートは(GK清水が視界に入った事もあり)浮いてしまいゴール上へと外れて逃す事となりました。

守備を固める宮崎も、前半の終わり際とは違って守備を強いられるといった感があり。
そうした流れを経てベンチが動いたのが16分で、石津・橋本→高橋・南野へと2枚替え。
恐らくは前年の岡田(北九州へ移籍)の役どころを期待されたであろう石津ですが、まずはチームのスタイルを身に付け、その上でストロングポイントを還元させる方法を確立させたい所。
一方松本ベンチも同時に、滝→村越へと交代します。

共に同時に交代し、新たな局面を迎える……という事は無く。
スコアは突然動き20分、下川がロングパスで宮崎最終ラインの裏を突くと、これが絶妙な眞鍋の後方直ぐの所で小松の足下に収まるボールとなり。
眞鍋に当たりこぼれ、大熊もクリア出来ずに流れたボールを菊井が拾い、すかさずエリア内右を突いてシュート。
GK清水の股を抜いてネットを揺らし、先制点を挙げた松本。
宮崎ディフェンスの小さなミスが重なっての事でしたが、流石にこれだけ攻められては単調な攻めも通り易くなる、といった格好だったでしょうか。

ビハインドとなった事で、前掛かりな姿勢を入れなければいけなくなった宮崎。
つまりはプレッシング意識を高め、攻め込んだのちの即時奪回も目指さなければ同点は望めない状況ですが、同時にカウンターによる追加点の危惧も高まる諸刃の剣。
22分に早速その松本が裏へのロングパス一本で、走り込んだ藤谷が右からクロス、鈴木がボレーシュートと脅かしを見せ。(枠外)

そんな後方の危惧を抱えながら同点を目指す宮崎。
23分には一旦攻撃が途切れるも高橋がボール奪取に成功、下澤がエリア内へスルーパスを通し、南野のクロスが防がれてコーナーキックと即時奪回からの好機。
ここからCKを2本続けるも、2本目でのクロスがGKビクトルに掻き出されると松本のカウンターが発動、しかしここは村越のスルーパスがズレてスピードダウンし命拾いします。

こうした流れの中、松本サイドは勝負が早くなっているのが気掛かりとなり。
25分にはGK清水のフィードを藤谷がカットし、拾った住田がワンツーを経て遠目からシュートを放つも、GK清水が正面でセーブ。
ボール保持のスタイルをこういった局面で使えなければ、それだけ相手に攻撃を許すという事であり。
前回の記事(水戸vs甲府)で述べたような、水戸の状況と類似した格好となり、そしてそれがスコアに繋がってしまいます。

27分に再度交代カードが切られ、しかも再び両チーム同時の交代となり。
宮崎は永田・青戸→山崎・小川へと2枚替えし、高橋がFWに回ってSHは右が小川・左が山崎に。
松本は鈴木・下川→榎本・山本へとこちらも2枚替え。

「忍び寄る危機」に気付く事が無いかのように、以降もシュートを重ねていく松本。
交代後の4分間で3本シュートを放ち、GK清水も2度セーブと宮崎ゴールを脅かし。
そして31分の村越のペナルティアークからのシュートが防がれると、宮崎が最終ラインからパスワークで組み立てつつ前進。
右サイドで繋いだのちに中央→左へと素早く運ぶと、密集を解くのが遅れる松本ディフェンスに対しフリーで受けた山崎が切り込み、エリア脇からグラウンダーでのクロスを許した末に南野が合わせシュート。
ゴールゲットし同点に追い付いた宮崎、ゾーンディフェンスの重要性をあろう事か自身の攻撃で相手に示す事となりました。

同点となったのも束の間、直ぐさま松本は喜山が(小川に)反則を受け、再びFK(左サイド遠目)からの放り込み。
これを小松がヘディングシュート、GK清水が辛うじてセーブして尚も右CKと続き、ここでも山本がクロスの跳ね返りをミドルシュート。
しかしコース上に居た小松に当たるという不運で防がれ。

ホームの雰囲気に押されて再びリードを目指さんとしますが、36分に宮崎はGK清水のロングフィード一本で、左ポケットを南野が付くという好機。
そこからパスワークを交えて仕掛ける宮崎、シュートには辿り着けずも、今度は松本が前掛かりのベクトルを突かれる危惧を抱えなければいけなくなったでしょうか。
それでも勝負を賭けなければいけない松本、37分に小松→田中想来へと交代。(以降菊井がトップ下に回り、榎本が左SHに)

一方ここまでチーム得点の全てを挙げている南野(2点)が、この後も果敢にゴールを狙いにいく宮崎。
40分にはCKのこぼれ球を繋ぎ、一度は奪われるも自らボールカットした南野、そのままミドルシュートを放ち。(GKビクトルセーブ)

終盤を迎えて嫌な雰囲気となってきた松本、それを示すかのようにカードも飛び交う流れに。
43分に空中戦で榎本が青山にチャージを受けた事で反則・青山に警告となると、その後のFKでの攻撃でも一悶着。
ゴールライン外へとこぼれ、ゴールキックの判定が下されると菊井が激しく異議を示し、すかさず黄色いカードを喰らってしまう事となり。

そのままATへと突入し、直後にパスワークでエリア内を突くも、住田が小川に倒されて途切れ反則無しに終わった松本。
不穏な空気は最高潮といった感じになると、松本が押される流れへと突入します。
そしてエリア内で好機に絡む南野、大熊のクロスをファーサイドに走り込んでシュートを放つも、右サイドネット外側に終わり。
その後CKでも、クリアされたボールを良い位置で拾う南野、戻しを経て小川のミドルシュートに繋げ。(GKビクトルセーブ)
しかし勝ち越し点にはもう一歩届かなかった宮崎。
結局1-1のまま試合終了となり、両者勝ち点1を分け合う事となりました。

大声援を受けながらも勝利出来なかった松本。
判定にも悩まされる内容となりましたが、年々地位が上がりつつあるJ3リーグのなか、自身の価値も上げられなければ再度のJ2昇格は夢のまた夢に終わり。
そんな思いからかサッカースタイル変換に臨んだシーズンなのでしょうが、果たしてその行方はどうなるか。


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DAZN観戦 2023年J3リーグ第3節 FC今治vsFC琉球

2023-03-24 17:02:27 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • コイントスでコートチェンジ。

数多J2から降格してきたクラブの受け皿となっているJ3。
そのJ3自身も、今季から始まった(正確には再開された)JFLへの降格制度という恐怖の門が開き。

前年に降格が決まってしまい、再びJ3に舞い戻る格好となった琉球もその立場は同じ。
前年のJ3リーグは、降格組の相模原が最下位に沈むという衝撃的?な結末もあり、どのクラブが突き落とされてもおかしくない状況です。
そして1年でJ2へ復帰する事は至難の業(過去の成功例は大分の1クラブのみ)という、まさに新たなる魔境と化しつつあるリーグ。

