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ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第10節 AC長野パルセイロvs松本山雅FC

2023-05-17 16:27:22 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • 長野の方に「安東輝(てる)」が在籍しているので区別。

「Jリーグ30周年マッチ」の盛り上げ(以下略)
ことJ3でも作為的に組まれるダービーマッチとは無縁ではなく、しっかりと長野県の一大イベントである「信州ダービー」が行われた今節。

9節から中9~10日という変則的なリーグの日程ですが、間に天皇杯予選決勝が挟まったためであり。
その舞台で、同じ長野県代表の座を賭けて激突する事になった両チーム。
PK戦の末に長野が勝ち、これが実に松本戦15年ぶりの勝利との事。
それから直ぐに再び相まみえる運命とは……と言いたくなりますが、ともかく盛り上がりに一役買うカードなのは確か。
この日もJ3では異様な規模の、1万2千人越えの観衆を(長野Uスタジアムに)集めました。

早速の前半1分に、宮坂のロングパスを受けた進が右ポケットを突き、切り返しからシュートを放った長野。
対する松本はこれに対し常田が切り返しでかわされるも、野々村がシュートをブロックと、センターバック2人掛かりで何とか防ぎ。
続く2分には、松本攻撃のキーマンである菊井が池ヶ谷に潰されるシーンが生まれ。
しかし直後にその菊井も、長野のビルドアップに対して果敢にプレッシャーを掛け、秋山にアフターチャージでやり返し。(反則)
意地の張り合いという、ダービーマッチに相応しい入りとなりました。

広めの選手間の距離によるビルドアップという、過去の記憶とそう変わらない攻撃スタイルの松本。
しかしショートパス主体では中々前進は果たせず。
左サイドバックの山本龍が上がり目となる、若干左肩上がりという形を採っていたものの、それが攻撃の円滑化を果たしているかは今一つ不透明。
恐らくは相手の右ウイングバック・船橋をピン止めして下げておきたいという対策の一環だったでしょうか。
菊井や鈴木国が降りて受けたりと工夫を見せるも、長野はそれに対するチェックも怠らず、また食い付いてきた裏を突く余裕も中々作れません。

ビルドアップの硬直化を防ぐに、不肖ながら自分が考える事は、

  • 前線の選手が降りる・最終ラインが動くなどの可変
  • ドリブルで相手のプレッシャーを剥がす
  • 相手のすぐ脇を抜く際どいパスを通す

という要素が不可欠。
この日の松本は1番目は盛んに行うものの、それだけという感じで、長野のプレッシングに屈するのは不可避だったでしょうか。
2番目の要素は、最終ラインの選手が行うにはリスクは大きく。
3番目も、当然普通のパスよりも難易度は高くなるので頻繁に行えないでしょう。
8分に右→左へのサイドチェンジを杉井にカットされた事で、大きな展開も中々見られず。
反面長野は、最終ラインの3人は持ち上がりこそ行わないものの、切り返しで松本のプレッシャーを剥がすシーンが多々あり。
ビルドアップvsプレッシングの戦いを制する下地で完全に上回っていた風でありました。

試合の方は8分に長野が決定機、右サイドのスローインからの繋ぎで右ポケットを取り、近藤が放ったシュートはゴールバーを直撃。
長野優勢を決定付けるかと思われた一幕でしたが、その後はインテンシティの高まりが目立つ展開に。
すると黙っていないのが長野のシュタルフ悠紀リヒャルト監督(今季から登録名は「シュタルフ悠紀」に短縮したとの事)で、20分に最初に佐藤が(小松への反則で)警告を貰った事で、判定に声を荒げるシーンを頻発させてしまいます。
おまけに反則のみならず、23分にはスローインの際、誤って2つ目のボールがピッチへと投げ込まれた際にも猛烈に怒りを露わにするシュタルフ氏。(カードをアピールしていたので、恐らく2個目を入れてしまったのは松本ベンチの誰かであろう)
前年も3度警告を受けるという実績を持つ彼だけに、ダービーマッチという要素も絡めば、こうなる事は避けられないといった所でしょうか。

そんな、シュタルフ氏にとって不服な判定となったように、松本がセットプレー絡みで攻め立てたのが10分台~20分の時間。
24分にはプレッシングに遭いながらも、GKビクトルを含めたダイレクトでのショートパスでいなした末に前進と、ビルドアップを成功させる松本。(菊井のドリブルが船橋に倒されて反則・フリーキック)
反撃体制を整えつつありましたが、シュタルフ氏のヒートアップに釣られるように、その後は長野の地力が前面に押し出されます。(29分にも松本・常田の反則に対し、警告をアピールしてヒートアップ)

28分に松本はGK金にまでプレッシャーを掛けるも、その金のロングフィードを船橋が落として好機に持っていく長野。
近藤のドリブルからのパスを経て、左ポケットから杉井がグラウンダーでクロスを入れ、走り込んでいた近藤が合わせるもシュートはゴール左へと外れ。
プレッシングが実らずに再びの際どい一撃を受けて色を失った松本、守勢に回らざるを得なくなり。

そして前述の常田の反則による長野の右サイドからのFK、キッカー宮坂のクロスを船橋が合わせ、ヘディングシュート。
GKビクトルがセーブするも尚もコーナーキックで継続すると、この左CKを宮坂は変化を付けてエリア内へのショートコーナー。
佐藤がポストプレイでエリア手前へと送り、受けた船橋の手前からのクロスを、秋山が合わせヘディングシュート。
フリック気味に放たれたシュートがゴール右へと突き刺さり、セットプレーの連続で押しきり先制点に辿り着きました。

負けられない一戦で先行を許した松本、直後のキックオフでの攻撃で、野々村が一気に最後方からエリア内へとロングパス。
GK金がパンチングで跳ね返した所に、菊井が金不在のゴールへとダイレクトでループシュートを放ったものの精度を欠いて決められず。

これは奇襲の域を出ず、その後36分に縦パスを受けた進を橋内が倒してしまいFKと、再び長野のセットプレーに。
ここからはシュートにいけずも、長野のターンに切り替わる事は避けられず。
高精度を誇る宮坂のキックという武器がある以上、松本・霜田正浩監督の「長野にCKは与えたくない」というコメント(放送席の談)の通り、プレッシャーは半端無かったでしょうか。

そして再び守勢を強いられる松本。
39分に最終ラインから前進していく長野、佐古の左→右へのサイドチェンジも交えてサイドを振った末に、近藤が中央から進とのワンツーで抜け出しエリア内へ。
こうしてGKと一対一を作り上げてシュート、ループ気味のキックでビクトルを抜いたものの、戻った榎本の頭部でのブロックに阻まれます。
尚も長野がパスを繋いでクロスを入れ続ける中、ゴール内で一人倒れ込んでしまう榎本。(ブロックの後に橋内と交錯)
何とか起き上がり守備参加した末に、佐藤のミドルシュートが枠外となったタイミングで頭を押さえて倒れ込み、その決死のディフェンスは何とか報われました。(一旦ピッチ外へ→復帰)

その後も長野の攻勢は続き、霜田監督が与えたくなかったCKも3本得るなど攻め続け。
しかしその最中で、45分に進が橋内との空中戦で激しいチャージを受け倒れ込むという具合に、長野サイドにもアクシデントが発生します。
一旦立ち上がったものの再び倒れ込む進、スタッフに肩を担がれてピッチ外へ。
続行が厳しいのは誰の目にも明らかでしたが、前半も既にアディショナルタイムだったため、何とかピッチへ復帰し交代機会を減らさない事に努めた進。

こうして、1-0のスコアの割にはイベント満載といった前半が終わり。
ハーフタイムで負傷した進を山本大貴へと交代させた長野。
一方の松本も、先程失点を防ぐブロックをした榎本に交代の措置を採り、まさに名誉の負傷という形になりました。(國分と交代)

後半1分に、スローインを受けた小松が池ヶ谷に倒された事で反則、松本のFKに。
左サイド遠目という位置でどう立ち回るか注目されるなか、キッカー菊井が選んだのはポケットへのスルーパス。
さらに走り込んだ小松がグラウンダーでクロスと変化を付けましたが実らず。

