goo blog サービス終了のお知らせ 

ぶらりドリブルの旅

ひたすらサッカー観戦がメイン

DAZN観戦 2024年J3リーグ第26節 福島ユナイテッドFCvsギラヴァンツ北九州

2024-09-05 16:04:14 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

  • 福島ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。
  • 福島は、上畑が累積警告により出場停止。

そのスタイルに信念を持っているクラブは、同時に勝利への執念が試される時期である終盤戦。
攻撃サッカーを貫く福島がまさにそんな立ち位置で、昇格争いに加わるには勝ち続けなければいけない状況の中、どう立ち振る舞うか。
堂鼻の個人昇格(J2・いわきへ移籍)・松長根や塩浜の負傷離脱など、根幹を揺るがしかねない主力選手の喪失にも耐えなければならず。
この日は目下プレーオフ圏内で、かつその守備力が光っている北九州と、対照的なクラブ相手の格好の一戦となり。

その北九州の、最短距離を通しての攻めが冴え渡る立ち上がり。
永井のレイオフを利用しての縦パス・スルーパス攻勢で、守備でも攻撃的を貫く福島の裏を狙う姿勢なのは一目瞭然であり。
福島はその立ち回りを受けて浮足立ったか、前半5分に北九州陣内でのボール争いのなか高がラフにロングパスを送ると、それを収めた岡野に対し大森博が喰い付いて腕で止めにいき。
倒されながらも繋いだ岡野の先で、更に牛之濱のドリブルを澤上が反則気味にプレスバックで止めるという具合に、後追いの末の醜悪さが目立つディフェンスを強いられます。
(こうしたシーンが以降も頻発した事で、北九州サイドもフラストレーションを貯めながらの試合を強いられた感があり)

弱点を突かれて崩されかねない福島ですが、8分にその攻撃的な守備が奏功し。
前線は相変わらず3トップを保ってのプレッシングというスタイルで、ワイドからの前進はサイドバックが前に出て防ぎにいき。
そしてここでは、北九州の最後方からの繋ぎで右の山脇に出されたところ、鈴が猛烈にプレッシャーを掛けて戻させる事に成功。
その後GK田中が左へ縦パスを送るも、澤上がカットしてショートカウンターに持ち込みます。(そのまま澤上がミドルシュート、枠外)

これでペースを掴むと、以降普段通りにショートパス主体の攻めで主導権を握り。
しっかりと守備陣形を組む北九州故に、最後方での繋ぎによるプレッシャーの誘発が肝となり、GKを交えた最終ラインで恐れず地上で繋ぎ続けていなす場面が激増します。
上畑が不在とはいえこの日も中盤3人のトライアングルは堅固で、これを基本としながら後方ではセンターバックを交えた三角形、前方ではウイングを交えた三角形という具合に変形も容易であり。

手数を掛けて好機を作る福島に対し、北九州は12分、GK田中ロングフィード→永井フリックの一手で一気に好機。
クリアされるもさらに岡野のロングパスを牛之濱が胸で落とす(繋がらず)という具合に、縦に太い直線的な攻めで脅かし。
それに押された福島、直後の攻撃ターンでは大森博→鈴へのパスをトラップできずに終えるなど、そのプレッシャーが垣間見える絵図を作ってしまい。

気を取り直して攻める福島、13分には針谷⇔大関のパス交換から、トライアングルに加わった加藤が中央から持ち運び。
そしてペナルティアークでパスを受けた森晃がシュートし、ブロックされるも左コーナーに。
ショートコーナーを挟んで上がった針谷のクロスから、こぼれて混戦になった所を野末がシュート(ブロック)と、フィニッシュも膨らむようになると今度は北九州が及び腰となり。
前線から守備をしてもいなされるの連続で、たまらず自陣でリトリートの時間が長くなります。

福島はそれを見るや、(GK以外)全員敵陣に入り込んでのパスワークで一気呵成に攻め。
その姿は北九州の前線をかわす位置が、自陣深め→センターライン前へと変わったのみという感じで、崩しの難度は上がっても気丈にパスワークを続け。

18分、空中での右往左往を経て森晃が拾った事で敵陣で攻撃スタートすると、ここもショートパス攻勢に入り中央→右へと展開。
そして森璃のクロスがファーに上がり、跳び込んだ鈴を越えて流れたボールを森晃が折り返し、澤上が脚で合わせシュート。
しかしゴール前で杉山がブロック、跳ね返りからの再度の澤上のシュートもブロックと、ギリギリの所で守る北九州。
攻撃サッカーと堅守がそのままぶつかり合う熱い展開の末に、23分に飲水タイムが挟まれました。

ブレイク明け、福島は森晃のドリブルを矛として得点を狙い。
27分、クリアボールを加藤がラフに浮き球を送ると、森晃がドリブルで一気に左ポケット奥へ進入してクロス気味に鋭いシュートを放つもGK田中がセーブ。
その後クリアボールを森璃が拾うも永井が奪って北九州のカウンター(岡野がドリブルからミドルシュート、ブロック)と、北九州サイドも対抗姿勢。

しかし直後の28分、福島はやはり後方から繋ぐ姿勢で、右からのパスを(針谷のスルーを挟み)中央で受けた森晃がドリブル。
そして放たれたミドルシュートがワンバウンドを経て難しい軌道でゴール左を襲うも、GK田中がセーブして何とか逃れ。
組織力と森晃の個人技とを融合させると、30分にもゴールキックから短い繋ぎでプレッシャーをいなしきり、森晃のドリブルからのスルーパスに走り込んでクロスを入れたのは森璃。
この低いボールをニアで合わせたのは森晃と、森⇔森の流れでフィニッシュが放たれるも、ゴール左へ外れてしまい惜しくも決められません。

ノリノリといった福島、そのスタイルはセットプレー守備でも健在。
34分に北九州が右サイド浅めの位置でのフリーキックになると、福島の守備ラインは極端に高目に位置取り。
まさに攻撃的な思惑が全面に浸透しているという絵図ですが、ここで北九州は当然というべきか、それを突くようにキッカー藤原はクロスでは無く同サイドへのスルーパス。
直接右ポケットへ送られたこのパスに、走り込んだ杉山がシュートを放ち裏を掻く事に成功するも、GK吉丸のセーブに遭って決められず。

受けに回っていた北九州も、無失点での凌ぎを続けて慣れを示したか徐々に反撃。
基本はじっくり守ってカウンターという手法で、36分にまたも福島のショートパス攻勢で自陣で振り回されるも、森璃のクロスをクリアしてカウンターに持ち込み。
ここも永井のレイオフを挟んで牛之濱が左サイドをドリブルする体勢に持ち込むも、遅攻へと切り替えたのち、後方からの藤原のロングパスに走り込んでエリア内で受けた牛之濱。
そして中央への横パスから岡野がシュート(GK吉丸キャッチ)と、こちらも貫いている「無失点を続けた末に接戦をモノにする」流れを確立しに掛かります。

以降落ち着きを取り戻した北九州により、福島は尚もハイテンションを貫かんとするも空回り。
前線の守備で反則を量産して樋口が警告を受けるなど、リズムの悪さが顔を出すようになると攻撃機会も失う破目となり。
そして一転して北九州が攻撃機会を重ねる終盤戦。
前年針谷と(磐田で)同僚だった藤原を中盤の底として組み立てるその様に因縁染みたものを感じるものの、基本的には裏を突いての好機からセットプレー獲得といったこの時間帯。
しかしフィニッシュには繋げられず、アディショナルタイムに福島がCK攻勢に入るもこちらも決められず、結局0-0のまま前半を終える事となりました。

ハーフタイムで北九州が選手交代。
前回観た際(24節・富山戦、2-0)と同様に、このタイミングでキャプテン・井澤を投入します。(岡野と交代し、藤原がトップ下に回る)

時間経過とともに、流れを自分達のものにした北九州が後半もそれを継続する立ち上がり。
後半3分、井澤の縦パスは繋がらずもクリアミスで結局岡野に繋がり、中央からミドルシュート(大森博がブロック)とファーストシュート。

福島は従来通りのスタイルも、ペースを乱された事で思うように繋げられず。
7分にようやく、GK吉丸からのショートパスでの連続でプレスをいなしきり、森晃のドリブルに繋げ。
しかし山脇に反則気味に止められ、笛が鳴らずに北九州のカウンターを受ける始末となり、高のクロスの跳ね返りを藤原がボレーシュート(ゴール左へ外れる)と北九州優勢の流れを変えられず。

こうなると巧くいかなかった部分も反転するようになり、8分に福島の最終ラインへのプレッシャーでGKに戻させた末に、ロングパスを杉山がカットして反撃と嵌める事に成功した北九州。
そのまま縦パス→岡野フリックで浮かせた所に永井が走り込む好機になるも、GK吉丸に抑えられて撃てず。