そのネガティブぶりをあまり感じさせないのが、この日の相手である今治と、そのホームである今治里山スタジアム。
前年リーグ戦を戦っている間にも着工が進められ、この度完成・開場。
現在はまだJ3規模の集客力(最大5316人)しか無いものの、今後拡張を目指すという、まさにJ参入して間も無い昇り調子の今治の形を示している風でもあり。
しかしその今治の足下にも平等に襲い掛かる、降格への恐怖。
果たしてそれを振り払い、J2昇格に到達する日は来るかどうか。

試合が始まると、中々ボールが落ち着かないなか、お互いがゴールを目指す入りに。
琉球は前半3分、1トップの野田が中央からドリブルの後にミドルシュートを放つと、これがゴール左へ際どく外れる惜しいフィニッシュ。
一方の今治は、右からのスローインを軸として攻め上がり。
4分に山田のクロスが上がると、ヴィニシウスがバイシクルでシュートを狙いにいきましたが、手前でクリアされて撃てず。

立ち上がりの攻防を終えると、双方ポゼッションを高めにいく時間となりましたが、お互いプレッシング意欲旺盛のため中々厳しい状況に。
そんな中で今治は、最終ラインで繋ぎつつも、一度前へ送るとスピードアップさせて一気に敵陣を脅かす攻撃が冴え渡ります。
この日は期待の新戦力・ドゥドゥが初スタメンという事で、裏抜け・速さの面で戦力アップを果たしたのもあり。

15分琉球のロングボールをパクスビンがカットすると、拾ったヴィニシウスがスルーパスをドゥドゥに送り、琉球のベクトルを反転させ。
そして左からのスローインに繋げると、細かい繋ぎを経て新井がカットインからエリア手前でシュート。
GK田口がセーブするも、ドゥドゥが反応良く詰めて追撃、強烈なシュートがゴールポストを叩いたのちゴールイン。
ドゥドゥの能力がフルに活かされた攻めで、早くも先制点に辿り着いた今治。

スコアが動いた事で、動揺からか琉球のポゼッションが揺らぐ中、尚も攻める今治。
22分に敵陣でボール奪取ののち最終ラインへ戻し、市原の縦パスを受けたヴィニシウスがエリア内左へスルーパスと、ここも素早い前方への運び。
そして走り込んだドゥドゥが今度はマイナスのクロスを入れ、後方からヴィニシウスが合わせてシュートを放つも、枠を捉えられず。
助っ人2トップによるゴールの競演、とはいきません。

ビハインドであり、嫌でもボールポゼッションによる攻撃を貫かなければいけない琉球。
最終ラインを3枚にしつつ、サイドバックを高目に上げてのビルドアップはもはや言葉は要らないといった感じであり。
前年緊急的に挟まれたナチョ・フェルナンデス前監督による真逆のサッカーを挟んでも、その伝統は健在なのでしょう。
この日はサイドチェンジを多用し、それも敵陣深めで敢行する場面が目立ち。
クロスを上げても良いような位置で、送った浮き球がエリア手前の逆サイドに渡るというその絵図が印象的でした。
密集させたのち展開、というのがサイドチェンジですが、やはり敵ゴールに近い位置でそれを果たした方がポケットを突き易くなるのは当然であり。
そんな、伝統に一手加えるという手法で攻撃権を支配する琉球。

それでもフィニッシュに辿り着けずにいると、30分過ぎ辺りからは最終ラインからの縦パスを、降りた2列目の選手に受けさせる手法を見せ始め。
この日はトップ下に富所、左SHに武沢と、前年まではボランチでのプレーが中心だった選手が出場。
中盤へ降りて受け、その後さばくという彼らの姿に違和感は無く、これも理に適っている振る舞いでしょうか。

そんな、相手を崩すのに試行錯誤を重ねた琉球ですが、ポゼッションスタイル故の悩みには逆らえず。
フィニッシュは結局36分の上原のミドルシュート(枠外)のみに終わります。

一方今治の攻撃は、プレスを強めに掛かる琉球の前に中々機能せず。
立ち上がりは短く繋いでいたゴールキックも、次第にロングフィードへと移行する事となり。
前線にボールを送り、後はヴィニシウスを中心としてインテンシティ勝負といった感じの敵陣でのサッカーだったでしょうか。
44分には敵陣左サイドでボールキープするヴィニシウスに対し、武沢が倒されながらディフェンスするも、この際にチャージしてしまい武沢の反則に。
すると武沢がヴィニシウスに対しヒートアップする絵図が生まれるなど、「パワーサッカーに対し難儀する」というようなシーンも作ってしまう琉球。

結局1-0のまま前半を終え。
視界良好な今治に対し、それを塞がんとしハーフタイムで動く琉球。
鍵山→金崎へと交代し、富所をボランチへと移す策を採って来ました。

金崎・野田の2トップなのか、あるいは4-2-3-1のままなのかという戸惑いがあったでしょうか。
今治サイドはそれを確かめようとしていたのか、琉球のキックオフで始まると、上原の裏へのロングパスを照山がクリア出来ずに野田に渡り一気に危機に。
そしてエリア内でGKと一対一を作った野田、シュートを左へと蹴り込みゴール。

後半開始の笛から、あっという間の同点劇となりましたが、それだけでは終わりません。
続く後半2分再び琉球が好機、自陣からのスローインを金崎がフリック、これはクリアされるも尚も繋いで左サイドを前進。
そして武沢のスルーパスに走り込む金崎が奥から低いクロス、ニアサイドへ入れられたボールに合わせたのは外から走り込んできた人見。
野田を見ていたのか今治ディフェンスはこれに対応出来ず、シュートを許した結果ゴールネットに突き刺さるボール。
僅か2分足らずでの逆転劇に、色を失うホームの今治サポーター。
その後のキックオフで、ヴィニシウスがセンターサークルからそのままドリブルで持ち上がるという絡め手を見せる事で、何とかファイティングポーズを保つ(ように見えた)今治。

投入された金崎は、見た目ではトップ下として攻撃を流動化させる役割を果たしているようであり。
9分に今度は右サイドで縦パスを受ける金崎、スルーパスを送ってそこに走り込んだ上原がクロス。
ニアサイドに今度は武沢が跳び込みますが、僅かに合わずクリアされ。

今治はやはりショックを隠せないのか、攻撃にリズムが生まれず時間を浪費していき。
コーナーキックを得ても、そこからカウンターを浴びてしまう(9分、金崎がミドルシュートを放つも枠外)など、厳しい状況を強いられます。
13分には中盤でボールを奪われ、再び金崎にカウンターを受けそうな所で、ドリブルに入った金崎を腕で倒したパクスビンが反則・警告を受け。