後半に入り、ビルドアップでも変化を付けようと思ったのか、前半とは反対に橋内が上がる右肩上がりの形を取り始めた松本。
しかし本職がCBの橋内に攻撃で多くは期待出来ず。
逆に長野サイドの船橋の上がりを誘発し、7分にはGKビクトルのフィードを敵陣でカットした船橋、ここから攻め上がる長野。(逆の左サイドへ展開ののち山本大が奥からクロス)

結局この形は直ぐに終わり、その後再び左肩上がりがメインとなりましたが、それ故に混乱を招いてしまったでしょうか。
10分には橋内の蹴り出しが眼前のパウリーニョに当たってしまい跳ね返り、安東輝が右サイドへ繋ぎ直したものの、これを見た長野はすかさず杉井が前に出てプレッシャー。
そして奪いきりに成功し、中央への展開の末に佐藤がミドルシュート(常田がブロック)と、隙を突かれる危惧を予感させる絵図に。
12分にはパウリーニョが最終ライン右へ通り、両SBを上がらせるという新たな形を見せる松本。
しかしこの攻撃も、國分のサイドチェンジが菊井に当たってしまい繋がらずと、自滅の形で終わり。

一向に反撃機運が高まらないのを受け、14分に松本ベンチは3枚替えを敢行。
橋内・パウリーニョ・鈴木国→宮部・米原・渡邉へと交代します。
一方の長野も同時に、佐藤→西村へと交代。

それでも目立つのは長野の攻撃シーンばかり。
松本は17分に、右サイドで宮部が杉井に反則を受けると、素早くリスタートして宮部がスルーパスを送り。
走り込んだ國分がクロスと再度奇襲を見せましたがフィニッシュには繋がらず。
渡邉の投入で、ターゲットへのロングボールという傾向が強まったものの、その攻撃も繋がらずと八方塞がりに。
むしろ山本大が加わった長野の方が、ロングボール攻撃は有効だった感がありました。

松本の次の手は21分で、菊井と國分の位置つまりウイング(サイドハーフ)を入れ替え。
23分右サイドでの渡邉の収めから、受けた菊井がカットインから逆へ展開、山本龍のスルーパスで左ポケットを取る國分。
代えた部分が絡んでの攻撃を見せて左CKを獲得しましたが、ここから長野がカウンターを発動。
2度目のクロスがこぼれた所を池ヶ谷が素早く前へ繋ぎ、右サイドで受けた三田が上がりを待って中央へスルーパス(近藤が走り込むもGKビクトルが前に出てクリア)と、プレッシャーを与える事で相手の好循環を有耶無耶にします。

苦しい状況は変わらない松本、やはり地味な事を地道にやり続ける事しか手立ては無く。(28分に長野は三田→森川へと交代)
右サイドでスローインを連発する漸進戦法でCKを取ったのが30分前後で、この右CKから、上げられたクロスを野々村が合わせヘディングシュートを放つも威力が足りずGK金がキャッチ。
こうして攻撃機会を増やし、その中で1本モノにするぐらいが残された手でしょうか。
33分に最後の交代も敢行し(山本龍→村越)、名実ともに手は尽くしたという格好に。

しかし現実は非情でした。
34分山本大狙いのロングボール攻撃を通す長野、彼の落としを拾った森川が野々村のスライディングを華麗にかわしたのち左サイドを猛然とドリブル。
そして左ポケットまで進むとスルーパスで後を託し、走り込んだ杉井のマイナスのクロスを山本大が合わせ。
ゴール上部へ豪快に突き刺さる、文字通り松本への強烈な一刺しとなる追加点を生み出しました。

攻め手が見出せないまま、点差を離されてしまった松本。
37分にはスローインの判定を巡り、菊井が副審に対する異議で警告を受けてしまう等その苛立ちも最高潮という事が窺え。
そのすぐ後に長野も最後の交代を敢行し、近藤→音泉。

最早ロングボールをダイレクトにエリア内へ放り込む事しか活路を見出せない松本。
インテンシティの高さは相変わらずな試合絵図故に、ぶつかり合いによる反則で遠目からのFKを幾度も得て、そこから放り込み。
流れの中でも、エリア内へ送られるロングボールに小松が走り込む、という攻めを続け。
当然ながら、紛れが起きない限りはもう……という予感しかせず、そのままATへと突入します。

それでも長野の前への圧力は衰えない辺り、ダービーマッチの宿命でしょうか。
しかしそれが空回りし、村越へのアフターチャージで音泉が警告を受け。
この反則は自陣からのFKでしたが、GKビクトルが直接エリア内へ放り込んだボール。
しかしGK金が前に出て抑えにいった所、あろう事かこぼしてしまい、そこをすかさず小松がヘディングでゴールに押し込みます。
紛れが綺麗に起こってしまったという形で、1点を返した松本。

残り時間は僅かという状況で、長野も締め直してキックオフから敵陣でサッカーを展開しにいきます。
そしてその後の松本の攻撃を跳ね返したのち、クリアボールを山本大の収めから、繋いだ末に左コーナーでキープしにいく形に持ち込み。

しっかりと逃げ切りの立ち回りを見せ、そして試合終了の笛が鳴り響き。
長野が悲願?の、Jリーグで初の松本戦勝利を上げるに至りました。

同時に首位に立った長野ですが、依然として混戦模様である今季のJ3。
激情家の指揮官故に(前年然り)安定度は今一つな感がありますが、その前向きなパワーをフル活用して突っ走る事が出来るでしょうか。

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第9節 FC岐阜vsY.S.C.C.横浜

2023-05-06 16:21:04 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

今季からとうとう始まってしまった、JFLへの降格制度。
「プロリーグからの脱落」という恐怖は、当然どのクラブにも平等に与えられるもので。
それはスタートダッシュに失敗し迷走が始まってしまうクラブか、あるいは昇格が遠い目標で独自の戦いを繰り広げるクラブか。
このカードで言うならば、前者が岐阜・後者がYS横浜といった立ち位置でしょうか。

YS横浜を見てみると、前年はただひたすらテールエンドを突っ走ってしまい、最終盤に辛うじて最下位脱出を果たしたというだけのシーズン。
今季も同じ轍を踏めば、残留争い引いては降格の憂き目に遭う事は間違いないという立ち位置。
それでも選手編成の独自路線は変わらず、ここで述べたような、多国籍・無国籍ともいえる経歴の選手が数多集結。
思わず「謎の選手」と言いたくなるような、ハーフや無名の助っ人の名前も見られ。
それは他クラブから見て不気味な一方で、寄せ集めの中で何処までサッカースタイルの構築を果たす事が出来るかという懸念もあり、降格のプレッシャーがかかる状況ならば尚更です。
そうして迎えた今季、前節にようやく初勝利を挙げたという状況であり、前年から続く低迷から抜け出す手法を確立できるかどうか

ボール保持による主体的な攻撃、というのはこれまでと変わらないYS横浜。
経験豊富な中里を頼りに、最終ラインからの繋ぎで主導権を握らんとします。
彼がアンカーの位置で構える事で、3バックからスライドして2センターの形を取ってのビルドアップにより、サイドから運ぶのを容易にし。

対する岐阜の前線は、同じくベテランの田中が中里をチェックしたうえで、他選手で最終ラインにプレッシャーを掛けるスタイル。
前半10分にはその体勢で敵陣深め左サイドでボール奪取に成功し、そこから左ポケットを伺ったのちのポストプレイを経て田中がミドルシュート。
ループ気味で良くコントロールされたものの、惜しくもゴール上部へと外れ。

依然として実績豊かな有名選手が残っている岐阜の方が、マンパワーを活かして押しきるかと思われたここまでの流れ。
しかしベテラン選手に頼るという事は、攻守の切り替え・インテンシティ勝負の面で脆さが露呈しがちなのも確か。
14分、左サイドでボールキープする宇賀神が、萱沼の反則気味のディフェンスでボールロストし一転してYS横浜の攻撃に。
ゆっくりと前へ運びながら岐阜の戻りを遅らせ、スピードアップからアーリークロスを上げる萱沼、そしてこれを裏へ抜け出した福田が合わせヘディングシュート。
デュエルでのボール奪取からの速攻と、岐阜の弱点を完全に突いての先制点となりました。

