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ぶらりドリブルの旅

ひたすらサッカー観戦がメイン

DAZN観戦 2023年J1リーグ第7節 アビスパ福岡vs京都サンガFC

2023-04-12 16:59:08 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

前年の残留争いとは打って変わって……といえるかどうかはまだ不明な序盤戦。
とは言っても今季の降格枠は1のみなので……というのは連呼し過ぎか。
そんな状況同士、既に3勝を挙げている福岡と京都の対戦。

それでも、敗戦数でも1敗のみという福岡の方が出色の出来であり。
今季は基本フォーメーションを3バックで貫いている(3-4-2-1)との事で、その成果か守備の安定化は目覚ましく。
得点は6試合で6と同数ながら、負けない戦いが出来ているのが大きいでしょうか。
しかしこの日は一転して、4-4-2と布陣を変更して臨みました。

前半の立ち上がり、お互い相手の強度をかわすようにロングボール中心の立ち回り。
その中でも京都は、前半3分に中盤の位置で(松田が)反則を受けると、遠目からにも拘らず放り込みを選択するなどその割り切りは徹底されており。
このやや左からのフリーキック、エリア内右へのロビングをパトリックが折り返し(こぼれ球をクリアされて撃てず)としっかり形にした京都が、相手を自分のペースに巻き込んだという印象の序盤戦となりました。

その後右サイドから、長短どちらもくまなく使った攻撃で押し込む京都。
「短」は、盛んにオーバーラップする白井が高目でパスを引き出して奥を取り。
「長」は、自陣からのスローインでターゲットとなるパトリックのフリックを軸に一気に敵陣へ切り込み。
福岡はその圧に押されながら何とか攻撃を切るものの、副産物であるコーナーキックも膨らむ苦しい時間帯を強いられます。

悪い流れを払拭したい福岡、16分にクリアボールを中村のポストプレイを経て前が拾うと、そのまま中央遠目からシュート。(枠外)
果敢なフィニッシュで振り払わんとする姿勢を見せると、直後の17分に今度は京都が、ロングパス→パトリックの落としを経て木下が遠目からシュート。(枠外)
お互いにロングシュートを撃ち合う珍妙な絵図となり。

それにより流れが変わる期待を抱く福岡でしたが、20分に京都が再び遠目からのFKでの放り込みによる攻撃。
一旦は跳ね返すも京都サイドが拾い、今度は白井がエリア内へ放り込むと、井上の折り返しを尻目にアクシデントが発生します。
ボールの行方を追っていたパトリックとグローリが頭部同士で激突、まともにパトリックの後頭部を受けてしまったグローリがダメージ深く倒れ込む事態となってしまい。(パトリックは割と直ぐ起き上がる)
2分程かけて何とか立ち上がるグローリ、鼻から出血もあったらしく、ピッチ外で治療を受けてプレーを続けます。

痛々しいシーンながらも、これにより京都ペースは途切れた感があり。
その後福岡がセットプレーから攻勢、25分に左サイドからのFKで、ルキアンがヘディングシュートを放つもパトリックが頭でブロックして防ぎ。
27分のCKでは湯澤がヘディングシュート(枠外)と、折り返しメインの京都とは対照的に、ダイレクトでフィニッシュする事が目立った福岡。

こうしてセットプレーからの好機がお互い続くうちに、福岡サイドも30分に自陣からのFKで放り込みを選択するなど、その姿勢に拍車がかかる試合展開。
流れの中からでは、どうしてもプレッシングにより最終ラインからの繋ぎがままならないので、強引な放り込みに舵を切るのは半ば想定済みといった両クラブ。

先程負傷したグローリですが、再びその危惧に巻き込まれたのが33分。
自陣から木下が巧いトラップからドリブルで持ち込む京都、こぼれた所を拾わんとしたグローリ、今度は木下のスライディングで足を削られる事態となってしまいます。
倒れ込むグローリを余所に、犯行?側の木下が足裏を向けていたため、退場となるかどうかのVAR判定が行われるスタジアム。
そしてOFRにまで持ち込まれ判定結果が下される、木下にとっては緊張の一幕となりましたが、主審(福島孝一郎氏)が突き出したカードは黄色で何とか命拾い。
一方のグローリも無事に起き上がり、11対11のまま試合は続きます。

その後も43分に佐藤響のミドルシュートを頭部でブロックしたルキアンが倒れ込むなど、負傷交代の危機といったシーンが続発する試合絵図。
その影響で長くなったアディショナルタイム、序盤で再び京都がFKで放り込みによる攻めを見せるも、クリアした福岡がカウンターで紺野が右からカットインを見せるシーンを作り。
ここからはフィニッシュに繋げられずも、これでペースを奪った福岡が以降攻撃権を独占するに至り。
最後はまたもFKから、中村のクロスを小田がヘディングシュートに持っていきましたが枠を捉えられず。
結局前半はスコアレスで終了となりました。

ハーフタイムで動いてきたのは京都で、山田→一美へと交代。
3トップ全てがフィニッシャータイプへ傾倒といった京都の布陣ですが、この交代でそれをさらに固定化させるに至ったでしょうか。最も純正なウインガーは絶滅種族っぽいですが
早速の後半1分に、パトリックが左ワイドでスルーパスを受けるという具合に、ファーポストが両方ともに控えた利点を活かす攻撃を見せ。

一方の福岡、紺野の跳梁する右サイドを橋頭堡として反撃。
3分に前進からのカットインで右ポケットを突いた紺野、奥へのスルーパスを選択して走り込んだ湯澤のクロス。
京都サイドは意表を突かれたか、クリア出来ずにバウンドしたボールをファーサイドでルキアンがシュート。
さらに中央の山岸に当たるというイレギュラーが加わりましたが、GK太田は動じずにコースが変わったボールををキャッチ。

その後6分にもワイドからカットインを仕掛けた紺野、エリア内からのシュートがブロックされたのちに再び一悶着のシーンが生まれます。
呼び起こしたのはまたも木下の左サイドのドリブルで、カウンターに入りかけた所を前が追走した結果、木下の振った腕が前の顔に入ってしまい反則に。
倒れ込む前を尻目に、既に警告を受けている木下への注意を綿密に行う主審と、カード(並びに退場)をアピールする福岡サイドといった絵図。
結局カードは出されなかったものの、事態を重く見た京都サイドは、今後の退場を避けるべくすかさず木下→豊川へと交代しました。(一美が左サイドに回る)

カードを切る事を余儀なくされたような京都でしたが、再びセットプレーの好機に持ち込んだのが9分。
しかも今度は右サイド奥まで攻め込み、白井のボールキープが(小田の)反則を誘うという形で、クロスには絶好の右奥という位置からのFK。
キッカー福岡慎のクロスはクリアされるも、一美が拾って今度は逆サイドでボールキープし、佐藤響が手前から角度を付けたクロス。
これを豊川がフリックで流すと、ファーサイドでパトリックが足でシュート。
それはまさに「合わせただけ」な格好のシュートでしたが、GK永石は反応できずゴールネットに突き刺さり。
放り込みの姿勢がついに実り、京都がリードを奪う事に成功しました。

アクチュアルプレーイングタイムの少ない試合展開で、ビハインドとなった福岡は苛立ちが隠せず。
15分には自陣で反則を受けてプレーが途切れると、ポイントから離れなかった佐藤響を前が押し倒してしまうというシーンも描かれます。

紺野の居る右サイドに比べ、左での押し込みが不足といった攻撃陣。
その影響か、20分に最初のカードを切り金森→鶴野に交代、FWに入った鶴野により山岸が左サイドハーフへと回ります。