福島は前半に比べ、地上からでもやや無理目の縦パスでの勝負が目立つようになり。
その出し手は針谷で、前の澤上・森晃に当ててから展開……という流れを描きたかったのでしょうが、結局フィニッシュに繋がらずと成果は上がりません。

12分にまたも、敵陣で繋ぎ続けた末に右ポケットを森璃が突くも、牛之濱の反則気味のディフェンスで止められたのち北九州のカウンターを招き。(右から高がクロス、クリアされてCKに)
停滞感が漂うなかで、16分に交代を敢行するベンチ。
澤上・樋口→長野・矢島へ2枚替えと、前線の駒を代える事をまず選択しました。
その後北九州も19分に動き、藤原・永井→矢田・平山へと2枚替え。

交代以降、福島はボールを握り流れを取り戻しに掛かり。
しかし前半に比べて北九州も喰い付かず、時にはサイドハーフが降りて5-4-1での守備体勢も見られるなどしっかり守り。
結局は(再三浴びたカウンターのリスクも避けるべくの)通り辛いスルーパスに頼らざるを得ない最終手となり、フィニッシュに持ち込めないという攻めを繰り返してしまいます。

こうして15分~25分の間は、北九州の攻撃機会ゼロ・福島のシュートゼロというある意味喜劇的なスタッツに。(前者は自分の集計です)
打開を図るべく、25分に加藤・針谷→吉永・城定へ2枚替えとさらに動く福島ベンチ。

しかし試合を動かしに掛かった結果、26分以降北九州の攻撃が続く事に。
それでも耐えた福島は29分にカウンターと、これまでとは逆のような流れを描き、森晃がドリブルで一気に左ポケットへ進入とそのキレも戻り。
ここはグラウンダーのクロスがクリアされるも、すかさず再度好機に入り、今度は大関の左ポケットへの切り込みを経て鈴がクロス。
そして長野の落としを、中央に残っていた森晃が合わせるという絶好の流れとなりましたが、シュートはふかしてしまいゴール上へ外れ。

先制を逃した福島、尚もめげずに攻め込みますが、その姿勢が32分にまたも北九州のカウンターを招いてしまい。
今度はドリブルする牛之濱の前に矢田と平山が走り込む3対2という絶望的なシチュエーションでしたが、北九州もクオリティに欠いて平山のエリア外からのシュートに留まり(ブロックに阻まれる)命拾いします。

この後、33分に北九州は高・牛之濱→坂本・高橋へと2枚替えを敢行して交代枠を使いきり。
坂本が右SBに入った事で山脇が一列上がって右SHに、それに併せ2列目は高橋トップ下・矢田左SHと変わり。
これにより福島ディフェンスも惑わされたか、その後反則を量産してしまい北九州のFKでの好機を浴びるという流れに。

しかし39分その北九州のFKから、クリアボールを森晃が拾うと、例によってドリブルに持ち込んでカウンター。
この時間帯でもキレが落ちないその推進は、工藤の反則チャージにより倒れても尚起き上がってボールキープの末にエリア内を突く程であり。(このプレーで後に工藤に警告)
右奥へ切り込んでヒールパスを選択するも、走り込んできた長野には繋がらずとここもシュートには持ち込めず。
それでも流れを変える効果は表れ、以降攻撃権を支配するに至った福島。
(41分に森晃→清水へと交代)

やり返したい北九州は、41分に敵陣左サイドで縦パスを平山が遮断し、ショートカウンターかという場面に。
しかし拾わんと走り込んだ高橋が森璃に抑え込まれ、これが反則無しとなった事で紛糾する事態となり。
ベンチから「冷静になれ」という大声が上がるも、結局はこの流れを覆しきれない結果となりました。

43分、深めでの右スローインから押し込みを掛ける福島。
その方策はやはりショートパスの連続で、右奥を突いた城定のクロスが、クリアで方向が変わった所を清水が折り返し。
受けた大関が前進の姿勢からヒールパスと、目線を変え続けた末に城定がシュートするも杉山がブロックののち掻き出し。
再び右スローインからの攻めで、今度もショートパスの連続で右ポケットを取りにいく福島、その最中に城定が井澤に倒されるものの大関が拾って継続。
そして奥からマイナスのクロスが入ると、長野のスルーを挟んで中央で清水が合わせてシュート。
これがゴールネットに突き刺さり、ようやく北九州の堅守を破るに至って先制点を挙げました。
信念を突き通す事が勝利への執念と重なったその姿に、歓喜に沸くピッチサイドとスタンド。

尚もそれは続けられ、北九州の最終ラインに対し果敢にプレッシングを掛ける福島。
左サイド深めで奪った清水が、矢島のレイオフを挟んでポケットへカットインを仕掛けた所、杉山に倒されるも反則の笛は鳴らず。
北九州サイドの不満が目立った(試合後の中村トレーナーへの警告も恐らくそのためだろう)この試合ですが、福島サイドも決してその判定面で優遇されたという訳では無い、といったこの場面。

その福島の圧に、AT突入後もまともに攻め込めない北九州ですが、右からの山脇のアーリークロスが唯一の好機を生み出し。
ファーで乾が折り返したボールがバウントした所、平山が身を屈めて強引にヘディングで合わせたシュートがゴール上を襲い。
しかし僅かに外れてしまい、起死回生の一発とはなりませんでした。

結局1-0のまま、福島が逃げきって勝利。
この日はホームでクラブ史上最高の観衆を集めた(5,471人)一戦とあり、今後是が非でも勢いを付けるべくの勝ち点3に仕立て上げたい所でしょう。

Jリーグランキング にほんブログ村 サッカーブログ J3へ


DAZN観戦 2024年J3リーグ第25節 FC岐阜vsY.S.C.C.横浜

2024-08-30 18:14:46 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

  • 岐阜は、甲斐が累積警告により出場停止。

大混戦の昇格争いですが、そこから振り落とされる寸前といった立ち位置の岐阜。
そうならないためにも、今夏は補強に精を出し、岡崎・水野・寺坂・GK中山を戦力そしてスタメンに加えて挑んだこの試合。
しかし直前に、目下チーム得点王だった田口が同リーグの金沢に引き抜かれる事態が発生。
補強に精を出すクラブというイメージが付いている岐阜ですが、現状の立場はあくまで下方でしかない事を象徴する移籍劇となってしまったでしょうか。
ともかく強化した陣容の下、勝ち点を積み重ねていかなければ話にならず。

この日の相手はYS横浜で、岐阜より下位という位置のクラブ。
それを指し示すように、前回(16節・長野戦、0-4)観た印象では迷走感が半端無いといったピッチ内のサッカーでしたが、時を経てどう立て直したか。
特に悪印象だったFWのオニエは、この日もスタメンに名を連ね。

前半2分、最終ラインでボール保持し落ち着きを図った岐阜でしたが、石田の右→左へのサイドチェンジが大きくズレて自陣方向へ。
しかし戻って確保した寺坂に対しYS横浜は全くプレスを掛けずと、動きの悪さが目に付くシーンとなり。
再度建て直し、岡崎のロングパスが右サイド奥に届いて岐阜の好機となり、新垣のクロスは流れるも逆サイドで拾い直して今度は左手前から水野のクロス。
これをファーサイドで粟飯原が合わせヘディングシュート(ゴール上へ外れる)と、エンジンのかからない相手を突いてのファーストシュート。

この日も早々から「ダメか……」というイメージが付いて回る事となったYS横浜ですが、6分に左スローインの連続で漸進し、左奥で持ったオニエがコーナーキックに持ち込み。
キッカー菊谷の最初のクロスはクリアされるも、そのボールが直接菊谷の下に転がって再びクロス。
ニアで小島のフリックにより混戦が生まれ、拾った松村がシュート(GK中山キャッチ)と、セットプレーながらフィニッシュに繋げ。

その後はボール保持を軸として攻め上がる岐阜に対し、隙を突いてボール奪取からカウンターに持ち込むYS横浜、という試合絵図に入り。
普段は自身がボールを保持したいというクラブのYS横浜、それだけにその思惑はアテが外れたものだったでしょうが、全く良い所が無かった前回の前半とは雲泥の差であり。
10分に、縦パスを西谷が収めきれなかった所を前に出て柳が奪い、そのまま直線的に素早く前進。
菊谷のスルーパスに走り込んだ柳、更に1タッチでエリア内へスルーパスと、電光石火の攻撃でフィニッシュを狙い。
エリア内に走り込んだ脇坂でしたが、スリップしてしまったか体勢を崩しながらのシュートとなりジャストミート出来ず、先制点は奪えません。