先行を許した岐阜、その攻撃面はというと、立ち上がりから左サイドで深さを作る攻撃。
上野のドリブル突破が最初の攻撃機会になる(5分)と、それを有効打とすべく、その後は左奥へロングボールを送り続ける立ち回り。
その一方で最終ラインのビルドアップの形は、右サイドバックの三國を前に出し、(4バックの)残りの3人による3枚+庄司という形。

この「右肩上がりの形を作ったうえで、左から攻める」というギャップをどう生かすか。
スコアが動いて以降、フィニッシュまで辿り着けない時間が長く続く厳しい展開を強いられるなか迎えた30分。
ゴールキックからショートパスでのビルドアップに入ると、今度は右へと深さを作りにいき、三國のスルーパスを受けた田中。
一旦戻して逆サイドへ展開し、上野のスルーパスに走り込んだ宇賀神のクロスを入れると、ファーサイドで合わせにいったのは三國。
長身SBの本領発揮という場面でしたが、手前でGK児玉のパンチングでクリアされ。
しかし尚も攻撃は続き、今度は三國がクロスを送ると、田口が中央からヘディングシュートを放ちますが枠を捉えられず。

ようやく1本シュートしたのが切欠となったか、以降左サイドでは、宇賀神が偽SBのようにハーフレーンをオーバーラップする攻撃に舵を切り。
これにはYS横浜ディフェンスも対応に難儀し、34分はワイドでのボールキープで、花房が北を倒してしまい反則。(ここからのフリーキックはフィニッシュに繋がらず)
37分には川上のロングパスを受けた宇賀神、そのままカットインを経てシュートするもGK児玉がセーブ。
立ち上がりの左サイドアタックと併せ、揺さぶりが実を結ぶかに見えたこの時間帯の岐阜。

しかし再び、攻め続けるもシュートまでいけない時間帯となった終盤。
するとYS横浜の逆襲を受け、43分には左サイドで飛距離の長いスローインを田原が入れ替わって裏を取り、そのまま左ポケットを突き。
そして福田が巻くシュートでゴール右を狙うも枠を捉えられず。
45分には岐阜のFKからの直接カウンターで、クリアを拾った福田がドリブルで一気に敵陣まで運び、そのままミドルシュート。(GK茂木セーブ)
前節も2ゴールを挙げた福田、この日もそのリアルストライカーぶりを発揮し、1点だけでは飽き足らないという姿勢を見せます。

結局前半は0-1のまま終了となり。
ボールポゼッションを軸とした組織的な攻撃を見せた岐阜ですが、スコアに結び付けられず終わってしまった事で、修正するか否かを問われるようなハーフタイムを迎えました。
そしてその軸となる選手交代は行わず。
修正したかどうかは外野からは不明なものの、それが披露される前にさらに試合は動く事となります。

YS横浜のキックオフで始まった後半。
お互いロングボールを蹴り合うも、YS横浜陣内で確保した中里がさらにロングパス。
これが岐阜のベクトルの逆を突く格好となり、田原の落としを拾った福田がドリブルで岐阜ディフェンスのアタックをかわしながらエリア内を突き。
そして放たれたシュートがゴールネットを揺らし、2試合連続のマルチゴールに辿り着いた福田。
岐阜は心の緩みを突かれるような失点で、ロングボールの蹴り合いが行われた事で、前半ボールを握っていた状況から一転する絵図となったのが拙かったでしょうか。

2点差を付けられ、こうなると組織力云々というより、とにかく得点が欲しい状況を強いられ。
その通りに押し込む状態を作る岐阜、後半4分には敵陣深め左サイドでボール奪取し、北が萱沼に反則を受けてFK。
キッカー庄司のクロスを田口が合わせにいくも、GK児玉のパンチングで跳ね返されシューは撃てず。
クロス→クリアの応酬は得点期待値的には薄いものの、1点を返すには何でも良いという状況故に敵陣でサッカーを展開し、セットプレーも得る事でひたすら攻撃を継続したい所。

しかし迎えた10分、最終ラインから中央を前進していく岐阜、田中が細かいタッチでの前進から放ったミドルシュートは左ゴールポストを直撃。
しかし左サイドで上野が拾って攻撃を続け、宇賀神とのパス交換から左奥でカットインを狙うと、エリア内で花房に倒されます。
すかさず笛が鳴って反則・PKが告げられると、YS横浜サイドが判定に不服で猛抗議。
特にこぼれたボールをすかさず萱沼がクリアした事もあり、「反則が無くてもボールロストしていただろう」という異議だったのでしょうが、やはり腕で上野を倒してしまったのが印象悪く。
ともかくこのPKは、キッカーを務めた田口がゴール右へと決め、予想以上に早く1点差に詰め寄った岐阜。
直後の13分に三國・庄司→松本・生地へと2枚替えも敢行します。

しかしそんな岐阜の反撃ムードに水を差したのが、負傷による交代。
15分、プレッシャーを掛けにいった福田がそのまま杉田をチャージしてしまうと、既に足に重々しいテーピングが巻かれていた杉田は起き上がれずとなり。
結局スタッフに肩を借りてそのままピッチを後にし、交代の準備が取られます。(その間にYS横浜サイドが道本→菊谷に交代)
岐阜は一時的に10人となりますが、その間にも再び福田が最終ラインにプレッシャーを掛け、またも川上にチャージしてしまい反則。
これにはその攻めっ気が空回りしたとしか言えず。(これに警告が出なかったのは不可解)
あるいは、リアルストライカーとなるにはこうした不遜なプレーも必要という事でしょうか。
これで試合が止まると、ようやく岐阜が交代を果たし。(萩野と交代、同時に田中→ンドカ・チャールスへと交代)

思わぬ形で途切れかけた流れですが、相変わらず左サイドで優勢を確保しているだけに、そこから決定機を作りたい岐阜。
中々攻撃機会を得れないYS横浜サイドは、26分に田原→ロリス・ティネッリへと交代を敢行しても、流れは変えられず。
29分最終ラインからロングパスが上野に渡るという具合に、左サイドアタックを支えているのはやはり上野であり、彼に託す他無く。
その上野がカットインからグラウンダーでクロスを入れ、中央で受けた窪田の戻しの末に北がミドルシュートを放ったものの、惜しくもゴール右へと外れてしまいます。

尚も左サイドで押し込み、CKも量産するなど好機が続く岐阜。
そのCKからの攻めを防いだYS横浜は、32分に田場が足を攣ら手てしまいエリア内で倒れ込み。
守勢故のダメージは避けられずという状況で、田場はそのまま担架で運ばれたものの、復帰してプレーを続けます。

その直後の35分、一転して右サイドから攻める岐阜、ンドカが奥を突いてアタックを受けつつもエリア内へカットイン。
そしてマイナスのクロスが中央でフリーとなっていた田口に渡る決定機を迎えますが、あろう事かスリップしてしまった田口のシュートはミートせず枠外に。

ショックが残る逃し方をした岐阜、以降YS横浜へと流れは傾き。
38分に田場のボール奪取から前へ運び、ティネッリのドリブルからのヒールパスで崩し、福田のラストパスがエリア内左へ。
そして走り込んだ古賀がシュートしますがゴール左へと外れ、試合を楽にする追加点は得られません。
これを境に逃げ切りへと舵を切ったか、41分に最後の交代で田場・福田→大嶋・ピーダーセン世穏へと2枚替え。
それに伴い、菊谷がボランチへと降りて3-4-2-1へとシフトします。(加賀が右ウイングバックへ回る)

試合も終盤に入り、中里まで足を攣らせるなどダメージは深刻なYS横浜。
しかし岐阜も疲労度が高まる影響で、パスミスが目立ち攻撃リズムを悪くします。
その度にYS横浜に陣地を回復され、攻め直しを余儀なくされ。

