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ぶらりドリブルの旅

ひたすらサッカー観戦がメイン

DAZN観戦 2024年J3リーグ第23節 奈良クラブvsアスルクラロ沼津

2024-07-30 16:01:38 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

  • 奈良は夏バージョンのユニフォームで、メインカラーを青から「金色の装飾を施したブラック(放送席の談)」へ変更したものを着用。

攻撃時4-3-3・守備時4-4-2という基本システムの下、ポゼッションを重視するチーム同士の対決という好カード。
しかしこの日の奈良のホーム(ロートフィールド奈良)は、夜でも気温36度と高いままのコンディションで、果たしてどれだけ長所を発揮できるかどうか試される試合となりました。

ポジションの流動性の高い沼津が先に主導権を握りにいく展開に。
前半2分に最後方から中村が持ち運び、右ワイドの安在が一度パスを受けて戻すや最前線へと上がり、附木のロングパスへと走りこみ。
附木のフィードも低い弾道のもので、目線を釣ってから素早く裏を突くという意図が強く出た攻撃となり、その後ダイレクトで入れられたグラウンダーのクロスはニアの和田には僅かに合わず(堀内を倒してしまい反則で終了)と際どいものとなります。

その後奈良も5分、同じく最後方からの組み立てで幅を広く取るセンターバック。
その間で堀内→鈴木大への浮き球パスでプレッシャーをかわし、鈴木大がすかさず裏へロングパスを送ると、綺麗に裏を取った神垣がエリア内を突く決定機へと繋がり。
そして放たれたシュートがゴール右へと突き刺さり、意外にもロングボールによる攻撃の交錯でスコアが動く事となりました。

両チームとも守備面では前線からのプレッシングが主体も、この暑さもあり常時ハイプレスの姿勢は取り辛く。
そこでミドルプレス主体で、かつコンパクトな布陣を取る事で前進を阻みにいく守備隊形ですが、ともにその裏を突く事による崩しを初手に選び。
そしてボックス内での好機に繋がり、奈良の方は先制点を挙げる運びにもなり。

出会い頭といった失点を喫した沼津、改めてボールを握って反撃体制を取り。
それは本腰を入れて地上での繋ぎで、奈良の守備隊形を崩しに掛かるものであり。
9分、中央で中村縦パス→和田ポストプレイから中盤トライアングルでの保持に入った所、菅井が神垣の喰い付きを受けて倒されるも濱が縦パスを送って継続。
持井を経由して鈴木拳が左ワイドを運ぶ状況となり、アーリークロス気味にゴール前へスルーパスを送った所に、和田が足から跳び込むもこれも僅かに合わず終わります。

ミドルプレスの姿勢でも、相手がバックパスした際にはすかさずハイプレスに切り替えるのは日常茶飯事であり。
しかし奈良の前線はそこが今一つな風に見え、沼津の可変システムもあり規制がままならずという状況に。
それ故沼津の方も前節(岐阜戦、2-1)から、安在がボランチの立ち位置を取る絵図の割合を増やす事で、(ポジション的に相対する事となる)岡田優の対応を悩ませに掛かっていたでしょうか。

安在が残る分、逆サイドの濱が上がる状況を増やして攻める沼津。
附木の後方からのロングパスを最前線で受けて好機に持ち込まんとする濱ですが、オフサイドを取られる(18分)などして実にならず。

一方の奈良も、最後方からのボール保持の時間を増やす、リードしている側らしく攻撃・守備双方で役立てる姿勢。
こちらは右に長身の生駒(山口→いわきの生駒仁の弟)が居る、SBがややアンバランスな布陣の通り、下川を前に出した左肩上がりが基本となり。
しかしWG(主に生駒に相対する鈴木拳)も加わる沼津のハイプレスに苦戦気味となり。
23分には中盤での奪い合いを経てボールを確保するも、作り直しを選択するバックパスに鈴木大が反応できず、津久井に拾われてショートカウンターの危機に。
そのまま左ポケットから一気にゴールに迫った津久井ですが、GK岡田慎が前に出て撃たれる前に何とか防ぎます。

飲水タイムが挟まれ(23分)、沼津のボール保持の時間が強まる展開に。
安在の特徴ある動きを利用する攻めへと切り替え、右サイドから好機を作っていきます。
27分に奈良のスローインを左サイドでカットし、中央で津久井のドリブルを挟んで右ワイドから安在がクロス。(ブロックされ、拾い直し再度クロスもまたもブロック)
これを機に、津久井と頻繁に入れ替わりながらワイドを抉りに掛かり。
33分には後方からボランチの位置で右へ展開した安在、そのままパス&ゴーで津久井のスルーパスに走り込んでワイドからクロスを上げる役割へ。
クリアボールが真上へ上がり、GK岡田慎がパンチングで跳ね返したボールを持井がボレーシュートにいくもミート出来ずと、同点への機運を高め。

そして38分、再びボランチの位置で中村のパスを受けた安在ですが、今度は戻しを経て中村が左へ展開と逆サイドから攻め。
附木縦パス→鈴木拳入れ替わりからドリブルと素早く縦を運び、入れられたグラウンダーのクロスを徳永がスルー。
その奥でシュートしたのは津久井で豪快にゴール左へと突き刺し、流れるような前進を経て同点弾を生み出しました。

第2クォーターでは殆ど好機を生み出せない状況に陥っていた奈良。
振り出しに戻されると、39分に生駒が一気に裏を突くロングパスと立ち上がりの姿勢へと立ち帰り。
中央で岡田優が走り込むも前に出たGK武者がヘッドでクリアと、当然ながら先制点のような一本での決定機は望めない状態に。

一方沼津も同様に同点となった事でロングパスの割合を増やし、43分にはGK武者ロングフィード→鈴木拳フリックで左サイド奥を突き、走り込む和田の手前で何とかクリアして凌ぐ奈良。
こちらの方は未だ有効といった風で、アディショナルタイムにも中村がロングパスで一気に右ポケットを突き、走り込む和田に対し堀内が必死に対応。
蓋をするも奥で和田が縺れ合った末に奪い返し、決定機かと思われましたが和田の反則となって終了となり。
結局1-1のまま前半終了となりましたが、全体として守備対応の面で奈良は厳しそうな印象を受け。
42分にはボールキープする濱に対し田村が腕で倒してしまい、濱がヒートアップという絵図になるなど、腕を使って反則ギリギリのディフェンスを強いられる状況が目立っていました。

それ故かハーフタイムで動きを見せ、グスタフソン→百田へと交代して後半に臨んだ奈良。
前線の規制をもっと強め、そうした守備への負担を減らすべくの采配だったでしょうか。

しかし後半2分、沼津は左ワイドで附木のロングパスが和田に通り、スイッチを経て持井がポケットへ持ち運び。
この位置でのキープから戻し、徳永がダイレクトでシュートするも鈴木大がブロック、しかし跳ね返りを安在が拾ってさらにシュートと追撃。
これも下川がブロックするも、さらに安在が右へ叩いて継続し、津久井がカットインを経てミドルシュート(枠外)と3連撃。
この好機により、後半も沼津ペースへと流れが固定化し。

奈良はサイドからの運び、それも下川のドリブル(4分)や、後方から一気のスルーパス(6分)と中盤省略気味の好機に限定化され。
沼津のプレッシャーもあり、中々中央を使えずという攻撃面でも劣勢感を醸し出してしまい。

そして迎えた7分、沼津はGK武者ロングフィード→跳ね返りを拾った津久井から左へ展開すると、濱・鈴木健・持井のトライアングルから濱のドリブルで抜け出し。
そのまま左ポケット奥まで持ち運んでクロスが入り、ブロックを掠めるもニアで和田が受け、ディフェンスに遭い混戦となるもシュートは撃てず。
しかしクリアボールを回収して再び最後方から作り直し、中村のロングパスにより奈良が前に出た所を突く格好になり堂々巡り。
今度は津久井が右奥でボールキープ、クロスでは無く小さな浮き球でポケットを突く選択を採ると、走り込んだ徳永がディフェンスに遭うも再び混戦に。
そして中央で持井が鈴木拳のレイオフを挟み、ディフェンスを左にかわしてシュート。
鈴木拳に蓋をされるという形でかわされた生駒が必死についていきブロックするも、ディフレクションでゴール右へ吸い込まれる結果となります。
好循環そのままに、逆転を果たした沼津。