時折本来の姿である最終ラインからのパスワークに入るYS横浜でしたが、岐阜のプレッシングを受け、狭い局面での繋ぎを余儀なくされた末にパスミスを繰り返すという具合に機能せず。
13分には敵陣でのルーズボールを水野が直接縦パスを送っての好機、ディフェンスに遭うも確保に成功した末に石田のスルーパスが右ポケットへ。
そして走り込んだ西谷が奥からシュートするも、GK岡本がセーブ。
その後もCKあり、敵陣でのボールゲインありと、岐阜が優位性を保つ展開に。

18分にYS横浜は最後方からショートパスで繋ぐ体勢で、例に漏れずプレッシングを浴びたものの、柳が2トップの間を通して縦パスを奥村に届け前進に成功。
その後松村を走らせるミドルパスはカットされるも、すかさず岐阜のパスミスを奪い返し、奥村がミドルシュート(ブロック)と本来の攻めからフィニッシュに繋げ。
機会は少ないながらも、こうした立ち回りでの好機により、YS横浜が反撃の兆しを持った(そう見えた)まま飲水タイムが挟まれました。

しかしブレイク明け、この理想の追求が裏目に出る事に。
26分の岐阜の攻撃、左サイドで荒木のスルーパスに走り込んだ寺坂が奥からマイナスのクロス。
これをニアで遮断したYS横浜でしたが、拾った柳から狭い局面でのボール確保という状況に。
後ろからプレスバックを掛ける西谷を振り切らんと、自陣エリア内から持ち運びを選択した柳の判断が仇となり、前方で詰めに来た荒木に奪われ。
そしてこぼれ球を拾った粟飯原のシュートがゴールに突き刺さり、第2クォーター最初の好機をモノにして先制したのは岐阜となりました。

クリアでは無く保持を選んだのが間違い、といったここでのYS横浜の立ち回り。
再開直後の27分、裏へのミドルパスを受けたオニエが右からカットインでエリア内を突く好機、そして中央への横パスに走り込んだ松村がシュート。
枠を捉えられずに終わるも、この日オニエの動きは(前回から)見違えるようであり、未だやり様はあるといったYS横浜。

しかし直後の28分、岐阜は右スローインから執拗にポケットを突く攻めの末に、スルーパスに走り込んだ新垣のクロスが低く鋭く入り。
跳び出したGK岡本も触れられず、その奥で庄司が脚で跳び込むも僅かに合わず。
何とか助かった形となるも、すぐさま最終ラインから再度攻撃に入る岐阜、ラインを上げたいYS横浜の逆を突くように水野のスルーパスで完全に裏を取った粟飯原。
そしてまたも右ポケットに進入し、中央への横パスでGKをかわした末に、庄司のシュートでゴールネットを揺らします。
早期にリードを広げた岐阜。

これで岐阜の優勢ぶりは揺るがずと思われましたが、攻めの流れは構築出来つつあるYS横浜が反撃。
31分に細かなパスワークで右サイドを前進、岐阜の寄せで何度かカットされるも、脇坂が倒されながらのポストプレイもあり際どく繋ぎ。
そして敵陣で1タッチパスの連続を経て、奥に走り込んだ脇坂のヒールパスを受けた小島がポケット奥へ進入と崩しきり、マイナスのクロス。
これをニアで仕留めたのはオニエで、ゴールネットを揺らして1点を返します。
前回の印象を完全に覆すオニエのゴールで、ファイティングポーズを取り直すYS横浜。

この得点で一気に前向きな姿勢となったYS横浜、以降前半終了間際まで攻撃権を独占し。
中央に張るオニエにパスが通るのみならず、彼と同じく前回何も出来ない印象だった橋本の突破力が発揮され始めるなど、至る所で好循環が齎され攻め続けます。

40分再び右サイドから細かく繋ぐと、奥村が水野に倒されるも菊谷が拾ってアドバンテージ、すかさず逆サイドへ対角線のスルーパス。
受けた橋本がそのまま左ポケット奥まで進み、入れられたマイナスのクロスを菊谷が合わせシュート。
しかし前方に居た脇坂に当たる結末となり、自滅の形でこの良い流れはモノに出来ずとなります。

一方の岐阜は失点シーンが示すように、上下動のパスに喰い付いた末に剥がされるという、J2・清水の弱点を思い起こさせるようなディフェンスの脆弱さが目立ち。
それを隠すようにハイプレスに出ていたものの、それも機能しなくなり守勢を強いられるといったこの時間帯。

しかしアディショナルタイムに突入すると、岐阜はGK中山が粟飯原を目掛けたロングフィードで、藤原の反則を誘発して右サイドからのフリーキックに。
一息つくといった感じの局面でしたが、ここからキッカー新垣のクロスがファーサイドに入ると、寺坂が合わせヘディングシュート。
ゴール左に突き刺さる、まさにワンチャンスをモノにする格好で追加点を挙げました。
決まると同時に前半終了と、結果的に痛すぎる失点となってしまったYS横浜。

前回はあまりの巧くいかなさに、ハーフタイムで4枚替えを敢行したYS横浜ですが、今回はかなり攻め込めていたため動かず。
第2クォーターの攻勢を保ち、その中で1点返したいという後半が幕を開け。

その姿勢を強めるため、後半は持ち味のビルドアップ、つまり左右のセンターバックの片割れがボランチと化する立ち回りで色を塗り。
可変するのは左の藤原で、これにより前半は下がり目でアンカー小島の脇で受ける事が多かった奥村を、前目に保させたいという思惑だったでしょうか。

しかしその効果が発揮される前に、ペースを掴んだのは岐阜。
立ち上がりの一進一退の状況を変えるスイッチとなったのが後半5分、敵陣浅めで庄司が反則を受けると、水野がFKを素早くリスタートさせ左奥を突き。
奥でキープする西谷から戻し、荒木がカットインで中央まで流れミドルシュート、柳がブロックするも左CKで継続。
キッカー水野のクロスを粟飯原がニアでフリックし、ディフェンスに当たりこぼれた所をすかさず粟飯原がシュート、しかしこれも小島がブロックで防ぎ。
ゴールはならずも、CKの際はゴール前に密集を作るという立ち回りもあり、押し込まれている感が拭えなくなってきたYS横浜。

必死に守るYS横浜ディフェンスという印象が強まった所で、岐阜は川上や西谷がそのチャージを受けて倒れ込み、ブツ切りを余儀なくされる試合展開。
戦術としては、岐阜は前半に比べミドルプレスの位置で構え、自陣で相手の攻めを防ぐ意識を強め。
そして、藤原の可変により手薄となった所を素早く突く姿勢が目立ちました。

2点リードもあり、これによりペースを掴んでいた岐阜。
しかし16分にYS横浜が久々に攻撃機会を得た(スルーパスに走り込んだ橋本が左奥からクロス、ブロックされる)事で破られると一転。
ボール保持で落ち着きを図りに掛かるも、それに対しYS横浜がボールゲインを連発して好機。
17分に左サイドで橋本がパスカットし、戻しを経て中央→右へと展開ののち松村がドリブル突破。
そして奥へ切り込んでのカットインで、ポケットから中央へ横パスを送るも、ニアで受けた脇坂のシュートは枠を捉えられず。
続く18分にも、岐阜のズレた縦パスを奥村が逆に縦パスを送り返して好機、受けたオニエが右ハーフレーンからアーリークロスでGKとDFのを突き。
これに菊谷が脚から跳び込むも僅かに合わずと、攻勢の流れを取り戻したものの肝心のゴールには辿り着けません。

21分にはスルーパスを受けた脇坂がエリア内に進入した所を石田が倒してしまうも反則の笛は鳴らずと、間一髪の凌ぎを余儀なくされる岐阜。
15分以降YS横浜が攻撃権を握りっぱなしという展開を、遮るように飲水タイムが挟まれ(23分)何とか命拾いの格好に。
明ける際に両ベンチが動き、YS横浜は3枚替えを敢行、柳・菊谷・脇坂に代えて花房・萱沼にルクマン・ハキムを投入。
一方の岐阜は川上・粟飯原→遠藤・藤岡へと2枚替えを敢行し、第4クォーターの戦いへ突入します。

その最初の好機はYS横浜で26分、岐阜のプレッシングを受けてGKへと戻すと、そのGK岡本が間を通すパスでプレス回避。
そして奥村ミドルパス→萱沼フリックで、裏へ抜け出したオニエが受けてそのままエリア内へ進入という絶好機が生まれます。
しかし放たれたシュートは、追走した遠藤がスライディングでブロックと必死のディフェンスに阻まれ。
その後も28分に、投入されたハキムが左からカットインシュート(枠外)など、フィニッシュを重ねるブレイク前と同様の攻勢に。