そんな被害状況を受け今治ベンチが動いたのが17分で、警告付きとなったパクスビンを退かせ。
安藤と代え、同時にドゥドゥ→近藤へと交代するとともに、ヴィニシウスが1トップの4-2-3-1へシフト。
新井がトップ下・山田がボランチへとシフトし、投入された安藤・近藤がそれぞれ右SH・左SHと、中盤の攻勢を弄ってきました。
そしてそれと同時に、16分にサイドチェンジをミスした人見がどうやら足を痛めてしまったようで(痛めたためわざとタッチに出した風にも映り)担架で運ばれ、琉球も被害による交代措置を採る事に。
今治はそれによる数的優位の間の18分、敵陣でのボール奪取を経て安藤から右からカットイン、ポケットからシュートを放つもGK田口がキャッチ。
そして19分に琉球がカードを切り(野田・人見→阿部・荒木)、ようやく今治が本格的に追う立場となる展開が始まった、といった所でしょうか。

前半のようなギアチェンジからの素早い攻めは、ビハインドのため敢行するのは至難の業である今治。
そのため中盤の人数を増やし、ボールサイドに人を掛けてその圧で前進していくという攻めに入ります。
アタッキングサードでパスを繋ぎ、琉球ディフェンスを揺さぶってフィニッシュに持っていかんとする攻撃を貫き。
21分に安藤がペナルティアークからシュート(GK田口キャッチ)、23分には右ハーフレーンで新井のスイッチを経て近藤がミドルシュート(GK田口キャッチ)と、エリア手前でのシュートは増えていき。
しかし決定機までは持ち込めず。
エリア内に持ち込もうとすると、人数を掛ける分どうしても細かいパスが増えていき敵・味方ともに密集を作ってしまい、強引に切り込むもシュートは撃てずという絵図を繰り返してしまいます。

窮状を打破すべく、31分に再び動く今治。
山田→楠美へと交代し、これによりボランチは攻撃時ほぼ縦関係で、楠美がアンカー・三門は前線に絡むという役割を固定化させます。

その三門が決定機に絡んだのが33分。
右からのスローイン、パスワークに新井のカットインを挟め、逆サイドへ展開ののち冨田がシュート気味にグラウンダーでクロス。
これを走り込んだ三門がファーサイドで合わせ、ネットに突き刺し。
同点弾に沸き立つサポーターでしたが、その刹那オフサイドの判定が下されてぬか喜びに終わってしまいます。
攻め込むも追い付けないという状況に、焦りが加わる今治。

一方琉球も、こうした今治の圧をモロに受けてしまう、つまり攻め込まれ続ける状況へと追い込まれ。
今治の最後の交代(先程の31分)以降、攻撃機会は殆ど無く。
後方でボールを持ってもクリアを選択するばかりになるなど、ビルドアップはままならず。
追い付きたい焦りと、守りきりたい焦りのぶつかり合いは、サッカー的にはクリアボールから始まる跳ね返しの応酬という絵図に露わになる事となりました。

こうなると、組織力云々よりも精神力の勝負、といった状況でしょうか。
琉球が39分に最後の交代(武沢→高安)を敢行しても、今治が敵陣でサッカーを展開し続ける状況は変えられず。
それでも今治は、闇雲にエリア内へ放り込みを続ける手法では無く、ひたすら決定機を探し続けショートパスを繋ぐ戦法を採ります。
簡単に「後はエリア内で何とかしてくれ」というボールを送る事をしたくなる、誘惑との戦い。
これも一種の精神面での勝負か。

そして突入したアディショナルタイム。
CKを得た今治ですが、クロスの跳ね返りを拾った近藤のミドルシュートが枠を大きく外してしまい。
GKセランテスこそ、ヴィニシウスをターゲットとしたフィードを送るものの、あくまでも陣地回復のための手法。
そしてそのフィードから再び繋がり、安藤のカットインからのクロスで再度CKに持ち込む今治。
キッカー三門は中央へクロスを送り、冨田がヘディングシュートを炸裂させましたが、GK田口のセーブに阻まれ。

折角放った枠内フィニッシュも防がれては、最早これまでという空気も流れるのも仕方無く。
それに従うように、その後琉球が敵陣に持ち込み、ボールキープで逃げ切りを図るシーンが描かれ。
市原がボール奪取してそれを切った今治ですが、時間は既にAT4分を経過し、とにかく攻め上がるしかない。
それでも敵陣でショートパス主体での攻めを貫き通します。
そしてそれが報われる時が訪れ、右サイドでの前進から中央→左へとサイドを変え、左から冨田がクロスを入れる体勢に。
これがブロックに阻まれるも、こぼれ球が中央へと転がった所へ、近藤がすかさずシュート。
豪快にゴールネットを揺らし、同点に追い付いたと同時に試合終了の時を迎えるという、まさに最後の最後でモノにした今治。

こぼれ球が、クロスに備えた琉球ディフェンスの虚を突くように転がったのは恐らく偶然でしょうが、それを呼び込んだのは今治の精神力に他ならず。
昇格のためには、こうした精神力を試される戦いが続く事が予想されますが、モノにする事が出来るでしょうか。


DAZN観戦 2023年J3リーグ第2節 ギラヴァンツ北九州vsカマタマーレ讃岐

2023-03-17 18:13:45 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • コイントスでコートチェンジ。

開幕前に、「今季はパスサッカーを目指す」という趣旨の発言をしていた北九州・田坂和昭監督。
前の働き場であった栃木ではパスサッカーのパの字も無い、ガチガチの「ストーミング」スタイルをメインとして戦っていただけに、果たしてその成果はどうなるか。
これは要チェックしなければ、という勝手な思いを抱きつつ視聴。

そうは言っても、栃木以前に監督を務めた際(福島・大分)にはある程度の割合でパスを繋ぐチームを作り上げていた田坂氏。
難題に挑むのは初めてでは無いので、発言の通りパスを繋ぐスタイルを落とし込むのか。
それとも発言自体がブラフで、栃木時代の放り込み+プレッシングのサッカーを前面に押し出すのか、とても興味がありました。

この日は風が強かった事もあり、試合前にはコートチェンジが行われ、風上に立った前半の北九州。
そしてその風を気にしての立ち回り、つまりロングボールの蹴り合いというお馴染みの光景となった立ち上がりの数分間。
ここまでは栃木時代を思い出させるサッカーという印象を強く残し。

一方の讃岐は、新戦力のベテランサイドバック・金井を軸にしての右サイドアタック。
アタッキングサード近辺まで持ち込むと、その金井はエリア内右つまり右ポケットへ小さい浮き球を送り、そこに選手を走らせるという攻撃を繰り返します。
クロスでもスルーパスでも無いこのボール、何らかの意図があっての事でしょうが結局はフィニッシュには繋げられず。