度重なる連撃で傷付いたという奈良、まずは反撃体制を作らなければならない状況に。
11分にGK武者のフィードを跳ね返し、中島が確保してからの攻撃、ここで中央からの持ち運びを選択する中島。
沼津のネガトラもあり空いていた事が幸いし、持ち運び→國武とのワンツーを経てバイタルを突き、左ポケットへのスルーパスを岡田優が奥で受ける(切り返した所をこぼされてコーナーに)という具合にようやく有効打。
するとこの左CKの前にベンチがさらに動き、國武→山本へと交代。
キッカー中島のクロスが跳ね返されてからの二次攻撃で、堀内が後方からエリア内へ放り込み、生駒のフリックしたボールがディフェンスに当たってこぼれ。
そこへすかさず反応した百田がボレーシュートを放ちましたが、枠を捉えられず。

グスタフソンの高さが無くなった所を山本で補うといった奈良の采配ですが、際立った成果は挙げられず。
17分に右ワイド後方から生駒が斜めの縦パス→中央で百田フリック→山本1タッチで右裏へミドルパスと、ここも中央経由で素早く運んだもののフィニッシュには繋がらず。
好機は作るものの良好とはいえず、その間にも沼津のサイド攻撃に脅かされるの連続。
変幻自在なポジションチェンジを繰り返されては、掴まえるのに難儀、構えても縦パスで間を通される「どちらに転んでも地獄」という対応を強いられます。

そんななか沼津もカードを切る段階となり18分、初手は前節同様に津久井→齋藤。
鈴木拳が右に回るという定石を描きます。
すると奈良もすかさず動き19分、生駒・田村→吉村・嫁阪へと2枚替え。
右サイドの選手を揃って交代してきました。

より純粋なSBに代わったとあり、以降中盤の選手が降りての最終ライン3枚、という色が強まる奈良のビルドアップ。
これで両SBを高い位置へと押し上げる狙いは明らかでしたが、相変わらずの前線の圧力により中々果たす事が出来ず。
23分の沼津、右サイド中心のパスワークによる攻めが途切れたのち、奈良の後方からの縦パスを菅井がカットして再度攻撃。
その流れで齋藤も右側に位置してパスを受けるという状況から、逆サイドへ展開しての前進で、濱の持ち運びから再度パスを受けた齋藤が左ポケットへ進入。
そして入れられたクロスをニアで持井が合わせヘディングシュート、堀内がブロックするもループの軌道でゴールに向かい、「またディフレクションでのゴールか?」と思わせたもののGK岡田慎が何とかセーブ。
テコ入れはしたものの、やはりSBの質の差はどうにもならないという攻防。

24分に飲水タイムが挟まれた後も同様で、依然として奈良はSBが低い位置でパスを受けるも前進出来ないという状況を打開できず。
そのSBでの優位性を以降も発揮する沼津、28分には最終ラインで奈良のプレッシャーを引き寄せると、安在がワントラップで岡田優を鮮やかに剥がしてから前進。
そして縦パスを受けた鈴木拳が右ポケットへスルーパスと、素早く運んだ末に走り込んだ和田がシュート(鈴木大がブロックしてCKに)と、前掛かりにならざるを得ない相手を逆手に取る攻めで脅かします。
直後の29分、たった今攻めに絡んだ鈴木拳・和田に代え、ベテランの染矢・川又を投入。

そして沼津の右CKで再開し、その二次攻撃で中村ロングパス→川又フリックでゴール前を突きに掛かり。
更に附木によりスペースへ落とされ、走り込む菅井と抑えにいったGK岡田慎が交錯するという息を呑むシーンが生まれてしまいます。
岡田慎が先にボールを抑えたため反則で終了となりましたが、長らく倒れ込んだ岡田慎により慌ただしくなる奈良ベンチ。
幸い無事に継続した岡田慎ですが、再開直後にはよりによって深めで川又にボール奪取されてしまう(その後染矢が奥からクロスもGK岡田慎が抑える)など、動揺を隠せません。

何とか気を取り直すも、SBが上がれずに巧く繋がらず、遠目からのクロスへと傾倒していく奈良の攻撃。
38分その右からの鈴木大のクロスが流れた所、左奥で岡田優が拾って継続と何とか形にし、岡田優のクロスもクリアされましたがさらに拾い継続。
そして左ポケットで(堀内の)スルーパスに走り込む岡田優という、ポイントゲッターにようやく訪れた好機の絵図となりましたが、安在の反則気味のアタックで倒されて(笛は鳴らず)モノになりません。
直後に沼津は徳永が足を攣らせた事で、最後の交代を敢行。(徳永・持井→沼田・遠山)
奈良もそれに合わせ、中島→森田と最後のカードを切りました。

43分、沼津はロングフィードの跳ね返りを川又が落とし、拾った染矢が切り込むという手数の少ない好機。
しかし体力的に衰えていく強度の中それは最大の武器であり、ラストパスを受けた遠山のシュートがブロックされるもCKで継続。
そしてキッカー齋藤のクロスが上がると、マンツーマンで付く奈良ディフェンスを力で剥がした沼田がヘディングシュートでゴールネットを揺らします。
土壇場で得た追加点で、久々の連勝へ加速する沼津。

2点差で迎えたAT。
奈良も諦めずに攻め込むものの、攻撃が途切れると相変わらず沼津の運ぶ力が、今度は逃げきりに向けて脅威となる状況に。
安在・染矢・遠山のラインで右サイドを繋がれ、時間を使われる苦しい展開を強いられます。

安易なパワープレイには出ないという、ポゼッションスタイルらしい選択を採ったものの、(途切れると沼津のキープの機会を増やすため)逆にそれが奏功した感があり。
何とか沼津の攻撃を切って最終ラインでの保持から、神垣縦パス→山本フリックで一気に前線に渡ると、岡田優がドリブルで左ポケットを突き。
ポイントゲッターの彼が綺麗にチャンスエリアを取る形をようやく作った末にシュートが放たれ、GK武者が足でセーブした跳ね返りを百田が詰めてゴールゲット。
1点差に詰め寄り、時間が少ないながらも望みを繋ぐ奈良。

そしてその通りに尚も攻め上がり、それを防いだ沼津の縦パスを堀内がカットして更に後方から押し上げ。
そして中央を嫁阪がドリブルに入った所、かわした染矢に引っ掛かって倒れる形となって反則。
丁度目安時間が尽きるという所で得た直接フリーキック。
ほぼ最後の攻防という事で、沼津サイドも壁構築に注入し、対する奈良サイドは幅広く選手を配置して跳ね返りを詰められる体勢に。
そして放たれたキッカー嫁阪のシュートは、壁の下を抜くボールでゴールを襲い。
これをGK武者はキャッチにいき、弾いたボールが尚もゴール方向へと転がりますが、ラインを割るかどうかという所で何とか抑えた武者。
画面からは良く見えない位置であり、相当に際どいものだったらしく、ラインを越えたとして奈良サイドは猛抗議。
スタンドからも「入ってる」という怒号が上がりますが、結局ゴールとはならず、その異議を押し留めるべく試合を止める事となった審判団。
そして副産物として、まずはオリオールコーチ、そして尚も収まらずというフリアン監督に警告が付き出される結果に終わりました。
(しかし何故かドロップボールで無くゴールキックでの再開となったのは頂けず)

結局再開直後に試合終了の笛が鳴り。
しこりを残したものの、2-3で沼津が勝利と、同タイプのクラブの対決を制した事で勢いが付けられるでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J3リーグ第23節 カターレ富山vsAC長野パルセイロ

2024-07-29 16:00:16 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

  • 富山は夏バージョンのユニフォーム、という事で赤が強く出たカラーに。

上位カテゴリの中断期間による空白を埋めた功労者であるJ3も、今節を持って中断に入り。
目下7戦無敗・5戦連続無失点と、上昇機運がハッキリしているホームの富山は、それを維持して良い気分でブレイクする事が出来るかという一戦となりました。

そんな好調な相手に対し、6戦未勝利という真逆のような立場の長野は立ち上がりから、それを阻まんとハイテンションで挑み。
相手サイドバックに対し、ウイングバックが果敢に規制を掛けにいくというハイプレスの姿勢で、その順風なペースを乱さんと試みます。

前半4分、富山はGK田川からの組み立てで、右から前進の姿勢をとるや例に漏れず西矢に対して田中が前に出る長野。
しかしその規制が遅れたためにその裏を取り、末木→高橋馨レイオフ→末木1タッチパスから中央→左と逆サイドへ展開し好機を生み出した富山。(安光が左ポケットへ切り込んでクロス気味にシュート、ゴール右へ外れる)
プレスの間に位置取るボランチへのパス出しが絶妙で、奪われる事無く繋いでいく富山の前に、その姿勢は実る事無く時間を潰していきます。