一方の京都、先制点により落ち着きを得たか、以降も白井の切り込みやパトリックのフリックといった手段で攻撃。
しかしパトリックが疲労のためか、ハイボールで競り負けるシーンが目立ち始め。
これにより後方からのロングボールによる攻撃は成り立たなくなります。

有利な条件を得た福岡ですが、ハイプレスからミドルプレスへと切り替えた京都に対し中々攻撃の形を作れず。
最終ラインはボールを持てるようになるも、一度前方へ送ればすかさず取り囲まれるという状況に難儀を見せる事となり。

そうして時間が進んでいき、ジョーカーとしてウェリントンを用意させていた矢先の30分。
先程手を打った左サイドからの攻撃が嵌り、上がって奥を窺わんとした小田から前→ルキアンと経由して中央へ。
ペナルティアークでトラップして浮かせたルキアン、そのまま浮き球をエリア内へ入れる選択をすると、これが眼前でチェックに入っていた麻田の右腕に当たる事となり。
こぼれ球をシュートした前を尻目に、ハンドの反則を告げる笛が吹かれると、京都サイドの猛抗議を受けるなか再びVARチェックの時間に入ります。
ハンドかどうか→その場がエリア内かどうかという二重のチェックを経て、主審の福島氏が下した判定はPK。
絶好機を得た福岡、キッカーはそのPKを呼んだルキアン。
これを冷静にゴール右へと蹴り込み、GKの逆を突いて見事同点弾を齎します。

追い付いた福岡ですが、ウェリントンの投入は止めず。
紺野と交代し、これで4トップかと錯覚するようなメンバー揃いましたが、実際には鶴野・ウェリントンの2トップに山岸がトップ下、ルキアンが右SH。
そして前が左に回り、4-1-3-2という現代ではややレアなフォーメーションを採ります。
一方の京都も、同時に福岡慎→アピアタウィア久へと交代し、3-4-2-1へとシフト。

双方布陣変更を交えた交代となりましたが、いかにも前掛かりな姿勢を採った福岡の勢いは止む事無く。
37分に左サイドでウェリントンが収めて起点となり、スルーパスで奥を取った小田がCKをゲット。
ターゲットも増えて絶好のセットプレーといった福岡(CBの一人の奈良は後方で控えている事が多かったこの日)、キッカー中村のクロスが中央へと上がり。
アピアタウィアを外し、ノーマークの状況を作ったウェリントンが綺麗にヘッドで合わせると、DFに当たりネットに突き刺さるボール。
期待に見事過ぎる程に応えたウェリントンにより、逆転を果たした福岡。

喜び一色というホームチームを尻目に、追う立場となってしまった京都。
40分に最後の交代を敢行すると、投入したアピアタウィアをインアウトさせるという手段を採り。
三沢と交代、同時に松田→谷内田へと代え、これによりフォーメーションを4-1-2-3へと戻す選択をしてきました。

手は打ったものの、ピッチ上ではベンチのその意気込みに応える事が出来ず。
既にパトリック狙いのロングボールは無効と化し、後方から組み立てようとすれば、ここに来て強さを増す福岡のプレッシングに苛まれ。
41分には寄りによって自陣深めの位置で鶴野にカットされると、そのまま左ポケットへ切り込んでシュートを放つ鶴野。
GK太田が横っ飛びで何とかセーブしたものの、同点を狙いにいく余裕すら無くなる京都。

福岡の最後の交代は45分、山岸→三國ケネディエブスで、それにより普段の3-4-2-1へとシフト。
以降も敵陣で果敢にプレッシングを掛けていき、マイボールの際はサイド深めに持ち込んでキープする姿勢で時間を使う立ち回り。

最早これまでといった京都ですが、ATの最終盤にスローインから右サイドを前進していくと、川崎がカットインでエリア内を急襲。
そして出された横パスを豊川がシュートと、針の穴を縫うように好機を作ったものの、GK永石のファインセーブでモノに出来ず。
直後のCKでのクロスが掻き出された所で、試合終了の笛が鳴り響きました。

決して高くない得点力の中、胸すく逆転勝利で4勝目を挙げた福岡。
ここまでは恒久的なJ1定着の足掛かりを築くには十分すぎる成績ですが、果たして毎年残留を目指すだけのシーズンからの脱却はなるかどうか。


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DAZN観戦 2023年J1リーグ第6節 セレッソ大阪vs横浜F・マリノス

2023-04-04 16:01:31 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

春の雰囲気が高まると、桜カラーであるセレッソのサッカーが観たくなる……という事はあるのかどうか。

そのセレッソは何時の間にか、3トップへと基本フォーメーションをシフト。(ルヴァン杯1節からとの事)
奇しくも、同じ大阪のクラブであるガンバと同一のものとなりました。
しかし機能不全のようになっているガンバに対し、こちらはチェンジ後は1勝1分(リーグ戦)と悪くない成績を残しています。
真の大阪のクラブはどちらかという難題も、近年は成績的な優劣はすっかりついてしまったかのような格好に。

この日ホームに迎えたのはマリノスで、レオ・セアラの加入で軽い因縁がついたような相手。
しかしマリノス側にとってみれば、セレッソのホームゲームでは長らく勝利が無いという状況で、決して軽くないものだったでしょう。

その布陣の通り、以前に比べて前線を厚くしたセレッソ。
マリノスのビルドアップに対して果敢にハイプレスを掛ける入りで、早々の前半1分に毎熊が敵陣でパスカットに成功してショートカウンター。(シュートまでは行けず)
この日のマリノスは、右サイドバックに特別指定選手の吉田を起用。
センターバックもエドゥアルドが今季初出場と、最終ラインにいささか不安があり。
永戸が出場停止となった4節(札幌戦・0-2)然り、中心軸1人が欠ければ脆さが露呈する程、後方の安定感がチームに与える安心感に欠けるといった状況でしょうか。

一方セレッソも、正GKキムジンヒョンが故障をおしての出場。
その所為かフィードが乱れがちで、こちらもチームに齎す安心感に多少不安があるような状況に。

そんな不安を抱えながらも、マリノスは9分にミドルパスを交える前進を経て水沼がGKと一対一を迎える(オフサイド)等、攻撃力を発揮しつつあり。
セレッソの攻撃は前述のショートカウンターのように、プレスが嵌った際やマリノスのパスミスが契機であり、主体的な組み立てがもう一つの立ち上がり。

しかし14分、GKキムジンヒョンからの組み立てで、不安視されたフィードが為田に渡ったのを切欠にアタッキングサードへ進入。
そしてセアラが右サイド奥でエドゥアルドに倒され、反則・フリーキックを得ます。
キッカー鈴木のクロスをセアラが合わせヘディングシュート、ループの軌道でゴールを襲うもGK一森がセーブ、しかしさらに左コーナーキックへ。
そしてそのCK、またもキッカー山中のクロスをセアラが合わせ、落ちたボールがエドゥアルドの足に当たってコースが変わりゴール内へ。
シュートとは言い辛いボールの軌道でしたが、ともあれ得点が認められたセアラ。
先制点を挙げたセレッソ、直接的にはセットプレーながら、ビルドアップを一つ通した事が見事に繋がりました。

反撃したいマリノス、18分にエリア手前という位置で西村が鈴木に倒されて反則。
FKとなるも、西村は素早いリスタートを選択、その結果永戸へのスルーパスがカットされてセレッソのカウンターを招いてしまいます。
これがセアラに右ポケット奥まで運ばれてCKまで繋げられるなど、思わぬ被弾からか焦りが垣間見えたマリノス。