しかしそれが明るみになる前に、前半9分試合は動きます。
風を利用しようという北九州に反し、先に最終ラインでショートパス主体のビルドアップの姿勢に入った讃岐。
それを狙われ、川崎のバックパスのズレを岡田に、よりによってエリアラインのほぼ上でカットされてしまいます。
そしてそのままゴールへ向かわんとする岡田を金井が腕で倒してしまい、反則・PKという大事故に繋がってしまう事となりました。
当然ながら異議を唱えるも判定は覆らず、金井に警告が付き出され(エリア内での決定機阻止か、異議でのものかは不明)、そしてPK。
これを岡田がゴール左へと蹴り込み、GK高橋拓が反応するも届かず。
先制点は北九州に入りました。

追う立場となった讃岐。
最終ラインから繋ぐのは変わらずも、それでも敵陣では速めに縦に運ぶ姿勢で好機を作り。
いわばパスサッカーと放り込みの中間といったスタイルでしょうか。
敵陣深め右サイドでは、前年もそうであったように、10番の選手(川崎)がロングスローを入れるという珍妙な攻めも導入し。

2センターバック+ドイスボランチでのビルドアップの典型例のように、SBを前に行かせるスタイルの讃岐の攻撃。
それを補うように左サイドハーフの森、FWの片割れの後藤が降りて出口役を務めるという具合に、前に運ぶのにはそれ程困らず。
敵陣に入り込むと、ボランチも積極的に前線に加わりチャンスに絡みます。
29分長谷川隼の持ち上がりから左へ展開、臼井のキープを経由してリターンを受けた長谷川隼がエリア内へラストパス。
受けた後藤がシュートを放ったものの、村松が顔面ブロックで防ぎ決められず。

ロングボールへの依存が強かった北九州も、時間が進むにつれて地上でのパスで前進する割合を増し。
試合前のスタメン予想で4-2-3-1と表記されていた通り、平原が中盤に降りてパスワークに絡む振る舞い。(yahooのスタメン表では4-4-2)
それでもアタッキングサードでは、野瀬・岡田という強力なSHを前面に押し出す攻撃が目立ち。
39分にはその野瀬のカットインで得た右コーナーキック、キッカー岡田のクロスをファーサイドで上形が折り返し。
そして中央から村松がシュートと、クロス攻撃のセオリー通りにフィニッシュを放つも枠を捉えられず。

結局前半は1-0のまま折り返し。
どちらかと言えば讃岐の方がパスサッカーの趣が強く、個人的な試合前の予想からは外れたというような展開でした。
しかしどちらもフィニッシュの本数自体は少なく終わり。
ともにショートパスを繋いで攻めようとする機会はあれど、それが途中で繋がらずの繰り返しで時間を費やしてしまうという展開も見られました。

讃岐の監督は米山篤志氏で、前年はJ2町田で緊急的に1試合指揮を執った(ランコ・ポポヴィッチ氏が警告4度でベンチ入り停止となったため)経験があるも、実質的には今季が初の監督業。
放送席の談では、「シュート数の面でトップ争いをしたい」という旨のコメントをしていたとの事であり。

米山氏の現役時代といえば、長らくヴェルディのCBを務め上げて来た経歴。
その全盛期(2000年にはCBで警告0度・フェアプレー賞を達成)には、総監督として指揮を執っていたという異質の存在である李国秀氏が居り。(1999~2000年)
その李氏も、1試合にシュート数20本という目標を掲げる程の人物であり、その時に受けた影響は少なからずあるでしょう。
そしてヴェルディの伝統であるパスサッカーが絡み、ゲーム支配・攻撃サッカーという理想に繋がって来ると推測します。
しかしこの日の讃岐に、そのシュート数は膨らまず。
ポゼッションは高まっていたものの、それ故にフィニッシュに辿り着けないというお決まりの症状も生んでしまっていたようでした。

さて幕を開けた後半、コートが逆になり、今度は讃岐が追い風となり。
その影響がモロに現れたのが後半2分で、奥田の裏へのロングパスに対し北九州はGK加藤が前に出てヘッドでクリアに入り。
しかしこれを空振りしてしまった加藤、エリア内にこぼれるボールに赤星が走り込むという危機を招きます。(DFのカバーでシュートは撃てず)

そんな風を気にしながらという北九州に対し、讃岐は後半もパスサッカーで攻撃権を支配に掛かり。
5分にはGK以外全員が敵陣に入ってパスワークで攻撃、金井が右ポケットを突く浮き球パスを送ったのち、パス&ゴーで最奥へと走り込み。
そして江口のリターンを受けにいった所、乾のチャージで倒されて反則(乾に警告)、右CKに近いという状態でのフリーキックとなります。
キッカー江口のクロスはGK加藤に跳ね返されるも、逆サイドでの後藤のクロスから、ファーで奈良坂胸で落とし→長谷川隼ボレーシュートという流れるようなフィニッシュ。
しかしGK加藤のファインセーブに阻まれ同点ならず。
その後も10分に金井が例によって右ポケットを突く浮き球パスを送るなど、前半の通りの姿勢を見せます。(恐らくは北九州の左SBがCBタイプの乾だったので、その対人能力をそらすための振る舞いだったか)

劣勢となった北九州、ベンチも先に動き9分に岡野・平原→井澤・中山へと2枚替え。
これにより野瀬が平原の位置、つまりトップ下orセカンドトップへとシフトして中山が右SHとなりました。

パスサッカーという要素でも上回られている状況の北九州。
その流れを固定化させるように、14分には乾のラフなロングパス一本が決定機を生み出し、左サイドで受けた野瀬がカットインでエリア内を突き。
そして讃岐ディフェンスの決死のブロックをかわした末に、中央からシュートを放ちましたが、決まったと思われたそのシュートはゴール右へと外れ。
流れを変える追加点が欲しい展開だけに、痛い逸機となりかけました。

讃岐ベンチも動き、18分に赤星→森本ヒマンへと交代。
いかにもフィジカルマンというヒマンの投入で、圧を強めに掛かったでしょうか。
19分には江口のボール奪取から長い攻め、クロスを上げては北九州が跳ね返しという攻防を繰り返し。
セカンドボールを拾い続け、左右から総計6本もクロスを供給する攻めを見せるも、フィニッシュには繋げられず。
前節に「相手(沼津)の連続シュートを5連続ブロックで防ぐ」という話題を提供した讃岐、この日は攻撃で話題を作らんとしているかのようでした。

しかしヒマン投入により、彼をターゲットにしたロングボールの割合が増えていく変節が緩やかに行われる讃岐。
その攻撃ではセカンドボールを巧く拾えず、それにより攻撃機会も減っていきます。