一方長野の主体的な攻撃は、元々ハイプレス嗜好が強めの富山を相手にしては苦戦必至という戦前の勝手な予想。
8分、ボランチの高橋耕にパスを送った所それに引っ掛かってこぼれるも、近藤が繋いで前進を果たし。
三田フリック→山中キープで中央で溜めを作った末に左へ展開、田中が持ち運んで上げたクロスを浮田が合わせヘディングシュート。
GK田川がセーブと際どいフィニッシュを生み出します。
いくら富山といえど、真夏の気候+3バックvs2トップという悪条件が重なれば、そのプレッシングも抑え気味にならざるを得ず。
一応サイドハーフが前に出て前線3枚の体勢も、多くはミドルプレスの姿勢で構える時間が長くなりました。

そんな双方の状態から、何処と無く「ハイプレスに出た方の負け」な展開に。
当然ながら、正直に前から奪わんとして果たせずという長野の方が狼狽激しい状態となり、13分にロングパスを収めた碓井聖に対し杉井がスライディングでボールをこぼすもあろう事か逆方向に転がる絶妙なスルーパスと化してしまい。
拾い直した碓井聖がドリブル、右ハーフレーン・エリア手前で切り返してクロス(フィニッシュには繋がらず)という具合に、相手ディフェンスのバタつきに対し労せずして薄い部分を突けるようになる富山。

そして続く14分、ここも碓井聖を狙ったロングパスを先んじて池ヶ谷がカットするも、収められず碓井聖に奪い返されるという事態に。
奪取地点は既に左サイド奥で、すかさずグラウンダーでクロスを送った碓井聖、中央で合わせにいった高橋馨の足下でスライディングでカットに入る杉井。
それ自体は成功するも、こぼれ球が左腕に当たったとされてハンドを取られ、与PKとなってしまいます。
かなり微妙な判定でのPK故か、心を落ち着ける時間をやや長く取って蹴りにいったキッカーのキャプテン吉平。
ゴール右へ蹴り込み、反応したGK金に触れられるも無事にゴールゲット。
やや不可解な判定ながらも、流れ的には順風といった先制点を挙げた富山。

スコアが動いた事で、その通りに富山へとペースが固定され。
18分、鍋田ロングパス→碓井聖落としを経て、高橋馨が果敢にロングシュート(ゴール上へ外れる)を放った事でホームの観衆を沸かせるとともに雰囲気を味方に付け。
続く19分には敵陣で碓井聖がボール奪取とプレスを嵌めた(その後戻して作り直し)事で、長野の反撃体制にも蓋をする事に成功。
こうしてひたすら殴り続ける体勢を築くと、25分に安光のパスカットから攻撃開始、溜めを作りながらパスを繋いだ末に中央→右へと展開。
西矢からクロスを入れると見せかけ戻しを選択すると、中央から椎名が裏抜けする吉平へミドルパスを送り、綺麗に合わせシュートを放った吉平。
しかしゴール上へ外してしまい、決定機を逃すと同時に飲水タイムが挟まれました。

命拾いした長野ですが、ブレイク明けも28分、最終ラインで池ヶ谷がコントロールミスして吉平に奪われる(その後碓井聖がエリア内を突くも撃てず)という具合に不安定ぶりは何ら変わる事は無く。
パスミスから好機を作られたりと、安い失点の危機が過るなかでの反撃を強いられる展開に。

32分、最終ラインでパスを繋ぐも、富山の崩れない守備隊形を受け右サイド裏へのロングパスを選択。
これを浮田が収めて何とか上がってきた近藤へ繋ぎ、奥に切り込んでカットインからマイナスのクロス(ブロックされコーナーキックに)と、際どく掻い潜って好機を作り上げ。
この右CKは、ショートコーナーからの繋ぎを経て古賀がミドルシュート(エリア内でブロック)とフィニッシュに繋げたものの、好循環をもたらすには至りません。
40分に再び近藤が右サイド奥へ切り込み、ポケットからマイナスのクロス。
今度は浮田がニアで受けてキープし、鍋田に倒された事でPKか、というシーンになるもこちらは笛は鳴らず。
やっと作った好機も、不満を貯めるのみという結果に終わります。

結局これが長野の前半最後の好機となり、以降は再び富山の独壇場という展開に。
高橋耕が吉平に倒されて痛む(34分)→逆に吉平が高橋耕(41分)に倒されて痛むという珍妙な絵図が繋がったのち、敵陣でボールゲインを多発させるという本来の姿を描く富山。
45分には西矢が敵陣でボールをこぼし、拾いにいった吉平が古賀に腕で引っ張られ阻止された事で反則となり。
この右サイド遠目でのフリーキックから、クロスの跳ね返りを拾ったのち河井がミドルシュートを放つもゴール上へと外れ。
欲しかった2点目は奪えず、その後のアディショナルタイムでは長野がボール保持するも何も起こす事は出来ず、前半終了となりました。

当然ながら良いとは言えない流れの長野、ハーフタイムで2枚替えに踏みきり。
池ヶ谷・山中→西村・忽那へと2枚替え、高橋耕が空いた右センターバックに降りる事で、流れを変えに掛かりました。

後半開始とともに、前半終わり際から引き継がれるように始まる長野のボール保持。
しかし今度は流れは良好で、しっかりと好機を作り続けてポゼッションスタイル本来の威力を発揮します。

その要因は投入された西村で、前線3枚の姿勢を取る富山の裏に位置取り、特にサイドに流れる事で前に出たSHの背後を取る形に。
そこでパスを引き出し、前線への橋渡し役に徹した事で前半とは雲泥の差という攻めの流れを構築。

最初のフィニッシュは後半4分で、右スローインから浮田がポストプレイで浮かせ、ポケットへ走り込んだ忽那がダイレクトでシュート。(GK田川がセーブ)
その忽那の働きも絶妙で、前進に成功したボールを自らチャンスエリアへ運ぶ・中央で受け逆サイドへ展開するという具合に多彩な矛へと繋げ。
まずは采配が大当たりという事を示した長野。

一転圧される事となった富山ですが、最初の好機となった8分、その長野のベクトルの逆を突くような決定機。
左サイドでの前進の姿勢から、河井のサイドチェンジで薄い右サイドを突き、スルーパスに走り込んだ椎名のグラウンダーのクロスが中央の碓井聖へ。
しかしワントラップから放たれたシュートは大野がブロックと、好循環を得た直後に失点してしまうという喜劇的な流れは何とか防ぎ。
引き続きペースを保つ長野、10分に右サイドでの前進から中央→左と逆サイドへ送る攻めで、ポケットへのスルーパスに走り込んだ田中がグラウンダーでクロス。
そしてニアで走り込んだ忽那がシュートしますが、GK田川のセーブに阻まれます。

次第に守護神頼みな展開を強いられる富山、14分に椎名・吉平→松岡・布施谷へ2枚替えと、こちらも采配で流れを変えんとしますが果たされる事は無く。
投入直後こそ長野のパスミスから好機を生み出したものの、フィニッシュには繋げられずに終わると再び長野のターンとなり。
ハイプレスに出た所を間を通されるなど、相手のペースを強引に断ち切りにいった所を突かれるという絵図をサッカーで示される事となります。

そして19分、右サイドを近藤→高橋耕へとプレスの間を通すパスで突破したのちに前進、敵陣で細かく繋ぐ状況へ持ち込む長野。
そして中央でのキープから、近藤がエリア内左へ送ったミドルパスを田中が折り返すと、綺麗に裏を取った三田が後ろから神山に倒され。
今度は反則の笛が鳴り響き(神山に警告)、PKにはPKで返すという格好のシーンが訪れます。
トップスコアラーの浮田がキッカーを務める、同点への千載一遇のチャンス。
そしてゴール左へシュートが放たれましたが、GK田川がこれを読みきってセーブし、こぼれ球を自ら抑えて凌ぎます。
この絶体絶命のピンチも防ぐという具合に、守護神頼みというマイナス面が最大の武器と化した瞬間に。
その後ラインアウトしたのち、PKの前から準備していた交代カードを切る富山。(河井・碓井聖→坪川・松本、22分)

後半の飲水タイムが挟まれた後は、第4クォーターに相応しい激しく攻撃権が入れ替わる展開に。
27分に富山のカウンター→長野のカウンターというそれを象徴する絵図が発生も、結局お互いスピードダウンを強いられるなど実にならず。

そんな試合絵図を変える状況に苛まれたのは、28分に三田が足を攣らせた長野の方でした。
慌てて交代の準備をするも、三田がピッチ外に退き暫く10人での戦いを強いられる事に。
富山がパスを回している間に三田が復帰し何とか綻びは防ぐも、想定外という絵図を見せてしまった事に変わり無く。

そして30分に交代敢行し、三田とともに田中も退け、パクスビン・砂森を投入します。(杉井が左WBへ回る)
長いブランクを経てプレー続行の運びとなっているベテラン・砂森ですが、その試合勘は未だ盤石では無いようで。(今季6試合目)
その影響か、最終ラインからのパスワークが距離感が近いものとなり、恐々としたものに見えました。
もう一人のパクスビンも、果敢にハイプレスに出るも周囲との連動性に欠けて間延びを招いてしまい。
その隙に運ばれて富山の好機となる(32分、シュートには繋がらず)など、後半頭の交代とは打って変わって流れを断ち切るものに。