そしてアディショナルタイムへと突入。
川上が大嶋の反則チャージを受けながらもパスを繋ぐ(その後大嶋に警告)など、妨害のなかボールを運び何とか同点ゴールを狙う岐阜。
しかしYS横浜の守備陣を崩しきるのは難しく。
遅延行為のような、YS横浜のスローインの連続で神経を使わされ。
結局1-2のまま試合終了の時を迎えました。

岐阜がこれで4連敗となった一方で、連勝でようやく2勝目を挙げたYS横浜。
訪れた上昇モードを活かし、安全圏に入りたい所でしょう。

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第7節 松本山雅FCvsアスルクラロ沼津

2023-04-19 18:12:52 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

開幕から6戦無敗と聞こえは良いものの、引き分けが3もあるので上位の混戦から抜け出せていない松本。
変則的な膠着といった感じの中、2試合ぶりにホーム・サンプロアルウィンへと戻って来て、沼津を相手に迎えました。

その沼津は、今季から中山雅史氏を監督に迎え。
説明不要の大スターであり、磐田のコーチとして指導者生活を始めたとあっては、現役時代の大部分を過ごしたクラブ(おまけに黄金時代の象徴的存在となり)に骨をうずめる覚悟が伺えたはずでした。
しかしそれは前年を持って終わり(2年間)、監督業は2度目の実質的な引退クラブとなった沼津で開始する事に。

この心変わりの程は不明ですが、かくして同じ磐田のスターである名波浩氏(現日本代表コーチ)とは逆の状況となったスタート。
磐田で監督業を始め、J1へと上がったは良いが、そこから尻すぼみのような実績に終始する事となった名波氏。(代表に入閣したのは果たして吉か凶か)
前年はJ3でも松本を昇格させる事は出来ずと、その苦戦する姿はまさにトップダウンの流れに呑まれたといった感じ。
それ故に、反面教師的にJ3からのボトムアップを目指す選択を取ったのは頷けるものがあります。

そんな中山氏に率いられる沼津。
前節までの戦いぶりは、「良いサッカーはするが得点出来ない」と評されるものでしたが、百聞は一見に如かず。

試合が始まると、その沼津は前半1分にいきなり浮き球を収めにいった和田がハンドの反則を取られ。
この自陣でのフリーキックで、パウリーニョが素早くリスタートさせて縦パスを送り、菊井浮かせるフリック→小松落とし→鈴木国ドリブルと縦に速く攻め込む松本。
最後は菊井の低いクロスを、前節ハットトリックを達成した小松が頭で跳び込む(合わず)という具合に、スピード&ダイナミックといった絵図を描く攻撃。
3分には左サイドで菊井が倒されながらもスルーパスを送るという、沼津の寄せにも屈しない縦への運びから、受けた小松がドリブルで左ポケットを突き。
そして中央へ横パスを送り、鈴木国がシュートを放ちましたがゴール右へ外れ。
相手のプレッシャーの一歩手前で縦へパスを送るという姿は、力の違いを見せ付けているかのようであり。

そんな松本に対し、組織力を高めて対抗したい沼津。
4-1-2-3のフォーメーションらしく、守備時は持井が最前線に上がっての4-4-2の隊形を取るプレッシング。
一方の攻撃時は、4-1-2-3の布陣に相応しくない、サイドバックがガンガン高目の位置で攻めに絡むという姿勢を見せます。(といってもW杯のアメリカ代表の例然り、「4-3-3ではSBは(敵陣に持ち込むまで)上がらない」というのは日本特有の趣があり)
菅井・徳永がそれぞれ一列ずつ降りる事でそれを可能にし、主に左SBの濱の上がりが特徴的であり。
彼が最前線に上がる時は鈴木拳が引いてやや中央へ絞ったり、逆に鈴木拳がワイドに張って濱が内側のレーンに入るなど、可変の自在ぶりが目を引きました。名波氏よりよっぽど「偽SB」戦術に向いているっぽいぞ

それでも松本の前線の圧(と松本ホームのスタジアムの雰囲気)により立ち上がりは苦戦気味で、繋ぎたいのに逃げざるを得ないシーンが多くなり。
得にゴールキックから、エリア内にセンターバックを左右にセットするも、結局はロングフィードを選択するGK武者といった場面を続ける沼津。
変節は14分のゴールキックで、GK武者→附木→篠崎とパスを回し、篠崎のロングパスでプレッシングを脱出。
収めた徳永から攻撃を展開していくも、持井のドリブルからのスルーパスが鈴木拳には合わず終わります。
しかし続く15分濱のパスカットから敵陣で攻撃開始、右サイドへ展開したのち奥を突いた安在のパックパスを経て津久井が手前からクロス。
この「奥からと見せかけて手前からのクロス」で松本ディフェンスを巧く騙し、ファーサイドで鈴木拳がほぼフリーの状態でヘディングシュート。(しかもその手前の持井までフリー)
ゴールネットを揺らして先制と、やりきる勇気を見せ始めた途端に好結果に繋げました。

これで勢いを得た沼津は以降も前へベクトルを向け、コーナーキックを量産するなど押し込み。(20分の最初のCKから、附木がヘディングシュートもGKビクトルセーブ)
ここで注意したいのがそのCK(キッカーは全て徳永)からのカウンターで、20分の二度目のCKの際、クロスが流れたボールを拾った津久井が奪われて松本がカウンターの体勢に。
ここは榎本のドリブルを安在が素早く蓋をした事で、榎本の反則を誘発して逆にフリーキックの好機とした沼津。(ここからはシュートにいけず)

しかし24分、今度は流れの中でカウンターに持ち込む松本、左サイドを鈴木国がドリブルで疾走してクロス。
逆サイドに流れるも榎本が右奥で拾いもう一度クロス、これが山なりの軌道を描いてファーサイドの小松にドンピシャリでヘディングシュート。
ゴールネットを揺らし、素早く同点に追い付いた松本。
沼津にとってはエリア内に人数は戻っていたものの、榎本のクロス精度もありCBが手前でのジャンプを強いられたのが痛かったでしょうか。
低身長(といっても170センチある)の菅井が小松に最も近い位置に居たという絵図で勝負ありとなり。

松本が追い付いたのも束の間、尚も主体的な攻撃を続ける沼津。
26分右からのクロスの跳ね返りを回収したのち、最後方からまたも篠崎のロングパス。
和田の落としを経て拾った津久井がドリブルでエリア内を突き、そのまま右ポケット奥を窺って横パスを送り、最後は和田が合わせて仕上げ。
すかさず突き放すといった格好で、再度リードを得ます。

有利に立った沼津に対し、再び追う立場となった松本。
また素早く追い付かんとし、31分に菊井が左サイドからのドリブルからカットイン、そして中央からシュートを放つもブロックに当たり枠外に。
これで得た左CK、ショートコーナーからの住田のクロスが直接右ゴールポストを叩くなど、その圧力は健在であり。

そしてここから、沼津のサイド攻撃を参考にしたか、松本もSBを高い位置に押し上げてのビルドアップの意識を重視します。
これにより沼津は、そのSBをケアする両ウイングはピン止めされた格好となり、プレッシングに加われず。
36分に右でパスを受けた野々村に対し鈴木拳が出ていった結果、かわされて藤谷がサイドを前進する攻撃に持ち込まれる(その後パウリーニョのクロスを鈴木国が足で合わせるも枠外)などその効果は抜群となります。
やむなく沼津はインサイドハーフが2人とも最前線に加わるなど、プレッシングは困惑気味に。

そして41分、先程の右サイドアタックに、住谷が張り出して加わった事でプレッシングをかわして前進。
そして藤谷が奥へ切り込む場面を作ってCKに持ち込みます。
その右CKニアサイドにクロスを入れたキッカーの菊井、クリアされるも二次攻撃で再び右CKへ。
そして菊井は今度もニアサイドにクロスを入れると、榎本のヘディングシュートが放たれてゴールネットを揺らします。
「一度目が防がれた後も、さらに同じパターンを続ける」という選択で見事逆を突いた形でしょうか。