しかし交代により前線にマンパワーが集まってしまったか、裏を突かれ易いリスクも高まり。
30分、YS横浜の右スローインを直接遠藤がカットすると、庄司レイオフ→水野ミドルパスと1タッチの連続で裏を突き。
左ハーフレーン・エリア手前でこれを受けた藤岡、そのままカットインから果敢にミドルシュートを選択すると、これが巻く軌道を経てゴール右へと突き刺さります。
苦しんだ末の追加点で、勝利をほぼ手中に収め。

なお、このシュートに詰めにいった西谷が足を痛めてしまい、そのまま担架で運ばれた事で交代を余儀なくされる岐阜。(西谷→河波に交代、新垣が西谷のポジションに回る)
一方YS横浜も松村→大竹に交代し、攻勢を保たんとします。

その通りに34分、奥村のスルーパスで今度はハキムが抜け出し、そのままエリア内でGKと一対一に持ち込む決定機。
GK中山を右にかわしてシュートを放つも、やや体勢が崩れたのもありボールはサイドネット外に終わり決められません。
尚も敵陣でボールゲイン、岐阜のパスミスなどから攻め上がるYS横浜、助っ人2人にもチャンスが巡って来ますがどうしても状況を変えるゴールには辿り着けない流れに。
39分に最後の交代を敢行、オニエ→中里へと交代し、ハキムを1トップとする3-4-2-1(小島・中里のドイスボランチ?)気味へとシフト。
一方の岐阜も40分、水野・荒木→北・西堂へ2枚替えして交代枠を使いきり。

ボランチが北に代わった事で、前目の位置を取りたがる彼に従うように、その後一転して好機を増やす岐阜。
45分に左奥でその北を中心としたパスワーク、戻しを経て逆サイドに渡した末に河波がクロスを上げると、ファーで藤岡が合わせヘディングシュート。(枠外)
これを境に、ATはYS横浜の攻め疲れもあり岐阜の独壇場という展開へと変わります。

何とか死力を振り絞るYS横浜、細かい繋ぎでエリア内へ持ち込み、ハキムのポストプレイを経て奥村がシュートを放つもブロックに阻まれ。
すると岐阜がカウンターと、攻撃を継続させる余力は既に無く、新垣を小島が倒してしまうも拾われてアドバンテージという具合に反則紛いでも止められなく。(フィニッシュには持ち込めず)

そして時間も押し迫った所で、攻撃が途切れたのちのゲーゲンプレスで右サイド深めへと追い込んだ岐阜。
何とかプレス回避を図ったYS横浜ですが、庄司にカットされるとそのままワンタッチでの繋ぎで左ポケットを突きに掛かり、ラフなスルーパスに走り込んだ藤岡。
跳び出して抑えにかかったGK岡本ですが、藤岡のボールを確保する脚が一瞬早く、倒してしまった事で反則並びにPKを告げる笛が鳴り響きます。
既に大勢が決まっているものの、岐阜はホーム故にこれを決めるか否かで試合後のムードも変わるものであり。
キッカー藤岡はゴール左に蹴り込み、しっかりとGKの逆を突いてゴールゲット。
5点目を挙げたとともに、試合終了の時を迎えました。

YS横浜は奮戦したものの、結局は5-1という結果で前回視聴時同様の大敗。
「何が何でも昇格を目指すクラブ」とはかけ離れた特殊な立ち位置ながら、降格制度も出来たが故に、今後J3の位置を保つには現状維持で良いのかが問われる所でしょうか。

Jリーグランキング にほんブログ村 サッカーブログ J3へ


TV観戦 天皇杯 第104回全日本サッカー選手権大会ラウンド16 ヴァンフォーレ甲府vs鹿島アントラーズ

2024-08-23 18:27:51 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

前回の天皇杯の記事- 3回戦・柏vs筑波大

運命・定めに従うかのように、3年連続で相対する事となった両クラブ。

2年前は、甲府がまさかのJ2クラブでの優勝という栄光に登り詰めた際の過程で、準決勝で対決。(その時の記事
この時鹿島は監督交代して間もない(レネ・ヴァイラー氏→岩政大樹氏)状態で、新監督はポゼッションスタイルを掲げている道半ばで挑む事となり。
その結果、先手を取られてからは見るも無残に、1点を守り切らんとする相手に対し「ボールを持たされている」状態の域から抜け出す事が出来ず敗戦へのレールを進むしかありませんでした。

前年は、J1vsJ2のぶつかり合いが幕を開ける3回戦で相対し。(その際の記事
この時も鹿島はボール保持力にいささか疑問符が付く状態ながら、前年の二の舞を演じる訳にはいかない、という意地でビハインドを跳ね返し。
同点のままがっぷりよつを組む……事は無く、延長戦に入ると徐々に押され気味となってしまうなど、精神力に頼ったサッカーだったのは否めず。
そして最後はPK戦で、一巡する長丁場となった末に枠外シュートでの失敗により敗戦。
表面のスコア的には五分なものの、格上らしさを演じる余裕は何処にもありませんでした。

そして今季。
甲府が監督交代(篠田善之氏→大塚真司氏)もあり低迷、逆に鹿島は優勝争いと、カテゴリーは違えど明確に鹿島優位なリーグ戦の状態。
会場こそ甲府のホーム(JITリサイクルインクスタジアム)ですが、今度こそ負ける訳にはいかない試合となりました。

立ち上がりからサイド攻撃に精を出す鹿島。
海外から日本へ出戻りとなった期待の田川を中央に張らせ、彼にクロスを届ける事を第一とする思惑が表れたものの、成果としては今一つ。
その間に甲府が、前半6分に右スローインから1タッチでの繋ぎの連続を経て木村が持ち運んでミドルシュート(GK早川キャッチ)とファーストシュートに辿り着き。

むしろ7分、植田のロングパスで一気にエリア内を突いた所に、田川が走り込んでポストプレイと少ない手数で脅かす鹿島。
これはフィニッシュにはならずも、直後に空中戦でのこぼれ球をミロサヴリェヴィッチが1タッチでの縦パス、受けた樋口がさらにエリア内へスルーパスと素早い縦への運びでの好機。
そして走り込んだ田川のシュートに繋げる(GK渋谷キャッチ)という具合に、こちらの方が有効打に結び付いた立ち上がり。

甲府はリーグ戦での戦いの通り、守備時は5-4-1のブロックを敷くという基本姿勢で、ハイプレスに出る事は稀な立ち上がり。
しかし攻撃時は、本来の関口が右サイドバック化する繋ぎから一変し、シャドーの位置から張り出して来る三沢が右サイドアタックの軸となり。
18分に関口の裏へのロングパスを受けた三沢は、そのまま右奥からカットインでポケットに持ち込んでシュート(GK早川キャッチ)と、相手の対応の裏を取るのに一役買い。
彼を前面に押し出しながら、関口が最終ラインに残り普通の3CBの形からの繋ぎの形で、好機と見るや上がってくるという関口の立ち回り。

そして飲水タイムが挟まれたのが24分。
三沢の働きに光明を見出した甲府は、ブレイク明けはハイプレスへと意識を切り替え。
27分、それが奏功して縦パスをカットに成功した関口が、その勢いのまま藤井のチャージを受けて反則を奪い。
これでペースを掴むと、28分にGK渋谷からの組み立てで鹿島のプレッシングをいなし、右からの前進で飯田が須貝を剥がしてドリブル突破。
この際関口は彼に並走してパスを受ける事で攻撃参加すると、戻しを経て三沢のポケットへのミドルパスに走り込んでクロス(クリアされる)と最前線で絡むなど、流動性を発揮して多彩となってきた右サイドアタック。

そして29分、左からの攻めで宮崎がドリブル突破を経てポケットへスルーパス、走り込んだ木村のクロスがニアに低く入り。
これを三平が合わせシュートに持っていくも、関川のブロックに阻まれ決められず。
しかし尚もクリアボールを拾って最後方(ヘナト)から攻め直すと、またも宮崎の前進で今度は三平とのワンツーで左ハーフレーンを突き進む形。
そしてポケットから上げられたクロスを、ファーサイドで三沢がヘディングシュートで締めてゴールネットを揺らします。
攻勢の切欠となった三沢が先制点を記録するという、極上の流れでリードを奪った甲府。

過去2戦同様、先手を取られる形となった鹿島。
31分に関川が持ち運んでのロングパスでエリア内の田川に届ける攻めで、落としを経て師岡のシュートが放たれるも、左ゴールポストを直撃してしまい同点ならず。
その後、無理に縦パスを届けんとしては遮断されるという具合に、田川を活かす立ち回りは不発に終わる流れへと突入します。