一方富山も、35分に末木が足を攣らせた事で交代を余儀なくされ。
しかしこちらは直後に交代に成功し井上を投入、前線に入った事で高橋馨がボランチへと回り。
坪川・高橋馨と、試合当初とは異なるドイスボランチとなりましたが、長野の失速ぶりもあり破綻無く残り時間を過ごします。

長野の最後の交代は39分で、古賀→木原。
これでパクスビンがボランチに回ったようでしたが、前述の前に出る姿勢により西村アンカーの3-3-2-2にも見えるようであり。

布陣的にも不安定となってしまった事で、前半のような最後方のバタつき具合が復活してしまう長野。
42分左サイドをワンタッチの連続で運んでいく富山、井上の前進を経て中央へとサイドを変えるも、松本→松岡へのラストパスが遮断され。
好機が途切れたと思ったその刹那、長野は戻しを経てGK金のフィードで脱出しようするも大野にぶち当たってしまい、こぼれ球をエリア内で松本が収める泣きっ面に蜂の状態に。
しかし突如訪れたこの決定機、松本のシュートをGK金が足でセーブとモノに出来ず。

九死に一生を得たという長野ですが、その後攻撃に出た所、遮断されて薄くなった後方を突かれるの連続。
好機は作るものの危機の方が目立つという流れで、そのままATへ突入します。

そして左からの杉井のクロスを、木原がトラップするも収まらずクリアされると富山のカウンターとなり、松本のポストプレイから井上がドリブルで一気に持ち運んだ末に左ポケットへスルーパス。
そこに布施谷が抜け出すという、まさに紙同然となった相手のディフェンスを綺麗に突いた所で、必死に阻止せんとした大野のスライディングで倒されて反則の笛が鳴り。
これで3度目のPKと、度重なるPK判定もあり納得出来ないという態度を示す長野ですが、パクスビンが異議による警告を受けるのみに終わります。
大野のスライディングは、芝の状態の悪さもあり引っ掛かった格好となったのも災いしたため、この判定は残念ながら3度のPKのうち最も妥当なものに映り。
そしてキッカーの位置には松岡が着き、右上へと蹴り込んでゴール。
その瞬間、松岡はパフォーマンスでは無く涙を流すという感動を招く絵図となりましたが、どうやらこれがホーム初得点だった故の事。

ともかくようやく2点差となり、長野がすっかり衰えた事で安全圏と化し、その後も富山の攻撃権は続き。
そしてラストプレーは富山のCKと、長野が最後まで反撃の機運を高められないまま、GK金がキャッチした所で試合終了の笛が鳴り響きました。

終わってみればこの日も無失点を維持と、目論見通り良い状態のまま中断を迎えた富山。
今年も大外から追い掛ける立場になりましたが、前年勝ち点ゼロの差で昇格を逃したという悔しい経験が、最後の最後で生きる時は来るでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J3リーグ第22節 アスルクラロ沼津vsFC岐阜

2024-07-25 16:00:33 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

2位以下の混戦(と言うよりは、首位・大宮の独走)により、どの方面を向いても「昇格争いを占う大事な一戦」になりがちな現在のJ3。
こうした混戦から一歩抜け出せるだけの力は何処にも無く、4位に着けている沼津も、最近5試合は勝敗が綺麗に交互している2勝3敗という成績であり。
無敗で来ている富山・八戸に若干勢いがあると言えますが、果たしてその通りの道を歩むかどうか。
共にそんな状況を抜け出したいチーム同士の対戦。

特徴である「偽サイドバック」戦術をどう活かすかという沼津。
早々の前半1分に、左ワイドでのワンタッチパスの連続による前進から、中央を突かんとしてこぼれた所を、安在が走り込んで右ポケットからグラウンダーでクロス。(シュートには繋がらず)
果敢に最前線にまで上がる安在ですが、この日の立ち位置は何時もの(攻撃時に)ボランチでスタートする姿勢から一転し、ワイドでのプレーを目立たせていた節がありました。
続く2分にも、中村のロングパスをワイドの位置でフリックで繋げた安在、ディフェンスに遭ってのこぼれ球を拾うと奥を突いてクロス。
逆サイド奥へ流れるも鈴木が拾い、戻しから濱縦パス→和田フリックで左ポケットを突き、受けた持井がゴールに近い位置でシュート。
GK後藤の左を抜くも遠藤のブロックに阻まれ、早期の先制点はならずも、これまでのギャップを活かしての攻撃に見えました。

実際岐阜はそれに振り回され、沼津の地上でのビルドアップでも、ワイドの安在をフリーにしてしまう状況を数多作ってしまい。
攻撃機会を多く作られ押し込まれると、エラーも生まれてしまうもので、13分には最終ラインであろう事か左→中央へのパスをエリア内で持井にカットされてしまい。
沼津の攻めを切っての繋ぎの場面で、左ワイドで詰まり気味となった文は最初GKへの戻しを選択しようとした(様に見えた)ものの、鈴木のプレスバックを視界に入れたため真横へのパスに切り替えた結果持井に読まれて発生したものであり。
ここから右ポケット奥に切り込んでマイナスのクロス、受けた津久井が前進の姿勢からヒールパス、濱がダイレクトでシュート(西谷がブロック)と細かくフィニッシュにまで繋げたもののゴールならず。

岐阜は上記の危機から、尚もボール保持する沼津に対し北のボール奪取を切欠にカウンターを仕掛けたもののフィニッシュにまでは持ち込めず。
押し込まれるなか偶発的な好機に賭けるという流れを強いられますが、もう一つの要因が沼津の前線のディフェンスであり。
持井がFWに上がる4-4-2の布陣が基本姿勢の沼津ですが、その持井がマンツーマン気味に西谷に付く姿勢を取るため、中々ボランチ経由での前進姿勢を取れず無駄に時間を潰していきます。

沼津は徳永のミドルシュートの連発など、攻勢をフィニッシュに着実につなげていくもののゴールは割れず。
岐阜がタッチに切った所で、21分とやや早めの段階で飲水タイムが挟まれ。

ブレイクが明けたのちも安在は右ワイドでのプレーが目立ち、23分の最初の好機では後方から一気にエリア内へロングパス、これを鈴木が走り込んでヘディングシュートに繋げ。(枠外)
やはり「偽SB」と評される戦術な以上、何処かで本来のSBとしての働きを混ぜなければ脅威にはなり得ないもの、という結論に落ち着いたでしょうか。

迎えた26分、こぼれ球をやはり右ワイドの位置から安在がダイレクトで縦パスを打ち込んでの好機、和田のポストプレイを挟んで繋ぐも再び安在の下に戻ってくるボール。
最終ラインで中央→左へとサイドを変えると、こちらも濱がワイドで受けて前進と見せかけ中央へパス。
そして菅井が遠目の位置ながら果敢にシュートを放つと、ゴール右へと豪快に突き刺さります。
両ワイドで目線を釣り、中央に出来たスペースを突く(シュートは菅井のゴラッソ気味なものでしたが)という理想的な形で先制を果たした沼津。

スコアが動いた後も、展開はさして変わらず。
反撃したい岐阜は攻撃も守備も良い所無く、無理に前進の姿勢を取ってはボール奪取から危機を招いてしまい。
34分に鈴木が反則気味にボールを奪うと、拾った濱が中央へ流れて持ち運びと、ここで本来の「偽SB」システムらしい動きで好機を呼び込み。
そして上がってきた鈴木がパスを受けて左ポケットを突くと、徳永とのパス交換を経て戻しを選択し、最後は濱がペナルティアークからシュート。
ブロックで何とか防いだ岐阜ですが、変幻自在といった沼津の矛に苦しめられ。

一方の岐阜も、文が最終ラインに残っての3枚でのビルドアップの形から、前線に運べばその文がハーフレーンを上がって来るという「偽SB」を取り入れての攻撃システム。
しかし自身が絞る事でワイドが手薄となり、ウイングが下がって守備をする沼津に対し運ぶ隙が生まれ辛い状況に陥ります。

ゲームを支配している間に追加点を得たい沼津は、43分にロングボールを合わせにいった和田が遠藤に腕でチャージされて反則に。
これで得た左からのFK、キッカー徳永のファーへのクロスを菅井が折り返して好機が生まれるも、合わせにいった鈴木がクリアした田口と交錯してしまい。
その結果反則となり警告、さらに鈴木自身が痛んでしまうという二重の被害を受けて終了してしまいます。

結局1-0のまま前半終了。
ハーフタイムで、巻き返したい岐阜は2枚替えを敢行し、北・藤岡→萩野・生地。
一方沼津も津久井→齋藤へ交代し、鈴木が逆サイドの右WGへと回ります。