その間隙を突くように北九州の反撃が炸裂したのが25分。
ゴールキックでのロングフィードの跳ね返りを繋ぎ、一旦は高吉の中山へのパスがカットされるも、そのこぼれを拾った野瀬がドリブルで急襲。
そして右ポケットを突いてシュートを放ち、GK高橋拓がセーブしたこぼれ球を尚も自ら詰めた野瀬。
ゴールを奪いスタンドに向かって雄たけびを上げ、貴重な追加点を齎しました。
直後に上形→高へと交代。

丁寧な繋ぎを見せていた讃岐に対し、泥臭さと推進力でスコアを動かした北九州。
対照的な結果を受けた事がショックだったのか、以降讃岐の攻撃は極端に雑になり。
勢い付く北九州のプレッシングの前に最終ラインからのパスはズレが目立ち、ヒマン狙いのロングボールは相変わらず全く有効にならずというドツボに嵌ります。
32分に再度ベンチが動き、金井・後藤→吉田・鳥飼へと2枚替え。
吉田が左SHに入った事で、森が右SH・川崎が右SBというポジションチェンジも見せたものの、流れは変えられず仕舞いでした。

そしてその流れのままに、尚も追加点を挙げる北九州。
35分ここも浮き球の跳ね返し合戦を制して敵陣からの攻撃、中山が右ポケットへ送ったスルーパスに高が走り込み、奈良坂との競争を制してゴールライン寸前でマイナスのクロス。
そしてこれを岡田のシュートで仕上げ、今度は球際の強さを発揮しての3点目となりました。

敗色濃厚となった讃岐。
その後は気を取り直すように、ヒマンへのロングボール攻勢を改め、再びパスワークを整え攻め上がり。(41分には奈良坂・長谷川隼→小松・竹村へと2枚替え)
しかし守備を固める北九州、アタッキングサードに押し込んでも、そのブロックを前にしてシュート意識を高められず。
有言実行は難しいものというのを、憚らずも示す事となってしまいました。(結局この日のシュートは7本)

一方今度は強いられてのものでは無く、勝利への守勢という事を示す北九州。
45分に岡田・野瀬→夛田・長谷川光基へと2枚替え。
長谷川光が最終ラインに加わる事で、3-4-2-1つまり5バックシステムへとシフトします。(長谷川光が左CB)
理想のパスサッカーを遂行できたとは言い難い試合となりましたが、逆に経験豊富な田坂氏の引き出しの多さが見られた、といった所でしょうか。

そうして迎えたアディショナルタイム、最早再び放り込み体勢に全てを賭けるしかない讃岐。
徐々にヒマンの落としから繋がるシーンも膨らんできますが、時既に遅しな感は拭えず。
AT終盤には奥田ロングパス→鳥飼フリックを経て、ヒマンがエリア内右へ抜け出すという逆説的な好機を作ったものの、ヒマンのシュートはサイドネット外側に終わり。
結局3-0のまま試合終了の笛が鳴り、北九州がホーム初勝利を無事に挙げる事に成功しました。


DAZN観戦 2023年J3リーグ第1節 鹿児島ユナイテッドFCvsFC大阪

2023-03-09 16:01:03 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

目出度く、いやようやくと言うべきか、今季からJリーグの戦いの場に足を踏み入れる事となったFC大阪。
大阪第3のJリーグクラブとして異彩を放つ存在になるかどうか注目ですが、既にホームグラウンドが花園ラグビー場という他競技のものな時点で、その下地は既に整っているようでもあり。
しかし今季から導入されたJFLへの降格制度もあり、何時までも浮ついては居られず。
スタメンの中には懐かしの禹相皓(ウサンホ)を始め、過去Jリーグに在籍していた選手が6人と過半数。

開幕節の相手は、前年3位で惜しくもJ2昇格を逃したという、目下最上位の立場であろう鹿児島。
どう見ても苦戦は免れ得ないカードでしょうが、その強豪に対し物怖じせず、入りから仕掛けていきます。
早くも久保が飛距離の長いスローインから好機を作り。
するとその直後の前半2分、相手のクリアボールを谷口がダイレクトで左サイド奥へ送り、利根が収めた事で深めでの攻撃。
ディフェンスにも負けずにキープを続けると、そこに加わったのは逆の右サイドバックである美馬で、ダイレクトのクロス。
そして島田がニアで合わせボレーシュートと、セオリーを無視したような流れでフィニッシュに繋げると、見事にゴールネットを揺らします。
強敵に対する奇襲が決まった、という表現が相応しい先制点を挙げたFC大阪。

いきなりリードを奪われる事態となった鹿児島、ホームという事もあり目の色を変えて攻め上がり。
SBを高く上げてのビルドアップを下地とした分厚いサイドアタックで攻撃権を支配、というのは前年までと変わらず。
そこに前年までいわきに居た鈴木が、左サイドでターゲットとなる事でパターンを増やしたという格好でしょうか。

7分ロメロの収めから左サイドで攻撃、薩川のスルーパスを受けた鈴木が奥から低いクロス。
中央で受けた河辺のポストプレイから中原がミドルシュート、エリア内でブロックされるも尚も繋ぎ、右サイド手前からのクロス。
これを薩川落とし→ロメロ右ポケットからシュート気味のクロス→ファーで鈴木コースを変えるという具合に流れるように繋ぎましたが、シュートは浮いてしまい枠外に。
13分にはコーナーキックから、ここも中原がミドルシュートを放つと混戦が生まれ、有田がエリア内右からシュートするもここもサイドネット外に終わります。

ここまでは鹿児島のフィニッシュ攻勢に対し、巧く挙げたリードを守るべくゴール前で専守を強いられるといった試合絵図のFC大阪。
しかし16分に中盤でのボール奪取からパスワークを展開し、左サイドから斜めの縦パスを受けた古川がエリア内を突いてシュート。(右へ逸れてタッチを割る)
一つポゼッションからの攻撃を決めた事で手応えを得たでしょうか。
その後はプレッシングも様になるようになり、鹿児島に容易に攻撃機会を与えず。
激しいトランジションの応酬にも耐え、互角の展開を演じます。
31分には鹿児島のプレッシングを受けるも、一旦戻したのちGK永井が裏を突くロングフィード、それを上がっていた左SB齊藤が受けるという疑似カウンターのような攻めも披露。
昇格クラブらしからぬ(?)、中々の奥深さを見せます。