それでも暫くは鹿島の攻撃が続き、凌ぐ体勢を余儀なくされた甲府。
それを変えたのは再び三沢で、38分に飯田のボール奪取でのこぼれ球を拾って右サイドをドリブル。
藤井の反則気味のアタックで倒されるも、関口がカバーして継続(その後クロスもクリアされる)と、右サイドアタックの分厚さを見せ。
すると39分、最後方からの繋ぎで鹿島のハイプレスを呼び込み、GK渋谷のロングフィードが最前線の宮崎に収まるという疑似カウンター。
宮崎はそのまま中央を持ち運んでミドルシュートに持っていくも、GK早川がセーブと惜しくも追加点はならず。

何とかその流れを切り、終盤再び攻勢を掛ける鹿島。
しかし、田川が決められなければそれで終わりという流れは変えられず。
突入したアディショナルタイム、左から藤井がドリブルで仕掛け、カットインの姿勢から上がったクロスを田川がヘディングシュートに持ち込み。
これも枠外に終わり、このままハーフタイムならびに戦術変更を余儀なくされる状況が過ります。

しかしその直後でした。
GK渋谷のロングフィードを植田がヘッドで跳ね返すと、これがヘナトのクリアミスも絡んで藤井が抜け出す決定機を呼び込み。
そのまま左ポケットでGKと一対一に持ち込んだ藤井、ファーサイドを切りに来たGK渋谷の股を抜くシュートで制し、無事モノにする事に成功。
堅かった甲府ディフェンスの、最後の緩みを突いた形で同点に追い付きました。

その後は何も起こらず、1-1のまま前半終了。
しかし恐らくビハインドの状態で用意していたと思われる、交代策をそのまま敢行した鹿島。
田川に代えて鈴木を投入(同時にミロサヴリェヴィッチ→名古に交代、樋口がボランチに回る)、本来のリーグ戦でのサッカーを取り戻さんというような采配。
一方の甲府、リーグ戦2試合出場停止となったアダイウトンを何処で使うかという采配が試される状況ですが、HTでは動かず。

後半も立ち回りは大きく変えない甲府、関口が後方に残ったままのビルドアップから、三沢が張り出す動きを軸とする右サイドアタックを貫き。
お互い中々好機が生まれない、我慢を強いられるような入りとなります。
すると冴え渡るのが鹿島の立ち回りの巧さで、後半6分に敵陣での右スローインから、細かいパスワークによる組み立て。
その最中でパスを受ける際、寄せに来る佐藤の眼前に足を入れる事で、ボール確保とともに反則をも呼び込む動きを見せる三竿。
その通り佐藤は三竿を倒してしまうも、濃野が拾ったため継続となりそのまま右奥を突きに掛かる鹿島、ディフェンスに遭うもコーナーキックに持ち込み。
時にはこうしたマリーシアを絡め、セットプレーも交えながら優位さを保たんとします。

しかし9分、ここも師岡が木村に反則を受けた事によるフリーキックからの攻め。
右サイド遠目という位置で、クロスと見せかけて短く繋いだのちに、濃野が逆サイドへ展開したものの読まれて関口にカットされ。
そのまま関口のドリブルで甲府がカウンターに持ち込む所、藤井が反則で止めてしまうと、これに対して飯田がヒートアップし詰め寄る事態となり。
これに対しても、飯田に応戦したのが鈴木という具合に、相手の苛立ちを増幅させる術を知っているような百戦錬磨の鈴木。
結局カードの類は出ず、甲府サイドが不満を貯めるような査定に終わります。

11分に甲府ベンチが動くも、初手は三平→マクーラ。
直後の右スローインで、投げられたボールを右ポケットで収めたマクーラ、そのまま反転シュートを放つも枠を捉えられず。
あくまで新戦力のマクーラに場を積ませ、この試合ならびにのちの爆発を期待する采配を見せる甲府サイド。

その後荒れ加減ぶり落ち着けるように、ペース配分を重視する鹿島。
それにより甲府がボールを握る展開へと入り、同時にどう崩すかという状況に。
18分、左サイドでマクーラが溜めを作りながらの繋ぎを経て、クロス攻勢に持ち込むもシュートには繋がらず。
クリアボールを拾って後方から攻め直しとなると、今度は中央突破を選択、それも林田がドリブルで持ち運ぶという大胆な手段を採り。
これが奏功し、彼のパスを三沢が脚でフリックした事で生まれた紛れから、木村が中央からミドルシュートを放ち。
GK早川がセーブした所を、上がっていた林田が詰めにいったものの早川の足でのクリアが一瞬早く、寸での所でモノに出来ません。

これを逃したツケは大きかった甲府。
以降徐々に失速し、そうなっても25分に小林・宮崎→荒木・武富へ2枚替えと、アダイウトンの投入は見送る運びに。
24分に三竿へのアフターチャージでマクーラが警告を受けるなど、その停滞感は再度荒れる展開への傾倒も生み出さんとします。

しかし鹿島も良い流れを築く事は出来ず、相手の出方を窺いながら徐々にダメージを与えていくという姿勢は変わらず。
26分に飲水タイムが挟まれてからも同様で、甲府が好機を殆ど作れない状態に陥っても、積極的に仕掛ける事はせずに時間を潰していきます。

そして32分に動き、柴崎の投入でゲームチェンジを果たさんとし。(藤井と交代、樋口が右サイドハーフに・師岡が左SHに回る)
しかしその矢先に、師岡が足を攣らせてしまい再度動く事を余儀なくされてしまう(34分、師岡→仲間)等、決して流れは良くなく。
それでも37分、主体的な攻めで好機を生み出す鹿島、左での前進の姿勢から戻して逆サイドへ展開する地上からの繋ぎ。
樋口の右ポケットへのパスが鈴木に渡り、ボックス内での狭い局面での攻防が生まれた末に、名古がシュートを放つもブロックに阻まれ。
甲府ボールとなった所を須貝が奪い、そのまま左ポケットに進入してシュートを放つもこれもブロックに阻まれ。
相手がじれた所で攻勢を掛ける、という流れになるも決められず。

そして38分、甲府はようやくアダイウトンの投入に踏み切り。(三沢と交代、同時にヘナト→井上へと交代)
一方鹿島も同時に、樋口→安西へと交代し、これにより須貝が右SBに・濃野が右SHに回りました。

こうして突入した終盤戦。
40分に早速アダイウトンがシュートに持ち込むも、威力が足りずGK早川がキャッチ。
直後の41分に、甲府ベンチに警告が付き出される(対象は岩崎通訳との事)など、白熱する内容を象徴する絵図も生まれ。

鹿島は交代に伴い、アダイウトンを抑えるように右サイドの選手を揃って入れ替える形に。
狙い通りに、左サイド奥を突きにいくアダイウトンにしっかり付くという形で、古巣の野望を沈めにいく須貝。

そして43分中盤での空中戦を制した鹿島が、浮き球を繋いでいった末に右ポケットへ運び、走り込んだ濃野のクロスがブロックされて右CKに。
最初のニアへのクロスがクリアされて2本目になると、今度は中央を選択するキッカー柴崎。
そして植田のヘディングシュートがゴールネットを揺らし、セットプレーをモノにする格好でついに勝ち越しを果たします。
神経戦を粘り強く制したその姿は、強くて嫌らしい鹿島のスタイルそのものであり。

これで追い掛けなければならなくなった甲府。
しかしその手段となるべきマクーラを悲劇が襲い、鹿島がヘッドでのバックパスをGK早川が抑えた所に、前向きのベクトルを止められなかったマクーラは早川の足を掛けてしまう格好に。
倒れ込む早川とともにたまらず反則を告げる笛が鳴ると、いち早くマクーラに詰め寄ったのが鈴木という具合に、ここでも神経戦に持ち込まんとする鹿島。
主審(山下良美氏)が警告を突き出さんとするその前でそうした絵図を描くのは、正直醜悪の域を出ないものの、これまでの荒れ模様な展開(度重なるノーファウルのジャッジ)もありそれを止める手段は無く。
結局マクーラは2度目の警告により退場となり、以降は林田が前線に上がってアダイウトンと2トップを組む、4-3-2の布陣となった甲府。

何とか1点を……という姿勢は見せた甲府ですが、それが実を結ぶ事は無く。
荒木の左ワイドからのロングパスで、武富がエリア内で脚から跳び込むも撃てずという場面を作ったものの、結局惜しいシーンはそれだけとなり。
1-2のまま試合終了の笛が鳴り、鹿島がついに甲府を破る事に成功。
過去の2敗も含め、この結果に持ち込むのに多大な労力を要したというような褒められない試合内容でしたが、ようやく悪夢を振り払う事となったのも事実。
これによりリーグ戦も勢いが付き、逆転優勝が果たせられれば……といった所でしょうか。