岐阜はやはりボランチ経由で運べない状況を改善したかったらしく、投入された2人によるドイスボランチへと変更。
西谷がFWに回るというポジションチェンジを敢行して後半に臨みました。
広範囲に流れてパスを引き出す性質を持つ生地により、沼津の守備姿勢を崩しに掛かったでしょうか。
その狙いは概ね当たり、持井が引き続き萩野をチェックする脇で生地が動き回ってビルドアップを円滑にし。

後半6分、文のボール奪取から右サイドを前進し、細かなパスワークを経て左ポケットを突き。
荒木が安在を股抜きしてカットインを仕掛け、クリアされるも左コーナーキックで継続すると、キッカーは荒木。
ファーに向けて上がったクロスがそのままゴールへ向かう軌道となり、右ポストを直撃し跳ね返った所を、さらに新垣が追撃のシュート。
しかしジャストミートせず左へ逸れて逃してしまい。

それでも好循環は変わらず、9分に沼津のプレスを引き寄せて甲斐が速いミドルパスを送り、田口の落としを経て中央をパスワークで前進。
西谷→田口へのパスは遮断されるも、沼津が繋がんとした所パスミスが生まれ、文が拾って継続される岐阜の攻撃。
そしてパス&ゴーでエリア内へ走り込んだ文の所へ、新垣→荒木と経由し流れるボール、そして放たれるシュート。
GK武者が防がんと前に出た所を抜いて、ゴールに突き刺さり同点に追い付きます。

沼津のお株を奪うような、超攻撃的SBの働きを見せた文。
こちらも「偽SB」の立ち位置を基本としながら、後半はワイドで抜け出すシーンが目立つなど、両者を混ぜながら立ち回った結果繋がったゴールだったでしょうか。
尚も11分、左ワイドで拾った文がパス&ゴーで今度は中央へ流れ、持ち運んだ荒木のパスを受けての好機。
そして新垣を経由して右ポケットへ送られ、逆のSBである石田が上がって来てシュート(枠外)と、沼津同様に両SBが好機に絡む事でリズムを保ち。

しかしその高揚感か、前への意識を高めた結果後方では沼津のパスワークに対し激しいアタックを仕掛けるようになり、反則を量産する事に。
ブツ切りの流れを余儀なくされ、好循環も一時的なものに終わります。
そして沼津は17分、最終ラインでパスを繋いだのち一気に左サイド裏へ附木がロングパスと、疑似カウンター的なチャンスクリエイトを経て齋藤が左ポケットへ進入。
ここでさらにカットインを仕掛けて中央まで流れ、シュートを放った斎藤でしたが最後まで付いてきた甲斐のブロックに阻まれ。
そして跳ね返りを繋いだ岐阜のカウンターに持ち込まれる(シュートには繋がらず)という具合に、移籍のレールに乗っかって以降どうしても運が落ちたように見える齋藤のプレーぶり。
一方の岐阜も、ここでの好機が最後文が徳永に反則気味に止められた事で、「こっちの反則はすぐに取られるのにどうして……」という意味合いのブーイングがスタンドから沸き上がる状態に。

どちらとも言えない流れの中、22分に後半の飲水タイムに。
ブレイク明けの段階で、岐阜はさらにカードを切り遠藤→野澤へと交代。

硬直する展開とともに岐阜も流動性を失い、再びボランチ経由の攻めが出来なくなる状態に陥る事で沼津へと針が傾き。
そうなると沼津の流動的な「偽SB」システムが活き易い状況で、27分に右からの徳永のクロスを合わせにいったのは濱。(クリアされて撃てず)

このタイミングで攻勢に繋げるべく沼津ベンチも動き、30分に川又を投入。(和田と交代、同時に鈴木→柳町に交代)
すると岐阜も31分、新垣→松本へ交代とすかさず動きを見せます。
ラスト15分(+アディショナルタイム)という最終局面に相応しい采配を見せる両サイド。

どちらもフィニッシュに繋げられない攻めを繰り返し、迎えた34分、敵陣浅めでボールを持った生地は戻しを選択して攻め直し。
すると文縦パス→西谷フリックでギアを上げ、受けた田口がディフェンスに遭いこぼれた所、拾った西谷が中村に倒された事で反則の笛が鳴り。
これにより中央・エリアからすぐ手前という絶好の位置での直接FKと、とうとうゴールを生み易い状況を作り上げた岐阜。
入念に壁を作る沼津に対し、(荒木・石田・文のうち)3人の誰が蹴るか長考した結果、蹴りにいったのは石田。
しかし壁を直撃してゴール上へと逸れ、その後のCKからの攻めもモノに出来ず終わってしまいます。

交代以降やや勢いが削がれた感のある沼津、ブーストを掛けるべく38分に最後の交代。
齋藤・川又と同じく大ベテランの染矢を投入(徳永と交代、同時に持井→遠山へと交代)し、右ウイングに入りその原動力にせんとします。(柳町が前方インサイドハーフへシフト、遠山がアンカーに入り菅井が後方IHへ)

すると39分、安在の縦パスを受けた染矢がドリブルに入り、そのまま右サイド奥を突いてグラウンダーでクロス。
これはブロックされて右CKとなるも、すかさず遠山からのショートコーナーを受け、再度遠山に返したのちクロスが上がり。
これが大外に送られるボールとなると、待ち構えていた中村が合わせボレーシュート、ゴール左へと突き刺さります。
フリーとなった状況・放たれたシュートともに綺麗な絵図となった終盤での勝ち越し点に、一斉に殊勲の中村を取り囲む沼津選手。

土壇場でビハインドとなってしまった岐阜、キックオフ前に最後の交代を使用し田口→イヨンジェ。
沼津同様、Jリーグ歴の長いベテランであるイヨンジェの存在で追い付かんとします。

しかしそれに合わせるべきクロスは中々上げられず、時間を費やす岐阜。
そしてATへ突入すると、染矢の反則気味のスライディングでボールを奪った沼津がカウンターを展開し、敵陣にドリブルで持ち込んだ安在。
スピードダウンするも、リードした終盤な以上深めまで持ち込んだその意義は絶大で、その後またも染矢が奥へ切り込んでのクロスがブロックされてCKに。
そしてコーナーで時間稼ぎに入る、齋藤・川又の元代表コンビの姿はある意味壮観であり。

その姿勢を切った岐阜、最後方の野澤が対角線のロングパスを最前線に上がった石田に送るという、強引な手法ながらも前進に成功。
そして右スローインからクロス攻勢に持ち込み、尚もCK攻勢と、ゴール前にひたすらボールを送り続ける流れに。
その左CKからの二次攻撃で、生地の後方からのミドルパスを萩野が落とし、混戦から小さくこぼれた所を西谷がシュートと決定機。
しかし中村のブロックで際どく防いだ沼津が、勝利への進軍を歩む事となりました。

最後は川又のポストワークが反則を呼んだ事で敵陣深めでのFKとなり、岐阜は万策尽き。
再開後のパスワークの最中に試合終了となり、2-1で勝利を手にした沼津。
これで3位に浮上したものの勝敗が交互する状況は変わっておらず、それを塗り替える連勝は果たして実現できるでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J3リーグ第22節 ツエーゲン金沢vsヴァンラーレ八戸

2024-07-23 16:01:10 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

  • 金沢は、山本が累積警告により出場停止。

夏の移籍市場の渦中で、J3にも容赦なく襲い掛かって来る弱肉強食の嵐。
それに呑まれるかのように、八戸は大型FWのオリオラ・サンデーがよりによって首位クラブの大宮に引き抜かれる(あくまでレンタルなので保有権はJ2の徳島)有様となり。
現在J1首位の町田のJ2時代(バスケス・バイロンの引き抜きとか)を彷彿とさせる、ライバルクラブからの戦力補充ならびに削ぎ落す手法。
エグいの一言に尽きますが、大宮が今後レッドブルの後ろ盾の下強者として昇り詰めていけるのかどうか。

そんな大宮と立場的に同一の降格クラブである金沢も、やはりこの夏に戦力補強に努め。
とはいえこちらは平に熊谷アンドリューと、上位カテゴリで出番が無い選手が主であり。
最大の目玉がフリーとなっていた西谷和ですが、彼も訳あり物件的な選手であり兄の西谷優との再会により、その(監督と対立して放出という経緯の)負の部分の払拭がまず求められる選手。
もう一花、という選手の終結をチーム力に還元し、激化する昇格争いを制するのに繋げられるかどうか。