同点に追い付くとともに、沼津ペースを終わらせる事に成功した松本。
残り時間でもプレッシングを嵌めて沼津に攻撃機会を与えず、榎本のミドルシュート(45分)などゴールも脅かし。
好循環を持って前半を終えました。

それでもハーフタイムに住田→喜山へ交代と、手を打ってきた松本。
入りである後半1分、榎本がデュエルを制してのボール奪取から攻め上がり。(シュートまではいけず)
これを境に、インテンシティの高いサッカーを展開する意識が強まったでしょうか。
4分にはスローインのボールを収めた小松が、チャージを受けながらもポストプレイで繋ぐという具合に強さを見せ付け、そこから菊井がドリブルから左ポケットへスルーパス。
走り込んだ山本がシュート気味にクロスを送り、GK武者にセーブされて阻まれるも、球際の強さを発揮して有利に立ちます。
しかし直後の5分には、前に出てビルドアップに加わったGKビクトルがコントロールを誤り、和田に危うく奪われそうになるなどヒヤリとするシーンも作り。

前半見せたカウンターも発揮し、11分に沼津のCKからの直接カウンター。
菊井のドリブルを止めんとする沼津ですが、今度は止められず逆に和田のチャージがアドバンテージとなり(ここで後に警告が出なかったのは疑問)、鈴木国の右ポケットへのスルーパスから藤谷のクロスに繋がり。
そして走るのを止めなかった鈴木国がヘディングシュートを放ちますが、浮いてしまい枠外となり。

それでも強度を高めた影響はマイナスにも現れ、15分には持井の左からのカットインをスライディングで倒してしまった野々村に対し反則・警告。
サイドからのFKを得た沼津、キッカー鈴木拳が意表を突くように直接シュートを狙い、ゴール右上を襲ったもののGKビクトルがセーブ。

ホーム故に勝利への意欲を高めたい松本、18分にさらに鈴木国→村越へと交代。(菊井が鈴木国の居たトップ下に回る)
これを機にさらに意識を強め、20分・21分と立て続けに、敵陣での反則気味のボール奪取でショートカウンターに持ち込まんとします。(いずれもシュートまではいけず)
その影響で持井が(喜山の)スライディングで倒れ込むという痛々しいシーンを見せた沼津(無事に起き上がる)も、22分に和田→赤塚へと交代します。

尚も激しさを増す試合展開。
26分には自陣でボール奪取した津久井をすかさず山本が倒してしまい反則・警告。
続く27分には松本陣内でこぼれ球となり、喜山と赤塚の交錯が生まれてしまい、反則となった赤塚に警告とカードも飛び交う事態となり。
その余勢か、この際ヒートアップし赤塚に激しく詰め寄ったパウリーニョの絵図には見苦しさの方が目立ちましたが。
直後に松本は藤谷→下川陽太へと交代。

肉弾戦へと傾倒していたかのような松本、30分には最終ラインからの前進で好機。
パウリーニョが降りた最終ラインから左へ展開し、スルーパスに走り込んだ村越が奥からマイナスのクロス。
そして小松がシュートを放ちますが左ゴールポストを直撃と、乾坤一擲の組み立てでもゴールを奪えません。(沼津は33分に安在→大迫へと交代)

35分に中盤からのFKで、放り込みによる攻めを見せる松本。(といっても前半から遠目での放り込みの姿勢は変わらず)
その流れで、スローインとなったのちもCBが前残りしたまま攻撃していき。
そしてそのまま迎えた36分、喜山の左→右へのサイドチェンジをフリックした榎本が足を攣らせて倒れるなか、攻撃を続けて下川陽がクロス。
これをファーサイドで山本が合わせ、角度が付いたヘディングシュートが右サイドネットを揺らし。
点の取り合いから一転、2-2の均衡状態を破る一撃を放ちました。

ホームで点の取り合いを制する、胸すく勝利まであと数歩という松本。
しかしドラマには続きがありました。
キックオフ前に沼津は2枚替え、鈴木拳・津久井→森・ブラウンノア賢信へと交代。
これで赤塚・ブラウンノアを2トップとする4-4-2気味となったでしょうか。
一方榎本にアクシデントがあった松本も、38分に榎本・山本→國分・稲福へと2枚替え。
下川陽が左SBに回り、村越が右SHへ回るという具合にポジションチェンジも絡みます。

森の推進力を左サイドに加えた事で、陰り気味だった攻撃にエンジンを積み込む格好となった沼津。
ちなみに森は今季初出場であり、松本にとってはまさに未知の脅威となり得たでしょうか。
39分にはその左サイドから、奥を突いた濱のクロスをパウリーニョの顔面ブロックで何とか凌ぐ松本。
しかしCKに持ち込まれると、松本の2点目と同様に連続するCK。
キッカー徳永もその時と同じく中央へのクロスを連続させた結果、篠崎のヘディングシュートがゴールネットを揺らします。

これで三度同点となりましたが、落胆が大きかったのは当然、この日初めて追い付かれた松本の方。
42分に沼津は自陣左サイドからのFKで、GK武者がキッカーを務めて放り込みを匂わせた末に同サイドへの縦パス。
受けた森が前進からカットインと、チャンスエリアへの推進を止められない松本、そのままミドルシュートが放たれ。
ブロックに入ったパウリーニョに当たり、コースが変わってGKビクトルの逆を突いてゴールへ吸い込まれ。
立て続けの得点で逆転し、三度リードを奪った沼津。

既に交代枠も使い果たし、打てる手段は既に無い松本。
有効打となっていたインテンシティを強めるサッカーに活路を見出すしか無く。
45分には沼津のクリアミス(菅井のキックが附木の背中に当たって跳ね返り)を菊井が拾うという願っても無いシーンが生まれますが、右サイドから放ったシュート気味のクロスはGK武者が抑え。

迎えたアディショナルタイム、松本の強度を何とか凌ぐという体勢に入る沼津。
その中でハイボールの競り合いで小松が倒れて沼津の反則となった際、ピッチサイドから大声で異議を飛ばすなど、現役時代さながらの熱さを見せる中山監督。
その後もFKによる好機が膨らんだ松本ですが、放り込みを続けた結果、同時に時間も多く費やす事となり。
残り時間的に最後のFK(AT5分台)を迎え、菊井のエリア内やや左への放り込みを、野々村が跳び込んでヘディングシュートに持っていき。
松本ベンチ側も決まったと思い込んだそのシュートは右ゴールポストを叩いてしまい、跳ね返りを詰めたパウリーニョのヘッドも右へ逸れ、惜しくも同点ならずに終わりました。

3-4で試合終了の笛が鳴り、ピッチサイドで喜びの咆哮を挙げた中山監督。
今までの得点力不足が嘘のような、まさに激戦を制する運びとなりました。


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DAZN観戦 2023年J3リーグ第6節 ガイナーレ鳥取vsヴァンラーレ八戸

2023-04-13 16:01:17 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

ここ2年昇格争いから遠ざかっている鳥取ですが、監督の金鍾成(キンジョンソン)氏は続投となって今季が3年目。
過去に琉球を3年かけて昇格させた実績に賭ける、といったフロントの選択でしょうか。単に金氏の母親が鳥取県出身という縁で繋がっている節もあり

そして今季に向けての編成は、新井・魚里・妹尾ら見慣れた主力選手がこぞって移籍。
金氏就任(2021年途中)以前の選手達は、GK糸原・鈴木・石井・世瀬・大久保・坂本しか残っていないという、激しい血の入れ替えを敢行して挑んでいるシーズン。
「監督を取るか、選手を取るか」という難しい選択を強いられたようなフロントで、選んだのは前者だったでしょうか。
そんな非情な政策の末に、この日の対戦相手である八戸に移籍した妹尾との古巣対決が実現する事となりました。

キックオフから、追い風効果もあり攻め続ける鳥取。
流れに乗れずリトリートに徹する八戸を尻目に、GK以外の全員が敵陣に進入しての攻撃を続け。
前半2分に早くも、右サイドでスルーパスに走り込んだ田村がクロス、中央で跳ぶ大久保を越えて収めた東條がシュート(GK大西セーブ)と決定機。
これを皮切りにガンガンフィニッシュを放っていき、それに伴いGK大西のセーブ数も膨らむという良好な流れを築きます。