そんなFC大阪のサッカーをまともに受けてしまっていた鹿児島。
FC大阪のターゲット・島田に対するチャージを繰り返してしまい、その所為で島田がヒートアップする事態を招く(28分)など、精神面でもやや受けに回っていたでしょうか。
時間も押し迫った事で同点にするべく再び攻め上がり、37分に決定機。
最終ラインの展開から、右サイドで河辺が持ち上がると手前からグラウンダーでのクロスを選択。
ニアサイドで跳び込んだ有田には合わずも、ファーサイドの鈴木が跳び込んでシュート。
しかしゴールから至近距離で放たれたこのシュートは左ゴールポストを直撃と、惜しい所で決めきれず。
尚もボールを繋ぎ、左ポケットからロメロのグラウンダーでのクロスをファーで河辺が合わせるも、眼前での齊藤のディフェンスでズレてジャストミート出来ず。

尚も攻め込む鹿児島ですが、40分には再び島田へのチャージで(岡本が)反則を取られ、右サイドからのフリーキックを得るFC大阪。
浅い位置ながらも、上がったクロスの跳ね返りを島田がミドルシュートに繋げる(枠外)という具合に、不用意なセットプレーからの一撃には気を付けたい所。
0-1のままスコアが動かず、突入したアディショナルタイムでは逆にターゲットとなった鈴木が美馬に倒され反則、左サイドからのFKを得る鹿児島。
これをキッカー薩川は意表をついて同サイドへのスルーパス、走り込んだ中原のクロスと変化を付け、こぼれ球を拾った山口がシュートするもジャストミートせず。
結局前半はFC大阪のリードで終える事となりました。

共に交代は無く迎えた後半。
先に好機を作ったのはFC大阪で、今度は右サイドでのスローイン、久保が素直にロングスローを入れる立ち回り。(後半3分)
リードを最大限に生かし守備を固めつつ、得たワンチャンスをモノにするという意識が高まりを見せたでしょうか。

その通りにその後鹿児島が攻撃権を支配する流れとなるも、中々フィニッシュには辿り着けず。
前年と違って早い段階でのクロスがこの日は目立っていましたが、一旦FC大阪のディフェンスに絡まってしまうと、人数を掛けてのパスワークを余儀なくされ。
そしてそこでのパスのズレが目立つなど、開幕戦による緊張のためか、思うようにボールポゼッションを強められません。
次第に苛立ちも高まりつつあったようで、14分にはまたも島田に対するチャージで、反則を取られた岡本が警告を受け。
納得出来ないという気持ちはベンチの方が強く、大嶽直人監督による大声での異議が響き渡る事となります。

そんな状況の中の16分、右サイドで拾ったロメロから逆サイドへと展開し、薩川がクロスを入れる場面に繋げ。
最初のクロスは不発も、尚も繋いで再び薩川がクロスを入れると、クリアボールを拾った渡邉が右ハーフレーンからミドルシュート。
しかし地を這うこのシュートも、ブロックを掠めた末にゴール左へ際どく外れと、どうしてもモノに出来ない鹿児島。
その窮状を受け、17分にベンチが動き2枚替え。
ロメロ・有田→端戸・山本へ交代(鈴木が1トップに回り、左サイドハーフに山本)と、前線を代える事で無理矢理にでも試合を動かしにかかったでしょうか。

尚、同時にFC大阪も利根→宇高へと交代。
それと時を同じくして、島田がコンタクトレンズの異常が起こったらしくピッチ外に出るという一時的な数的優位になった鹿児島でしたが、得たのはCKのみと不発に終わり。

23分に再び、島田が広瀬のチャージを受けて反則の笛が鳴り、またも大嶽監督が異議を飛ばすというシーンが描かれる鹿児島。
苛立ちを判定にぶつけるという美しくない絵図を頻発させてしまいます。
しかし直後の24分に、FC大阪が左サイド奥から宇高がカットインという好機を作ると、エリア内に進入した所広瀬に倒され。
ここで反則の笛は鳴らずと、今度は判定に命拾いしたといった様相に。
こういった流れを受け、ジャッジはある程度水物と割り切り以降の試合を戦ってもらいたいものです。

試合の方は、上記の異議のシーン以降FC大阪がにわかに押し込む流れに。
26分には右サイドからの前進で、一旦岡本に奪われるもプレッシャーを掛けて縦パスを久保がカット。
そこから斜めに向かうドリブルで右ポケットを突き、シュートを放った久保でしたが右サイドネット外側と追加点はならず。
直後に3枚替えを敢行するFC大阪、古川・島田・谷口を退かせ、田中と舘野そしてンダウ・ターラを投入します。

大型のハーフFWとして圧を掛ける存在のターラですが、以降FC大阪の立ち回りは守備重視に。
センターバックの谷口が退いた事で齊藤がその穴に回り、舘野が左SBを務める最終ラインの布陣変更。
その後ターラ・田中は最終ラインまでプレッシングを掛けにいくも、SHはそれに連動せず、鹿児島の攻めに対して時には5バックになるという押し込まれぶりを見せます。

そして32分に再び双方選手交代。
河辺→五領へと交代した鹿児島に対し、FC大阪は美馬→岩本に交代。
これで酒井を中央とした3バック、つまり完全な5バックシステム(ターラ1トップの3-4-2-1)へと移行します。(宇高が右ウイングバックの位置へ回る)

しかしその直後の33分に、コンバートした宇高が山本に対するアフターチャージで反則、左サイドからのFKを得る鹿児島。
キッカー五領ニアにクロス→山本足でフリックという流れでゴール前へボールが浮き上がり、こぼれ球を拾った端戸が左からシュート。
GK永井がセーブし、尚も跳ね返りを山本がボレーシュートで詰めましたが、これも永井が横っ飛びでセーブと間一髪で凌ぎます。

どうしても同点ゴールが生まれず、「これだけやったのに……」という焦燥に駆られる鹿児島。
35分にはパスミスからFC大阪のカウンターを受け、久保のクロスをエリア内左で収めた田中がシュート(ブロック)と動揺を隠せません。

気を取り直し、何とかFC大阪ディフェンスの隙を伺う鹿児島。
サイドチェンジの割合を多くしつつ、右サイドの攻略に端戸が開いて加わり、彼の得意手であるポストプレイを交えながらクロスにまで持っていきます。

そしてそれが打開のカギとなり、44分に端戸のポストプレイが齊藤に倒されるも五領が拾ってアドバンテージ、奥へ進入してクロス。
クリアされて右CKを得ると、ここも五領がキッカーを務め、中央に上げられたクロスに合わせたのは広瀬。
ドンピシャでヘディングシュートをゴール左へと突き刺し、とうとうこじ開けて同点に追い付きます。