その西谷和を、加入2試合目でスタメン起用してきた伊藤彰監督。
それでも、左シャドーをワイドに張らせるという戦術面を何ら変わり無くこなせる存在なので違和感は無く。

しかし立ち上がりから両翼の圧を活かして来るのは八戸。
(放送席による)注目選手に挙げられていた右の音泉は言うに及ばず、前半4分には左の稲積もドリブルで奥へ切り込んでクロス。
これにニアサイドで佐々木が頭から跳び込み、合わずに終わるもののそのクロス攻勢は終始脅威となり得ました。

ハイプレスに特化した八戸が相手という事で、金沢も地上からの組み立ては冴えず。
唯一最終ラインが幅を広く取ってパスを繋ぐ事で、八戸サイドもプレスの距離が長くなり華麗なボールゲインからのショートカウンター、とは中々いかないのが救いだったでしょうか。

お互い長所が出にくいという試合展開で、必然的に金沢は土信田・八戸は佐々木という、ターゲットへのロングボールによる攻撃の割合が増え。
12分には八戸のゴールキック、その佐々木へのロングフィードが彼を越えて流れ、拾った安藤が左奥へ突撃。
そして上がったクロスを山内がヘディングシュート(枠外)と、それ故にターゲットに合わないという選択肢も逆に冴え渡る事となり。

16分、金沢の攻めが途切れた所、八戸の最後方からの縦パスを西谷優がカットして再度攻撃に。
そして右から小島のアーリークロスが上がり、ニア寄りで土信田が足下で前方へ叩いた所を梶浦が拾って奥へ切り込む好機に。
しかし近石の寄せもあり、角度の無い所から放たれたシュートをGK大西がセーブ。
こちらも土信田をサポートするような梶浦の切り込みは効いていましたが、全体的には盤石の流れとは言えない攻撃。

23分に飲水タイムが挟まれ、どう変わるかという第2クォーター。
すると八戸の持ち味が徐々に発揮され、27分に柳下が前に出てパスカット成功、そのままスルーパスを佐々木の足下へ通し。
そしてエリア内を突いてシュート(枠外)と、ショートカウンターで一閃という流れを膨らませに掛かり。
33分にも柳下のボール奪取が起点となり、前澤のスルーパスに音泉が抜け出すも、GK上田が好判断の跳び出しに阻まれ実らず。

その一方で、良い流れが出来上がった事で、ボールを持った際は地上での前進を試みるシーンが増える八戸。
しかしこちらの面では見るべきものは少なく、さしたる好機を生む事無く時間が経過していきます。

40分、金沢のパスミスで再度ショートカウンターの好機が訪れる八戸。
拾った安藤がそのまま持ち運んだものの、タッチが大きくなった所をクリアした畑尾を削ってしまう結果となり、警告も貰って終了に。
これにより好循環が途絶えたか、続く41分に物議を醸すシーンを作ってしまう事となり。
金沢が土信田狙いのロングボール→梶浦が拾い前進という前述のパターンによる攻撃に入った事でそれは発生し、梶浦のドリブルを近石がスライディングで倒して止めるも、西谷和が拾って継続。
すると梶浦は素早く起き上がって左サイドのパスワークに加わり、ボールキープする所を柳下に倒された所で反則の笛が鳴り。
すると柳下が謝罪の意味合い(傍らからではそう見えた)で梶浦の頭部を触ったものの、それが思いのほか強かったからか逆に梶浦をいきり立たせる結果となってしまい、次の瞬間柳下を押し倒す梶浦という絵図に。
騒然となるピッチ上でしたが、何とか主審の下制止されてそれ以上の被害は齎さずに終わりました。
ここでどちらにもカードの類が出なかった事が幸いで、ナイスジャッジとも言えたでしょうか。

ともかく、これにより得たフリーキックを切欠に、残り時間は金沢が(小島のロングスローも使いながらの)セットプレーで押し込む流れとなり。
一度は途切れるも、アディショナルタイムに入って再度金沢が土信田狙いのロングボールによる攻め。
このこぼれ球を近石がヘッドでGKに戻した所に、猛然と走り込んだ土信田によりGK大西はセーフティに蹴り出しを選択。
ここからスローイン→CK×2と、最後までセットプレー攻勢を続けた金沢でしたがモノに出来ず。
前半はスコアレスに終わる事となりました。

共に交代は無く迎えた後半、最初の好機は金沢で後半1分の右スローインから。
ここも投げ込まれたボールを土信田が足でフリックし、受けた梶浦がカットインと、ターゲットと衛星のコンビでポケットを突く攻め。
クロスがブロックされて右CKと、前半同様のやり方でペースを握らんとする金沢。

しかしこの金沢のCKからの攻めを切った八戸、カウンターこそ防がれるも左スローインを素早くリスタート、抜け出してこれを受けた永田の単騎突撃。
そのまま左ポケットへ切り込みシュート(枠外)と、勢いを持った攻撃により八戸のターンが幕を開ける事に。
後半はこの永田の切り込みが軸となり、4分には左ワイドを奥へ切り込んでクロスを送り。
ニアで跳び込んだ佐々木には合わず、大外で音泉が脚で合わせるも枠を捉えられず。

一方の金沢は、伊藤監督が甲府時代多用していた、「3バックの中央が一列上がる形でのビルドアップ」の色を強めに掛かり。(前半も何度か試みられていたが目立たず)
良くないボール保持の流れの改善を図ったのでしょうが、結局大した成果は生まれる事無く。
前に出る畑尾にはお構いなしで、後ろに残る2人に対しハイプレスを掛ける八戸。
それにより殆ど攻撃機会が訪れず、八戸のターンに拍車がかかります。

11分には前澤のパスカットから、またも永田がドリブルで左ポケットを突く好機。
今度は奥まで切り込んでのシュートを選択しましたが、これも枠外に終わり。
15分には再度左ワイドへ切り込んでクロスを上げる永田、跳ね返りを柳下がミドルシュート(枠外)と、苛烈に攻め上がり。

後半最初の15分間でシュート数は0対7と、圧倒的に攻め込まれる金沢。
永田のような突破力を発揮したいのは西谷和だったでしょうが、結局ままならないうちにお役御免となり。
20分に杉浦に交代(同時に大山→熊谷へ交代)と、本領発揮にはまだ時間が掛かりそうな内容となりました。

熊谷の投入で中盤を締めに掛かった金沢は、その通りに八戸の攻撃機会を減らし。
しかし自身での攻撃も相変わらずで、繋ぎにも精度を欠き有効打を放てず。

八戸がペースダウンを強いられた事で、やや醜悪な絵図が目立つ結果となったでしょうか。
23分に右から音泉がクロスを上げ、合わせにいく佐々木の前で畑尾にクリアされると、そのまま両者交錯した結果佐々木がエリア内で倒れ込む事となり。
しかし尚も八戸の攻撃が続いた事で途切れず、動けない佐々木を余所にそのエリア内でボールをキープするという状況が訪れ。
安藤のクロスの跳ね返りを確保したという所でようやく試合が止まり、そのまま飲水タイムの運びとなります。
それでも佐々木は倒れたままでしたが、何とか1分半程掛けて起き上がり。

ブレイク明けの段階で、金沢は再度選手交代。
土信田→加藤大樹へと交代し、1トップには杉浦が回りました。

しかし流れはそのまま継続される事となり、即ち選手の交錯シーン。
26分、自陣でボールカットした西谷優が前澤のアフターチャージを受け、そのまま交錯して両者倒れ込み。
継続され敵陣でボール保持という状況になった金沢ですが、前述の事もあり流石に攻撃を止め。
前澤に警告が付き出されるも、その前澤の方が長く倒れ込む結果となり、そのままピッチ外→復帰という運びに。(警告が出たため西谷優はそのままピッチ内に)

中々攻撃の環流が出来ない金沢ですが、29分に一列前の畑尾から縦パスが左ワイドに送られると、受けた加藤大が杉浦とのパス交換を交えてカットイン。
そしてそのまま左ポケットからシュートを放ち、近石にブロックされるも左CKで継続。
クロスの跳ね返りから熊谷がミドルシュート、地を這う軌道で狭い所を抜かんとするも、ゴール前でブロックされ跳ね返り。
更に加藤大がミドルシュートを放つもこれは枠外と、ようやくフィニッシュを重ねる流れに持ち込み。

直後に八戸もベンチが動き、安藤・佐々木→妹尾・雪江へと2枚替え。
既にJ3では知名度の高い特徴ある2人の投入(妹尾は独特の推進、雪江はDF登録のFW)で、均衡を破りに掛かり。
長所といえば、この日は柳下が前線に絡むプレーが少なかった風に映りましたが、前半の醜悪なシーンを受け自然と自嘲気味になっていた感があり。