落ち着きを取り戻し、自慢のパスワークを駆使して押し込み始めるマリノス。
不安視された初出場の吉田も、「偽SB」システムの色を出し、水沼とのコンビネーションで右サイドで攻め上がりを見せ。
25分には敵陣でサイドチェンジ攻勢の末に、水沼の低いクロスをニアサイドで合わせにいった吉田。(惜しくも撃てず)

自在にボールを回され続けたのを受け、セレッソサイドも次第にプレッシングの勢いは無くなり。
そうなるとCBの組み立てがキーとなるマリノス、畠中が後方から勝負のパスを打ち込み始めます。
33分には喜田拓とのパス交換からいきなり裏へロングパスを送る畠中、エリア内で永戸が受けた事でGKと一対一が出来上がり。
しかし間合いを詰めたGKキムジンヒョンが至近距離でシュートを防ぎ、後一歩のところで決められず。

持ち味を発揮して攻め込み続けるも、得点出来ないとあれば流れを失った時が怖い。
それを象徴するかのように、セレッソが攻撃権を得ると結果が出されるのも早かった。
36分、クリアボールをセアラが拾うと中央をドリブルの後にエリア内右へスルーパス、奥埜がダイレクトでクロス。
そして走るのを止めなかったセアラがまたもヘッドで合わせ、この日2得点目となるゴール。
セアラの強烈な「恩返し」が炸裂し、リードを広げたセレッソ。

その後セレッソが、立役者であるセアラが足を痛めてしまい(41分)ヒヤリとするシーンを描くなか、何とか反撃体制を作るマリノス。
乾坤一擲の好機は44分で、再び吉田・水沼で右サイドを推進したのち、水沼のラストパスをエリア内中央で受けたロペス。
反転しながら放ったシュートがゴールネットを揺らしたものの、水沼のパスがオフサイドを取られ、またも惜しい逃し方となってしまいます。
結局その後はセレッソがボールポゼッションで時間を潰し、3分あったアディショナルタイムもあっけなく消費。
2-0のまま前半を終える事となりました。

共に交代無く後半開始を迎え。
セレッソのキックオフ、いきなりヨニッチのロングパスから、セカンドボールを拾って好機を作りCKに持ち込み。
後半5分にはこぼれ球をラフに前線に送り、拾われるも奥埜がボール奪取して攻撃開始。
そして山中の左サイド奥からのクロスをセアラがヘディングシュート(枠外)と、アバウトな運びから結果を出していくセレッソ。
対するマリノスは前半同様緻密にボールを繋がんとするも、肝心なところでミスが目立ってしまい、最初の好機は7分までずれ込む事に。

「巧さより強さ」に針が振れていたようなこの試合の絵図。
この日のスタジアム(ヨドコウ桜スタジアム)のイベントは、カプコンサポーティングマッチと釘打たれたもので、某有名格闘ゲームとコラボした限定ユニフォームを着用しての入場となったセレッソ選手。
それ故に、プロゲームの世界のように「強いのが正義」という精神が注入されていたのでしょうか。

そんな劣勢(?)を跳ね返したいマリノスは、10分にエウベルが左サイドを持ち運び、エリア内へスルーパス。
これは誰にも合わずも、自身が香川にアフターチャージを受けた事で反則となり、中央からのFK。
正確さよりもとにかく前に運ぶ姿勢を求めた事で好機を得ると、やや距離があったこのFKを水沼が直接シュート。
壁の下を巧く通したものの、その後ろで山中にブロックされて防がれ、こぼれ球をロペスがボレーシュートに持っていくも枠外に。
14分にも直接FKを得たマリノス、先程からは近い距離で今度も水沼が直接狙ったもののこれはゴール上へと外れ。

この日のセレッソのような力強さを見せたいマリノス。(16分に西村と水沼に代え、マルコス・ジュニオールと井上を投入)
20分に永戸の左サイド裏へのミドルパスに走り込むエウベル、奥で受けたのちにマイナスのカットインで一気に中央へ。
迫力ある運びを展開し、そのエウベルの落としを経て喜田拓が後方からシュート。
GKキムジンヒョンにセーブされ、こぼれをロペスが詰めにいくも松田のカバーリングで撃てずと、どうしても後一歩が届きません。

逆にセレッソは直後の21分、こぼれ球を香川がダイレクトでスルーパスして一気にセアラへ通し、そのままエリア内へ持ち運び。
しかし何とか戻ったエドゥアルドがスライディングでシュートを防ぎ。
攻め込むも得点出来ず、相手の少ないタッチによる攻撃で危機を招くという厳しい展開を強いられるマリノス。
25分に再度ベンチが動き、渡辺とエウベルに代えて藤田譲瑠チマとヤン・マテウスを投入。
一方のセレッソは29分に最初のカードを切り、セアラ→加藤。

主役級の活躍を見せたセアラが退いても、試合絵図は変わらず。
31分に左→右へ対角線の長いスルーパスを通した事でCKを得る等、そのセレッソの少ない手数による攻撃の中枢を担う香川。
この右CKをその香川がキッカーを務め、放たれたファーへのクロスはGK一森が跳び出すも触れないボールとなり、流れた所を毎熊がボレーシュート。
GK不在のゴールへ決まったと思われましたが、右ゴールポストに当たって跳ね返り。

止めを刺される事は免れたマリノス、33分に早くも最後のカードを切る事となり。(吉田→山根)
一方のセレッソも34分に鈴木・為田→喜田陽・カピシャーバへと2枚替え。

絵図が変わる事となったのが37分。
ここでもセレッソは敵陣深めで奥埜がボールカットに成功と、好循環を保っていたものの、その奥埜がこの直後に足を攣らせてしまい。
ベンチは交代の準備を行うも、これで一貫していた「強さ」が薄れてしまったでしょうか。
直後の38分マリノスは敵陣へ押し込んでの最終ラインからの攻撃で、左サイドからのパスワークでの前進にチェックが遅れがちとなるセレッソ。
ワンツー・フリックを交えながら奥まで運び、マテウスの左ポケット奥からのマイナスのクロス。
ロペスの前で喜田陽がスライディングでクリアに入るも、これも遅れた影響か蹴られたボールはゴールの中へ。
オウンゴールという形で1点差となります。

奥埜・松田→クルークス・進藤へと2枚替えしたセレッソ。(40分)
これで3-4-2-1へ布陣変更(ボランチは喜田陽・香川、ウイングバックは右が毎熊・左が山中)と、判り易い5バックシステムへとシフトします。

専守の姿勢のセレッソに対し、残り時間敵陣での押し込みに全てを賭けるといったマリノス。
しかしそこでもパスミスから危機を招いたのが44分で、カットしたカピシャーバがエリア内へスルーパスを送り、受けた加藤がGKと一対一に。
しかしシュートをGK一森がセーブした、という所でオフサイドを告げる笛が鳴り、何とか命拾いします。

気を取り直し攻めるマリノス、45分に今度はセレッソのパスミスを突いての絶好機という形で、永戸が左ポケットからグラウンダーでクロス。
これを中央でマルコスが走り込むも合わせきれず。
それでも繋いで左CKを得ると、キッカー永戸は低いクロスを選択し、エドゥアルドのフリックを経て中央で井上がシュート。
しかしこれも鳥海の頭部でのブロックに阻まれ同点ならず。
やはりこの日はセレッソから勝ち点を奪うには今一歩届かない、といった象徴的なシーンとなりました。