「あと少しで勝利だったのに……」と、今度は逆にFC大阪が焦燥感を露わにする展開に。
何とかそれに抗わんとしたATですが、現実はあまりにも非情であり。
今度は流れの中からの攻撃ですが、既に時間も少ない中ロングボールを選択する鹿児島。
既にFC大阪ディフェンスは跳ね返す余裕が無く、エリア内左で鈴木が落とした事で混戦が生まれた末に、拾った山口がシュート。
ブロックで防ぐも、浮いたボールを岩本がクリアミス、足下に転がるボールをすかさず奪った薩川が左ポケット奥からシュート。
GK永井の右を破って右サイドネットに突き刺さる、劇的な勝ち越し点となりました。
鹿児島サイドが歓喜の輪を作る中、落胆の色を露わにするFC大阪メンバー。

その後鹿児島が残っていた交代枠を使ったのち(鈴木→戸根へ交代、恐らくこちらも3-4-2-1へシフトか)、FC大阪は何とか久保がロングスローを入れる体勢を作り、全てを賭ける事に。
しかし投げ入れられたボールはGK大内が直接キャッチして実らず。
最後は鹿児島が左サイド奥でボールキープする体勢を作った末に、試合終了の笛が鳴り響きました。

いきなりJリーグの戦いの厳しさを味わう結末となったFC大阪でしたが、それまでの善戦ぶりが無ければそうした事も生まれなかった訳で。
鹿児島サイドをここまで苦しめたという自信は、今後のためにも持つべき要素でしょう。


TV観戦 FUJIFILMスーパーカップ2023 横浜F・マリノスvsヴァンフォーレ甲府

2023-02-13 16:01:01 | サッカー視聴記(2023年その他)

<マリノススタメン> 4-2-1-3
GK オビ・パウエル・オビンナ
RSB 上島 CB 畠中 CB 角田 LSB 永戸
DH 喜田 DH 渡辺
IH 西村
RWG 水沼 CF アンデルソン・ロペス LWG エウベル
<甲府スタメン> 4-2-3-1
GK 河田
RSB 須貝 CB 山本 CB エドゥアルド・マンシャ LSB 三浦
DH 松本凪生 DH 佐藤
RSH 鳥海 CH 長谷川 LSH 水野
FW ピーター・ウタカ

そういえばマリノスの試合を取り上げるのはずいぶん久しいと思い、過去を遡るとこの試合(2021年9月・J1第30節)の事であり。
前年のJ1王者をつかまえて何たる無礼を、なんて感情に駆られたりもしますが、今年もレビューの選択は気分次第にやっていくつもりであります。
そもそもこのスーパーカップ自体取り上げたり取り上げなかったりだし

神奈川県のクラブが覇権を握る流れとなっている近年のJ1、その2大巨頭の一角を占めるのがマリノス。
その編成も、選手獲得のサイクルを滅茶苦茶に早め、頻繁に入れ替えを敢行して強さを保つという他のクラブとは一線を成すものであり。
トップレベルの海外移籍という、現代サッカーのトレンドに対応するためのものなのは明白で、まさにJリーグのトップに座るのに相応しいクラブと化しつつあります。
もう一つの巨頭である川崎が、選手を大事にしていくスタイルを採っているのとは対照的で、その両雄の決着に今季も注目といった所でしょうか。

今オフも、2月に入るという段階でGK高丘の海外移籍が発表される(正式決定はまだ先との事)事態となるや、すかさずフリーとなっていた飯倉を再び獲得と手当て。
イレギュラーに対する素早い動きは健在でしたが、流石にこの日出場する事は叶わず。
J1初出場を狙うオビがこの日のGKとなりました。
またセンターバックが本職の新戦力・上島が右サイドバックで出場という具合に、試行錯誤の跡が見て取れるスタメン。

いきなりその上島がヘッドでのバックパスをミスし、甲府のコーナーキックからスタートするという危なっかしい幕開けとなった試合。
その二次攻撃、左サイドからカットインを仕掛けた須貝がシュート(GKオビキャッチ)を見せた甲府、王者の隙を突かんとします。

マリノスはやはり本職でないその右SBが足枷となっているようであり、本来の流動性を見せるのはもっぱら左サイドから。
永戸が例によって偽SBの動きを交えながら、エウベルと良い関係性を保ち抉っていく攻撃を見せていきます。

7分に甲府は左サイドを三浦・水野のコンビで攻め上がり、再びCKに持ち込み。
キッカー松本凪がクロスを入れ、クリアされた所を鳥海がミドルシュート。
GKオビがセーブし、跳ね返りをさらに須貝が詰めましたが枠を捉えられず。
セットプレーも絡めてゴールを脅かしますが、以降はその王者が向けた牙に晒される事となります。

直後の9分に今度は最終ラインから右へ展開するマリノス、パスを受けた上島は斜めの縦パスを打ち込むと、西村がサイドへ流れて空いたスペースのロペスにピタリ。
そのまま逆の左へ展開、スルーパスで左ポケットを突いた永戸がマイナスのクロスを入れる(シュートまではいけず)好機となり。
これを機に、「左サイドではSBが受け手、右サイドではSBが出し手」という基本線が出来上がったでしょうか。

マリノスのボールポゼッションに晒される甲府、自陣でブロックを敷いて耐える時間が増えていき。
反撃としては裏狙いに活路を見出し、敵陣で素早くエリア内へミドルパスを送って走らせる場面を何度か作るも実らず。
また最終ラインからSBを走らせるロングパスも見せつつ、何とかマリノスの高いラインを攻略せんとします。
20分、クリアボールを拾った鳥海が体勢を崩しながらボールキープ、そして送られたスルーパスに須貝が抜け出す好機となり。
そして右ハーフレーンを前進してエリア手前で横パス、そこに走り込んだ鳥海がダイレクトでシュートするも、枠を捉えられず。
綺麗に裏を取ったものの、得点には辿り着けませんでした。

攻撃機会の多いマリノスも、30分までのフィニッシュは2本と決して盤石の流れでは無く。
ここまでは一進一退といった感じでしたが、その30分でした。
GKオビを交えた最終ラインでのパスワークで甲府のプレッシングをかわし右へと展開ののち、上島が例によって斜めの縦パスを通して好機。
西村→水沼と経由し、エリア内右へ送られたパスをロペスが折り返すと、中央での永戸のスルーを経て逆サイドで走り込むのはエウベル。
ダイレクトで放たれたシュートがゴールネットを揺らし、貫禄と表現すべき攻撃で先制点に辿り着いたマリノス。

リードを奪われた事で一層キツくなる甲府。
32分に左サイドから、エースのウタカがカットインからシュートを放った(枠外)ものの、苦境を打開するには至らず。
その後も激しくなるマリノスの攻撃を受け続ける展開を強いられます。
構築する自陣でのブロックを嘲笑うかのように、多彩なパスで翻弄しアタッキングサードを脅かしていくマリノス。