1トップが杉浦に変わった金沢ですが、35分に毛利ミドルパス→杉浦脚でフリック→梶浦スルーパス(その後加藤大が左ポケットを突くも撃てず)という具合に、その脇を固める梶浦のやる事は変わらず。
そしてその関係性が最高の結果を齎す事となり、37分庄司のロングパスを杉浦が前へ落とすと、綺麗に最終ラインの裏を取った梶浦が拾いエリア内へ突撃。
蓑田の追走も受けながら、そのままドリブルでGK大西を左にかわしにいった梶浦、その結果大西の腕に引っ掛かる形で倒れ。
たまらず反則を告げる笛が鳴り響き、PKに結び付く事となります。

殊勲の梶浦ですが、その代償は大きく長らく倒れ込み。
足を痛めてしまったという絵図に偽りは無く(皮肉にもその後の負傷交代で証明され)、2分以上掛けてようやく起き上がります。
キッカーは加藤大で、その姿勢に報いるべき大事なこのPKをゴール右へ蹴り込み。
GK大西は触れるも弾き返せずゴールゲット、しっかりモノにして先制を果たした金沢。

キックオフの前に永田→上形に交代(既に36分に音泉→國分に交代)と、ビハインドを跳ね返す交代策を敢行する八戸。
その最初の攻めが途切れた所で梶浦が再度倒れ込み、担架で運ばれて交代を余儀なくされる金沢。
嶋田を投入、同時に毛利→平に交代して5枚のカードを使いきりました。(この際にフィジカルコーチの坂本哲也氏に警告が出たようだが詳細は判らず)

終盤の負傷シーンから、ATは7分と長丁場となりましたが、立場上八戸は苦しいものとなり。
自陣で守備を固める金沢に対し、前半のシーンから主体的な攻撃に難が見られる八戸は崩しの術を持たず。
出来る事はロングパス→雪江フリックによる乱戦に持ち込む事ぐらいで、長い目安時間をむざむざと浪費してしまいます。

逆に金沢が決定機を迎え、小島のボール奪取で矢印を反転させると、薄い八戸ディフェンスを嘲笑うかのようにパスワークで翻弄しての前進。
そしてエリア内へのスルーパスがフリーの杉浦に供給されましたが、放たれた杉浦のシュートはゴールバーを直撃して跳ね返り。
歓喜を呼び込む追加点は生まれなかったものの、勝利への進軍は乱れる事は無く。

そして1-0のまま試合終了となり、難敵を下して勝ち点3を得た金沢。
試合内容が示す通り、苦難の道を歩みながら昇格というゴールに辿り着く、となるでしょうか。

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ABEMA観戦 UEFA EURO2024決勝戦 スペインvsイングランド

2024-07-18 16:00:45 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

  • 両チームの選手名はyahooスポーツナビに準拠。
  • コイントスでコートチェンジし、↓とは逆のコートで前半スタート。

参考動画

前回のEUROの記事 -準決勝・スペインvsフランス(2-1)


栄光のグランドファイナル。
準々決勝以降、強豪しか残っていないという状態に相応しいカードとなりました。
6戦全勝でここまで昇り詰めたスペインと、接戦に次ぐ接戦を逆転の連続で制してきたイングランドの対決。
派手な試合前セレモニーに彩られながら、迎えたキックオフの時間。

イングランドのキックオフから始まると、GKまで戻してロングフィードという手法で幕を開けた試合。
これまでスペインの試合ばかり観て来たためか、日本で見慣れているはずのその絵図も何処か違和感を覚えるものであり。
強敵相手故にセーフティにいく事を優先したでしょうか、その通りに立ち上がりの3分間はお互いさしたる好機の無い時間帯に。

前半4分、左サイドでショーのボール奪取から、攻撃の中心であるベリンガムにボールが渡ったイングランド。
しかし彼のボールキープも、スペインの素早い寄せの前に発揮できず奪われてしまい。
ここからスペインへと針が傾く展開となり、ガッチリとボールを支配してイングランドを自陣に押し込めます。
お馴染みであるラポルテ・ノルマンのセンターバックの持ち運びも絡め、イングランドの前線の守備を無力化しに掛かり。

そのイングランドの守備は、4-4-2の基本布陣ながら、2トップはフォーデンがボランチの片割れをマーク・ケインがセンターバックへチェイス(ただし強度はそれ程でも無い)という分業制。
状況次第でベリンガムがCBへプレッシャーを掛け、その際に空いた右サイドはショーが前に出るというプレッシングの体勢。
しかしスペインの伝統であるポゼッション能力の高さの前に、ボール奪取どころか十分な規制すらままならない時間が続きます。

スペインは押し込みによりコーナーキックに持ち込んでも、焦って連続してクロスを入れるという事はせず、ボール確保によりあくまでペースの維持に努める立ち回り。
イングランドと手法は違えど、こちらも決勝戦故の慎重さが垣間見えていたでしょうか。
12分に左からウィリアムズのカットインシュート(ストーンズがブロック)で初フィニッシュと、攻勢を維持した割にはやや遅く。

15分にイングランドが、この日初ともいえる攻撃機会(ウォーカーが右ポケット奥を突いてマイナスのクロス)でCKを得た事で、スペインのターンを終わらせ。
スペインと同じくボール保持の時間を高めに掛かります。
17分スペインのゲーゲンプレスを受けながらの繋ぎで、戻しを受けたストーンズはさらに浮き球のパスで一気にGKまで戻す事を選択。
これを収めたピックフォードも当然ながらロングフィード、しかし結果的にスペインのプレッシャーを呼び込んで前へ送る形となり、ベリンガム落とし→ショーのサイドチェンジを経て好機到来。
サカが右ハーフレーンからエリア内へ切り込み、そのままポケットを抉ると見せかけて戻し、そして中央からライスがミドルシュート(ロドリがブロック)と最後方からの組み立てでフィニッシュまで持っていく事に成功します。

中心選手と目されるベリンガム、モノが違うと思わされたのが20分の場面で、左サイド中盤でボールを持ち。
ボールキープによりルイスを引き付けながら、中へのパスを意識させる事でカルバハルの目線も操ってワイドを開け、そこへ走り込むショーへスルーパス。
1人で複数人を困らせる高次元のプレーを目の当たりにしましたが、ここはショーが受けたパス地点がタッチラインを割ってしまい好機とはならず。

しかし依然として守備時は、スペインのボール保持に難儀するシーンが続き。
特にウィリアムズという矛が活かされる左サイド(イングランドから見て右サイド)の押し込みを受け、サカがウイングバックの位置に降りての5バックとなる事もしばしばあり。
ボール保持もままならなくなるイングランド、23分にはスペインのプレッシャーを受けたフォーデンがバックパスをミスし、オルモに拾われスペインのショートカウンターに。
ボールキープを経て託されたヤマルが右ポケット奥を突いてシュート(グエヒがブロック)と、スペインの武器である両翼の突破も目立たせてしまい。

決勝故に審判も難しいコントロールを強いられたでしょうか。
25分のイングランドの攻撃、ケインが中央でドリブルに入るも、こぼされた所でルイスを削ってしまい反則・警告を受け。
30分にはスペインの攻撃で、クリアボールを拾ったオルモが前進する最中、ライスへのチャージで反則・警告。
お互いオフェンスファールで警告が出された事で、これまでの場とは一味違うという雰囲気に。

そんな絵図もあり、時折ペースの乱れが垣間見えるスペインですが、やはり根底がしっかりしているチームは強いというべきか。
35分前後から再度、立ち上がりのような攻勢へと突入。
敵陣でサイドを振りながらのパスワークに持ち込み、両翼の威力でアタッキングサードを脅かす攻撃を繰り広げ。
35分の左CKから、ショートコーナーからの中央への戻しを経て、オルモがミドルシュートを放ち。
しかしエリア内でケインがこれを足下でカットと、攻撃がままならない状況で、守備面で存在感を発揮せんとするセンターフォワード。

相変わらず守勢が続くイングランドですが、そんなキャプテンの思いには応えなければならず。
42分ライスのパスカットから攻撃機会が訪れ、スペインのゲーゲンプレスもありベリンガム→ケインへのパスは遮断されるも、拾い直したベリンガムが左→右へのサイドチェンジで包囲網を突破。
そして受けたサカはここも縦突破をチラつかせながらカットイン、メイヌーを経由して中央のケインに預けんとしますが、このパスもカットされて実らず。
しかし45分敵陣でベリンガムがカルバハルからボール奪取、やっとショートカウンターの好機が訪れ。
そのまま左奥から入れられたグラウンダーのクロス、中央で受けたケインがシュートと、とうとうCFにフィニッシュが生まれたもののロドリがブロック。
しかしこぼれ球を拾いにいったウォーカーがウィリアムズに倒された事で、反則となり右ワイドからのフリーキックで継続。
ここからキッカー・ライスのファーへのクロスがこぼれた所、フォーデンが左ポケットからシュート(GKシモンキャッチ)と、終盤で得点の匂いが高まってきたイングランド。
しかし結局スコアレスから動かず、前半終了となりました。