一方5-3-2の陣形での専守を強いられた八戸。
9分に自陣から國分がスルーパスを送り、そこに妹尾が走り込むも繋がらず。
持ち味を発揮せんとする妹尾ですが、流石にチームが苦境の最中とあってはそれは難しいといった絵図に。

ハーフコートマッチと表現すべき展開を続けていた鳥取ですが、14分に重松が山田のチャージを顔に受けてしまい、これにより鼻から出血。
すかさずピッチ脇で止血を強いられる事となり、一時攻勢を止めざるを得なくなり。

相手の隙を突いてようやく攻め上がりを見せる鳥取ですが、18分に重松が復帰。
その直後の攻撃で右サイドからスローインを得ると、相田のロングスローで一発打開を狙います。
しかしダイレクトでGK糸原がそれを抑えると、ここからの繋ぎが先制点を齎します。
左へスローされたボールをパスワークで前進させていく鳥取、東條ミドルパス→大久保収めて浮き球で中央へ→田村と、空中でボールを繋いだ末にシュートチャンス。
そしてエリア内でボールコントロールを果たした田村のシュートがゴール右へと突き刺さり。
災い転じて……という具合に、アクシデントが相手を引き込む効果があったでしょうか。
八戸に堅守を築かせる前に、ゴールに辿り着きました。

八戸は22分に再び右サイドでのスローインで相田がエリア内へボールを投げ入れ。
今度は鳥取がクリア出来ずに乱戦が齎され、こぼれ球を妹尾がシュートするもブロックに跳ね返され。
さらに近石シュート→ブロック→近石繋いで國分がシュートと連続攻撃を見せますが、これが味方に当たった事でオフサイドで終了に。

その後再度鳥取の攻勢に突入すると、リードされた事で、八戸ディフェンスの姿勢も曖昧となり。
24分に最終ラインから右サイドで攻める鳥取、石井→田村ダイレクトで戻し→石井ダイレクトでスルーパスという繋ぎで、裏を取った大久保が奥を突いてマイナスのクロス。
これをニアサイドで走り込んでいた石井が合わせ、シュートはゴールバーを直撃するも、跳ね返りを東條が狙いすましてボレーシュート。
追加点を挙げ、試合展開に相応しい点差を付ける事に成功します。
石井のスルーパスは「田村の戻しがぶち当たった」ような絵図で偶発的という感じでしたが、それであっさりと破られる辺り、点差が齎す意識は大きい事を実感させるに至り。

まだまだ取れそうなシーンが続く鳥取。
27分にはコーナーキックから、キッカー田村のやや遠目へのクロスを大久保がボレーシュート。(GK大西キャッチ)
続く28分も、GK糸原からの繋ぎでフィニッシュまで辿り着き、世瀬がミドルシュート。(GK大西セーブ)
前半から、大西が居なければ何点取られたか判らないような展開を強いられる八戸。

専守だけでは埒が明かない八戸は、次第にボールを握る時間を作る(強いられる)なか、右センターバックの加藤が攻撃に絡み出し。
この辺りは石崎信弘監督のチームらしく、前年まで富山を率いていた際の柳下を彷彿とさせる攻めの形。

しかし主体的な攻撃の意思を見せる八戸を襲ったのは、ビルドアップを遮断されての逆襲というシーン。
40分に世瀬のパスカットで中盤からのショートカウンター、重松が中央でポストワークを果たしてエリア内右へ繋ぎ。
上がって受けた石井が切り返しからシュートするも、蓑田がスライディングで何とかブロック。
45分にも東條のボール奪取から素早くエリア内へ運ぶ鳥取、今度は田村がエリア内右からシュートを放つも枠を捉えられず。
目も当てられないといったシーンが続いた末に、突入したアディショナルタイムでも鳥取が好機。
今度はポゼッションで、左サイドで数多パスを続けた末に右へと素早く展開、石井のクロスを大久保がヘディングシュート。(GK大西キャッチ)

このままでは何も好材料を持てずにハーフタイムを迎える八戸。
しかしその直後に好機が訪れ、切欠は妹尾のドリブルからのシュート。
ブロックで防がれるも、右サイドで拾った國分からクロスが上がり、ニアサイドで宮本が擦らすようにヘディングシュート。
これがゴール左へと突き刺さり、苦境の中放った一矢が希望を齎しました。
1点差となり、直後の鳥取のキックオフはロングボールを左奥ピッチ外へと蹴り出す選択が取られた末に前半終了。

そしてHT、八戸は交代を敢行。
リベロの近石を退かせ饗庭を投入、蓑田がリベロに回るという具合に最終ラインを弄ってきた石崎監督。
なお饗庭は元秋田(前JFL・高知ユナイテッドSC)ですが、そこで出番は無かったためこれがJリーグデビューとなりました。

鳥取のキックオフで始まるも、またもや左サイド奥へ蹴り出すという選択を採り。
そこからスローインの攻防、という戦略を描いていたと思われますが、傍らからでは消極的にも映りました。(以降2度キックオフがあったが全てこの立ち回り)

そんな相手の姿勢もあり、前半終わり際の得点で力を得たか、八戸がプレッシングを強める守備意識へとシフトした後半。
布陣的には、相田がボランチへと回る3-4-2-1(妹尾が右シャドー)へとシフトしたと思われますが、シャドーが前目の5-2-3という守備体系。
前掛かりという言葉がピッタリな陣形ですが、GK糸原にまで果敢にプレッシャーを掛けていき、鳥取のビルドアップを乱していきその効果は抜群となります。

ペースを奪った八戸、これによりようやく活躍の下地が出来上がったと言わんばかりに妹尾が跳梁。
後半5分スローインの繋ぎからの右サイドからのクロスは跳ね返されるも、中央で拾って攻撃継続、稲積の縦パスを前澤がスルーしてエリア内へ。
受けた相田がディフェンスにこぼされた所を妹尾がシュート。(ブロック)
7分には中盤でのパスカットから素早く前進、妹尾が中央から斜めのドリブルでエリア内左を突いてシュート(GK糸原キャッチ)と、着実に古巣へ活躍を見せ付けていきます。

流れを切りたい鳥取、9分に早くもベンチが動き東條→小澤へと交代。
突破力旺盛な選手を入れて対抗せんとしたでしょうか。

しかしそれは果たされず、15分ついにその時が訪れます。
蓑田のラフなロングパスを宮本が収めにいき、足下にこぼれた所をすかさずエリア内右へスルーパス。
これを走り込んで受けた妹尾、その勢いのまま奥へと進みシュート。
角度の少ない所ながらも、ボールはGK糸原の股を抜いてゴールに吸い込まれ。
見事に恩返し弾という目的に辿り着いた妹尾により、同点に追い付いた八戸。

その後も攻勢を続ける八戸。
しかしそれにより、前半あれだけ押し込まれたという事実を何処かに置き去りにしてしまったでしょうか。
19分の鳥取はGK糸原のロングフィードからの攻撃、大久保は収めきれずも、カバーした重松がエリア内へスルーパス。
田村がGKと一対一となるシーンを作り上げ、その期待に応えてワントラップでGK大西を左へかわした末にシュートを放った田村。
八戸の上げ潮も束の間、というような勝ち越し点が鳥取に入りました。
直後に鳥取は、大久保・普光院→澤上・富樫へと2枚替え。

再びリードしたものの、後半は圧され気味の鳥取。
もう1点取って安堵したいという気持ちは当然であり、22分に小澤が左サイドをドリブルで奥を突いたのちにカットインでそのチャンスが。
左ポケット奥からマイナスのクロス(というより殆どバックパスに近い)を送り、後方で澤上が合わせシュートと、交代選手の躍動でそれを果たさんとしますがGK大西に防がれ。