何とか凌ぐ甲府、前半も終盤に賭ける事となり迎えた44分。
マンシャのパスカットから一気にウタカへ縦パスを送ると、その進路で長谷川がフリックでコースを変え、ボールはウタカの先に走り込む鳥海の下へ。
そして横パスを選択した鳥海、託されたウタカがその期待通りにシュートを放ち、ゴールに突き刺します。
しかし副審の旗が上がりオフサイドの判定となると、激しく異議を唱えるウタカを余所にVAR判定に持ち込まれ。
3D映像での綿密なチェックにより、長期のブレイクが齎され固唾をのんで見守る事となった両軍。
微妙な場面ながらも、長谷川が途中で触れた事が奏功したでしょうか。
判定が覆りゴールとなり、甲府が同点に追い付きます。

それも束の間、再び目の色を変えたマリノスの猛攻に晒される前半の残り時間の甲府。
マリノスのキックオフからの攻撃に対し、振出しに戻った事で意気揚々とプレッシングを掛けるも、それをかわされて危機を招くと防戦一方となり。
何とか凌いだ末に、前半終了の笛を聴く事となりました。

両チームともハーフタイムでの交代は無く、始まった後半。
マリノスは前半同様、再びミスでピンチとなる立ち上がり。
甲府が右サイドで鳥海の縦パスがズレてしまうも、回収しにいった角田がコントロールを誤った事でウタカが拾い。
そして切り返しを経て短くスルーパスを送るウタカ、追い越して受けた長谷川がシュート(枠外)と、前年見せた下克上をこの試合でも果たさんという意気込みを見せ付けます。

しかし直後の後半2分に、支柱的存在の山本がマリノス・エウベルのチャージを受け、足を痛めて倒れ込む姿に騒然となる甲府メンバー。
1分程して起き上がり、ピッチ外を経て復帰した山本でしたが、痛みを堪えながらのプレーを強いられる事となります。

立ち上がりの好機を逃した後も攻め上がりを見せていた甲府でしたが、それが遠因となったか5分以降は完全にマリノスが攻撃権を支配する流れに。
攻撃の組み立てもさることながら、ロペスの推進力をはじめとした個の力にも苦戦を見せ始めます。
12分右サイドから前進していき水沼がグラウンダーでクロス、ニアに走り込んだ西村がスリップするもボールはその奥のロペスの下へ。
甲府ディフェンスが何とか掻き出すも、クリアボールがあろう事かマンシャに当たってしまい跳ね返り、ロペスがそれを拾う決定機となりましたがここはマンシャがカバーして撃たせず。
続く13分には中盤で拾ったロペスがそのままドリブル、細かいタッチで突き進み長谷川・マンシャを立て続けにかわし。(エリア手前でボールロスト)
こうなると常に複数での対応を強いられ、それが更なる綻びを生むという流れは避けられず。

甲府が15分に先に動き、水野→ジェトゥリオへ交代。
そして迎えた16分、最終ラインから攻める姿勢のマリノス、ここで角田がドリブルという選択肢を取ります。
それは見事に奏功し、敵陣に進入したのち送られた角田のスルーパスで裏を取ったロペス。
エリア内から放たれたシュートはGK河田が足で辛うじて止めたものの、右ゴールポストに当たった跳ね返りを西村が綺麗に詰め。
どうしても相手FWへの警戒心が高まる甲府ディフェンス、角田の持ち上がりに成す術無かったという感じで、マリノスが再びリードを奪います。

反撃に掛かりたい甲府ですが、やはりマリノスのプレッシャーを前に、前半同様裏狙いが中心。
ウタカが様々なポジションを取り、そのスペースに須貝やジェトゥリオが走り込んで受けんとするも、上手くいかずに防がれ続け。
23分に佐藤がエリア内右へミドルパス、走り込んだ須貝が受けてそのままシュートを放った(ブロック)のが唯一の有効打だったでしょうか。

マリノスは22分に2枚替えを敢行、西村と水沼に代えてマルコス・ジュニオールとヤン・マテウス。
新たな矢を前線に投入し、尚も攻め手は緩めません。
26分にマルコスのスルーパスでエリア内へロペスが抜け出し、シュートを放ちましたがこれはオフサイド。
28分には甲府のプレッシングをかわして敵陣へ進入、右ハーフレーンでボールを持ったマテウスが、エリア手前から巻くシュートでゴールを狙い。(GK河田セーブ)

甲府は27分にジョーカー・三平を投入。(鳥海と交代)
三平は2列目の位置を取り、ボランチの片割れの松本凪が一列前を取るようになり。
4-1-4-1のような形で、前への意識を高めに掛かるもさしたる効果は得られません。(サイドハーフは右にジェトゥリオ・左に長谷川)
最後の交代は36分で、佐藤→武富。
松本凪がアンカーへと移るという最終布陣となります。

裏狙い一辺倒では限界があり、SHがボールを持っても、個の力の違いを痛感したのか勝負にいけない(パスを選択するも眼前でカットに遭う)というシーンが目立った甲府の攻撃。
38分にGK河田からショートパスで繋ぐ攻撃を選択を採ります。
なし崩し的といった感じでしたが、降りて来た武富を中心に繋ぎ、長谷川のスルーパスはカットされるも尚もこぼれ球を繋いで敵陣へと運びます。(その後右から須貝がクロス)
この一瞬見せた変節が、今後リーグ戦を占うワンシーンとなるでしょうか。

マリノスは39分に喜田→藤田譲瑠チマへと交代。
その後はポゼッション力をふんだんに活かし、敵陣に進入しても戻して作り直すというシーンを増やして甲府の反撃機会を削ぎに掛かります。
45分に得た右サイドからの直接フリーキックも、一旦ターゲットの位置を取ったセンターバックが戻った挙句、戻しを選択するという徹底ぶり。

そのままアディショナルタイムへと突入。
何とか攻め上がりたい甲府、最終ラインから山本を中心にロングパス攻勢を掛けんとするも不発に終わると、再びショートパス主体からの好機。
須貝のクロスがブロックされてCKを得ると、マリノス・上島が足を攣らせるのを尻目にGK河田も前線に上がりキッカーは山本が(この日初めて)務める、最後と言ってもいい攻撃に。
上げられたクロスはクリアされるもこぼれ球を三浦がエリア内へ送り、跳ね返り→再度三浦がロビングという流れを経て、こぼれたボールを拾ったジェトゥリオがエリア内右からシュート。
綺麗にネットに突き刺して同点か、と思われましたが無情にもオフサイド。
シュートしたジェトゥリオ以前に、三浦が上げたロビングの落下点に入った武富がオフサイドという判定なため、その後の(甲府サイドの)異議もピントのズレたもので終わってしまいました。

結局2-1のまま試合終了の笛が鳴り、シーズン最初のタイトルはマリノスのものとなり。
これがこの大会初の栄冠というのは意外でしたが、まずは王者に相応しい船出となりました。