結局2-1のままセレッソの勝利に終わったこの試合。
攻撃力が自慢のマリノスも、今年はここまで3得点以上挙げた試合はまだ皆無とやや陰りが見えている状態。
王者に相応しい力強さを取り戻し、連覇に辿り着けるかどうか。


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DAZN観戦 2023年J1リーグ第5節 ガンバ大阪vs北海道コンサドーレ札幌

2023-03-20 16:00:37 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

  • 札幌の方は、2トップかないしは小林の1トップなのかは流動的。

かつては「浦和vsガンバはJリーグのナショナルダービーだ」という評価を受けていただけに、現在の凋落は見るに堪えない状況のガンバ。

再びの浮上を託した先が前年までJ2徳島を率いていたダニエル・ポヤトス監督なのですが、その期待に応える事は今の所無く、目下4戦未勝利。(2分2敗)
そもそも「外国人監督による建て直しを」と目論んだにしてはその選択自体が中途半端に感じるものであり、手近でJ1経験もある人材を選ぶという虫が良すぎる人事。それ以前に浦和の「二匹目のドジョウ」を狙った節があり
前年の広島(ミヒャエル・スキッベ監督)の選択と躍進と比べればあまりにも……といった感じであり、またガンバの病の根深さを痛感してしまうものです。

その「過去の栄光」の時代である監督が西野朗氏(2002年~2011年)なのは疑いようは無いですが、それがあまりに華々しかったため、10年という長期政権の末にフロントは自我を見失ったようでもあり。
西野氏以降の外国人監督を見てみると、セホーン氏(2012年)とレヴィー・クルピ氏(2018年)の2例のみ。
そしてその選択の結果が芳しくなかったとあっては、今回の選択も「ああ、そうか」と納得してしまうもので。
新たな人材を呼ぶコネクションも無く、何となく良かったという人物をただ適当に選ぶといった感じに陥っては居ないか。
前年の片野坂知宏氏の選択と結果からしても、そんな事を考えさせられてしまうものですが、泥沼からの脱出は果たせるのか。

前置きが長くなりましたが、ガンバのホーム・吹田スタジアムでの一戦。
流石に仮にも一世を風靡したクラブだけに、全方位サポーターで埋め尽くされる客席。

しかしその期待に応えられず、試合の方は早くも札幌に主導権を握られます。
札幌のキックオフからの攻撃は、ロングボールを右ウイングバックの金子の下に送るという「いつものやつ」でしたが、それを簡単に通された末にセットプレー攻勢に持ち込まれるガンバ。

そして前半6分の札幌2度目のコーナーキック(右サイド)で、キッカー福森のクロスをファーサイドで岡村が落とし。(ここで古豪の三浦が競り負けるというのもなあ……)
中央に転がった所を素早く小林が詰め、シュートをゴール左へと突き刺し先制に成功します。

一度も攻撃を仕掛ける事無く、早くもビハインドを背負ってしまったガンバ。
対札幌という観点では2年前の虐殺劇(1-5)を思い出させるものでありますが、気を取り直して反撃体制に。
そのスタイルは、いかにもポヤトス監督の思惑が良く反映されたものであり。
最終ラインからのビルドアップは選手間の距離が長めで、かつアンカーが降りる事無くアンカーの位置を保つという手法。
しかし反映され過ぎているといった感じで、可変があまりにも少ないうえに遊びのパスも無いので、マンマーク守備の札幌が対応に苦しむ事は殆ど無く時間が過ぎていきます。(この辺りは、放送席の解説・橋本英郎氏が幾度も言及していたのが印象的)

アンカーのラヴィがボールを触る回数もごく稀で、GK東口を中心としたロングボールでの前進が巧く繋がれば……といった立ち回り。
10分にその東口のフィードを、福田がフリックから自ら収めたのち前進、左ポケットを突いての戻しを経てアラーノのミドルシュート(ブロック)に繋がり。
その後の札幌のカウンターをラヴィがボールカットして防ぎさらに攻撃機会を齎す(シュートまではいけず)など、ラヴィ自身はその経歴に違わず良い選手と感じたものの、それが活かされる機会があまりにも少ないといった印象でした。

そんな循環の悪さを何とか誤魔化しつつ、今季初スタメン(というか、これが移籍後初スタメンでもある)の山本理がパサーとして振る舞わんとします。
ラヴィがマークに遭いパスを回せないなか、リズムを変えんという山本理に対し、札幌サイドもそのチェックを強めに掛かり。
19分に連続して(菅と荒野に)反則を受けた山本理、2度目のフリーキックは右ハーフレーンから直接狙える位置となり、自ら蹴りにいきます。
しかし放たれた直接シュートは、ゴール右へと外れてしまいモノに出来ず。

この日の主審はイングランド出身のトム・ブラモール氏という事もあり、札幌はややその判定の基準に悩まされていた風であり。
17分に金子があろう事かファウルスローを取られたという場面もあり、それを境にガンバがにわかに攻撃権を支配するといった流れで進んでいた試合。

しかしスコアは突然動き……というか、コントのような展開で齎され。
32分ガンバは敵陣でサッカーを展開していたものの、パスを遮断されて拾い直した福田は最終ラインへのバックパスを選択。
しかし江川と三浦の間に転がったこのボールに2人とも反応が遅れ、逆に小柏が掻っ攫った事で齎される札幌のカウンター。
そのままGKと一対一を作った小柏、放たれた強烈なシュートがGK東口を弾いてゴールに突き刺さり。
札幌にとっては大きな追加点でしたが、与えた側の振る舞いがあまりにも安すぎるといった1点に。
この辺りも、チームを覆う悪循環が福田から視野を、江川・三浦から反射能力を奪わせていたようでした。

思わぬ形で2点リードとなった札幌も、アクシデントに塗れる事となり。
18分に浅野が三浦に反則気味のチャージで奪われて以降、その影響で試合から消えがちとなっていましたが、43分についに限界に。
恐らくはハーフタイムまで我慢すると決め込んでいたのでしょうが、無念の交代となりました。(馬場と交代、荒野が一列上がり馬場がボランチへ)
一方ガンバも、直後に再度山本理がチャージを(宮澤に)受けて痛んでしまうなど、終盤は故障というファクターが顔を利かせるようになり。

迎えたアディショナルタイム、ガンバは乾坤一擲といった攻撃で、黒川がパス&ゴーで山本理のスルーパスからクロスに持っていき。
これをファーサイドで杉山がボレーシュートにいくも浮いてしまい、尚もエリア内で繋ぎ攻撃を続けたガンバ。
最後はラヴィのミドルシュートがゴール上へ外れて終わったものの、これで「ラヴィが良い形で絡む」という答えを見つけた感があり、後はそこに辿り着く道筋。
結局0-2のまま前半終了となり、埋め尽くされたサポーターからブーイングを一斉に浴びる事となったガンバでしたが、未だ試合は判らず。

札幌サイドにアクシデントがあった影響か、HTでの交代は無く。
山本理も元気に出場を続け、始まった後半戦。

何とか反撃したいガンバは後半6分に好機。
黒川のパスカットから左サイドで前進し、アラーノがドリブルで左ポケットを突く場面を作り、戻しを経て逆の右サイドへ。
そして杉山のクロスをファーで福田が落とし、鈴木のいる中央で紛れを作ったものの、ゴール方向へこぼれたボールはGKクソンユンに阻まれて惜しくもゴールはなりませんでした。

これを逃した影響か、以降札幌の攻撃機会が続く展開に。
ここまではガンバのプレッシングが緩い事もあり、札幌サイドもロングボール一辺倒に陥る事無く、本来のパス回しを貫けているといった攻撃。
敵陣でサッカーを展開する時間も多くあり、後は流れの中でフィニッシュ数を膨らませれば……という感じだったでしょうか。
得点もセットプレーと相手のエラーからによる2点であり。