サッカーランキング にほんブログ村 サッカーブログへ


DAZN観戦 2024年J3リーグ第24節 ギラヴァンツ北九州vsカターレ富山

2024-08-22 16:00:48 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

  • 北九州ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。

この日は「ギラヴァンツサマーフェスティバル」という特別なイベントで、5桁の観衆を集める(12,448人)に至ったミクニワールドスタジアム北九州。

この専用スタジアムが完成したのが2017年ですが、その前年にまさかのJ3降格に至ってしまった北九州。
それ以前は、プレーオフ圏に入りながらもJ1ライセンスが無く出場出来ずというシーズン(2014年)もあり、ようやくJ1昇格への道筋を整えた所での降格はダメージが大きく。
以降J2復帰した(2020年)ものの結局定着できず、前年は2度目のJ3最下位に沈んでしまい。
辛うじてJFL降格は免れたものの、汚泥からの脱却を目指す事となった今シーズン。

しかし13節からここまで無敗(7勝4分)という歩みで、それを果たしつつある現状。
そんな上昇機運でこの試合を迎えましたが、相手は強敵の富山で、これに打ち勝つ事で本格的に昇格争いに加わりたい。
イベントの他にも、一戦に賭けるべき思いが強く出たでしょうか。

キックオフから初手、最後方からのロングパスを牛之濱が落とし、左サイドの狭い局面での繋ぎを経て好機に持ち込み。(奥から牛之濱がクロスもクリア)
スローインを経由して最初のコーナーキックを得ると、ゴール前に6人を集めて(富山のマンツーマン守備とも相成って)密集を形成し守り辛い状況を作るなど、何としても先に1点が欲しいという立ち回り。

出鼻を挫かれる格好となった、目下4位の富山。(北九州は7位)
最後方からの組み立てでリズムを作りたい状態となったのは一目瞭然で、前半6分にGK田川が左右にフィードを散らしてのビルドアップ。
しかし同じフォーメーション故にピッタリと嵌められ、2度目の田川の右へのフィードを受けた西矢が牛之濱に奪われた所で、たまらず引っ掛けてしまい反則。
このフリーキックを素早くリスタートする北九州、乾のアーリークロスに永井が中央で跳び込むも、惜しくも合わずに終わり。
ホッとしたのも束の間、続くゴールキックからの空中戦で、富山のクリアボールをダイレクトで藤原がスルーパスを送ってまたも北九州の好機。
左奥へ走り込んだ牛之濱が低いクロス(GK田川キャッチ)と、少ないタッチでアタッキングサードを突いて来るその攻撃はまさに鋭い槍のようでありました。

気を取り直す富山、落ち着いて本来の姿である、最終ラインが距離感を長く保ってのパスワークで相手のプレスをいなす立ち回りに入り。
立ち上がりは嵌っていた北九州の前線の守備も、これにより長い距離を走らされるのみとなって無効化されます。
12分に河井の縦パスを中央で受けた椎名に対し、マーカーの牛之濱が倒してしまい反則。
これにより良い位置での直接FKとなる(キッカー高橋馨が直接シュートも壁に当たり枠外)など、ボール保持の相手に対しどう守るかがキーとなりそうな試合展開に。

しかし16分の北九州、後方からのラフなロングパスは繋がらずも、すかさずゲーゲンプレスを掛けて右サイドで山脇が奪い返すという「ストーミング」に近い好機の作り方。
高の持ち運びが後ろから河井に倒されて反則・警告となった事で、こちらも直接FKを得ます。
右ハーフレーンで距離的にもやや遠目ながら、キッカー藤原は直接シュートを放ち、無回転のボールが枠内を襲ったもののGK田川が正面でしっかり弾いて防ぎ。

これで再び北九州の流れとなり、サイドから攻め上がり何度もクロスに持ち込む北九州。
その内容はサイドバック・サイドハーフの2枚が追い越しを混ぜながらの繋ぎで前進するというシンプルな内容。
右サイドは高・山脇の突破力、左サイドはボランチ・トップ下が加わっての繋ぎという、ギャップを混ぜ合わせての攻撃を繰り広げ。

迎えた24分、中盤の底の藤原は縦パスで右からの前進を選択すると、ここでは突破は図られずに高吉を加えてのパスワークを展開。
スルーパスを受けた山脇が奥へ切り込む見せかけて、戻しを経て藤原のアーリークロスという手法が選ばれると、これが走り込む永井にピタリと合いヘディングシュート。
これまで散々サイド奥を抉ってきただけに、角度を付けられたクロスに富山ディフェンスも対応できずといった感じで、先制点に辿り着きました。
それと同時に飲水タイムが挟まれ。

ブレイク明け、文字通り仕切り直したい富山ですが、ダメージコントロールに時間を要し。
その間にも、28分に北九州は中盤からのFKで放り込みを選択、高のフリックでエリア内で生まれる紛れを経て工藤がボレーシュート(枠外)と脅かされ。

リードした北九州は、4-4-2でリトリートという意識を高める守備対応。
それに対し富山は当然ながら、ボール保持から何とか崩しにいくという立ち回り。
つまりポゼッションvsカウンターに近い試合展開となり。

中央を固める事を優先する北九州で、富山は最終ラインからサイドを揺さぶりながら、巧く高い位置を取ったSBに預ける事で好機を作り。
それ故に、SHも中央寄りに位置してサイドを開ける役割に徹しますが、単調さは拭えず「ボールを持たされる展開」の域を脱せません。

40分、北九州の攻めが途切れた所、ボールキープする安光がゲーゲンプレスを何とかいなした末に吉平がミドルパスを1トップの碓井の上空へ。
クリアされて拾われるも、こちらもゲーゲンプレスで安光がカットに成功して継続、再度出されたパスを受けた碓井から中央からボックスを突く状況に。
パスを選択し、受けた吉平がシュートを放ったものの枠を捉えられずに終わります。
コンパクトな布陣を掻い潜って放ったシュートも、決められずとなれば苦しくなるのは当然であり。

逆に先制点以降、北九州のロングパス攻勢を跳ね返せずに難儀する場面が増加。
アディショナルタイムには左に開いた工藤のロングパスを中央で高が合わせにいき、クリアが小さくなった所をエリア内で岡野に拾われるという危機の招き方。(その後右からクロスもブロックされる)
前半は富山が追い風という環境だったので、これは後半尚も苦戦しかねない予感が膨らむ終盤戦となりました。

結局1-0のまま前半が終了。
立て直したい富山は2枚替え、河井・椎名→布施谷・井上へと2枚替え。(井上がトップ下に入り高橋馨がボランチへ回る)
一方北九州も、永井→井澤へと交代します。
ベテランらしく限られた時間で結果を出した永井の後を継ぐように、高が1トップに・藤原がトップ下に・岡野が右SHへシフトと激しいポジションチェンジが絡み後半に臨みました。

パスの出し手であった藤原(J1・磐田からレンタルで今夏加入)、ポジションチェンジに伴いフィニッシュにも絡む役回りに。
早速の後半2分、左サイド奥を突いた乾のクロスがファーに上がり、藤原が合わせにいきましたがGK田川の跳び出しで惜しくも撃てず。

反撃に出たい富山ですが、投入された井上・布施谷は今一つボールに絡めず、流れを齎せません。
それを突くように北九州は追い風を利用してのロングボール攻勢、7分に右サイドで岡野のボールキープからの戻しを経て杉山がロングパスと、疑似カウンターにも近い手法。
受け手の藤原のダイレクトでの繋ぎを経て高が奥へ持ち運ぶ(クロスはブロックされる)という具合に、富山の速く奪い返したい姿勢とも噛み合い有効となります。
一方攻撃では、自陣で反則を受けるシーンが頻発し、それにより北九州に岡野と藤原が警告と被害が出たものの攻勢を作り上げる事が出来ない富山。

そして11分、やはり危惧されたロングボール対応からでした。
自陣左サイドでのFKから工藤が中央に向けたロングパスを送り、合わせにいった高を越えるもクリアも出来ず、そのままエリア内で藤原に渡る決定機に。
そして冷静にシュートをゴールネットに突き刺した藤原、貴重な追加点を齎します。
上位クラブから2点リードという結果に、アップセットの雰囲気を高めるスタンドの北九州サポーター。

その後も、富山は追い上げたいもののリズムを掴めないという展開を強いられ。
14分には布施谷が鼻血を出して治療を受ける(原因は不明、15分に復帰)など、途切れ途切れの流れに反撃ムードを高められず。
16分に再びベンチが動き、吉平→松岡へと交代します。(布施谷が左SHに回る)

その矢先の18分、またもGK田中のロングフィードが高の頭を越えた所を拾われての北九州の好機。
今度は右ワイドという位置なため岡野はクロスを選択し、跳ね返りを拾った乾がエリア内を突いてシュート(西矢がブロック)と、相変わらずロングボールにより不安定となる最後方。
それでも続く19分、単純な左サイドアタックと見せかけ、布施谷が奥を突く姿勢からポケットへ浮き球を送り変化を付け。
そして受け手の井上もワンタッチで中央へ浮き球で繋ぎ、受けた碓井のポストプレイを経て末木がシュート。(杉山がブロック)
左に回った布施谷の動きは言うに及ばず、右では松岡がカットインからフィニッシュを狙うという流れで、クロス一辺倒への傾倒は何とか避けられた富山。