一方またも追い付くためのサッカーを余儀なくされる八戸。
その途中でアクシデントに見舞われ、26分加藤が筋肉系トラブルを発生してしまったらしく続行不能となり、担架で運ばれる事態に。
交代準備をする間、山田が最終ラインへと降り、饗庭が左サイドバックに回っての4-4-1で凌ぐ体勢を採ります。

28分に再び小澤がカットインでエリア内を掻き回さんとし。
それを切った八戸、クリアした蓑田が富樫のアフターチャージを受けて反則(富樫に警告)と、鳥取の前へのベクトルを何とか防ぎます。
そして29分に加藤と併せて3枚替えを敢行。(加藤・宮本・妹尾→丹羽・佐々木・佐藤)
これにより3-4-2-1へと布陣が戻り、山田がリベロを務める事で相田・前澤のドイスボランチに。

数的有利の時間が終わっても、鳥取の前掛かりな姿勢は変わる風は無く。(31分に直接フリーキックの好機を得るも、キッカー重松のシュートは枠外)
これが勝負の分かれ目となったでしょうか、33分に右サイドから攻め上がる八戸に対し、放たれるスルーパスを前に出てブロックという形で防ぐ鳥取。
しかしこぼれ球を尚も繋ぐ八戸、佐々木のダイレクトでのスルーパスが裏に送られると、佐藤がオフサイドポジションに。
これに鳥取サイドは一瞬緩んでしまったか、スルーする佐藤を尻目にエリア内へ走り込む相田、先んじて抑えにいったGK糸原が伸ばした手に引っ掛かる形で倒れ。
たまらず反則を告げる笛が鳴り響き、当然PKの運びとなり同点のチャンスを得た八戸。
キッカーは代わって入った佐々木が務め、威力を重視してのシュートをゴール右へとキッチリ突き刺します。
再び追いついた八戸、スコアは乱打戦というべき3-3に。

そしてまたもキックオフでボールを捨てる選択をする鳥取。
しかし今度は、八戸のスローインのボールを奪う形で実らせて攻撃権を得ます。
37分には右サイドで細かく繋ぎ、ポケットを伺いつつパスを回したのち石井がクロス。
これをファーで小澤がヘディングシュートに持っていきますが、ゴールバー上部に当たっての枠外となり惜しくも逃します。

しかしペースを握らせない八戸、39分にこちらも絶好機。
右からクロス→クリア→左手前からクロス→クリアを経て、跳ね返りをダイレクトで前澤が縦パスを送り、トラップした相田が落とし。
収めた佐々木とスイッチする形で、再度ボールに向かった相田がシュートにいきましたが、GK糸原が前に出てのセーブに阻まれ勝ち越しならず。

乱打戦に相応しい、決定機の交錯を経てペースを掴んだのは八戸。
鳥取の前進を中盤で遮断する場面を頻発させ、ゴールに迫る流れに。
そこからはモノに出来ずも、迎えたATでは押し込みの末にセットプレー攻勢に持ち込み。
乱戦をセットプレーの一発で締める、という胸すく展開を作り上げたかったですが、こちらも実らず。

すると最後に鳥取がカウンター気味に脅かしに掛かります。
GK糸原のロングフィード一本で、裏に小澤が走り込む所を國分がクリアミス。
まさかの大ピンチかと思われましたが、その國分の足に引っ掛かる形で倒れてしまった小澤、しかも反則無しという判定に終わり。

いきり立たざるを得ない鳥取、尚もラストプレーで好機。
先程判定に泣かされた小澤が中盤でボール奪取、そのままドリブルで左サイド奥を突いたのちにカットイン、左ポケットに入り込み。
しかし稲積に倒されると、またも主審の笛は吹かれずに終わってしまいます。
そしてクリアされて笛が鳴り響きましたが、それは試合終了を告げるものでした。

序盤の攻勢からの複数得点、後半一転しての劣勢に、過去の同僚の活躍が交っての同点劇。
それを突き放すも、今度はPKで追い付かれ、逆に自身にPKは与えられず……といったイベント満載の試合となった鳥取。
しかし引き分けで勝ち点1という事実は変わらず。
これで3連続引き分けで足止めを喰らう形となりましたが、目標の昇格に向けて、出入りの激しい試合に終止符を打てるかどうか。


DAZN観戦 2023年J3リーグ第5節 福島ユナイテッドFCvsいわてグルージャ盛岡

2023-04-07 18:18:29 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

続々とJ2昇格するクラブが現れ、今やJ3の側が少数派となってしまった東北勢。
その中でも福島は、J3発足当初からのクラブであるにも拘わらず、昇格の縁が無いという立場になりました。

対戦相手の岩手は前年の1年のみですがJ2を経験。
昇格→降格という経緯を歩み酸いも甘いも知り、それを還元すべく監督の秋田豊氏が社長へ転身するという荒業を使ってきたオフ。
空いた監督業を受け継いだのは松原良香氏で、現役時代の南米でのプレーを指導者歴に生かさんとしている人物。
前年までは大学講師としてその研究に勤しむという変わり種の人材であり、ここに来てJリーグの監督へ移行(一応、2015年に相模原で3試合のみ指揮の経験あり)と、ここからどんな歩みを見せるか興味津々といった感じでしょうか。
しかしこの日は悪い意味で目立つ事となってしまいました。

キックオフから中々ボールが落ち着かない状況が続き。
福島はその中で何とか攻め込まんとするも、岩手の速いプレッシングの前にその攻撃は殆ど形にならず。
数多の選手が移籍でチームを去ったとはいえ、この日は前年J2を経験した選手がセンターラインならびに前線に揃って起用されていた岩手。
修羅場を体験した事が、強度の違いに明確に表れる格好となり。

そうしてペースを手繰り寄せ、好機を作り始める岩手。
そのビルドアップはボランチを1人降ろし、最終ラインを3枚にしたうえでサイドバックを高く上げるという定型の形。
しかしこのクラブには宮市・クリスティアーノ(ないしはこの日ベンチスタートのドウグラス・オリベイラ)狙いのロングボールという手段があり、入りからそれを散々見せた事で、繋ぐのも容易となります。

前半9分、藤村のミドルシュートがブロックされたのち、福島の攻撃を切って再度作り直しとなった岩手。
仕切り直し直後でボランチの降りが無いと踏んだ福島サイドは、すかさず2トップがセンターバックにプレスを掛けるも、GK丹野が前に出てビルドアップをカバーする事でそれをかわし。
そして甲斐のミドルパスを降りて受けにいったクリスティアーノ、ダイレクトでのスルーパスを選択して右サイドで石田が抜け出す局面を作ります。
石田の中央へと向かうドリブルはディフェンスに遭うも、エリア内へこぼれたボールを宮市がポストプレイで繋ぎ、すかさず石田が反応してシュート。
プレッシングを見事に逆手に取る形で、先制点に辿り着きました。

序盤の失点で色を失う、という形となった福島。
気を取り直し、こちらも最終ラインからの繋ぎをメインとして反撃体制を作ります。
こちらのビルドアップは殆ど可変を行わず、せいぜいアンカー上畑の脇でシャドーが降りてきてボールを受けるぐらい。

対する岩手、先制したのちはアンカーを常時クリスティアーノがチェックしてミドルプレス、というぐらいの前線の守備意識。
15分、大武がそのクリスティアーノに付かれている上畑にパスを送り、虚を突かれた格好となったクリスティアーノを上畑が剥がし。(その後ロングパスを送るも三木には繋がらず)
後方の選手が多少無理をしてでも運ぶ事で、プレッシングが控えめとなった岩手の隙を突かんとしていたでしょうか。

しかしその意に反して、立ち上がりの岩手の圧力を受けていた影響か、中々歩が進まないCB。
特にスペースがあるにも拘わらずドリブルを選択しない雪江に対し、監督の服部年宏氏から「運べよ」という檄が目立ち。
また全体的に勝負のパスが早く、浅めの位置で送るスルーパスが悉く岩手ディフェンスにカットされる事で、中々好機を生み出すに至りません。