窮地のガンバは11分に2枚替え、福田・山本理→ダワン・石毛。
これでアラーノが左ウイングへと回り、インサイドハーフ2枚を代える手法となりました。

しかしこれが結果的に当たります。
流動的なポジション取りをする石毛にチーム全体釣られたか、ここから様々な位置でパスを受け始めるガンバ選手。
14分、右サイドで降りてパスを受けた鈴木からダワン→杉山→ラヴィとダイレクトでボールが回り、ラヴィのスルーパスに抜け出したのは半田。
そして右ハーフレーンを前進したのち中央へラストパスを送り、走り込んだ石毛が合わせてゴールネットを揺らします。
ボールに触れる事が少なかったラヴィと鈴木の2人が活かされた末に、最後はそれを呼び込んだ石毛が仕留めるという理想形で1点を返し。

さらに畳みかけたのが16分、再び鈴木がGK東口の縦パスを降りて受けたのち、今度は左サイドから前進。
またもラヴィの縦パスから石毛を経由して黒川が抜け出し、低いクロスがファーサイドでフリーの杉山へ。
折り返しを選択した末に、中央でアラーノが合わせてゴールに突き刺し。
あっという間の同点劇に、先程のブーイングも忘れたかのように沸き立つスタンド。

勢いに乗り、プレッシング意欲も旺盛になるガンバディフェンス。
しかしあまりに乗り過ぎていた所為か、21分に福森に対しアフターでスライディングを敢行して削ってしまった半田が警告を受けるという具合に、若干空回りも見られ。
23分には左サイド深めの位置でアラーノがボールカットを見せる(その後ディフェンスに遭いCKに)等、この流れのまま一気に逆転といきたかったガンバ。

しかし札幌ベンチも動き、25分に福森・宮澤→中村桐耶・中島へと2枚替え。
荒野が再度シャドーに回ったのみならず、田中駿と馬場のポジション入れ替えも敢行するなど荒療治を見せます。
同時にガンバもアラーノ→食野へと交代。

配置換えの影響か、ビルドアップを遮断されるという場面も減少し、左右センターバックの押し上げも目立ち攻め上がる札幌。
26分には敵陣で中島の強引なドリブルから右ポケットを突き、金子が奥からクロス。
そしてファーサイドで小林がボレーシュートで合わせるもブロックに防がれ。

その一方で、攻撃に人数を掛ける札幌の背後を突くガンバ、投入された食野が左サイドで仕掛けるシーンも増えていき。
35分にはCKから、キッカー石毛クロス→ラヴィヘディングシュートもGKクソンユンのセーブに阻まれ。

攻撃のシーンが交錯する、一進一退といった流れ。
一気呵成といけなかったのはガンバの方でしたが、札幌もなまじポゼッションを確保出来ている影響か、敵陣でパスワークを展開してもフィニッシュに辿り着く事は少なく。
36分に小林→スパチョークへと交代し、スパチョークの推進力を投入してもそれは変えられず。
綺麗に攻めきりたいという意識が強かったのでしょうか。

ガンバも41分に最後の交代、黒川・杉山→福岡・山見へと2枚替え(江川が左サイドバックへシフト)して最終局面へ。
そして42分にカウンターの好機が訪れ、クリアボールをキープする食野のミドルパスで一気に敵陣へ。
山見のクロスはクリアされるも尚も攻撃は続き、今度はエリア内右奥からの山見のクロスが上がり、鈴木がヘディングシュート。
しかしまたもGKクソンユンがセーブし、どうしても3点目が奪えないガンバ。

ATに突入し、スタンドの雰囲気も味方に付けて攻め上がるガンバでしたが、それ故に逆転現象が起こっていたでしょうか。
つまりは攻撃機会が増えていくうちに、札幌のカウンターを許してしまう展開を自然と招き寄せる事に。
そして最後にそれが訪れ、石毛のシュートがブロックされた跳ね返りが直接中島に渡り、ドリブルからのスルーパスで右ポケットを突く札幌。
奥から小柏がクロスを入れ、ブロックに当たるもニアで受けた中島がシュートと際どいシーンになるも、GK東口が足でセーブして危機一髪。
結局決定打が生まれる事無く、2-2のまま試合終了の時を迎えました。


DAZN観戦 2023年J1リーグ第3節 横浜FCvs鹿島アントラーズ

2023-03-07 16:00:43 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

2年ぶりにJ1へ戻ってきた横浜FC。
こう書くとJ1でも経験豊富、と解釈してしまったりもしますが、今季で通算4シーズン目と若年のクラブであり。

そのJ1への定着を狙う現在の立場ですが、オフにはシーズン前にゴール裏応援団の一新を図ったり、総勢20人以上もの選手獲得を行ったりとクラブの力の入れ具合は伝わって来ます。
前節(湘南戦、2-2)は熱戦を引き分けに持ち込み勝ち点1を確保し、ホームに戻ってきたこの日。
しかし相手は降格した事が皆無という、名門中の名門である鹿島。
生まれ変わりを図ってまだ日が浅い状態では、その差を埋めるのは至難の業であり。
それはグラウンドレベルのみならず、ホーム(ニッパツ三ツ沢球技場)にも拘らずサポーターの声援量では完全に後れを取る有様で、雰囲気に呑まれていた感がありました。

試合が始まり、鈴木狙いのロングボール中心という攻撃を見せる鹿島の入り。
その単純な狙いにも横浜FCディフェンスは早くも苦戦の色を表します。(前節にセンターバックのガブリエウが負傷・離脱という要素もあり)
前半2分にンドカが、4分に岩武がともにその鈴木に対して反則を犯すなど、競り合いの面で難儀するCBコンビ。

一方攻撃面でも、鹿島のハイプレスの前にままならないビルドアップという、強度の面での劣勢が露わとなり。
何とか誤魔化しながら、裏狙いでチャンスを作らんとするも不発に終わります。

そして9分、鹿島はGK早川ロングフィード→鈴木落としというパターンからの好機、安西が左サイド奥へ切り込んでクロス。
これは跳ね返されるも常本が繋いで攻撃継続、藤井→樋口→藤井という繋ぎにに対し、横浜FCもカットを見せたものの止めきれずにボールはエリア内右へ。
そして藤井のシュートがゴールネットを揺らし、力で勝ったというべき先制点が齎されました。

反撃したい横浜FCですが、依然として劣勢ぶりは不変。
ゴールキックの際にはユーリを前に上げてターゲットにするなど、前に運ぶ工夫は見せたものの効果的とはいかず。
そのユーリは守備面でも広範囲に動き回り、11分には安西の左サイドのドリブルに対し、中村不在となっていた穴を埋めにチェックするなど大忙し。
またロングボール攻勢に苦戦するCBを受け、跳ね返し役も多く務めるなどそのタスクは重くのしかかっている風でありました。

14分には再び、今度は知念が収めた所を三田に反則を受け、直接フリーキックを得た鹿島。
中央・エリアからやや手前という位置で、キッカー樋口は直接右足でゴール左を狙ったものの、曲がりが大きく惜しくも外れ。
数多得たFKでは、中盤寄りの位置でも放り込みを選択する等、鹿島の相手の弱点狙いは徹底されており。
前年の就任直後にはパスサッカーを指標としたはずの岩政大樹監督ですが、オフ(そして練習試合での不調ぶり)を挟んで完全に現実的なサッカーへと移行したようでした。