22分には右から松岡がカットインから中央へパス、受けた高橋馨のミドルシュートがブロックされてCKに。
この左CKからも神山がヘディングシュートを放つも決められず、という所で後半の飲水タイムが挟まれます。
明ける際に北九州は藤原・高→若谷・大森へと2枚替え。

ブレイク明けの最初の富山の好機(26分)も、左から奥を突いた安光の戻しから、布施谷がポケットへパスを送るという同様の手法が選択され。
前半に比べ、北九州の4-4-2ブロックを大分動かせるようになってきましたが、肝心のゴールには辿り着けません。

押され続ける格好となった北九州、33分の富山のCKでの攻撃を切ったのちにカウンターの状況に持ち込み。
しかし若谷のスルーパスを受けた大森も、そこから受け直し前進した若谷も、守勢の後故に落ち着きたいという気持ちが前に出て遅攻に切り替わり。(その後山脇のクロスの跳ね返りを若谷がミドルシュート、ブロックされる)
複数点リードかつ、相手の猛攻を受ける状況なので、前線の選手はこうして溜めを作る事が第一の役割となり。

富山がスコアを動かせるかどうかという試合展開。
35分にCKを得たというタイミングで、鍋田・末木→今瀬・古川へと交代して5枚すべて使いきり。(井上がボランチに回る)
この左CKから、クロスの跳ね返りを布施谷がミドルシュート、ブロックされたボールをさらに西矢がミドルシュート(枠外)とフィニッシュの雨を浴びせに掛かるも実りません。

そして北九州ベンチも38分に動き、岡野→長谷川へと交代。
長谷川が最終ライン(中央CB)に入った事で5バックシステム(3-4-2-1)へと変更し、逃げ切り体制へ突入します。

これによりアタッキングサードへの侵入は容易となるも、どう崩すかという課題が重くのしかかる富山。
41分、クリアボールを松岡が落とし、拾った碓井が左サイドで溜めを作ったのちに布施谷が裏へとロングパス。
これは通らずも、拾った北九州のロングパスを安光がブロックして継続し、古川の落としで左ポケットを突く状況が生まれます。
そして拾った安光がカットインで仕掛け、中央に移った古川にシュートチャンスが訪れるも、素早い寄せを受けて撃てずに終わり。
毛色の違う好機も仕留めきれず、いよいよ苦しくなってきた富山。

その後の高橋馨のミドルシュート(42分、枠外)、布施谷のカットインから左ポケットでのシュート(44分、長谷川がブロック)も決められず。
とうとうATへと突入します。(北九州は44分に牛之濱→平原へと交代)

全員敵陣に入り込み、何とか崩さんとする富山ですが実る事は無く。
逆に北九州は、そこから脱出させるミドルパスを受けにいった大森が反則を受けた事で一息つき。
これによる左サイドでのFKから、当然クロスを選択する事は無く、ひたすら奥を窺いながら細かいパスワーク。
そしてコーナー付近に持ち込んで乾・大森がボールキープと、時間稼ぎとしてはほぼ満点な立ち回りを見せます。

結局ATではフィニッシュに辿り着けなかった富山。
2-0のまま試合終了の時を迎え、これで12戦無敗となった北九州。
5年前の「前年最下位からの昇格」のドラマを、再び描く事となるかどうか。

Jリーグランキング にほんブログ村 サッカーブログ J3へ


DAZN観戦 2024年J3リーグ第23節 テゲバジャーロ宮崎vs大宮アルディージャ

2024-07-31 16:27:00 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

  • 大宮は、杉本が累積警告により出場停止。

快調に首位を走っている大宮ですが、夏の移籍期間でシュヴィルツォクが移籍となるなどで、再編成の時期を強いられ。(その他中野・高柳も移籍)
その穴埋めに、同じカテゴリからサンデーを引き抜く(レンタル元はJ2・徳島)という強者ぶりを発揮する(その他、和田とファビアン・ゴンザレスも加入)など、1年でのJ2復帰のためには僅かな緩みも許されないという現場・フロント一体となっての補強策を敢行するに至りました。

しかしそんな一体感を装っている風でも、その上部ではチーム全体を揺るがしかねない大改革が進んでおり。
かねてより噂になっていた、レッドブルのクラブ買収が決定的との報が今節の直前になって流れ。
実質的な親会社のNTT東日本にとっても願ったり叶ったりという外資の登場で、これまでの伝統が覆されやしないかと周囲が不安を覚える状況に。
それでも近年の緊縮予算もあって、今後クラブが立ち直るためには良い事だという意見も少なくなく。
そんな騒がしい近況となりましたが、まずはJ2昇格を決める事が何よりの課題でしょう。

この日の相手は、大宮と同じく夏の移籍市場で激しく動いて来た宮崎。
こちらは残留のための補強で、松本・江川といった最終ラインを固める戦力を加えて早速起用しているものの、連敗が続いている状況を変えられず。(目下4連敗中)
そして今節は、レンタル先変更(群馬から、レンタル元はJ1・川崎)という手段で獲得した永長を早速ベンチ入りさせるなど、急ピッチで陣容を整え。

このカードは前回対戦時(6節・大宮 3-1 宮崎)も視聴し、その際は宮崎はチームとしての形がなっていないとは言い過ぎですが、大きなチーム力の差を実感する試合となり。
長い月日(といっても半年も経っていないですが)を経て、どう変わったかを示したい宮崎。

前半2分、大宮はGK笠原がサンデーをターゲットとしたロングフィードを送ると、その頭を越えて右奥で大澤が収める状況に。
コーナー付近でのキープから、前を向いた所を江川に倒されると反則の笛が鳴り、ほぼコーナーというフリーキックを得ます。
キッカー泉のクロスの跳ね返りを、小島がダイレクトで撃ちにいくもジャストミートせず(ゴール右へ逸れる)と、不用意な反則による失点は何とか避けられた宮崎。

オーソドックスな4-4-2(といっても、阿野が降りて出口役となる殆どトップ下な立ち位置)という布陣からの、縦に速い意識がやや強めという宮崎の地上でのビルドアップ。
かつてのポゼッションスタイルは相変わらず雲散霧消気味なものの、頼るべき軸が無かった前半戦に比べると遥かにマシ、といった状態が伺えました。
それでも立ち上がりは、とにかく裏抜け・ターゲットどちらでも橋本へとボールを届けるのみという意識に映る攻撃。

10分、ここも辻岡が橋本へロングパスを送る単調な攻めながら、市原のクリアミスで繋がり好機。
そのまま左ハーフレーンを持ち運び薄い大宮ディフェンスを突く橋本、エリア手前から果敢にミドルシュート。
グラウンダーの軌道でゴール右を襲ったものの、僅かに外れてしまい先制はなりません。

とはいえこれで勢いに乗り、続く11分は右から攻め上がるも、松本の裏へのミドルパスが跳ね返され。
一転して大宮が攻め上がるも、パスミスで繋がらずに松本が回収して再度宮崎の攻撃となり、右サイドを持ち運んだ楠がクロス(ブロック)と慌ただしい流れに。
右スローインで継続し尚も攻める宮崎、12分にクリアボールを回収して中央→左へとサイドを変え、井上が奥を突く姿勢からカットインでポケットでキープ。
そしてヒールパスで目線を変え、走り込んだ辻岡のクロスが上がるもフィニッシュには繋がらず。
両サイドハーフに突破力ある選手が居るため、彼らを矛としてSBはそれをサポートする役に徹しているという宮崎のサイドアタック。

首位相手に優勢の流れを築いたものの、20分に敵陣浅めでパスミス、それも力安のパスに対して辻岡と井上がお見合いして受けられずという消極的な姿勢。
これを見せてしまった事で流れが切り替わり、21分に大宮の左サイドからの攻めを切るも、深めに追い込まれた安田が縦パスをカットされて押し込まれた状態でのショートカウンターに。
ここは何とか撃たれる前に防ぐも、続く22分にはシルバのミドルパスをサンデーが収めてキープという、パワーで押し込まれる絵図となり。
サンデーが左足アウトでのパスで繋ぐという技も見せ付けられ、長らくパスを回されるもここもシュートには持ち込ませず。
しかし尚も23分、空中戦を制した大宮がボール確保し、シルバ→サンデーへのスルーパスを遮断するもこぼれ球がエリア内へ。
そして走り込んだ大澤がシュートと、とうとう決定機を許しましたがGK青木が足でセーブ。
この後カウンターに持ち込んだ宮崎ですがシュートにはいけず終わると、続く24分にも大宮の攻撃が襲い掛かり、左サイドから泉→サンデー→村上と経由して中央に渡った末に村上がミドルシュート。
これがゴール左へ僅かに外れる際どいものとなった所で、前半の飲水タイムが挟まれて文字通り一息つく格好となりました。