そんな中で24分に事件の伏線となる一幕が生まれ、GKからのビルドアップでアタッキングサードを窺う福島。
しかし右ポケットを突くスルーパスは、走り込む古林に対し新保が蓋をして攻撃終了となり。
ボールがラインを割るかどうかというタイミングで主審(友政利貴氏)の笛が鳴り、(古林の)反則かと思われましたが、何故かGK丹野がボールを持った状態で試合再開となります。
ドロップボールだとしたら、何故……と首を傾げるシーンとなります。

自分としては以前(2年前の試合)にこうしたJ3の試合における審判のコントロール能力の無さを目にしたこともあり、試合画面を見ている側としたら「まあ仕方無いか」で済んだでしょうが、済まなかったのが岩手ベンチ。
当然ながらこれに異議を飛ばしていた監督の松原氏、フラストレーションを溜める事となっていたのでしょう。

その後30分に、再び福島の攻撃が切れたというタイミングで、画面外で何かを蹴ったような大きな音が響き。
それでも試合が継続され、福島がビルドアップを敢行する中、今度は松原氏らしき「何らかの暴挙を行い(審判に対して)弁明する」というようなニュアンスの声が上がります。
そして試合が止まると、主審の長い笛が鳴り響き、ピッチ脇の松原氏に対して警告を突き出し。
しかしそれでは終わらず、他の審判から何があったのかを無線で聞かされた主審は、処分を変えて赤い紙を突き出します。
つまりは退席処分であり、前半半ばで早くも指揮権を取り上げられてしまった松原氏。(その後の放送席の談から、ペットボトルを蹴ったとの事)
その後監督としての役割は金成勇(キムソンヨン)ヘッドコーチが務める事となりましたが、ピッチ上の岩手選手としては、突然の出来事に混乱を収めるのに趣を置く事を強いられます。

そんな相手の隙を突きたい福島ですが、その後も攻めの調子は変えられず。
ショートパス主体のビルドアップから、中盤辺りでスルーパスを狙うという攻撃は変えるは無く、それにより結果も不変。
フィニッシュに辿り着く事はままならないまま終盤を迎え。
41分に岩手が縦パスを降りて受けたクリスティアーノのスリップでボールロスト、こぼれ球を雪江がすかさず縦パスして攻守逆転。
受けた長野がドリブルでバイタルを突き、ペナルティアークからシュートを放ったもののGK丹野がキャッチ。
ここから潮目が変わり(転んだ際にクリスティアーノが足を痛める)、以降前半終了までに3本シュートを放つ福島。
45分に初のCKを得るという具合に、ようやく本格的に押し込みに入った、いや入れたと言った方が正しいでしょうか。

それでもスコアは動く事無く、0-1で迎えた後半戦。
ハーフタイムで1枚交代を敢行した福島、粟野→吉永へと代えて臨みます。

監督を失ってのプレーを強いられた岩手ですが、HTが挟まれた事で意思統一された感があり。
後半1分に新保のアバウトな蹴り出しから好機を作り、敵陣で溜めを作って石田が右サイドからクロス。
これをファーでクリスティアーノがヘディングシュート、ループでGKを越える軌道となるも、惜しくもゴール上へと外れ。

7分には福島の攻撃、後方から雪江がミドルシュートを放つもブロックされ、これを拾った岩手がカウンターに持ち込み。
左サイドで溜めを作ったクリスティアーノから、上がってきてパスを受けた藤村がエリア内を突いてシュート。(枠外)
しっかりと守備を固めてカウンターに徹し、自発的な攻撃はロングボール主体、といった感じとなったでしょうか。
また前半に足を痛めたクリスティアーノを、10分という速い段階で退かせてドウグラスを投入します。(同時に中村→松原へと交代、松原がボランチに入り2列目は右から宮市・和田・藤村に)

そんな岩手の状況から、ボールを握っての攻撃に活路を見出すしかなくなった福島。
前半は尻すぼみだった左右CBの攻撃参加も目立ち、人数を掛けて崩さんとします。
サイドでCB・ウイングバック・シャドーによるトライアングルを形成しながら、ショートパスを繋いで隙を伺う体制に活路を見出し。

しかしやはり(J3では)屈強な岩手の守備陣を崩すには至らず。
時折挟まれる、「岩手の選手が倒れるもノーファール」というシーンに、フラストレーションを与えるに留まり中々攻撃権を確保出来ません。
それでも16分にCKを得たというタイミングで、その影響か17分に異議?で田代が警告を受けるシーンもあり。
直後のCKではサインプレーを選択し、遠目から小林のボレーシュートで隙を突いたものの、これもブロックに阻まれ崩れず。

それでもこのブロックの際に石田が腹部を痛める等、アクシデントが常時付き纏うこの日の岩手。
担架で運ばれる事態となった石田、一旦はピッチに復帰しプレーを続けたものの、23分に再度倒れ込んで続行不可能となってしまい。
桐へと交代し、宮市がスクランブル的に右SBに回る事となりました。
その直後(25分)に福島も、三木→延へと交代。

相変わらず、スローインの判定などを巡って岩手サイドの異議が目立つ状況の中、強引に押し込みを果たす福島。
30分にCKを得ますが、クロスの跳ね返りを拾った上畑が左サイドへ展開するも、あろう事かコース上に居た主審に当たってしまい攻撃が途切れる事となり。(その後ドロップボールも一旦戻して作り直しを強いられる)
難儀なシーンを演出し続けてしまったこの日の主審。

それでもホームでこのまま終わる訳にはいかない福島。
32分に人数を掛けてパスワークで前進、延が右ポケット奥を突くシーンを作り上げ。
このマイナスのクロスはクリアされるも、ワイドで拾った古林がさらにカットインを仕掛けた所、新保に引っ掛けられて反則・フリーキックに。
角度の小さい所でのFKでしたが、キッカー宮崎はクロスと見せかけてゴール左を襲うボールを入れ、GK丹野がパンチングでセーブと脅かします。

しかしこれが限界だったのか、すぐに岩手がペースを握り返し。
やり返すように右サイドを前進し、桐のエリア内へのスルーパスに走り込んだ和田がシュート、ブロックに防がれてCKに。
ここからCKが連続し、37分の2本目のCKでは、先程の福島と同様にサインプレー。
エリア外に高く上がったクロスを、遠目から藤村がボレーシュートと変化を付けるも、ブロックに遭い福島がカウンターの体勢に。
しかしここから、フィニッシュした藤村が素早い戻りでカバー、浮き球を収めた長野に対しスライディングでボールを奪う事に成功します。
そして拾った田代が再び最前線へミドルパスを送るという、福島のポジトラを完全に突いた形になると、収めた和田がエリア内を突いてシュート。
ゴールネットを揺らし、目論見通りのカウンターで貴重な追加点を挙げた岩手。

キックオフの前に2枚替え、塩浜・宮崎→森・清田へと交代した福島。
そのキックオフからの攻め(39分)で、例によって右サイドでショートパスの連続による前進、古林のクロスへと繋げ。
クリアされたボールを後方から鈴がミドルシュートを放ち、ゴールを襲ったもののGK丹野が何とかセーブして右ゴールポストに当たり。
その跳ね返りを清田が詰めたものの、シュートはバウンドして枠外となり、ゴールに肉薄したものの結局決められず。

結局これが最も得点に近付いたシーンとなり、以降も地道にショートパス主体で攻め込むものの、好機が訪れない福島。
それを尻目に、40分に最後の交代を敢行する(藤村・新保→オタボー・李栄直、松原が左SBへ)など着実に逃げ切りを図る岩手。

アディショナルタイムに突入し、逆に岩手が敵陣深めでのボール奪取から好機。
左サイド奥での繋ぎから中央へ展開、宮市がミドルシュートを放つもブロックに当たり枠外に。
その後のCKで、クロスをキャッチしたGK山本のスローからカウンターに持ち込み(シュートまでは行けず)、リードされている側がカウンターという逆転現象が起こる珍妙な展開も生まれます。

結局最後までゴールに辿り着けなかったホームの福島。
0-2で勝利を挙げた岩手、判定面に悩まされながらも勝ち点3をしっかりと得た辺り、J2を経験して間も無いクラブの真価が見られたでしょうか。


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