何とか糸口を掴みたい横浜FC。
右サイドに控える山根の推進力に目を付け、左サイドから対角線のロングパスも見せるなど、狙いをハッキリさせ。
21分には最終ラインから右へ展開したのちパスワークで前進し、スローインに。
すると投げ入れた山根がパス&ゴーの格好で長谷川のエリア内へのスルーパスに走り込み、安西の背後を綺麗に取り。
思わず安西は腕を使って止めにいってしまうと、山根が倒れ込んだ次の瞬間主審の笛が鳴り反則・PKとなってしまいます。
鹿島サイドは一斉に異議を唱えるも、脚が掛かっていなかったとはいえエリア内への進入の印象の悪さは拭えず。
これでPKという絶好機を得た横浜FC、ポイントゲッターの小川航がキッカーを務め、フェイントを交えてゴール左へ蹴り込み。
GK早川を見事に釣らせて決め、同点に追い付きます。

振り出しとなった事でにわかに勢い付く横浜FC。
有効打となった右サイドアタックを多めにし、30分には得点シーン同様スローインからの攻撃でエリア内を突き、さらにコーナーキックへ。
キッカー三田ニアにクロス→ユーリフリックというパターンから、こぼれ球をンドカが詰めたものの角度が無く右ゴールポストに当たって枠外に。

押し気味となる試合絵図を受け、次第に最終ライン・またはGK永井から繋ぐというビルドアップを試みる事も増えてきますが、今思えばそれが鹿島の罠だった感があり。
32分にロングボールを蹴り、橋本に回収させたのちのプレッシングでボールを奪ったのちに知念がミドルシュート。(枠外)
いかにも「ストーミング」的な立ち回りからの好機を作った事で、委縮させる事に成功したでしょうか。
その後何度も佐野のパスカットで前進を阻まれ、リズムを乱される横浜FC。

鹿島の攻撃回数が増えていくも、その手段はやはり鈴木狙いのロングパスが多めとなり。
横浜FCディフェンスを警戒させた所の38分、別の手で綺麗に隙を突きます。
最終ラインで植田がボールを持ち、プレスを避けつつ送ったロングパスに走り込んだのは常本。
このサイドバックの抜け出しに、予想だに出来なかったのか岩武は一気に裏を取られてしまい、右ポケット奥から送られた横パスに対し鈴木が合わせて勝負あり。
カバーに入ったンドカに当たってゴールに入ったように見えた事でオウンゴールとなるも、鹿島の勝ち越し点なのは揺るがず。(試合後に鈴木のゴールに修正される)

再びリードされた横浜FC、41分には深めの位置で知念に奪われ、そのままシュートを浴びる(ゴール右へ外れる)という具合に動揺ぶりを隠せず。
何とか建て直し、アディショナルタイムには再び右サイドでの攻撃から、スローイン→CKという流れを作るもモノに出来ず。
1-2のまま前半終了となりました。

反撃の機運を高めたい横浜FC、ハーフタイムに坂本→カプリーニ(マウリシオ)へと交代。
攻撃力を高めるべきのカプリーニという駒を早くも使い、前半ボールタッチが少なかった坂本と代え、そして山根が左サイドへと移った事でカプリーニが右サイドハーフへ。

一方交代が無かった鹿島は、後半に入ると布陣を一新して4-4-2へとシフト。
鈴木・知念の2トップとし、右ウイングだった藤井は左SHへとサイドを移し、ボランチは佐野とピトゥカ。
風が強かったコンディションもあり、その対応という意味合いだったでしょうか。

最初の好機は横浜FCで(後半2分)、やはり山根のサイドから攻め立てるも、その山根のクロスがクリアされたのち鹿島のカウンターに。
藤井がドリブルで一気に左ポケットに持ち込み、マイナスのクロスを横浜FCサイドが防いで何とか凌ぎ。
しかし直後にもパスワークの末に再び藤井が持つと、左からのカットインシュート。(ブロック、その後知念がシュートを放つも枠外)
共にサイドを移した選手が見せ場を作るも、チャンスの度合いで鹿島に分があり。

4分に三田のスルーパスに走り込んだ山根、再びクロスを入れる体勢を作ったものの、放たれたクロスは精度を欠いてしまいファー側のゴールラインを越え。
その後も山根を使い裏抜けを狙った横浜FCでしたが、鹿島も植田・常本の対応でやらせず。
逆に8分には佐野のミドルパスを受けた藤井が再び左サイドを疾走し、カットインで中央寄りからシュート。(ンドカがブロック)
藤井・山根の優劣は完全に付いた感がありました。

またドイスボランチとなった事で、佐野が前に上がり攻撃に絡むシーンも増え。
圧巻は5分で自陣右サイドでこぼれ球を拾った佐野はそのままドリブル、横浜FCのゲーゲンプレスも何のその、といった感じで紙一重でかわしつつ前進を果たし。
そして手放した後に鈴木のスルーパスに走り込み、クロスまで持っていくという上下動ぶり。
その姿はとても、前年に(町田で)腰痛で離脱を余儀なくされていたとは信じ難いものでした。

そのボランチでは、横浜FCサイドは相変わらず守備範囲の広いユーリが、鹿島のロングボールの跳ね返し役を務め。
しかしセンターバックと被ってしまうなど、その役割を果たしてチーム全体がどれだけ理解していたのか疑問が残るシーンを目立たせるに至り。
10分には鈴木へのロングボールに対し、ユーリ・岩武の2人で競りにいくも落としを許してしまい、右サイドで受けた樋口中央へパス→ピトゥカもこぼれる→藤井拾ってシュートと繋がれてネットを揺らし。
追加点といった絵図にひとしきり鹿島サイドがぬか喜びを見せた末に、VAR介入となり(樋口が)オフサイドでノーゴールと、何とか救われた感が拭えず。
ガブリエウ不在でディフェンスラインはあっさり崩壊した、と言いたくなる試合となりました。

横浜FCは17分に再びアタッカーを投入、山根→山下へと交代(これでカプリーニが左サイドに回る)するも、既に鹿島に傾いた流れを覆せず。
鹿島は後は決めるだけという状況で、20分には右サイドでのスローインから細かく繋いだ末に、右ポケットへの浮き球に佐野が走り込んでマイナスのクロス。
これを中央でピトゥカが綺麗に合わせたものの、ゴール左へ外れてモノに出来ず。
24分には樋口のスルーパスに再び右ポケットへ走り込む佐野、切り返した後にシュートを放ちましたが、やや角度が足りずこれもゴール左へと外れ。
佐野の跳梁は止まらず、しきりに横浜FCディフェンスを掻き回します。

苦境の横浜FC、26分にユーリが(鈴木へのアフターチャージで)警告を受けたというタイミングで、そのユーリが交代に。
井上へと代え、同時に橋本→林へと交代。
ユーリに頼れなくなった事もあり締め直しを強いられ、最終ラインを3人しっかり作る(ボランチが降りる、ないしはGK永井が上がる)事で、ビルドアップの下地を整えます。

すると30分、右サイドに人数を掛けてのパスワークののち、サイドを変えてフリーで左で受けた林がクロス。
ニアサイドで収めたカプリーニがキープののちに戻し、林のダイレクトでの送りを小川航がポストプレイで繋ぐと、長谷川がゴール眼前で受ける決定機を迎えます。
しかし放たれたシュートは植田のブロックに阻まれ、同点ならず。
横浜FCはシュート3本という試合後のスタッツだっただけに、まさにワンチャンスでしたが逃してしまい。