宮崎は縦に速い攻撃で何度もアタッキングサードを突くも、そこからのクオリティに欠ける側面が拭えず。
前述のカウンターの場面では、右ハーフレーンを持ち運んだ阿野が、溜めを作ってポケットへスルーパスを送るという攻め。
しかし浦上の引き付けが甘く、走り込んだ楠はクロスを選択せざるを得ない状況となってしまい。(そのクロスも浦上にブロックされる)
ここは溜めた際に中央への切り込みを意識させるべきに映り、若いチームだけにこうした細部での拘りがもっと必要に思えました。

そして迎えた第2クォーター、宮崎はビルドアップの形を変更。
辻岡が残る3枚での最終ラインへと変え、左ワイドに常時井上が張るという前回対戦時を彷彿とさせるシステムに。
しかし現代ではこの形も見慣れたもので、結局最後のクオリティが発揮されなければ結果に繋げるのは難しく。

大宮にシルバのミドルシュートで脅かされた(27分、枠外)のち、再度ペースを握り主体的な攻撃を繰り広げる宮崎。
楠の突破力を軸にして右から仕掛けるシーンが目立つも、クロスはブロックされ、カットインは奪われる等そのプレーはやや単調さが浮き彫りとなり。
目を見張るフィニッシュは中々生まれず時間が進んでいきますが、36分例によって右サイドで黒木縦パス→楠ポストプレイを経て、受けた阿野が小島に反則気味に倒されるも安田が拾い継続。
そして左の井上に展開し、前進から強烈なミドルシュートを放った井上。
GK笠原のセーブで防がれるも、この一矢でそんな絵図を変える期待を膨らませます。

しかし無情にも、変わった結果先制点に辿り着いたのは大宮でした。
押され気味ながらも、自分達のターンになるとセンターバックの村上や市原が果敢に攻撃参加していましたが、39分ここも例に漏れず敵陣でのポゼッションのなか左で浦上が攻撃参加。
そして泉の切り込みと見せかけ、戻しを受けてのアーリークロスを入れる浦上、中央で合わせにいったのは石川。
しかし頭から跳び込んだ彼を越えてバウンドし、ファーサイド奥で下口が跳び込んでのヘディングシュートがゴールネットを揺らします。
幾人もの選手が絡んだ末の得点で、やはり大宮がチーム力の差を見せ付ける格好となりました。

これで血気盛んといった宮崎の攻勢も萎み、終盤は大宮の独壇場に。
それでも必死のディフェンスでフィニッシュは生ませず(42分には左ポケット奥へ切り込んだシルバが楠に倒されるも反則無し)、何とか1失点に留めて前半を終わらせます。
ハーフタイムで、石川に代えて補強選手である和田を投入した大宮。

前回の3失点から進歩、といった前半の宮崎。
それでもフィニッシュ数は攻勢が示すほど膨らまなかったため、この1点はスコア以上の重みがあるという感じに。

始まった後半。
宮崎はそんな状態を変えんと、後半2分に右奥でキープする楠から、受けた阿野がカットインからミドルシュート(枠外)と果敢に矢を放ち。

この好機を境に、阿野が積極的にワイドでの組み立てに加わって人数を掛けてのサイドアタックに活路を見出した感があり。
しかし分厚くしたものの、辿り着くのはワイドからのクロスと結局さして変わらず。
クロスを量産するも、肝心のフィニッシュという側面では成果を上げられません。

一方の大宮は、サンデーという前線の橋頭堡を盾としながら、前述のような後方の選手も攻撃参加しての敵陣でのポゼッションで押し込む重厚な攻め。
そして後半は泉の突破力を押し出し始め、それが脅威となり。
11分・12分と左サイド奥を抉るシーンを続けると、13分にも前に出た村上のボール奪取からの繋ぎで、ワイドでボールを持った泉。
ここでカットインと見せかけてクロスを選択すると、これが先制点のシーンを彷彿とさせるように、ファー奥の下口に合わせるボールとなり。
今度は足で合わせにいった下口ですが、辻岡のディフェンスによりジャストミート出来ず、GK青木が抑え何とか防いだ宮崎。
攻撃機会では後れを取る大宮ですが、その一つ一つの威力で勝るという絵図に。
17分に再びベンチが動き泉・大澤→茂木・藤井へ2枚替え(茂木が右ウイングバックに入り、下口が左に回る)と、早めの交代でそれを支えます。

度々ボールを握るも、クロス攻勢の一辺倒に陥る宮崎。
斜めの縦パス→フリック(14分)や、橋本の足下へのスルーパス(16分)で変化を付けんとしたものの、決定機を齎す事は出来ず。
結局シュートを放てないまま、時間を潰す事を余儀なくされました。

23分に飲水タイムが挟まれ、明ける際に宮崎ベンチも動き。
補強した永長の投入に踏み切り(楠と交代)ましたが、大宮も同時にサンデー→ゴンザレスに交代と、豊富な戦力を見せ付けられる格好に。

楠とは違うリズムで変化を齎したかった永長。
しかしカットインを意識するあまり、大宮ディフェンスが付いて来る事で球離れが悪くなるという具合に、マイナス方面に作用する結果となり。
28分サイドを変えながらのパスワークで前進し、右ワイドで持った永長はマイナスのカットインを選択するも、ディフェンスを剥がせずにこぼれ。
安田が繋いだ事で再度持った永長ですが、ここでゴンザレスに奪われて大宮のカウンターを招いてしまいます。
シルバの縦パスを受けた藤井が右ハーフレーンを縦突破した末に中央へラストパス、受けたのはゴンザレスでエリア内で左へ流れながらシュートに持っていき。
しかし宮崎も決死のディフェンス、黒木のスライディングでのブロックがかわされるも、GK青木が前に詰めてコースを限定した末にキャッチと防ぎきりました。
大宮にとっては、ゴンザレスが左に流れた事で中央で藤井がフリーとなれていただけに、悔いの残る決定機逸となり。

望みを繋いだはずの宮崎でしたが、期待の永長がゲームチェンジャーになれない(と同時に、J2の場で何故通用しなかったか)事が判明したとあり依然状況は苦しく。
30分に橋本→吉澤に交代すると、直後の31分に逆の左サイドから攻め、パスワークで奥を取った末に左ポケットへスルーパス。
これでコーナーキックに持ち込み、キッカー松本が上げたクロスを、ニアでの黒木の潰れを越えたその奥で辻岡がボレーシュートの体勢に。
しかしヘッドでクリアした村上をチャージしてしまい、反則で終わる事となりました。

毛色の違う好機が生まれても、それを活かせない宮崎。
36分に再びカウンターに持ち込まれ、ゴンザレスがドリブル突破で右ポケットまで運び、ラストパスを供給する役に。
そして走り込んだ下口がシュートし、黒木がブロックとまたも際どく凌いだ宮崎でしたが、既に反撃の手法は残っておらず。
そしてその直後、後方から作り直す大宮の攻撃も防げずとなり、左サイドで浦上が上がりつつのパスワークから下口が斜めの縦パス。
ここから和田→藤井→ゴンザレスと経由してエリア内を突き、今度はしっかりワントラップからの横パスを藤井に送ったゴンザレス。
走り込んだ藤井が放ったシュートがゴールネットを揺らし、ようやく追加点が齎されました。

万策尽きたという格好の宮崎。
残されていたカードを39分に全て使い、江川・力安・井上→大武・遠藤・坂井と一挙3枚替え。
最後の賭けの域を出ないものの、駒を多く投入する事で変化を齎しに掛かりました。

しかし前回対戦時の通り、大武のビルドアップ能力の低さが停滞感に拍車を掛け。
後方からの組み立ても難しくなり攻撃機会は激減と、最後まで交代がブレーキとなる格好を強いられます。
結局アディショナルタイムも目前となり、大武が最前線に上がるというパワープレイへ切り替える事となり。(辻岡がCBに、安田が左サイドバックに回る)

そんな最後の意地を見せんとする宮崎に対し、大宮は冷徹にその裏を突く事で陣地を回復し続け。
ATにはゴンザレスにインアウトを強いる(濱田を投入、市原が右WBに、茂木がシャドーに回る)という具合に、その冷徹ぶりは敵味方問わない姿勢を貫きます。

そして無事に逃げきり、0-2で勝利と同時にダブル達成を果たした大宮。
首位独走する現状をこのまま維持し、誇りをもって次なる存在(レッドブル)にバトンを渡したい所でしょう。

Jリーグランキング にほんブログ村 サッカーブログ J3へ