スペインは先程シュートブロックしたロドリが(ラポルテとの交錯で?)痛んで倒れ込むシーンがあり、その影響かハーフタイムで選手交代。
ロドリ→スビメンディへと交代し、最後となるか否かという45分を戦う事となります。

ビルドアップの際にアンカーを務めるロドリが退き、どういう構成となるか注目されたスペイン。
それを確かめるに間も無い後半2分でした。
ルイスが最終ライン右へと降りて3枚での繋ぎの姿勢を取るスペイン、これによりカルバハルが前に出る事で、ベリンガムはルイス・カルバハルのどちらをチェックするか迷いが生まれ。
その隙を突くようにルイス→カルバハルへパス、ベリンガムが追い付く前にさらにカルバハルは右足アウトによるワンタッチでのパスという具合に翻弄して敵陣へ運びます。
このパスを受けるヤマル、さらに入れ替わりで前を向く事で縦に速い運びを完成させると、カットインで中央へ流れて左ポケットへパス。
広大なスペースを送られたこのボールに、ウィリアムズが走り込んだ末に放ったシュートがゴール右へと突き刺さり。
最初の変化を見事に結果に結び付け、スペインが先制に成功しました。

スコアが動き、混乱状態が続くイングランド。
4分、ノルマンがロングパスで一気に前線へ届けると、そのまま浮き球を操って運んでいくスペイン。
やや乱れた所を拾ったウィリアムズ、エリア手前からまたもシュートを狙うも、縦パス風になってエリア内のオルモに収まり。
しかし逆に決定機となり、そのまま左へ流れ角度を付けて対角線を狙ったシュートを放ちましたが、ジャストミートせずゴール右へと外れ。

その後はイングランドもボール保持により落ち着きを取り戻さんとしましたが、満足に攻撃できず。
スペインのボール保持に対しても果敢にハイプレスを掛けるものの、8分にはGKシモンがそれを縦パスでいなし。
受けたモラタのポストプレイを経てスビメンディがドリブルに入った所、反則で阻止したストーンズが警告と、どうにもやる事が巧くいきません。
すると待ち受けていたのはスペインのショートカウンターで、10分パスカットしたカルバハルがそのまま右からカットインし、ミドルシュートを放ちますがグエヒがブロック。
続く11分には縦パスをカットしたルイスから、パスを受けたウィリアムズのミドルシュートがゴールを襲いますが、左へと外れ。

何とか流れを変えたいイングランド。
16分、とうとうキャプテンのケインを交代させるという決断を下し。
ワトキンスを同ポジションで投入し、ゲームキャプテンはウォーカーに託されます。

19分、GKピックフォードのロングフィードが一気に右奥を突き、走り込むフォーデンの前でククレジャに拾われるも奪い返すフォーデン。
戻しを経てサカからのパスを中央で受けるベリンガム、反転しながらのトラップでカルバハル・スビメンディの2人を剥がした末にミドルシュート。
しかしこの高等技術からの強烈なフィニッシュもゴール左へ外れてしまい、同点とはなりません。
おまけにこれによりロングパス一本で好機を作らんという意識へ移ってしまい、簡単にボールを失うという時間帯に。

スペインも23分にモラタ→オヤルサバルへ交代と、こちらもCF兼キャプテンのモラタが退く事に。
直後の24分、そのオヤルサバルの前からの守備によりボール奪取、CKへ持ち込むという具合にしっかりと交代選手をパワーに還元させ。
このCKから何度もクロスの爆撃をゴール前へ送り、GKピックフォードがそれを跳ね返し続けるなど、プレッシャーを与えていくスペイン。

イングランドは25分、さらにベンチが動きメイヌー→パーマーへと交代。
これによりポジションチェンジが絡んだ(ベリンガムがボランチへ、フォーデンが左サイドハーフへ回る)事で、スペインは守備が曖昧になったでしょうか。
直後のゴールキックでのロングフィードから、カルバハルがクリアミスした所をすかさずワトキンスがシュート。(カルバハルがブロック)
ミス絡みのフィニッシュが生まれた事で混沌とする展開。

続く27分、スペインはパスカットしたスビメンディがそのままエリア内へスルーパスと、一気に好機を作らんとし。
そして走り込んだオヤルサバルがシュートを放ち、GKピックフォードがこれをキャッチすると、直接前線へスローして届けた事で薄い守備を突く格好となったイングランド。
右寄りで受けたベリンガムに対しククレジャが潰しにいくも、奪いきれなかった事でポッカリ空いた右サイドを突く状況が生まれ、サカが右ワイドを突いてカットインからエリア内中央へパス。
そしてここまで上がって来たベリンガムがポストプレイで後方へ叩いた所に、走り込んだパーマーがミドルシュートで一閃。
ブロックを掠めた事もありゴール左隅へと突き刺さるボール。
布陣変更を経て、投入した駒が同点弾を齎すという采配ズバリな格好となったイングランド。

当然ながら、イングランドは一気呵成に逆転を狙いにいき。
しかし得点を齎した右サイド偏重の攻撃となり、サカを中心としてアタッキングサードを突くものの、直ぐにその流れは途切れてしまいます。
すると再度スペインのボール保持により、守勢の時間が長くなる。
体力面の不安が露わとなる時間帯で、やって欲しくない(と思われる)立ち回りをみすみす許してしまう結果となり。

イングランドは交代以降、ベリンガムが若干前に出た4-1-4-1にも見える布陣でスペインの最終ラインからの組み立てを阻みにいき。
インサイドハーフというべき立ち位置のベリンガム・パーマーの2人でスペインのドイスボランチを掴まえる姿勢を採ります。
しかしその狙いも空しく、ポゼッションによる攻勢に入るスペイン。
戻して作り直すシーンを多く作り、ウィリアムズが中央~右へと流れる状況も混ぜつつ、イングランドの体力・神経を奪っていきながらゴールを狙う状態へ突入します。
(38分にノルマン→ナチョへと交代)

止む無く自陣でブロックを固めるイングランドですが、その狭い所も突きに掛かるスペイン。
37分に中央を前進するウィリアムズ、戻しからオルモの浮き球パスを収め、すかさずエリア内へと叩いた所にオルモが走り込み。
そしてさらにワンタッチで流した末にヤマルのシュートが放たれ、GKピックフォードがビッグセーブで防いだものの、決壊間近といった印象を残す好機となり。

迎えた41分、最終ラインから緩めの縦パス攻勢で中央を運ぶスペイン。
ルイスのパスはあろう事か主審の股を抜くというものとなるなど、狭い所を抜く意識の徹底を経て敵陣へ運び、オヤルサバルがポストプレイで左へ叩いた所にククレジャが走り込み。
そして入れられるグラウンダーのクロスを、踵を返してエリア内に進入していたオヤルサバルが脚で合わせてのシュート。
ゴールに突き刺さり、こちらも途中交代のオヤルサバルが決める格好で勝ち越しを果たします。
緩急を付けられての前進に、体力消耗もあり(オヤルサバルのオフサイドをアピールする以外)成す術が無かったというイングランド。

残り時間は少ないものの、諦める訳にはいかずイングランドのキックオフ。
例によって戻し→GKピックフォードロングフィードで運び、落としから好機が生まれる事となり。
ボールキープするベリンガムの縦パスがエリア内へ入り、フリーで受けたワトキンスが前を向く決定機になりかけましたがスペインはこれも素早く対応してクリア。
これにより左CKとなるも、その前に両チームともに選手交代が挟まれます。

スペインがヤマル→メリーノ・イングランドがフォーデン→トニーへと交代し、セットプレーの攻防に。
上げられたキッカー・パーマーのクロスを、中央やや遠目でライスが合わせヘディングシュート。
GKシモンのセーブで浮いたボールを、さらにグエヒが詰めてのヘディングシュート。
GK不在のゴールに決まったかと思われたこのフィニッシュも、オルモの頭でのブロックに阻まれ決められません。(さらにライスがヘディングシュートで追撃も枠外)
1点もののディフェンスで、ゴールゲッターのようなガッツポーズを見せるオルモにより、いよいよ勝利への雰囲気が高まってきたスペインサイド。

結局この攻防が、イングランドの最後の可能性あるチャンスとなりました。
突入したアディショナルタイムは、焦りからかイングランドの反則が目立つ展開(ワトキンスがナチョへの反則により警告)となり、好機の数自体が少なく終わり。
そして目安時間の経過(4分)により、決着を告げる笛が吹かれました。

全勝優勝という結果を叩き出したスペイン。
不本意なものに終わったカタールW杯からの復権が無事果たされたその姿は、「無敵艦隊」と形容されるに相応しいものとなり得たでしょうか。

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