それでも、その後鹿島のプレッシングをかわしながら前に運ぶシーンが増える横浜FC。
鹿島サイドが、32分に佐野が足を攣らせてしまい交代となった(仲間と交代、同時に藤井と知念をアルトゥール・カイキと染野に交代)事も影響し、反撃体制を整えます。

39分に最後の交代を敢行する横浜FC。
長谷川→伊藤に代えるとともに、カプリーニと山下の位置を入れ替えと、SH同士またもポジションチェンジ。
1点差のまま終盤に突入と、最後まで望みを繋いだものの、ここから鹿島の押し戻しに遭います。
44分に右CKを得ると、早くもショートコーナーからのボールキープと、俗にいう「鹿島る」体勢に入り。
しかもここからクリアされたボールを繋ぎ、ピトゥカのミドルシュートが炸裂(左ゴールポストを掠める)というおまけも付いてきた事で、横浜FCサイドは色を失います。

そんな試合絵図の移り変わりを受けても、鈴木へのロングボール狙いに対して難儀するというシーンは最後まで変わらず。
40分鈴木の収めに対してチャージした岩武がとうとう警告を貰うと、ATでは左サイドでボールキープする鈴木をンドカが倒してしまい反則。
これに対し鈴木は怒りの表情を見せるも、これすら演技の節があるのが鹿島の試合運び。
味方に時間を作るとともに、相手に冷静さを失わせるという立ち回りを貫きます。

最早前掛かりになるしかない横浜FCですが、GK早川に対して詰めにいったものの、出されたフィードを受けた安西に対してはチェックにいけず。
疲労を窺わせる横浜FCを尻目にここから好機に持ち込む鹿島、カイキ→ピトゥカと経由してエリア内左へのスルーパスに走り込んだ安西がマイナスのクロス。
これを合わせにいったのは大外からポジションを移していたカイキで、放たれたシュートは右ゴールポストを直撃するも、跳ね返りがGK永井の後方に当たってゴールに吸い込まれ。
遅過ぎの感があったものの、追加点を挙げて無事大団円を果たした鹿島。

その後今度は左サイドで「鹿島る」体勢を作る鹿島、安西が最前線に上がってボールキープに絡み、横浜FCの脱出を阻みにいきます。
結局横浜FCは攻撃機会を得れないまま、試合終了の笛を聴く事となりました。
1-3で鹿島が勝利と、チーム力の差異は一朝一夕では埋められずという事を示す試合だったでしょうか。


DAZN観戦 2023年J1リーグ第2節 サンフレッチェ広島vsアルビレックス新潟

2023-03-02 16:00:39 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

「ボールを繋ぐチーム」という触れ込みの新潟に対し、早くも試練が訪れたような第2節。
前年3位かつ、強靭かつ組織的なプレッシングが売りである広島とのアウェイゲームで、逆に言えばこの試合の結果により今後生き残れるかどうかという試金石といったところでしょうか。とはいっても今季の降格枠は1つだけですが
そんな重大なゲームでも、J2を戦ってきた前年と同様の方策、つまり一定数のターンオーバーを敢行してメンバーを組んだ松橋力蔵監督。(前節から舞行龍ジェームズ・島田・谷口・小見がスタメン落ち)
ベンチには新外国人グスタボ・ネスカウの名前も初めて入りました。

試合が始まると、前半2分に早くも川村のミドルシュート(枠外)で脅かす広島。
その後デンがカリファのチャージで倒れ込むなど、最終ラインから繋がんとする新潟に対し、果敢に前からプレッシャーを掛けにいく得意手を発揮。
5分には敵陣で柏がボールカットした所、拾ったカリファに対し今度は逆に藤原が反則。
敵のプレスに苦しみ、こちらのディフェンスは遅れ気味になるという、カテゴリーの違い(あくまで前年までの)が壁になるかのようなシーンを描いてしまう新潟。

そうした強度の違いを受けた新潟ディフェンスにおいて、頼りになったのがパスカット力。
縦パスを前に出てカットするデンや、数的不利な状況で読みを働かせてカットに成功する高の姿に、味方は勇気付けられたでしょうか。
ようやくビルドアップでも本来の姿が見られたのが13分で、GK小島が縦パスをカリファ・満田の間を通して繋ぎ、そこから運ばんとします。
しかしここは中盤でパスミスを川村に拾われて広島の逆襲に遭い、エリア内で満田がシュート。(ブロック)

それでも、プレッシングに負けず縦パスを通すその姿勢は実るのが早かった。
14分、千葉の縦パスを受けた伊藤が反転してドリブル、そしてエリア手前で三戸がカットインという得意手に持ち込み。
ここはディフェンスに遭いこぼれるも、すかさず太田がシュートを放つと、ボールは豪快にゴールネットを揺らします。
少ない手数というややもするも新潟らしくない攻撃ながら、相手のベクトルの向きをひっくり返した末に見事先制点を奪いました。

思わぬ先制パンチを貰ってしまった広島、目の色を変えて攻め上がり。
カリファがサイドに開いてボールを引き出し、松本泰の飛び出しを交えながら人数を掛けて両ポケットを突かんとする攻撃を徹底します。
16分には右サイドでのパスワークを経てカリファが右ポケットを突き、ディフェンスに遭うもコーナーキックで継続。
そのCKでキッカー満田はニアへクロス、カリファのフリックを経てゴール眼前で柏が足から跳び込むという絶好機を作りましたが、放たれたシュートは浮いてしまいゴールバーを直撃。

勿体無い逃し方をした広島、それが響くかのように18分に今度は新潟の決定機。
堀米のパスカットから、三戸・伊藤がそれぞれボールキープ力を発揮して前に運び、三戸のスルーパスで一気にエリア内右を突いた所に走り込んだのは先制点を挙げた太田。
そして再び放ったシュートがGK大迫の左を破りますが、左ゴールポストを直撃してしまい追加点はならず。

20分が過ぎ、広島にペースダウンが見られた所を見計らうかのように、縦横無尽なパスワークを展開する新潟。
クリアボールを収めた鈴木からパスワークが始まり、最終ラインへの戻しも経て24本のパスを繋いだのが23分。(最後は秋山の右→左へのサイドチェンジがオフサイド)
前年までと同様の戦いぶりが発揮されたシーンを演じ、これで手応えを得た新潟、続く25分には秋山のパスカットから好機に持ち込み。
三戸と伊藤のコンビネーションでエリア内を突き、伊藤のシュートはGK大迫にセーブされるも、クリアボールを拾って尚も継続する攻撃。
右サイドからパス4本を挟んだ末に、伊藤が今度はミドルシュートを放ち、大迫が何とかセーブした末にゴールバーを叩き。
カテゴリーが上がっても、その能力を如何なく発揮していく伊藤。

流れを変えたい広島は、27分に佐々木が前に出ての反則気味のボール奪取からショートカウンター。
エリア内でパスを受けた満田がシュートするも、千葉のブロックに阻まれます。
キャプテンのその姿勢を見てか、再びプレスの圧力を強めにいく広島。
しかし新潟も31分に再びGK小島の縦パスでそれをいなす(その後中盤まで運ぶも反則で止められる)など、応戦の姿勢は崩しません。

前半のうちに再度スコアが動く予感は高まりつつあり。
そして笑顔に辿り着いたのはまたも新潟で、ここもGKからのパスワークvsプレッシングというシーンになるも、今度はロングフィードを選択する小島。
これを荒木との競り合いを制して収めた鈴木からギアを上げての攻撃、中でも伊藤の前進からのエリア内を突くパスはもはや芸術的といった感じで、今度はミドルパスが太田に綺麗に繋がって決定機を生み出し。
そして冷静に横パスを選択した太田、走り込んだ鈴木のシュートで仕上げてゴールに辿り着きます。

難敵相手にも屈せず、2点のリードを奪った新潟。
こうなると流れもしっかりと握り、41分には敵陣エリア内でパスカットした末に太田がシュート。(ブロック)
続く42分には再び自陣からパスワークで広島のプレッシングをかわしきり、そして伊藤のエリア内へのスルーパス。
走り込んだ鈴木のシュートは左サイドネット外側に終わるも、長所を十二分に発揮するその姿は、数多のJ1のファンをも唸らせるものだったでしょうか。
最後は広島のセットプレー攻勢を凌いだ末のカウンターで、三戸がエリア内からシュートを放つもブロックに防がれた所で前半が終了。

逆に広島にとっては誤算続きといった前半であり。
立ち上がりは何度も新潟のビルドアップを阻んでいただけに、だからこそ徹底的に封じて一縷の隙を与えてはいけなかったといった所でしょうか。
しかし終わった事は仕方無く、反撃の狼煙を上げるべくハーフタイムで3枚替えと大胆に動いてきたミヒャエル・スキッベ監督。
柏・中野・松本泰に代え、森島と東にピエロス・ソティリウを投入。
そして野津田をアンカー・満田を右ウイングバックとして3-3-2-2(3-1-4-2)へと布陣も弄ります。

前線を4人+2WBにしたその影響は、やはり前線のプレッシングに色濃く表れ。
2センターバック+ドイスボランチ(+GK小島)でのビルドアップの姿勢を保っていた前半の新潟ですが、この相手の変節をまともに受けてしまい、立ち上がりからロクに攻撃機会を掴めず。
「同数で嵌められても、GKを交えれば数的優位は変わらない」なんて余裕を見せる事も出来ずに、ひたすら攻撃を浴びる事となってしまいます。

狙い通りにゲームを支配した広島、後半5分に多彩なパスワークを経て、東ミドルパス→カリファ胸で落とす→ソティリウシュート。(ブロック)
直後には左サイドから東がクロスと見せかけてゴールに向かうボールを送り、GK小島が何とか弾いてCKに、という具合に短い時間に波状攻撃を掛けていきます。
この5分と、9分にCKを含めてそれぞれ3度ずつ攻撃機会も得る始末。
特に9分のCKでは、野津田ニアにクロス→佐々木フリックがこぼれ球となり、拾った川村がシュート(千葉がブロック)という紛れも起きる決定機となり。

何処かで流れを切りたい新潟ですが、11分にはプレスにいった所に、前に出た右サイドバック・藤原の裏を突かれるという目も当てられない展開に。(ここはスライドしてのカバーで何とか遅らせる)
こうなるとゾーンディフェンスに切り替える他なく、上記のシーンの反省を踏まえ、サイドを2人でしっかり守り数的不利を作らない事に比重を掛けます。

こうして守備は何とか整えるも、逆に攻撃を仕掛けようとしても、既にビルドアップは成り立たない状況であり。
19分にはあろう事か自陣深め左サイドで川村に奪われると、そのカットインを止めようとした藤原が倒してしまい反則。
これでCKに近い状態での左サイドからのFKを得た広島、野津田のクロスからカリファがヘディングシュートと、ターゲットが仕留めんとするも枠を捉えられず。

直後に動いた新潟、伊藤・秋山→谷口・島田へと2枚替え。
その後も広島の攻勢は続き防戦一方が続く中、23分に広島のビルドアップのミスから、パスのズレを太田が直接エリア内へスルーパスを送る場面が。(三戸が走り込むも繋がらず)
こういう試合展開で、このカウンター気味の攻撃で相手の後方にどれだけプレッシャーを与えるかで今後は違ってきそうですが、今現在はそうした余裕が殆ど無い状況なのは変わらず。

27分に再度交代策を採り、鈴木→ネスカウへと交代した新潟。
明確な収め所を置くといった感じで、その通りに彼目掛けたロングボールを軸に何とか余裕を作るシーンが見られます。
31分には広島の攻撃を凌いだのち、三戸のフリックを経てネスカウに収まると、そのまま左サイドをドリブルで持ち運ぶネスカウ。
そしてスルーパスが三戸に渡り、カウンターかと見せかけてその後遅攻に切り替えるという具合に、やはり時間を作って逃げ切りを図る立ち回りという意識が高く。

こうした絵図を経て、広島サイドも野津田が足を攣らせて交代となる(松本大弥を投入)など、ダメージを隠せなくなってくる時間帯へ。
言わば、それが深刻化する前に1点を入れ望みを繋ぎたい状況。

それが具現化したのが33分で、新潟がパスを繋ぐ展開となるも、無理に繋がんとした島田がスライディングした結果勢い余ってソティリウを削ってしまい反則。(島田に警告)
これでFKを得た広島、遠目の位置でありキッカー満田は放り込みを選択するしか無く。
しかし跳ね返されたボールを、右ハーフレーンの位置で待ち構えていた塩谷が綺麗にボレーシュートを放ち。
ゴール左隅に突き刺さる、GKにとってはノーチャンスの得点となり、望み通りに1点を返します。

前節はゴールを取り消されたような恰好(実際誤診が認められたという事であり)で無得点に終わった広島、ようやく得点に辿り着いた事で尚も意気軒昂。
38分には相手のクリアを跳ね返した塩谷、そのままエリア内へと上がった末に満田のクロスに合わせにいくなど、ゴールした本人もその心意気を前面に押し出します。

新潟は最後の交代を敢行(39分、堀米・太田→田上・松田)し、リードを守るのみとなった終盤戦へ。
投入された松田は攻撃型の選手で、43分には佐々木にまでプレッシャーを掛け、左サイドに穴を開けた末に左ポケットを突かれるというシーンを作るなど守備では不安定さが露呈。
塩谷のゴール以外には目立ったフィニッシュが無かった広島も、その隙を突くかのようにゴールに迫ります。

45分には中盤での奪い合いの末に森島が持ち出して広島の好機、満田が細かいタッチでのキープでエリア内を突き、そしてシュート。
新潟サイドもこれを決死のブロックで凌ぐと、広島サイドは一斉にハンドをアピールするなか試合は続き、ヒートアップした状態で森島がネスカウに反則を犯してしまい。
尚もボールを叩きつけた森島に対し異議で警告が出されるなど、判定に不服な態度を隠せません。
前節も判定の不運で勝てなかったとあり、フラストレーションが溜まるのは仕方ありませんが、こうしたシーンを見せる事で運気が逃げていくのも避けられず。

荒木→越道へと交代した広島が総攻撃を掛ける体勢となったアディショナルタイム。
得たセットプレーではGK大迫も前線に上がるというまさに総動員体制で、同点ゴールを狙いにいきます。
そのFKでも、エリア内で合わせにいった佐々木がデンに倒されるといった、再度の異議を呼び込むシーン(ならびにVARチェック)が生み出され。
一方もはや逃げ切るしかない新潟も、反則の際にネスカウがボールを蹴り出して警告を受ける等、形振り構わない姿勢。

ATが5分→7分に伸び、尚もVARチェックの影響で長引く中、広島の放り込み攻勢を凌ぎ続けた新潟。
ようやく聴く事が出来た試合終了の笛は、遥か昔の味となったJ1での勝利を告げる物でもありました。
揺るぎ無いサッカースタイルを築き上げたチームも、その事実よりもトップカテゴリで勝つ喜びの方が何物にも代えがたいものであり。
そんな歓喜の瞬間を、今季は何度味わう事が出来るでしょうか。